お気に入り300人突破!!ありがとうございます!!
(∩´∀`)∩ワーイ
前回のアルちゃん。なんかナナキの隠された力が目覚めたとかではなく、アルちゃんの今まで隠されていた変態性が顕わになっただけです。
そして、今作ではシアに軽い強化が入ります。
桶の桃ジュース さん、オシリスキー さん、
モルノアス さん、(:3 っ)3ニニニつ さん、
IOOSPH さん、大蓑蛾 さん、Rabbit3939 さん、
おーーわい さん、
新たに評価ありがとうございますm(_ _)m
十日間の特訓期間も最終日。
上機嫌でニコニコなシアと、不機嫌でムスッとした顔のユエが、ハウリア達の訓練が終わったハジメとナナキのもとに帰ってきていた。
シアが嬉しそうな理由。それは……。
「ユエあねぇ、ウサギさん、おかえりぃ〜」
「よっ、二人共。
そう、シアはこの訓練でユエに何かを賭けた勝負を挑み、そしてなんと勝利してみせたのだ。
勝負内容は十日間の内に一度でもシアがユエに勝つというもの。それを聞き、一度とはいえユエが敗北したことにハジメは驚愕を顕にする。
「おぉ~ッ……ウサギさん、すごい!」
「エッへへそうでしょ〜そうでしょ〜!ナナちゃんやハジメさんにも見せてあげたかったですよぉ〜!因みに私の名前はシアです!」
ナナキの中で強い人の代表はハジメとユエだった。それ故にその一人であるユエに勝利したと聞いて、ナナキは素直にシアを称賛する。それを受けてシアも調子付きえっへんと、その大きな胸を張る。
そしてさり気なく自分の名前をアピールする。ハジメとユエは勿論、ナナキでさえ、未だに名前を呼んでもらえない哀れなシア・ハウリア。
まぁ、ナナキの場合、『ウサギさん』で定着してしまった為ナナキ本人としては、所謂渾名のつもりなのだが、それを汲み取れるほどシアのお
同仕様もなく哀れである。
そんな二人の様子を尻目にハジメはその勝負での様子についてユエに尋ねる。それに対してユエは渋々といった具合で口を開いた。
「で? どうだったんだ?」
「…………魔法の適性はハジメと変わらない」
「そいつぁ、宝の持ち腐れだな……で? それだけじゃないんだろ? あのレベルの
そう、ハジメはシアの為に超重量級の武器、“大槌”を用意していた。シアが、真剣な表情で、ユエに勝ちたい、武器が欲しいと頼み込んできたのはハジメの記憶によ新しい。
ユエ自身も特に反対しなかったことから、何を賭けているのかまでは定かではなかったが、ユエの不利になることもないだろうと作ってやったのだ。
「……ん、身体強化に特化してる。正直、化物レベル」
「……へぇ。俺達と比べると?」
ユエの評価に目を細めるハジメ。正直、想像以上の高評価だ。珍しく無表情を崩し苦虫を噛み潰したようなユエの表情が何より雄弁に、その凄まじさを物語る。ユエは、ハジメの質問に少し考える素振りを見せるとハジメに視線を合わせた後、ナナキへと視線を促して答える。
「……
「………はぁ!?まッマジでかッッ!?」
言われた数値に思わず慄くハジメ。なんとか調子を落ち着かせて、改めてユエに聞き返す。
「……さ、最大値で……だよな?」
「ん……でも、鍛錬次第でまだ上がるかも」
「お、おぉう。やべぇな……そいつは、確かに化物レベルだ」
ハジメは、ユエから示されたシアの化物ぶりに尚も内心唖然としながら、シアに何とも言えない眼差しを向けた。変質化したナナキの七割と言えば、今の段階で、本気で強化したシアのステータスは、“10000”を超えるということ、下手すれば身体能力だけでもハジメと同等か既に凌駕している可能性すらある。
まさに“化け物レベル”と呼べるに相応しい力。曲がりなりにもユエに土を付ける事ができた訳である。
シアがハジメに見つめられていると気づくと、ナナキからハジメへと向き直り姿勢を正す。
彼女は急く気持ちを必死に抑えながら真剣な表情でハジメのもとへ歩み寄った。これから一世一代の頼み事をするのだ。
いや……むしろ告白と言っていいだろう。
緊張に体が震え、表情が強ばるが、不退転の意志を瞳に宿し、一歩一歩、前に進む。そして、訝しむハジメの眼前にやって来るとしっかり視線を合わせて想いを告げた。
「ハジメさん。私をあなたの旅に連れて行って下さい。お願いします!」
「断る」
「即答!?」
まさかこの流れで考える素振りも見せず断られると思わなかったシアは憤慨する。
もうちょっと真剣に取り合ってくれてもいいでしょ!……と。
「ひ、酷いですよ、ハジメさん。こんなに真剣に頼み込んでいるのに、それをあっさり……」
「いや、こんなにって言われても知らんがな。大体、カム達どうすんだよ? まさか、全員連れて行くって意味じゃないだろうな?」
