世界最強の弟はとってもカワイイサメ人間   作:翁月 多々良

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 すまない!!昨夜は寝落ちしたっ!!

 

 Aoi0706 さん、グルッペン閣下 さん


 新たに評価ありがとうございます!!m(_ _)m





第12話∶初めてのあねぇ(・・・)と、しんだいまほう?

 

 

 体全体が何か温かで柔らかな物に包まれているのを感じる。随分と懐かしい感触だ。これは、……そうベッドの感触。

 頭と背中をしっとり(・・・・)と優しく受け止めるクッション?と、体を包む羽毛の柔らかさを感じ、

 

 俺、南雲ハジメは、まどろむ意識の中で混乱する。

 

 何だ? ここは迷宮のはずじゃ……何でベッドに……

 

 

 まだ覚醒しきらない意識のまま手探りをしようとする。しかし、右手はその意思に反して動かない。というか、ベッドとは違う柔らかな感触に包まれて動かせない。手の平も温かで柔らかな何かに挟まれているようだ。

 

 何だ……これ?

 

 ボーとしながら、手をムニムニと動かす。手を挟み込んでいる弾力があるスベスベの何かは俺の手の動きに合わせてぷにぷにとした感触を伝えてくる。何だかクセになりそうな感触だな……そのまま夢中で触っていると、

 

 

 「……ぁん……」

 

 「ッ!?」

 

 何やら艶かしい喘ぎ声が聞こえた。その瞬間、まどろんでいた意識は一気に覚醒する。

 

 慌てて跳ね起きようと、体に力を入れると。枕だと思っていたそれに(・・・)一段と頭が沈み込む。すると、

 

 「……ぅんッ……」

 

 「ッ!!?」

 

 さっきとは違った方向から、これまた艶かしいうめき声が漏れ出る。慌てて体を起こすと、俺は自分が本当にベッドで寝ていることに気がついた。

 

 純白のシーツに豪奢天蓋付きの高級感溢れるベッドだ。場所は、吹き抜けのテラスのような場所で一段高い石畳の上にいるようだ。爽やかな風が天蓋と俺の頬を撫でる。周りは太い柱と薄いカーテンに囲まれている。建物が併設されたパルテノン神殿の中央にベッドがあるといえばイメージできるだろうか? 空間全体が久しく見なかった暖かな光で満たされている。

 

 さっきまで暗い迷宮の中でナナキと呼び戻すために、死闘を演じていたはずなのに。状況がわからない俺は混乱する。

 

 どこだ、ここは?……ま、まさか……あの世とか言うんじゃないだろうな……

 

 どこか荘厳さすら感じさせる場所に、脳裏に不吉な考えが過ぎるが、その考えは両隣(・・)から聞こえた艶かしい声に中断された。

 

 「……んぁ……ハジメ……ぁう……」

 

 「うみゅぅ……あにぃ……」

 

 「ッ!!!!?」

 

 その声を聞いた俺は、慌ててシーツを捲るとそこには一糸纏わないユエとナナキが俺の体を挟むように身を寄せ合い眠っていた。そして、枕だと思っていたのはナナキのサメの尾ヒレであり、ナナキは俺とユエとは違い逆さになって眠っていた。

 まぁ、ナナキは直前まで戦っていたときに、俺達が唯一服といえたあのオーバーオールの切れ端を剥ぎ取ったから、裸に剥いたのは俺達と言えなくもないが……。

 

 ついでに今更ながらに気がつくが、俺自身も素っ裸だった。

 

 「なるほど……これが朝チュンってやつか、両手に()(片方は男、ていうか弟)とはなんと贅沢な……ってそうじゃない!」

 

 混乱して思わず阿呆な事をいい自分でツッコミを入れる……。

 

若干、虚しくなりながらユエとナナキを起こす。

 

 

 

 「ユエ、ナナキッ起きてくれ。」

 

 「んぅ~……」

 

 「ゴロゴロッ」

 

 声をかけるが愚図るようにイヤイヤをしながら丸くなるユエとナナキ。ナナキに至ってはまるで猫のようにゴロゴロと喉を鳴らしている。

 それでなんと、俺の右手はユエの太ももに挟まれており、丸くなったことで危険な場所に接近しつつあった。

 短くなった左腕も、逆さのナナキのちょうど良く危険な場所に位置している。

 

 「ぐっ……まさか本当にあの世……天国なのか?」

 

 更に阿呆な事を言っていることを自覚せず、俺は何とか右手を抜こうと動かすが、同時にふわふわしっとりとした。まるで人を駄目にする類のクッションの様な尾ヒレに、むにぃっとその身を沈めさせてしまう。

 その度に……

 

 「……んぅ~……んっ……」

 

 「……はぅ〜っ……」

 

 

 

