World Days(新版)   作:完結の陽炎

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第3話「夏休みの宿題でやる気を出す方法」

 学生として厄介な夏休みの宿題。

 やらない訳にはいかない。

 世界が泣きつく先は言葉。

 わざわざ言葉の家に出向いて助けを求める。

 そこには七海も来ており、考えている事は同じであった。

 

「いやー、私はバスケの練習で忙しかったから」

「私はおたふく風邪でダウンしてたから」

「という訳で言」

「そんな訳でことちゃん」

 

 宿題手伝ってと同時にハモらせる。

 言葉は笑って了承。

 だが世界に対しては別の一言を添える。

 

「世界ちゃん、せっちゃんに頼まないのはどうしてですか?」

 

 七海もそこは気になる所。

 電車で乗り換えるほどに言葉の家は遠い。

 それなら近所にいる刹那の所へ行けばいい。

 もっともな疑問である。

 

「ほら、刹那には看病で迷惑かけたし。さすがに宿題まで甘えるのは気が引けちゃって」

「せっちゃんが好きでやっている事です。きっと気にしないと思います」

「そうだとしても、刹那には刹那の時間ってあるじゃん。私だけでなく、もっとこう視野を広げるとか、自分を大事にとか、何かそういうのあると思わない?」

 

 世界なりに思う所がある。

 いつも一緒だからこそ刹那を気に掛ける。

 親しき仲にも礼儀ありというべきか。

 

「刹那っていつも世界の事ばかり見てるし。何となく世界の言いたい事わかるよ」

「わかってくれて何よりだよ。あ、そういえば七海の女バス合宿はもうすぐだよね? 日数は一週間だっけ?」

「まあね。他校と合同になる都合もあって、合宿の開始日がズレちゃって」

「そっか。頑張ってね合宿、ファイトオーだよ」

「ありがとう。でも世界が期待しているのはお土産でしょ?」

「もちろんだよ。合宿といえばお土産だよお土産。そういうの選ぶ楽しさってあっていいでしょ?」

「気持ちのいいぐらいに正直だね。ホント世界らしいよ」

 

 話を聞いている言葉も理解を示す。

 家族旅行でお土産を楽しみにしてくれる世界を思い出す。

 まるでプレゼントをされた子どもみたいに無邪気に喜んでくれる。

 

「とにかく刹那には、私以外にも目を向けたほうがいいんだよ。ことちゃんみたいに」

「え? 私ですか?」

「たまに刹那、そっちへ遊びに行くでしょ?」

「はい、そうですね」

「七海と乙女は部活、光はバイト、可憐は受験生。私を除けば後はことちゃんだけだよ」

「せっちゃんとお話するのは楽しいです。世界ちゃんの事で盛り上がりますから」

「本人のいない所で話をする面白さはわかる。ま、私は本人がいようといまいと関係なく話しちゃうけどね」

 

 それは性格の違いである。

 オープン型の世界とクローズ型の刹那というべきか。

 つくづく正反対な二人を印象付けている。

 

「宿題の件、私は別に構いませんが、あとでせっちゃんは拗ねるかもしれませんよ」

「その時は七海を囮にして逃げる」

「ちょっと待ちな世界、なんでアタシが囮になるんだよ?」

「バスケでリーダーみたいな活躍してるし、その偉大なる七海の力を頼りたいから」

「調子のいいこと言ってんじゃないよ。しかも囮って言い方ってもんがあるからね」

「バスケで直球好きでしょ。言い方もストレートがいいかなって」

「バスケ関係ないし。まあ、回りくどい言い方を好まないのは認めるけどね」

 

 言葉のおかげで二人の宿題は開始となる。

 しかし勉強嫌いの世界としては地獄の時間。

 どうしてもサボりがちで言葉を困らせてしまう。

 それを見かねて七海から注意を食らうほどであった。

 

「やれやれ、刹那の苦労がわかるね。言もそう思わないか?」

「それが世界ちゃんですから」

 

 身体的にも精神的にも弱い世界。

 ストレスを抱えると体調を崩しやすい。

 そのため甘ったれてしまうのが欠点だ。

 上手く見極めて叱ることで導く。

 それは刹那だけが出来る芸当といえる。

 

「役に立つ勉強だったら受け付けるもん。可憐みたいに上手く立ち回るコツとか」

「なんだいそりゃ?」

「乙女を守るための処世術っぽいヤツ。お姉さん思いの優しい妹が可憐だよ」

 

 恨みを買わないようにして敵を作らない。

 後々の障害となって被害を拡大させないためだ。

 言葉のイジメ予防を徹底する世界。

 可憐のやり方を上手く応用をしている。

 

「七海は体育系だから、勉強でも気合いで頑張れるのがいいよね」

「ま、バスケの練習に比べたら、大人しく座って勉強するぐらいは普通に耐えるよ」

「ことちゃんは昔から習い事こなして、今も余裕で夏休みの宿題できるからいいよね」

「今の世界ちゃん、天使よりも悪魔寄りなっているのはわかります。もう少し頑張れば、美味しいケーキとお茶が待っていますよ」

「おー!! どっからでもかかってこーい!!」

 

 臨戦態勢完了。

 いつでも宿題の続きをやれる状態。

 世界のやる気スイッチが切り替わった。

 

「変わり身はや!! ってか言、もので釣るってどうなの?」

「他に方法はありません。私にせっちゃんのマネはできませんので」

 

 言葉にできる別のやり方で世界の宿題を手伝う。

 貧乏という家庭環境もあって物に釣られやすい。

 あらゆる意味で飢えており、気の毒な立ち位置。

 刹那と言葉が上手く補い、バランスを保てているようだ。

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