「ち、違いますよ! 今のは私だけの話です! 父様達には修行が始まる前に話をしました。一族の迷惑になるからってだけじゃ認めないけど……その……」
「その? なんだ?」
何やら急にモジモジし始めるシア。指先をツンツンしながら頬を染めて上目遣いでハジメをチラチラと見る。
あざとい。実にあざとい仕草だ。
ハジメが不審者を見る目でシアを見る。
傍らのユエがイラッとした表情で横目にシアを睨んでいる。
ナナキはハジメの隣でシアを不思議そうに見つめ、首を傾げながら一言呟く。
「……おしっこ?」
ズコッ とその場にいる3人がずっこける。その中でシアがいの一番に立て直し、
「ち、違いますよぉ!何言ってんですかナナちゃんッ!!」
と真っ赤な顔で怒鳴る。その後 コホンッ と咳払いを一つしてその場の空気を戻し、怖ず怖ずと話を続ける。
「そ、それで……ですね、皆は…その、私自身が、付いて行きたいと本気で思っているなら構わないって……」
「はぁ? 何で付いて来たいんだ? 今なら一族の迷惑にもならないだろ?それだけ大した実力があれば大抵の敵はどうとでもなるだろうし」
「で、ですからぁ、それは、そのぉ……」
「……」
モジモジしたまま中々答えないシアにいい加減我慢の限界だと、ハジメはドンナーを抜きかける。それを察したのかどうかは分からないが、シアが女は度胸! と言わんばかりに声を張り上げた。思いの丈を乗せて。
「ハジメさんの傍に居たいからですぅ! しゅきなのでぇ!」
「…………は?」
言っちゃった、そして噛んじゃった! と、あわあわしているシアを前に、ハジメは鳩が豆鉄砲でも食ったようにポカンとしている。その傍らでナナキが「しゅき……?」とシアの噛みを追求しようとするのをユエが呆れた表情で「……やめてあげて」と注意する。
ハジメは一瞬、何を言われたのか分からないという様子だったが、しばらくしてようやく意味が脳に伝わったのか思わずといった様子でツッコミを入れる。
「いやいやいや、おかしいだろ? 一体、どこでフラグなんて立ったんだよ? 自分で言うのも何だが、お前に対してはかなり雑な扱いだったと思うんだが……まさか、そういうのに興奮する口か?」
「誰が変態ですか! そんな趣味ありません! っていうか雑だと自覚があったのならもう少し優しくしてくれてもいいじゃないですか……」
「いや、何でお前に優しくする必要があるんだよ……そもそも本当に好きなのか? 状況に釣られてやしないか?」
ハジメはシアの好意が信じられず吊り橋効果を疑う。
今までのハジメの態度からもシアへの扱いの雑さで、とても惚れた腫れたな状況に発展するなど、普通は誰も思わないだろう。そんな訝しむハジメ様子に自分の好意を疑われてすこぶる不機嫌に捲し立てるシア。
「状況が全く関係ないとは言いません。窮地を何度も救われて、同じ体質で……長老方に啖呵切って私との約束を守ってくれたときは本当に嬉しかったですし……ただ、状況が関係あろうとなかろうと、もうそういう気持ちを持ってしまったんだから仕方ないじゃないですか。私だって時々思いますよ。どうしてこの人なんだろうって。ハジメさん、未だに私のこと名前で呼んでくれないし、何かあると直ぐ撃ってくるし、鬼だし、返事はおざなりだし、魔物の群れに放り投げるし、容赦ないし、鬼だし、優しくしてくれないし、ユエさんばかり贔屓するし、ブラコンだし、鬼だし……あれ? ホントに何で好きなんだろ? あれぇ~?」
話している間に、自分で自分の気持ちを疑いだしたシア。首を傾げるシアに、青筋を浮かべつつも言っていることは間違いがないので思わずドンナーを抜きかけるも辛うじて堪えるハジメ。
その後も、連れて行くつもりのないハジメと絶対に付いていきたいシアとの言葉の応酬は続く。当然だが、譲るつもりの無い両者の主張は平行線だ。
だが次の瞬間、事態は進展する。
「うぅ~、やっぱりこうなりましたか……ええ、わかってましたよ。ハジメさんのことです。一筋縄ではいかないと思ってました」
突然、フフフと怪しげに笑い出すシアに胡乱な眼差しを向けるハジメ。
「こんなこともあろうかと! 命懸けで外堀を埋めておいたのです! ささっ、ユエ先生! お願いします!」
「は? ユエ?」
完全に予想外の名前が呼ばれたことに目を瞬かせるハジメ。それを受けたユエは、やはり苦虫を百匹くらい噛み潰したような表情で、心底不本意そうにハジメに告げた。
「……………………………………ハジメ、連れて行こう」
「いやいやいや、なにその間。明らかに嫌そう……もしかして勝負の賭けって……」
「……無念」
そう、シアがユエとの勝負で賭けたもの。
それは、
“ハジメ達3人の旅に同行することを認め、ハジメの説得に協力する”
というものだったのだ。
ガックリと肩を落とすユエに大体の事情を察し、もはや呆れやら怒りを通り越して感心するハジメ。