 と実に艶かしく喘ぐ二人。

ユエから手を離そうとすれば、ナナキの尾ヒレを刺激する。あちらが立てばこちらが立たずのデッドロック状態だ。

 

 「ぐぅ、落ち着け俺。ユエはいくら年上といえど、見た目はちみっこ。動揺するなどありえない! ましてやナナキは弟!!いつも風呂に一緒に入っていただろ!?俺は断じてロリコンでもショタコンでもない!」

 

 俺は脳裏に、変態紳士か危険人物か否かの瀬戸際だと戦慄の思考を浮かべながら自分に言い聞かせる。右手を引き抜くことは諦めて、何とか二人に呼び掛けで起こそうと声をかけるが一向に起きる気配はなかった。

 

 

 

 いい加減、段々と苛立ってくる俺。

 

 ただでさえ状況を飲み込めず混乱しているというのにコイツらは何をのんびり寝ていやがるのかと額に青筋を浮かべる。

 

 そして、イライラが頂点に達し……

 

 

 

 「いい加減に起きやがれ! この天然エロ吸血姫と無自覚ドスケベ馬鹿弟ぉッ!!

 

 

 〝纏雷〟を発動した右手にバリバリと放電が走る。

 

 「!? アババババババアバババ

 

 「ふぎゅうううううううううううッ!?

 

 ビクンビクンしながら感電するユエ。ナナキは耐性があるのか感電はしなかったが、突如発生した強力な電撃に、ロレンチーニ器官が驚き、素っ頓狂な悲鳴をあげている。電撃から解放すると、ピクピクと体を震わせながら、ようやく二人は目を開いた。

 

 「……ハジメ?」

 

 「あにぃ?……」

 

 「おう。ハジメさんだ。ねぼすけ共、目は覚め……」

 

 「ハジメ!!」「あにぃ!!」

 

 「うおっ!?」

 

 

 目を覚ましたユエとナナキは、茫洋とした目で俺を見ると、次の瞬間にはカッと目を見開き両サイドから同時に飛びついた。もちろん素っ裸で。ナナキは弟故に今更ではあるが、ユエの裸にはつい動揺してしまう。

 

 しかし、ユエとナナキが俺の首筋に顔を埋めながら、ぐすっと鼻を鳴らしていることに気が付くと、仕方ないなと苦笑いし、右手でユエの頭を撫で、左腕でナナキの体を抱き寄せる。

 

 「わりぃ、随分心配かけたみたいだな」

 

 「んっ……心配した……」

 

 「うぅッあにぃい、ごめんなざいぃぃ!」

 

 「まだ言うかコイツは……もうなんともねぇよ大丈夫だ」

 

 そう言うとナナキは尾ビレを控えめだが嬉しそうにブンブン振り回す。相変わらず表情に感情が出にくいが、この尻尾の様な尾ビレのおかげで、前よりかは感情表現が豊かになった。

 

 そうしてしばらくしても、二人共しがみついたまま離れそうになかった。倒れた後面倒を見てくれたのはユエなのだろうし、気が済むまでこうしていようと、そのまま優しくユエの頭を撫でナナキの背中を擦り続けた。

 

 

 それからしばらくして、ようやくユエとナナキが落ち着いたので、俺はユエに事情を尋ねた。ちなみに、ユエには勿論だが、ナナキ(・・・)にもしっかりシーツを纏わせている。

 

 

 「それで、あれから何があった? ここはどこなんだ?」

 

 「……あの後……」

 

 

 

 ユエ曰く、あの後、ぶっ倒れた俺とナナキの傍で同じく魔力枯渇でフラフラのユエが寄り添っていると、いつの間にか扉が独りでに開いたことに気づき、まさかっ新手か! と警戒したもののいつまでたっても特になにもないし、何かあるとしても、ナナキとの戦闘に乗じて今頃仕掛けて来ていただろうと考え直し、時間経過で少し回復したユエが確認しに扉の奥へ入った。

 

 普通なら度重なる出血、内臓まで届いていた噛み傷も命に届く重傷であった俺だが、神水の効果以前に魔物の肉を喰って強化した強靭な肉体が、俺の一命をギリギリの瀬戸際で取り留めていた。一応は無傷のナナキも眠りについていて起きない。こんな状態で新手に現れでもしたら一巻の終わりだ。

 

 そのため、確かめずにはいられなかったのだ。

 

 

 

 そして、踏み込んだ扉の奥は、

 

 

 

 「……反逆者の住処」

 

 

 中は広大な空間に住み心地の良さそうな住居があったというのだ。そのあと、危険がないことを確認して、ベッドルームを確認したユエは、俺とナナキを交互に背負って行き、ベッドに寝かせ看病していたのだという。神結晶から最近めっきり量が少なくなった神水を抽出し、俺に飲ませ続けた。

 

