World Days(新版)   作:完結の陽炎

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第3話「体調不良の世界」

 世界は生まれつき体が弱い。

 精神的なストレス耐性も低い。

 そのため急激な環境の変化で体調を崩しやすい。

 

 新入生として早く慣れていきたい。

 そんな焦りがあったのだろう。

 

 ちょっと眠いだけ。

 ちょっとダルイだけ。

 ちょっと食欲がないだけ。

 

 我慢できるからと自己判断をして学校へ行く。

 刹那が心配をしても世界は大丈夫の一点張り。

 

 言葉の家まで迎えに行って一緒に登校をしよう。

 

 そんな世界の思いつきに刹那がついていく。

 一軒家にあるインターフォンを鳴らす。

 しばらくして言葉が出て来た瞬間。

 

「世界ちゃん、失礼します」

 

 世界のおでこに手を当てる。

 居合の抜刀のごとく迅速な動き。

 何も反応ができない。

 言葉の手が心地よく目を細めるしかなかった。

 

「少し熱を感じます。世界ちゃん、無理をしていますね」

「ことぴー、やっぱり世界の具合悪い?」

 

 一目で見抜く言葉の洞察力。

 それによって刹那は確信を得る。

 世界が何と言っても休ませたほうがいい。

 そんな緊急事態に家の中にいる心が慌てふためく。

 

「あわわ!! 世界さん病気なの!?」

「心、世界ちゃんを私の部屋に連れていくから手伝って」

「うん!!」

「ことぴー、私も手伝う」

「お願いします」

 

 両親は早朝に仕事へ出たので今は不在。

 ふと世界が眩暈を起こして倒れそうになる。

 すぐに言葉が抱きかかえて寝室のベッドへ寝かせた。

 

 心が看病を名乗り出る。

 だが言葉は認めない。

 ちゃんと学校へ行くように指示を出す。

 

「お姉ちゃんズルい!! こころも世界さんが心配なのに!!」

「心ちゃん、私たちには別の役目がある」

「刹那さん、役目ってなに?」

 

 それは学校の帰りの買い出し。

 雑炊の食材、水分補給のドリンク、プリンなどのデザート。

 そういった支援を一緒にやろうということで心を説得した。

 刹那の場合、授業のノートをとってのサポートも含まれる。

 

「ことぴー、世界をお願い」

「お任せください。学校には私から連絡します」

 

 刹那の本心では世界の傍で看病をしたいのだろう。

 それをしないのは言葉の部屋を使っているため、部屋の主に任せるのが道理だから。

 無論、誰でもいい訳ではない。

 言葉を信頼しているから世界のことを任せる。

 

「わかった。行こう心ちゃん」

「うん。終わったら待ち合わせの場所に行くね」

「よろしく」

 

 世界の看病で言葉も学校を休む。

 病人である世界を一人で放っておく訳もない。

 

 それから数時間が経過。

 目が覚めた世界の調子はまだ悪い。

 特に痛い所はないが全身のダルさが酷い。

 発熱も続いて、世界のおでこに冷却シートが貼られている。

 

「世界ちゃん……」

 

 辛そうに吐息を漏らしながら眠る世界。

 言葉が手を握ると無意識に弱々しく握り返す。

 他人事とは思わない。

 無理をすれば誰しも体調を壊すリスクを抱えている。

 

 学園の中で刹那が心配していることだろう。

 それを見越して言葉はメールで経過報告をする。

 そのたびに刹那から感謝の返信が送られて来た。

 

 午後の時間。

 どうにかして世界の熱が引いてきた。

 まだボーとしてしまって体調は芳しくない。

 それでも朝よりはマシになり話すことができた。

 

「ごめん、ことちゃんに迷惑かけちゃった」

「気にしないでください。困った時はお互い様です」

「刹那、怒ってるよね?」

「そうですね。我慢をして隠したことに、せっちゃんは怒っているかもしれません」

 

 あるいは自己反省をしているかもしれない。

 もっと厳しく、強引でも世界を止めておけばよかったという後悔。

 事実、次から鬼になる決意を刹那は密かに固めていた。

 

「ことちゃん」

「はい?」

「私、張り切り過ぎたかな?」

「そうですね。体が弱い体質を改善しようと、世界ちゃんが頑張っていることは知っています」

「うん」

「ですが、無茶をしてはいけません。今みたいに悪化してしまいます」

「……はい」

 

 言葉に諭されて猛省をする世界。

 そして大切なのはここからだ。

 

 同じことを繰り返さないためにはどうすればいいのか?

 

 休むことが必要であり頑張り過ぎないことが基本。

 言葉が経験者としてアドバイスをしてくれる。

 虚弱体質でも中学までは多数の習い事をこなしてきた。

 無茶をすれば今の世界みたいに倒れる可能性があったのに。

 いかに体力の消耗を抑えて活動をするかが鍵である。

 

「そっか。どれだけメンタルで強く保っても、体がついていかなかったらご覧の有様だね」

「はい。体が辛いと感じている時こそ、休んで回復することが求められます」

 

 辛いと感じる前に予防ができれば最良となる。

 だが多くを求めない。

 一歩間違えると、ただの怠け者になってしまうから。

 特に世界の場合、極端に進む傾向があるので要注意となる。

 

 やがて刹那と心が戻ってきた。

 その日の部活が自主練の七海と乙女も見舞いに来た。

 バイトの日ではない光も一緒である。

 

「世界、着替え持ってきた。おばさんに伝えて了解を得たから」

「ありがとう刹那」

 

「世界さん、いっぱい食べ物かってきたから元気出してね」

「こころちゃん、ちゃんと食べて元気出すから」

 

「まったく、世界は無茶しちゃって。あんまり心配かけさないでよ」

「ごめんね七海。気合いだけではダメだって思い知った」

 

「まあ、元気出しなよ。見た感じ、大丈夫そうだと思うけどさ」

「うん。乙女の言う通り大丈夫。ことちゃんがいれば安心だよ」

 

「うちの店のケーキ持ってきたから。これでも食べて元気出しなよ」

「ありがとう。光の店のケーキって、すっごく美味しいから好きなんだ」

 

 それぞれ受け答えができるぐらいには元気だ。

 無理をさせないように程々で切り上げる。

 

 仕事から帰ってきた言葉の両親。

 娘二人から事情を聞いて了承をする。

 世界にゆっくり養生するようにと親切だ。

 そして完治をするまで世話を焼いてくれた。

 

 後日には学校へ復帰をする世界。

 改まって見舞いに来てくれた事にお礼を言う。

 言葉の両親にもお泊りの際に感謝を伝えた。

 そして健康面に気を配り、次へと繋げていく。

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