おそらく、普通に頼んでもハジメが望みを聞いてくれるとは思えず、自分の力だけでは本気は伝わらないと考えたのだろう。また、ハジメが納得してもユエの一言が優先されることを危惧し、先にユエを味方につけるという方法をとったのだ。
“命懸け”というのもあながち誇張した表現ではないのだろう。生半可な気持ちでユエを納得させることなど不可能なのだから。この十日間、ほとんど見かけなかったが文字通り死に物狂いでユエを攻略しにかかったに違いない。つまり、それだけシアの想いは本物ということだ。
ハジメはガリガリと頭を掻きながら、一度深々と息を吐くとシアとしっかり目を合わせて、一言一言確かめるように言葉を紡ぐ。。
「付いて来たって応えてはやれないぞ?」
「知らないんですか? 未来は絶対じゃあないんですよ?」
しかし、そんなハジメに対してシアは、なんてことないように、気持ち語気に力を込めて返した。
“未来は絶対じゃない”。
その言葉は未来が垣間見えるシアだからこそ出る言葉で、そしてそれは、ハジメの手で証明してみせたものでもあった。
シアはハジメからナナキへと視線を移して、
「ハジメさんが、それを教えてくれたんです」
と口ずさむ。
あのとき、シアが見た未来では巨大なサメの魔物に変質した幼い少年が帝国兵の血に全身を染め、咆哮を上げる姿が映っていた。
その慟哭は恐ろしかったが、何処か孤独に嘆いた寂しいものにも見えて、胸が張り裂けそうになる。
それを変えたのがハジメだった。
孤独な弟を一人にさせまいと飛び出したハジメ。それでも、凄惨な風景は変わらないどころか、むしろ悪化すらしていたが、孤独なサメの魔物の未来は、確かに変わったのだ。
よってシアは、未来は覚悟と行動で変えられると他でもないハジメに教えられた。だからこそ、彼女は胸を張って己の行動を躊躇わない。
「危険だらけの旅だ」
「化物でよかったです。御蔭で貴方について行けます」
長老衆にも言われた蔑称。それが今では誇りに変わっている。化物でなければ為すことのできない事があると知ったから。
「俺の望みは故郷に帰ることだ。もう家族とは会えないかもしれないぞ?」
「話し合いました。“それでも”です。父様達もわかってくれました」
今まで、ずっと守ってくれた家族。感謝の念しかない。何処までも一緒に生きてくれた家族に、気持ちを打ち明けて微笑まれたときの感情はきっと一生言葉にできないだろう。
「俺の故郷は、お前には住み難いところだ」
「何度でも言いましょう。“それでも”です」
シアの想いは既に示した。そんな“言葉”では止まらない。止められない。それを理解してしまったハジメは押し黙る。
「……」
「ふふ、終わりですか? なら、私の勝ちですね?」
「勝ちってなんだ……」
「私の気持ちが勝ったという事です。……ハジメさん」
「……何だ」
もう一度、はっきりと。シア・ハウリアの望みを。
「……私も連れて行って下さい」
見つめ合うハジメとシア。ハジメは真意を確認するように蒼穹の瞳を覗き込む。
そして……
「………………はぁ~、勝手にしろ。物好きめ」
やがてハジメは溜息をつきながら事実上の敗北宣言をした。
あまりの嬉しさに「やったぁーですぅ!!」と歓声を上げるシア。そんな調子付いたシアに勢いで両手を掴まれグルングルンと振り回されるナナキ。状況は全く理解してないが、振り回されるのが楽しくてシアと一緒に大声で笑い合う。
そんな2人を見て不機嫌そうに鼻を鳴らすユエを見て、この先もいろんな意味で大変そうだと苦笑するハジメなのであった。
◇
そうやってしばらく、シアとナナキが騒いでるのを尻目に、今後の予定をハジメとユエが話し合いをしている時だった。
ドサドサッ と何か重いものを投げ捨てる音に振り向くハジメ達、と言ってもその前にハジメ達は
その存在とは……
「
それはウサミミを生やした引き締まった肉体を持つ男女の集団。
「と……父……様……?」
そう、信じられないと思うが、シアが言うようにその集団は先頭に立つカムが率いるハウリア族だった。
元の温和で平和的な兎人族の面影が微塵もない。ギラついた目と不敵な笑みを浮かべている。
呼び掛けられたカムはシアを一瞥すると僅かに笑みを浮かべただけで、直ぐに視線をハジメに戻した。
「……俺は一体でいいと言ったと思うんだが……」
カム達はハジメに課された、この樹海に生息する魔物の中でも上位に位置する魔物の死体丸ごとを多数か持ってきていた。しかし、ハジメが課した課題は一体のみ。見ただけでも17体分の死骸がある。これはどういうことかとハジメが聞くと、カム達は得意げに口を開く。
「ええ、そうなんですがね? 殺っている途中でお仲間がわらわら出てきやして……生意気にも殺意を向けてきやがったので丁重にお出迎えしてやったんですよ。