 無事傷が塞がり俺の呼吸が安定したことで、ユエも力尽きたらしい。

 

 「……なるほど、そいつは世話になったな。ナナキ共々ありがとな、ユエ」

 

 「んっ!」

 

 俺の感謝にユエは心底嬉しそうに瞳を輝かせる。こちらもまた無表情ではあるが、その分ユエは瞳が雄弁だ。

 

 「…………。」

 

 するとユエ同様俺にしがみついていたナナキが目をパチクリさせながらユエをジーッと見つめていた。

 

 「どうした?ナナキ」

 

 そんな様子のナナキに俺が訝しんで聞く。するとナナキはユエへと指を差し、

 

 「だぁれ?」

 

 と呟いた。

 

 

 ・・・・・・。

 

 一瞬の沈黙、その後にユエが思い出したように、ぽんッと手を打つ。

 

 「そういえば、この子……あのときからまだ目を覚ましてなかったはずだから……自己紹介がまだだった。」

 

 「えぇ~」

 

 今更かよと、なんとも段取りの悪い展開に、ジト目を向ける俺を置いて、ユエがナナキの側に寄り、うっすらだがニッコリと慈愛の笑みを向ける。

 

 「私は、ユエ……えっとぉ……」

 

 そこまで言うと、ユエは一度考え込むように押し黙り、そして何かを思いついたように「ん!」と頷いて……。

 

 

 「今日から……あなたのお姉ちゃんです!」

 

 と、宣言した。

 

 

 「ちょッおいユエ!何を勝手に……ッ」

 

 

 勝手なお姉ちゃん発言に俺が待ったをかけようとするも、言われたナナキは目をキラキラと瞬かせ尻尾をゆらゆらさせると、確かめるようにモゴモゴと口づさむ。

 

 

 「ゆえ……おねえちゃ…、あね……あね…ぇ?」

 

 「ん!……そう!ユエあねぇ(・・・・・)……ハジメと、お揃いで……良い!!」

 

 「ゆえ…、ゆえあねぇ……ユエあねぇッ!」

 

 「はぅ〜ッ!!……かわゆすッ!!」

 

 

 そう悶えるとナナキに思いっきりヒシッと抱きつくユエ。通例の如く、ユエもナナキの可愛さに落ちたようだ。

 

 我が弟ながら恐ろしい。だが、当のナナキ自身は新しい家族が増えた気分なのか無表情ながら頬を染め、尾ビレをブンブンと風が発生するほど振り回している。

 

 そんなどこか久しぶりな光景を、微笑ましげに見ていた俺は、さっきから気になっていたことを聞く。

 

 「ところでユエ……何故、俺は裸なんだ?」

 

 なんせ、弟のいる目の前でリアルで朝チュンなど勘弁だったからだ。いや……別にユエが嫌いとかではなく。ナナキの情操教育的にとか、俺の心の準備的にとか……

 

 「……汚れてたから……綺麗にした……」

 

 「……なぜ……舌なめずりする」

 

 ユエは俺の質問に、吸血行為の後のような妖艶な笑みを浮かべ、ペロリと唇を舐めた。

 

 何となく……ブルリと体が震える。

 

 

 「それで、ナナキは分かるが……どうしてユエが隣で寝てたんだ? しかも……裸で……」

 

 「……むぅ……本当は……空気を読んで……二人で寝かせてあげたかった……けれど……」

 

 「けれど?」

 

 

 「……我慢、できなかった……」

 

 

 そうかぁ〜我慢できなかったのかぁ〜ならしょうがないッ!

 

 とはならんわ!! それに……肝心なことがまだ聞けていない。

 

 「それは……ユエが裸になる理由にはならなくないか?」

 

 改めて、俺はユエに質問する、

 

 「……フフッ……」

 

 しかし、帰ってきたのは謎の笑み。

 

 「まて、何だその笑いは! 俺に何かしたのか! って!おいッやめろぉー!舌なめずりするな!」

 

 

 激しく問い詰めるが、ユエはただ、妖艶な眼差しで俺を見つめるだけで何も答えなかった。そうやって俺とユエが質問合戦を繰り広げている横で、

 

 「……うぅ?」

 

 何の話をしているのかわからない無垢なナナキが首を傾げて、今、下世話な俺達を汚れなき美しき(まなこ)で攻撃してくる。

 

 その視線にいたたまれなくなった俺たちは、

 

 「と……とりあえず服を着よう」

 

 「………んッ」

 

 お互いの矛を収めた。

 

 そうして、反逆者の住処を探索することにしたのだが、ユエがどこから見つけてきたのか上質な服を持ってくる。それは男物の服で、どうやら反逆者は男だったのだろう。俺もそれを着込むと体の調子を確かめ、問題ないと判断し装備も整える。一応、何かしらの仕掛けがあるかもしれないので念のためだ。