丁度ナナキの
「そうなんですよ、ボス。こいつら魔物の分際で生意気な奴らでした」
「きっちり落とし前はつけましたよ。一体たりとも逃してませんぜ?」
「ウザイ奴らだったけど……いい声で鳴いたわね、ふふ」
「見せしめに晒しとけばよかったか……」
「まぁこれで、ぼっちゃまを腹一杯に出来るんだ。それで良しとしとこうぜ?」
物騒な発言のオンパレード。最後にカムが
「ぼっちゃまッ!本日は大漁です。これから我々とパーティーと洒落込みますか?」
とナナキに話しかける。それを聞いたナナキは、万歳の姿勢で破顔して「ぱーてぃッ!ぱーてぃッ!」とはしゃいでいる。
しかしその時、
ヒュンッ
と、どこからともなく矢じりがカムへ向かって飛来する。突然の攻撃にシアは驚愕に尻餅を着くが、その反対にカムは慣れているようにその矢を紙一重でひらりと交わし、そのまま矢じりの飛んできた方へ振り返る。だが、その表情は不敵な笑みで塗りたくられている。
「何奴だ!?……などと言ってはみたが、聞くまでもなかったかな?
「すいやせん隊長、仕留め損ないましたッ!」
「構いませんよ、バルトフェルト副隊長。これはただの挨拶……。
アレでも奴は我らの
カムが訳知り顔で声を上げた先。背の高い木々の上からも、これまた物騒な発言が飛ぶ。見上げてみると木々の上には無数のウサミミが群がっていた。枝の上に悠然と佇む数人を除いて、太い木の幹や枝の上下にしがみついて密集している姿は、集合体恐怖症の者が見れば鳥肌モノの光景だろう。
そのウサミミ達も、カム達の例に漏れず引き締まった体をしている。しかし、カム達と違い明らかな小柄……いや幼い姿だ。
既に理解不能な状況に
木々に群がっていたウサミミ達が一斉に地面へと降ってくる。見る人が見ればちょっとしたホラーである。
そうして飛び降りてきた者達の中で、特に中心の者らしき三人が前に出てくる。その顔を見て、シアは彼らの正体を知る。
「ぱっ…パルくんに、マナちゃん、!!?」
三人のうち、真ん中の人物の脇に控えるように佇む二人は、シアも見知った顔の少年少女達。
そう、彼らはハウリア子供組、その顔と肢体にはあどけなさを残しつつも、その目は獲物を狙う獣のごとく研ぎ澄まされ、服から覗く体も、大人たち並に引き締まっている。
しかし、一人だけ見覚えのない者がいる。それはまるで、彼らを統率しているように先頭に立つ一人の少女。
鍛え抜かれ引き締まった肢体、首、手首、足首には
パレオの様に巻いた腰布の隙間からは、生き物の背骨で作った鞭?の様な物を撒いた状態でつり下げているのが見える。
何より目を引くのは、首元に刻まれた少し雑な形で円形に紡がれた鎖?の様な真っ赤な入れ墨。
全く見覚えのない人物にシアは思わず
「だ……誰です?……あなた?」
と問いかける。
その人物は妖艶に目を細めると頬に手を当て困ったような口調で言う。
「嫌ですわシア姉様、冗談がお上手です事。
「え…………。どえぇえぇぇエエエエエエェェエエエえぇええ!!!」
シアは驚きのあまり、乙女が出してはいけない類の悲鳴を上げる。
パル、マナ、そしてアル。この三人は自他ともに認める仲の良い親友同士。シアにとっては年の近い直下の後輩で、そんな3人をシアは本当に可愛がっていた。
「あ、ああアルちゃん!?本当にあの引っ込み思案のアルちゃんなんですか!?マナちゃんとパルくんの後ろに隠れてたアルちゃんがが隠れるどころかむしろ2人を引き連れちゃってるじゃないですか!!いえ、友人の成長は素直に嬉しいのですが……明らかに違和感がすごいです!!なんなんですかそのわざとらしいほどお淑やかな口調!!一体何でこんな事にぃ!?」
パニックのあまり捲し立てるシア。そりゃあ恥ずかしがり屋の女の子が、引っ込み思案とは正反対の姿となって現れたのだ。取り乱すのも無理はない。心做しか身長も伸びたように見える。(猫背が改善された)
そんなシアの発言にアルは、恥ずかしそうに眉毛を寄せながらも、たおやかな仕草を見せて告げた。
「もう、シア姉様ったら、そんな意地悪をしないでくださいまし。それは、かつて
「ひ……光?」
シアが意味不明なアルの発言に目を回していると、対するアルは決然とした眼差しでシアを射抜く。
「ですから、今の私は臆病で軟弱だったアルではなく。これからは、
「え?ちぞ……?、ネオ?アル…………えっ?」
あまりの情報量過多にシアは宇宙ウサギになりかけるが、後ろからカムが神妙な面持ちで説明する。
「シアよ、あの者たちは何をトチ狂ったのか、我々ハウリアから離反し、別の家族として独立を宣言したのだ。」
「離反ッ!!?独立ぅッ!!!」
もうずっと驚きっぱなしのシア。人生の中で感じる驚きをここで全て消化する勢いだ。すると子供組改め、ネオ・ハウリア側から突如怒号が飛ぶ
「トチ狂うぅ?おいおい、聞き捨てならねぇっすよ
カムの発言に不満げに声を上げたのはアルの隣でクロスボウを構えているパル。その照準はしっかりとカムの急所を捉えている。
「先に
「アルマたいちょ~、もう此処いらで決着付けちゃいましょーよ〜。アーシはいつでも準備万端っすよぉ〜!」
パルに便乗するように手に持つバットの様な棍棒を振り回すマナ。こちらも他の例に漏れずかなり攻撃的に変貌している。
ショートボブの短い髪を無理やりツインテールに結い、顔には染料を使って、とても濃い化粧をしている。
そんな二人に触発され既に前のめりな
「ガキ共、あまり舐めた態度をとっていると痛い目を見るぞ?」
「はんッそれはこっちのセリフだ老害共、その老い先短い人生、俺たちが幕引きさせてやらァ!」
「目上の者に対する礼儀がなっていないねぇ…?私たちで再教育してあげようかしら?」
「目上ぇ?誰のことを言っているの?おばさんッ
目上って言うのは自分より格が上の人のことを言うのよ?あんたたちの中の何処に私達より格上の人がいるって言うのかしらぁ?」
「ケツの青いガキが!ませた大人ごっこなんてやめて、家に帰ってママのミルクでも飲んでなぁ!」
「ママだぁ?そんなもん、生まれた時にへその緒と一緒にに峡谷の谷底に捨ててきてやったわぁ!」
大人の挑発に子供がさらなる挑発で返す。今にも殺し合いが始まりそうな一触即発の光景に、思わずシアが涙目でハジメとナナキに迫る。
因みに最後の応酬をした女性と少年はガチの親子である。
「ど、どどッどういうことですか!? ハジメさん!ナナちゃん!! 父様やアルちゃん達に一体何がッ!?」
そんなシアに対して、ハジメは疲れたように眉間を指でもみ、ナナキはキラキラした顔でまるで褒めて欲したそうに自分の成果を口にする。
「あのね!あのね!ナナキねッがんばったよ!みんなすっごくつよくなったの!これでみんな、じぶんでたたかえるし、おけがしちゃったり、いなくなったりしないよ!」
そう言うとへにゃと、笑ったナナキにシアは、
「それで、なんであんなに家族同士でバチバチになってるんですかぁああああッ!!」
と嘆きながら掴んだナナキの肩をグワングワン揺する。
ポヤポヤしているナナキでは埒が明かないと、今度はハジメを問い詰めるシア。
胸ぐらを掴まれナナキ同様に激しく揺すられるハジメは観念したように話し出す。
「いや……俺もまさかこんなことになるとは思ってなかったんだが……」
ハジメが言うには、ハジメとナナキはそれぞれ、大人と子供に分けてハート●ン式を取り入れた訓練を行っていた。子供達に至ってはハー●マン式に加えて、ナナキの拷問の如き体力殺しの特訓でみるみる内にその実力を伸ばしていった。
そんなある日、ハジメがふと弟の近況を覗こうと子供組の特訓の様子を見に行った時だった。
「ちょっ!?何やってんだナナキ!!」
なんと、一人の少女がナナキにガッツリと噛み付かれていて、あり得ない量の血が流れていたのだ。流石のハジメも驚愕のあまりその場に駆け寄ってしまう。
その傷は骨まで届いていて、すぐに処置をしないと最悪死んでしまうかもしれなかった。
ハウリアの生死についてハジメはどうでもいいとは思っているが、それはこの特訓の十日間が済んだ後の話。絶対に守ると約束した手前、こんなところで、しかも身内の手で死なせてしまうのはあまりにも不義理だ。
どうしてこんな状況になったのか追及する前に、取り敢えずハジメは神水を取り出し治療を施したのだが、
「なんで傷を消すんですかぁ!!」
と助けた少女にはヒステリックに叫ばれてしまった。意味が分からなくなったハジメはナナキに事情を尋ねる。
「アルちゃんがね
聞いたところでますます意味のわからなくなったハジメは考えるのをやめた。
だが、それが間違いだった。
いつからか、その少女はナナキに噛まれた跡をなぞるように首元に入れ墨を彫り(ていうかナナキに掘らせ)、どこから拾ってきたのか、ハジメにとってめちゃくちゃ見覚えのある
そこから日を追うごとに、少しずつおかしくなっていき、気づけばハウリアは大人と子供で二分されていったのだった。
だが、十日間という短い期間が幸いし、未だに両ハウリア内に死傷者は出ていない。
そこまで聞いたシアはポカンとした顔でハジメに問う。
「えっ?待ってください……じゃあ何で争ってるかはハジメさん達にもわからないんですか?」
シアの質問にハジメは無言で頷く。それを受けて「うわぁ~んッ!!」と泣き出したシアは、いっそのこと本人達に聞こうとカムとアルに向かう。
「うわぁ~ん!父しゃま! アルしゃん みんなぁ! 一体何があっだのでずぅ!? まるで別人ではないでずがぁ〜!