 

 後ろで同じく着込んでいたユエも準備が完了したようなので振り返る。ユエは、

 

 

 カッターシャツ一枚でナナキに服を着せていた。

 

 ユエ曰く、 ハジメは片腕だから自分の着せ替えに精一杯。だから自分が変わりにナナキの服を着せてあげる。その為に自分の服はすぐ着られるテキトーなものにした……ということらしい。

 

 なるほど、やや無理矢理感は否めないが、確かに理にかなっていやがる。

 

 俺はちらりとユエを見る。

 

 カッターシャツの下から覗くそれなりの膨らみがある胸元や、スラリと伸びた真っ白な脚線が、ユエの纏う雰囲気のせいか見た目の幼さに反して何とも扇情的で、正直目のやり場に困るものの自然と目が吸い寄せられてしまう。

 

 「……天然なら、それはそれで恐ろしいな……」

 

 狙っているのか、天然なのか分からないが、いずれにしろ色々な意味で恐ろしいユエさんだった。

 

 

 ベッドルームから出た俺達は、周囲の光景に圧倒され呆然とした。

 地下迷宮内で本物と見まごう光を放つ太陽の様な照明に、耳に心地よく響く水の音。どうやら、ちょっとした球場ぐらいの広さのあるこの空間には水が流れており、壁の上の方から滝が流れ、そこから川になった場所に合流している。

 

 その川を見たナナキが、サメというか魚の本能なのか、ウズウズしだして、ついには川に飛び込もうとしたので、必死に押さえ込む。せっかく服を着たのに、ずぶ濡れになってまた着替えさせるなんて二度手間だ。 

 そうして川から少し離れたところには大きな畑もあった。今は何も植えられていないようだが……その周囲に広がっているのは、もしかしなくても家畜小屋である。動物の気配はしないのだが、水、魚、肉、野菜と素があれば、ここだけでなんでも自炊できそうだ。緑も豊かで、あちこちに様々な種類の樹が生えている。

 

 俺達は川や畑とは逆方向、ベッドルームに隣接した建築物の方へ歩を勧めた。建築したというより岩壁をそのまま加工して住居にした感じだな。

 

 

 「……少し調べたけど、開かない部屋も多かった……」

 

 「そうか……ユエ、ナナキ、油断せずに行くぞ」

 

 「ん……」

 

 「うん……」

 

 石造りの住居は全体的に白く石灰のような手触りだ。全体的に清潔感があり、エントランスには、温かみのある光球が天井から突き出す台座の先端に灯っていた。薄暗いところに長くいた俺等には少し眩しいくらいだ。それはサメになって正気を失っていたナナキも例外じゃなく、「まぶちぃッ」と俺とユエの後ろに隠れていた。

 どうやらこの建物は三階建てらしく、上まで吹き抜けになっている。

 

 取り敢えず一階から見て回る。暖炉や柔らかな絨毯、ソファのあるリビングらしき場所、台所、トイレを発見した。どれも長年放置されていたような気配はない。人の気配は感じないのだが……言ってみれば旅行から帰った時の家の様と言えばわかるだろうか。しばらく人が使っていなかったんだなとわかる、あの空気だ。まるで、人は住んでいないが管理維持だけはしているみたいな……

 

 俺達は、より警戒しながら進む。更に奥へ行くと再び外に出た。そこには大きな円状の穴があり、その淵にはライオンぽい動物の彫刻が口を開いた状態で鎮座している。彫刻の隣には魔法陣が刻まれている。試しに魔力を注いでみると、ライオンモドキの口から勢いよく温水が飛び出した。どこの世界でも水を吐くのはライオンというのがお約束らしい。

 

 「まんま、風呂だな。こりゃいいや。何ヶ月ぶりの風呂だか」

 

 「おふろ!!おふろ!!」

 

 思わず頬を緩める俺とナナキ。最初の頃は余裕もなく体の汚れなど気にしていなかったが、余裕ができると全身のカユミが気になり、大層な魔法陣を書いて水を出し体を拭くくらいのことはしていた。

 ナナキも久々の風呂に、両手を掲げてはしゃいでいる。流石はお風呂大好き日本人の遺伝子か、こりゃあまた抑えとかないと今すぐ湯船に飛び込みかねねぇな。まぁ、気持ち的には俺も激しく同意したいが……

 

 そんな俺を見てユエが一言、

 

 

 「……入る? 二人で(・・・)、一緒に……」

 

 「……そうだな、ナナキと二人で(・・・・・・・・)のんびりとなぁ〜?」

 

 「むぅ……」

 

 

 素足でパシャパシャと温水を蹴るユエの姿に、一緒に入ったらきっとくつろぎとは無縁になるだろうと断る。ユエは唇が尖らせて不満顔だ。

 

 それから、二階で書斎や工房らしき部屋を発見した。しかし、書棚も工房の中の扉も封印がされているらしく開けることはできなかった。仕方なく諦め、探索を続ける。

 

 三階の奥の部屋に向かったが、三階は一部屋しかないようだ。奥の扉を開けると、そこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。いっそ一つの芸術といってもいいほど見事な幾何学模様だ。

 しかし、それよりも注目すべきなのは、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座った人影。人影は骸だった。既に白骨化しており黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。薄汚れた印象はなく、お化け屋敷などにあるそういうオブジェと言われれば納得してしまいそうだ。

 

 その骸は椅子にもたれかかりながら俯いている。その姿勢のまま朽ちて白骨化したのだろう。魔法陣しかないこの部屋で骸は何を思っていたのか。寝室やリビングではなく、この場所を選んで果てた意図はなんなのか……

 

 「……怪しい……どうする?」

 

 「GuRuuuu〜ッ」

 

 ユエもナナキも、この骸に疑問を抱いたようだ。ナナキなんてまるで威嚇するみたいに唸っている。

おそらく反逆者と言われる者達の一人なのだろうが、苦しんだ様子もなく座ったまま果てたその姿は、まるで誰かを待っているみたいだった。

 

 「まぁ、地上への道を調べるには、この部屋がカギなんだろうしな。俺の錬成も受け付けない書庫と工房の封印……調べるしかないだろう。ユエとナナキは待っててくれ。何かあったら頼む。」

 

 「あにぃ?」

 

 魔法陣の元へ向かおうと歩を進めた俺の袖を掴むナナキ。尾ビレがしゅんと下がりその瞳には不安の色が見える。

 

 「安心しろナナキ。俺は大丈夫だから、お…お姉ちゃんと待っててくれないか?」

 

 お姉ちゃんと呼ぶことに言い淀みながら、俺はそんなナナキに目線を合わせるようにしゃがみ、頭を撫でてやる。

 

 「ん、ハジメは大丈夫……たがらお姉ちゃんと、ここで待ってよう……ね?」

 

 「……うん」

 

 

 ユエがそう言い聞かせると、ナナキは渋々頷く。最後にユエが「気を付けて……」と俺に向き直るのを尻目に、俺は魔法陣へ向けて踏み出した。そうして、魔法陣の中央に足を踏み込んだ瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。

 

 あまりのまぶしさに目を閉じた直後、何かが頭の中に侵入し、まるで走馬灯のように奈落に落ちてからのことが駆け巡った。

 

 やがて光が収まり、目を開けた俺の目の前には、眼鏡を掛けた黒衣の青年が立っていた。

 

 

 

 魔法陣が淡く輝き、部屋を神秘的な光で満たす。

 

 

 中央に立つ俺の眼前に立つ青年は、よく見れば後ろの骸と同じローブを着ていた。

 

 『試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?』

 

 

 話し始めた男はオスカー・オルクスというらしい。【オルクス大迷宮】の創造者のようだ。驚きながら男の話を聞く。

 

 

 『ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを』

 

 

 

 そうしてオスカーは語りだす。狂った神とその子孫達の戦いの物語を……。

 

 それは、俺やナナキが聖教教会で教わった歴史やユエから聞かされた話とは大きく異なる驚くべきものだった。

 

 

 神代の少し後の時代、世界は争いで満たされていた。人間と魔人、様々な亜人達が絶えず戦争を続けていた。争う理由は様々だ。領土拡大、種族的価値観、支配欲、他にも色々あるが、その一番は〝神敵〟だから。今よりずっと種族も国も細かく分かれていた時代、それぞれの種族、国がそれぞれに神を祭っていた。その神からの神託で人々は争い続けていたのだ。

 

 だが、そんな何百年と続く争いに終止符を討たんとする者達が現れた。それが当時、“解放者”と呼ばれた集団である。

 

 彼らには共通する繋がりがあった。それは全員が神代から続く神々の直系の子孫であったということだ。そのためか“解放者”のリーダーは、ある時偶然にも神々の真意を知ってしまった。何と神々は、人々を駒に遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。“解放者”のリーダーは、神々が裏で人々を巧みに操り戦争へと駆り立てていることに耐えられなくなり志を同じくするものを集めたのだ。

 

 彼等は、“神域”と呼ばれる神々がいると言われている場所を突き止めた。“解放者”のメンバーでも先祖返りと言われる強力な力を持った七人を中心に、彼等は神々に戦いを挑んだ。

 

 しかし、その目論見は戦う前に破綻してしまう。何と、神は人々を巧みに操り、“解放者”達こそ世界に破滅をもたらそうとする神敵であると認識させて人々自身に相手をさせたのである。その過程にも紆余曲折はあったのだが、結局、守るべき人々に力を振るう訳にもいかず、神の恩恵も忘れて世界を滅ぼさんと神に仇なした“反逆者”のレッテルを貼られ“解放者”達は討たれていった。