さっきから口を開けばお互い罵り合って恐ろしいことばかり……何故家族で争っているんですか!正気に戻って下さい!」
涙声で縋り付かんばかりのシアにカムは、ギラついた表情を緩め前の温厚そうな表情に戻った。それに少し安心するシア。
だが……
「何を言っているんだ、シア? 私達は正気だ。ただ、この世の真理に目覚めただけさ。ボスのおかげでな」
「し、真理? 何ですか、それは?」
嫌な予感に頬を引き攣らせながら尋ねるシアに、カムはにっこりと微笑むと胸を張って自信に満ちた様子で宣言した。
「この世の問題の九割は暴力で解決できるッ」
「やっぱり別人ですぅ~! 優しかった父様は、もう死んでしまったんですぅ~、うわぁ~ん」
泣き崩れるシア。そんな彼女を尻目に今度はアルが口を開く。
「全く、なんて浅い真理なのでしょう。」
だがそれは、シアの問に答えではなくカムを罵る言葉だった。
「ほう、ならば貴様はどうなのだ?我らの真理に物申すなら、貴様はさぞ高尚な真理に目覚めたのでしょうなぁ?」
そんなカムの挑発に逆上することなく、アルは落ち着いた様子で口を開く。
「えぇ、私は……いいえ私達は気づいたのです。己の生の実感は、敵の生き血を浴びる事で感じることができると……。
敵の喉元を噛みちぎり、腸をえぐり出し、敵の断末魔を耳に収めた上で、最後に残った者が立つ戦場……。
あぁ、戦闘こそが語らい。この身に刻まれていく傷こそが思い出の印。暴力こそがこの世で最も太古より存在する意思表現……!!それを私達はボスや
そう言って熱に染まった頬に、妖艶に光る目を宿した恍惚とした表情で首筋の入れ墨に愛おしそうに手を添えるアル。
未だに十四歳の身そらからは出たとは思えない、シリアルキラーも真っ青な発言に、シアどころかハジメやユエですら息を呑む。
“目が逝ってやがる。こいつぁ正気じゃねぇ”……と。
アル・ハウリア(血染のアルマレジーナ・ネオ・ハウリア)は、昔から他人に自分を表現するのが苦手で、親や親友達に自分の気持ちを汲み取ってもらう、受動的な生き方をして過ごしてきた。
そんな彼女が、初恋の激情のままにナナキと関わっていき、そして始めて自ら他人と触れた深いコミュニケーションが特訓という名の暴力だった。
想い人と交わす、
ハジメはどうしたもんかと、眉間を揉みながら事の発端たる張本人。弟のナナキを見やるも、相変わらず状況を理解しておらず、強くなった友達の仕上がりに満足はしているものの、何かおかしいと、首を傾げている。
結局、何故争っているのか明らかにされないまま、シアが項垂れてしまったその時。
「「ボス!坊っちゃま! 手ぶらで失礼します! 報告と上申したいことがあります! 発言の許可を!」」
「「あ”ぁ”?」」
大人と子供、二人のウサミミの青年と少年が歴戦の軍人もかくやという雰囲気で、ビシッと惚れ惚れするような敬礼をしてみせるも、ハモった上、同じポーズを取ったことで互いに殺意を顕にする。
「やめろお前ら!……で?報告ってなんだ」
今にも刃を向け合おうとする二人を制して要件を聞くハジメ。
ハジメは今更ながら思う。ナナキも大概だが、自分も少しやりすぎたと……。
この男、弟を訓練の指導官に駆り立てておきながら、剰え●ートマン式なんてものを伝授しておいて、こんな事を考えている。
サイコウサギな少年少女を生み出したのは自分にも一旦の責任があるのに、ハジメはそれら全てに目を逸らした。
そんなハジメなどお構いなしに、二人の青年と少年は口々に報告を続ける。
「はっ! 課題の魔物を追跡中、完全武装した熊人族の集団を発見いたしました。」
「場所は、大樹へのルート。おそらく我々に対する待ち伏せかと愚考します!」
それを聞いてハジメは「あ~それもあったな」と頭を抱える。
ハジメは熊人族が報復に来ると予想していたのだが、思ったよりも来るのが遅かったことと、分裂したハウリア達の問題で熊人族の事などすっかり頭から抜け落ちていた。
「来るなら即行で来るもんと思ってたんだが……あ~ッなるほど、どうせなら目的を目の前にして叩き潰そうって腹か。全くこんな時に面倒な事を……」
度重なる問題にハジメがイライラしていると二人のウサミミ達が進言する。
「僭越ながらボス、宜しければ、奴らの相手は我らハウリアにお任せ願えませんでしょうか!」
「何だとぉ!ボスッ熊野郎ども如き、我らネオ・ハウリアにお任せを!血祭りにしてやります!」