 

 最後まで残ったのは中心の七人だけだった。世界を敵に回し、彼等は、もはや自分達では神を討つことはできないと判断した。そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだ。試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。

 

 

 

 長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。

 

 

 

 『君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを』

 

 そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスっと消えた。その突如、俺の脳裏に何かが侵入してくる。ズキズキと痛むが、それがとある魔法を刷り込んでいたためと理解できたので大人しく耐えた。

 やがて、痛みも収まり魔法陣の光も収まると、俺はゆっくり息を吐く。

 

 すると

 

 「あにぃッ!」

 

 「ハジメ……大丈夫?」

 

 ナナキとユエが心配して駆けつけてくる。ユエは落ち着いた感じだが、ナナキは俺の腰に飛びつきスンスン鼻を鳴らしている。

 

 「ああ、平気だ……にしても、何かどえらいこと聞いちまったな」

 

 「……ん……どうするの?」

 

 

 

 ユエがオスカーの話を聞いてどうするのかと尋ねる。

 

 

 「うん? 別にどうもしないぞ? 元々、勝手に召喚して戦争しろとかいう神なんて迷惑としか思ってないからな。この世界がどうなろうと知ったことじゃないし。地上に出て帰る方法探して、故郷に帰る。それだけだ。……ユエは気になるのか?」

 

 一昔前の俺なら何とかしようと奮起したかもしれない。しかし、変心した価値観がオスカーの話を切って捨てさせた。お前たちの世界のことはお前達の世界の住人が何とかしろってな。

 

 とはいえ、ユエはこの世界の住人だ。故に、彼女が放っておけないというのなら、俺も色々考えなければならない。オスカーの願いと同じく簡単に切って捨てられるほど、既に俺にとって、ユエとの繋がりは軽くない。そう思って尋ねたのだが、ユエは僅かな躊躇ためらいもなくふるふると首を振った。

 

 「私の居場所はここ……他は知らない」

 

 そう言って、俺の側に寄り添いその手を取る。ギュッと握られた手が本心であることを如実に語っている。

 

 ユエは、過去、自分の国のために己の全てを捧げてきた。それを信頼していた者たちに裏切られ、誰も助けてはくれなかった。ユエにとって、長い幽閉の中で既にこの世界は牢獄だったのだ だからか、そんな牢獄から救い出された今、俺とナナキの存在する場所こそが、ユエの世界のすべてなのだろう。

 

 「……そうかい」

 

 若干、照れくさくて、それを誤魔化すためか咳払いを一つする。

 

 「お前はどうだ?ナナキ」

 

 聞くまでもないが、ナナキにも一応聞くも、「うぅ?」と上目遣いで首を傾げるだけだった。

 

 そうだな、長い話だったし、ナナキには理解できなかったかもしれない。

 

 「あ~、あと何か新しい魔法……“神代魔法”っての覚えたみたいだ」

 

 「……ホント?」

 

 ついでというように、さらりと告げると、信じられないといった顔をするユエ。それも仕方ないだろう。何せ神代魔法とは文字通り神代に使われていた現代では失伝した魔法である。

 俺達をこの世界に召喚した転移魔法も同じ神代魔法だからな。

 

 「何かこの床の魔法陣が、神代魔法を使えるように頭を弄る? みたいな」

 

 「……大丈夫?」

 

 「おう、問題ない。しかもこの魔法……俺のためにあるような魔法だな」

 

 「……どんな魔法?」

 

 「え~と、生成魔法ってやつだな。魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法だ」

 

 

 

 俺の言葉にポカンと口を開いて驚愕をあらわにするユエ。

 

 「……アーティファクト作れる?」

 

 「ああ、そういうことだな」

 

 「あてぃふぁくとーー!!」

 

 「あぁそうだな」

 

 聞き覚えのあるフレーズに、いつかのようにテンションを上げて叫ぶナナキを優しく宥める。そう、生成魔法は神代においてアーティファクトを作るための魔法だったのだ。まさに俺……“錬成師”のためにある魔法だ。

 

 「ユエとナナキも覚えたらどうだ? 何か、魔法陣に入ると記憶を探られるみたいなんだ。オスカーも試練がどうのって言ってたし、試練を突破したと判断されれば覚えられるんじゃないか?」

 

 「……錬成使わない……」

 

 「うぅ?」

 

 「まぁ、そうだろうけど……せっかくの神代の魔法だぜ? 覚えておいて損はないんじゃないか?」

 

 「……ん……ハジメが言うなら」

 

 「ナナキも!ナナキもッ!」

 

 俺の勧めに魔法陣の中央に入るユエ。俺の時も一人だったから念の為一人づつ入る。ナナキは俺の膝の上でお留守番だ。

 魔法陣が輝きユエの記憶を探る。そして、試練をクリアしたものと判断されたのか……

 

 

 『試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスry……』

 

 またオスカーが現れた。何か、雰囲気(ムード)とかいろいろ台無しな感じだった。俺とユエはペラペラと同じことを話すオスカーを無視して会話を続ける。

 

 

 「どうだ? 修得したか?」

 

 「ん……した。でも……アーティファクトは難しい」

 

 「う~ん、やっぱり神代魔法も相性とか適性とかあるのかもな」

 

 そんなことを話しながらも隣でオスカーは何もない空間に微笑みながら話している。なんかすごいシュールだな。

 

 「よし、ナナキもそろそろ……って」

 

 そうして膝の上にいるナナキに順番を促そうとすると。あまりにも長いオスカーの話を子守唄に、こくんッこくんと船を漕ぎ始めていた。

 

 「ナナキはまた明日でいいな。」

 

 「んッ……」

 

 スーッスーッと完全に寝息を立て始めたのを確認してから、俺達はオスカーの骸を畑の肥やしにして、屋敷内の散策を再開した。ナナキは寝室に寝かせてある。

 

 どうやら二階のほとんど封印されていた部屋はオスカーが嵌めていたと思われる十字に円が重った文様の刻まれた指輪がそれらを開く鍵となっていた。

 

 まずは書斎を調べる。

 

 一番の目的である地上への道を調べる中で、この屋敷の設計図や、オスカーの手記、そして“解放者”中心の7人が築いた他の六つの迷宮について記された物があった。

 

 「……つまり、あれか? 他の迷宮も攻略すると、創設者の神代魔法が手に入るということか?」

 

 「……かも」

 

 手記によれば、オスカーと同様に六人の“解放者”達も迷宮の最深部で攻略者に神代魔法を教授する用意をしているようだ。生憎とどんな魔法かまでは書かれていなかったが……

 

 「……帰る方法見つかるかも」

 

 ユエの言う通り、その可能性は十分にあるだろう。実際、召喚魔法という世界を越える転移魔法は神代魔法なのだから。

 

 「だな。これで今後の指針ができた。地上に出たら七大迷宮攻略を目指そう」

 

 「んっ」

 

 それからしばらく探したが、正確な迷宮の場所を示すような資料は発見できなかった。現在、確認されている【グリューエン大砂漠の大火山】【ハルツィナ樹海】、目星をつけられている【ライセン大峡谷】【シュネー雪原の氷雪洞窟】辺りから調べていくしかないだろう。

 

 次に工房、そこには小部屋がいくつもあり、その全てをオルクスの指輪で開くことができた。中には、様々な鉱石や見たこともない作業道具、理論書などが所狭しと保管されており、錬成師にとっては楽園かと見紛うほどだ。

 

 それらを見ながら腕を組み少し思案する。そんな俺の様子を見て、ユエが首を傾げながら尋ねてくる。

 

 「……どうしたの?」

 

 それを受け、しばらく考え込んだ後、俺はユエに提案する。

 

 「あのな、ユエ……。しばらくここに留まらないか? さっさと地上に出たいのは俺も山々なんだが……せっかく学べるものも多いし、ここは拠点としては最高だ。他の迷宮攻略のことを考えても、ここで可能な限り準備しておきたい。どうだ?」

 

 ユエは三百年も地下深くに封印されていたのだから一秒でも早く外に出たいだろうと思ったのだが、俺の提案にキョトンとした後、直ぐに了承した。不思議に思い聞こうとしが……

 

 

 

 「……ハジメと一緒ならどこでもいい」

 

 とまぁ、そういうことらしい。ユエのこの不意打ちはどうにかならんものかと照れくささを誤魔化す。

 

 結局、俺達三人はここで可能な限りの鍛錬と装備の充実を図ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ひろーいッ!!」

 

 

 その日の晩、天井の太陽もどきが月に変わり淡い光を放つ様を、ハジメは、はしゃぐナナキと風呂に浸かりながら全身を弛緩させてぼんやりと眺めていた。普段なら「風呂ではしゃぐな」と注意を促すところだが、今日くらいは良いだろうと黙ってくつろぐハジメ。

 ナナキは手足の水かきや大きな尾ビレを駆使して縦横無尽に湯船を泳ぎまくっている。

 

 思えば、奈落に落ちてから、ここまで緩んだのは初めてである。風呂は心の洗濯とはよく言ったものだ。

 

 

 「はふぅあ~、最ッ高だぁ~」

 

 

 

 今のハジメからは考えられないほど気の抜けた声が風呂場に響く。全身をだらんとさせたままボーとしていると、ウトウトと眠気が襲ってくる。

 

 

 しばらく時間がたち、はっと目を覚ますハジメ。

 いかんいかん、例え魔物の肉を喰らい、強靭な体を手に入れたとしても、お風呂での居眠りは非常に危険だ。故にそろそろ上がろうかと思ったとき……、

 

 突如、ヒタヒタと足音が聞こえ始めた。完全に油断していたハジメは戦慄する。ナナキとニ人で入るって言ったのに!!