その二人の進言を聞いて、ハジメは名案を思いついたと言わんばかりにニヒルな笑みを浮かべて、両ハウリア族長達に顔を向ける。
「こいつらはこう言ってるけど。どうだ?カム、アル……。」
話を振られたカムとアルは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると願ってもないと言わんばかりにそれぞれ頷いた。
「お任せ頂けるのなら是非。我らの力、奴らに何処まで通じるか……試してみたく思います。な~に、そうそう無様は見せやしませんよ」
「素晴らしい。いい機会ですわ。私も、彼らとは是非に
「おやおや、随分と大口を叩く。相手は仮にも最強種を謳う熊人族。か弱き子供たちは耳を丸めて引きこもっていればよかろう。」
「あらあら、元族長さま?最近腰がお辛いとお嘆きになられていらっしゃいませんでしたか?ご無理はなさらず尻尾を縮めてご隠居なされればよろしいかと」
「ハッハッハ 耳、尻尾共に産毛しか生え揃っておらん子供に心配されるほど、まだ老いてはおらんよ」
「フフフッ冗談がお好きですこと……大道芸人にでもなればよろしいのでは?」
「いやぁお褒めにあずかり恐縮で悪いが……紛うことなき本心だとも……。」
「フフフ……。」
「ハハハ……。」
笑顔なのに、目は全く笑っていないカムとアル。
焚き付けた両族長が、狙い通り食いついたことにほくそ笑むハジメ。
一度、瞑目し深呼吸すると、カッと目を見開いた。
「集中! ハウリア族、並びにネオ・ハウリア諸君!お前たちは勇猛な戦士となった。だが……。見たところ、未だに問題を抱えているようだな。この“ピー”共め!」
発せられたハジメの言葉に両ハウリア達は悔しそうに苦虫を噛み潰した顔になる。それらを一瞥したハジメは更に告げる。
「そんな悩めるお前達に、俺から最後の試練を下そう。よぉく聞けッお前達!」
それを受け、下を向いていたハウリア達のウサミミが跳ね上がる。
「これより、愚かな熊共がお前達の
ハジメの珍しい好評価に一気に色めき立つ両ハウリア。
「その哀れで愚かな熊共を、最良の形で撃退したハウリアに、両ハウリアを再び統合させ、真にネオ・ハウリアと名乗る事を、俺が、いいや俺達が許そう!最後まで世話の焼ける“ピー”共へ俺達からの最後の手向けだ!!」
「「「「「「「「「「YAEAAAAAAAAAAAAAAAAAAッッッッッ!!!!!」」」」」」」」」」
隣に立つナナキの肩を抱き、そう宣言するハジメに爆発的な歓声がどっと上がる。
ハジメの名案。それは熊人族を生贄に丸く収めちゃおう大作戦である。ハジメは目の前の問題を放り投げた。
「ありがたき幸せでありますボス!これでようやく白黒付けられる。」
「我々こそがネオ・ハウリアだと、御身に証明して差し上げましょう。」
両族長もやる気十分な様を見て計画通りと、YAGAMIスマイルを見せるハジメ。
「改めて……。
聞け! 両ハウリア諸君!勇猛果敢な戦士諸君! 今日を以て、お前達は今度こそ、糞蛆虫を卒業する! お前達はもう淘汰されるだけの無価値な存在ではない! 力を以て理不尽を粉砕し、知恵を以て敵意を捩じ伏せる! 最高の戦士だ! 私怨に駆られ状況判断も出来ない〝ピッー〟な熊共にそれを教えてやれ! 奴らはもはや唯の踏み台に過ぎん! 唯の〝ピッー〟野郎どもだ! 奴らの屍山血河を築き、その上に証を立ててやれ! 生誕の証だ! ハウリア族が生まれ変り、真に
「「「「「「「「「「Sir、yes、sir!!」」」」」」」」」」
「答えろ! 諸君! 最強最高の戦士諸君! お前達の望みはなんだ!」
「「「「「「「「「「殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」」」」」」」
「お前達の特技は何だ!」
「「「「「「「「「「殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」」」」」」」
「敵はどうする!」
「「「「「「「「「「殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」」」」」」」
「そうだ! 殺せ! お前達にはそれが出来る! 自らの手で生存の権利を獲得しろ!」
「「「「「「「「「「Aye、aye、Sir!!」」」」」」」」」
「いい気迫だ! ハウリア族諸君! 俺からの命令は唯一つ! サーチ&デストロイ! 行け!!」