 

 

 タプンと音を立てて湯船に入ってきたのはもちろん、

 

 

 

 「んっ……気持ちいい……」

 

 

 

 一糸まとわぬ姿でハジメのすぐ隣に腰を下ろすユエである。

 

 

 

 「……ゆ、ユエさんや、ナナキと入るって言ったよな?」

 

 「……だが断る

 

ハジメが問うと、ユエは劇画的な顔になってそう言い放つ。

 

 「ちょっと待て! 何でそのネタ知ってる!」

 

 「?……ナナキと戦ってた時の、ハジメの真似だけど……?」

 

 「あっそう言う……って!そうじゃない!!せめて前を隠せ。タオルなら沢山あっただろ」

 

 「むしろ見て」

 

 「……ゆ……ユエ……こういうのは、ナナキが見てる場所は止めてくれ、ナナキの教育に悪い……。」

 

 ここでハジメは伝家の宝刀、『ナナキが見てる』を抜く、

 

 しかし、

 

 「……ナナキが見てなければ、いいの?」

 

 と、あっさり切り替えされてしまう。

 

 「いっいやそういう問題じゃ!?」

 

 

 慌てて弁明しようとするハジメ、だがユエの次の言葉に嫌な予感が漂う。

 

 「なら、問題ない……」

 

 「へぁ?」

 

 

 そう言うとユエは湯船を指さして妖艶な顔で言う。

 

 「ナナキなら……もう上がった。」

 

 「なっ……なにィ!!?

 

 ハジメは驚愕に目を剥く。そう、ハジメが居眠りをしている間に、いつの間にかナナキは風呂場から退席していた。

 

 ハジメがナナキと風呂に入ったのには単純に弟と久々に戯れたいと言う思いとは別に、今朝から目線が怖いユエが万が一にも風呂場に侵入しないようにするための、防衛的な役割も担っていた。

 「一緒に入って一緒に上がろうな」と念押しまでして言っていたのにッ!!

 

 無論、そんな獲物(ハジメ)の浅知恵など、とうに読んでいたユエは、あらかじめ脱衣所にスタンバり、ハジメのみに効くマジカルな睡眠魔法をみょんみょん放ち、ナナキにそれっぽく言い含めて退散させたのだ。

 

 勿論、二人のそんなどぉーでもいい思惑など知る由もないナナキは、言われるがままに寝室へと帰宅していったのだ。

 

 因みにだが、ハジメはここが安全な場所だからと完全に気を抜いていて、“気配感知”をOFFにしていた。

 

 要するに、これから起こる事は、すべてハジメが招いた結末であり、ハジメ自身の責任である。

 

 

 

 

 

 「ナナキは今頃眠ってる……朝まで、目を覚まさない。」

 

 「ブルぅぅぅタァァァァアアアスゥッ!!(ナナキぃいいい)

 

 ハジメが全くもって心外な叫びを放つ。全てはお前が悪いのだ。

 

 「……えいッ」

 

 「……はうっ///……ゆ、ユエ!?あ、当たってるんだが!?」

 

 急に抱きつかれ怖ず怖ずと情けない声をこぼすも、その視線は逸らしきれず気がつけばユエのあられもない肢体に吸い寄せられてしまう。

 

 「当ててんのよ」

 

 「だから何でそのネタを知ってんだ! わざとだな?わかっててわざとやってんだな!?ええい、俺は上がるからな!」

 

 「逃がさない!」

 

 「ちょ、まて、あっ、………アァァァッーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 その後何が起きたかなんて、良い子の皆には

 

 ナ・イ・ショ、だよッ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 解放者のくだりがまんま原作だったなぁ。

 まぁこの作品じゃ弄る必要ないしなぁ〜

 
 次回、ナナキ君のステータスが明らかに!!


 おまけ《オスカーの骸実況》

 ハジメ達の入室 → 待ちに待った攻略者にくすんだ
           骨が一瞬輝く。

 ナナキに唸られる→ 少し悲しくなってカクンッとな
           る。

 ユエに無視される→ 更に悲しくなってカクンッとな
           る。

 ナナキの居眠り → やめて!ただでさえ屍なのに、
           彼のライフはもう0よッ!!


 肥料化決定   → ひとりでに崩れ落ちて
           ちょっとホラー
           ちょっとビビるハジメ達……。



 匿名Oさん∶確かに、自由な意志のもとに……って言った
      けど……。自由すぎない?君たち
 
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