「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」」」」」」」」」」
「うわぁ~ん、やっぱり私の家族はみんな死んでしまったですぅ~」
ハジメの号令に凄まじい気迫を以て返し、霧の中へ消えていくハウリア族達。温厚で平和的、争いが何より苦手……そんな種族いたっけ? と言わんばかりだ。変わり果てた家族を再度目の当たりにし、崩れ落ちるシアの泣き声が虚しく樹海に木霊する。流石に見かねたのかユエがポンポンとシアの頭を慰めるように撫でている。
しくしく、めそめそと泣くシアの隣を二人の少年少女を筆頭に無数の子供たちが駆け抜けようとして、シアは咄嗟に呼び止めた。
「パルくん! マナちゃん! 他の子たちも!待って下さい! ほ、ほら、ここに綺麗なお花さんがありますよ? あなた達まで行かなくても……お姉ちゃんとここで待っていませんか? ね? そうしましょ?」
どうやら、まだ幼い少年少女達だけでも元の道に連れ戻そうとしているらしい。傍に咲いている綺麗な花を指差して必死に説得している。既に手遅れ感の否めないアルは自然と除外された。
シアの呼び掛けに律儀に立ち止まったパルとマナは、「ふぅ~」と息を吐くとやれやれだぜと言わんばかりに肩を竦めた。まるで、欧米人のようなオーバーリアクションだ。
「姐御ぉ、あんまり古傷を抉らねぇでくだせぇ。俺は既に過去を捨てた身。花を愛でるような軟弱な心は、もうとっくに持ち合わせちゃいません」
「えぇ、ありゃ黒歴史ねぇ〜」
「ふ、古傷? 過去を捨てた? えっと、よくわかりませんが、もうお花は好きじゃなくなったんですか?」
「ええ、俺達共々、過去と一緒に捨てちまいましたよ、そんな気持ちは」
「そんなぁ、二人共……あんなに大好きだったのに……」
「ふっ、若さゆえの過ちってやつでさぁ」
「どうか忘れてちょ〜だい。シア
忘れないように言っておくが、最年長とは言え二人は未だに十四歳である。
「それより姐御」
「な、何ですか?」
“シアお姉ちゃん! シアお姉ちゃん”と慕ってくれて、時々アルを連れてお花を摘んで来たりもしてくれた二人の少年少女。
その変わりように、意識が自然と現実逃避を始めそうになるシア。パルの呼び掛けに辛うじて返答する。しかし、それは更なる追撃の合図でしかなかった。
「俺らも隊長と同様。過去と一緒に前の軟弱な名前も捨てました。
今はバルトフェルドです。ナナキ坊っちゃま親衛隊副隊長。“必滅のバルトフェルド・ネオ・ハウリア”これからは“バルトフェルト”と、そう呼んでくだせぇ」
「アーシも同じくぅ〜。ナナキ坊ちゃま親衛隊副隊長。
“撲滅のマーナリーブァ・ネオ・ハウリア”でぇーすッよろよろ〜♪」
「二人もぉ!? いや、アルマレジーナやらバルトフェルドやらマーナリーブァやらどっから出てきたのです!?
ていうかそもそも血染だの必滅だの撲滅だの一体なに!?」
「おっと、すいやせん。隊長と仲間が待ってるのでもう行きます。では!」
「ばいび〜ッ♪」
「あ、こらっ! 何が “ではっ!” ですかッ! まだ、話は終わって、って早っ! 待って! 待ってくださいぃ~」
恋人に捨てられた女の如く、崩れ落ちたまま霧の向こう側に向かって手を伸ばすシア。答えるものは誰もおらず、彼女の家族は皆、猛々しく戦場に向かってしまった。ガックリと項垂れ、再びシクシクと泣き始めたシア。既に彼女の知る家族はいない。実に哀れを誘う姿だった。
そんなシアの姿を何とも言えない微妙な表情で見ているユエ。ハジメは、どことなく気まずそうに視線を彷徨わせた後、深く息を吐いて、真剣な眼差しで今もポケポケしているナナキへと向き直る。
「さてと……ナナキ。兄ちゃんとお話をしよう。時間がないから手短だけど……とっても大事な話だ。」
「うぅ?」
シアのすすり泣く声が響く樹海に、真剣な空気が漂い始めた。
すいませんやらかしました!!
自分原作本編を購読したのがかなり前で、アフターストーリーは深淵卿までしか読んでなかったんです。よってパル君の友達にネアって子が居るのをすっかり忘れてました。
まぁ今作ではパル君の年齢が引き上げられてるから特に問題はなさそう?
因みに今作では、とある既存キャラの深掘り、捏造、魔改造をしようとしていて、その過程で調べてたら気づきました。
そして大分お待たせしてほんとにすいません。
今回ちょっと難しくて時間かかりました。