世界最強の弟はとってもカワイイサメ人間   作:翁月 多々良

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 前回から大分空いてしまってすいません。m(_ _)m

 さて、ついに始まりましたねありふれアニメ第3期。

 ↑もう5話以上経過してる。

 今回はコレを言いたいがために、前回に入れようとしてた話をこっちに分けたので、かなり短いです。

 あと、前章の最後は幕間で締めたので統一しようかなと言う考えもあります。




幕間∶霧花(きりか)

 

 霧の立ち込めるハルツェナ樹海の奥地。

 

 月明かりに照らされた一羽の兎人族が、己の身長の3倍もするだろう紐状の何かを手に、地球で言うところの、新体操選手宛らに華麗に舞っていた。

 

 彼女が舞う度に、彼女と言う華に群がる羽虫のように、数多の魔物達が一瞬で、細切れの肉塊へと変化する。

 

 魔物の死骸から揚がる血飛沫が、彼女の身体を染め上げていく。

 

 それは正に彼女の二つ名(自称)

 

 『血染のアルマレジーナ・ネオ・ハウリア』と名乗るのに相応しい姿だった。

 

 月下の舞が終わり、その場には大小さまざまに切り刻まれた魔物の残骸が残されていた。

 

 その中心に、演者たる彼女は立ち尽くくす。

 

 これだけ大量の魔物をたった一人で殲滅せしめた彼女は、今のこの森の中でも上位の実力者だろう。

 

 しかし、これだけの戦果を打ち立てたてても、彼女の表情はとても渋いものだった。

 

 「ダメですわね……この程度じゃ御義兄様以前に、シア姉様にすら届き得ませんわ……」

 

 若干14歳の身でこれだけの力を得たにも関わらず、奢らず、慢心ぜず、今も尚貪欲に力を求め、研鑽に励んでいる。

 

 それは一重に大切な想い人、南雲 ナナキとの関係を、永遠の愛の誓いを認めてもらう為の研鑽。

 

 来たるべき日、愛しのナナキの兄にして、自分たちネオ・ハウリアの主、南雲 ハジメとの一騎打ち

 

 それを彼女は望んていた。

 

 自分たちの命を救ってくれたばかりか、一端の戦闘者にまで鍛え上げてくれた大恩ある人物。そんな彼に打ち勝つ程の力を、今、アルは求めている。

 

 無茶、無謀。誰もがアルにそう言った。アルだってそんな事、誰に言われずとも理解している。

 

 だがしかし、外野がいくらなんと言おうと恋する乙女のこの燃え上がる気持ちは止められない。

 

 アルは自分の右耳の付け根に取り付けた新しい飾りに触れる。それはつい先日、想い人ナナキから別れ際に貰った藍色と灰銀色の、まるで彼そのもののような色をした小さな花。

 

 それを永遠のものとする為に、アルの天職∶手芸師 の力で、永遠に枯れない花の耳飾りに生まれ変わった。

 

 ナナキの髪や瞳と同じ色をした花を愛おしそうに触れ、

 

 「ナナキ様も今頃……この月を観ているのでしょうか?」

 

 と、想いを馳せている。

 

 そうしてふと、月がそろそろ空の真上まで差し掛かっていたことに気づく。

 どうやら相当長い間鍛錬に勤しんでいたようだ。これだけ長い時間鍛錬していたのもそうだが、フェアベルゲン以外の場所でこれほど樹海の奥地に足を踏み入れたのは、初めてかも知れない。

 

 そろそろ帰ろうかと踵を返した時だった。

 

 「あ、あれ?」

 

 突如、辺り一帯が大樹の周りと遜色ないほどに濃い霧に包まれていた。

 

 これはまずいッ とアルは戦慄する。大樹の周りの霧は亜人族ですら迷うほどのものだというのは、以前話した通り。

 

 それがなぜこの場所に現れたのかは謎だが、ただでさえ魔物が出現しやすい森林の奥地に夜の暗がりで見えにくいどころか、霧で前後不覚にまで陥ってしまったら無事に生きて、ネオ・ハウリア達の拠点に帰り着くことすら困難になってしまう。

 

 アルの判断早かった。 すべてが霧に包まれる前に近くの背の高い木によじ登り、地上よりかは比較的安全な木の上から、地上を見渡す。

 

 そのまま、木を伝いながらなるべく霧が薄い場所を目指すが、一向に見つかる気配はない。最悪本日はこのまま、木の上で野宿、いや空を飛ぶ魔物もいることから徹夜も視野に入れるべきかと考え出したその時だった。

 

 たった一点、まるで台風の目のように霧のかかっていない場所を発見する。

 

 怪しいが、他に手がかりがない以上ソレにすがる他ない。アルは最大限警戒を強めてその霧の晴れた地に降り立つ。

 

 そこには━━━

 

 

 「これは……」

 

 そこには一面の花畑が広がっていた。それもアルがナナキから貰ったアングレカムもどきだけが埋め尽くす花畑だ。

 灰銀色の花弁が月明かりを反射して僅かに光っているような幻想的な光景だった。

 

 「こんな場所が、あったなんて……」

 

 アルは、幻想的な光景に目を奪われる中でも思考を回す。アルは少し前まで、親友のパルとマナと共にその花好きの性質故に、この樹海に咲く花は全て知りつくしているつもりだったが、

 

 ナナキから貰ったこの花だけは、一度も見たことがなかったのだ。

 

 

 「ひょっとして、ナナキ様はここからこの花を?こんな樹海の奥地にまで?」

 

 アルは“ナナキ坊ちゃま親衛隊隊長”を名乗るだけあって、この十日間の間のナナキの動向はほとんど把握していた。その中でこんな場所までナナキが一人で出歩いたなどという情報は上がってきていない。

 

 情報が行き渡ってないだけなのか?それなら当時係りの親衛隊員に粛清を与えるだけで済む。

 

 本来であればそう考えるのが普通なのだ。だがもしそうでないというのなら?

 

 アルは今回の十日間で、思考を巡らせる事を学んだ。故にこの一件。そう単純に片付けていいものかと疑問を抱いている。

ソレに、この場所は幻想的ではあるものの、何処か不気味な雰囲気を漂わせていた。この花畑半径10メートルを囲うようにきれいな円型で霧が避けているのがそれを表している。

 

 ここから離れよう

 

 そうアルが思考するより先に━━━

 

 

 それは起きた。

 

 

 月明かりを反射していた花達から、本当に銀色の光が玉のように収縮して空中に浮き出す。

 

 その光の玉は風に流されるようにとある形を成していく。それは誰がどう見ても“魔法陣”を描いたものだった。

 

 目まぐるしく変化する状況に対応しきれずアルはその場から逃げ出すことができなかった。

 

 

 「ダメッ間に合いませ━━━

 

 

 その魔法陣が強い輝きを放ちアルを飲み込む。

 

 一瞬とも、永遠とも思える輝きが消えた時には、

 

 その場には、他の場所と変わらず霧に覆われ、何の光も反射しない花畑だけが残されていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 強烈な光から目を守るために固くまぶたを閉ざし、更には腕を交差させていたアルは、光が収まるのを感じて恐る恐る瞼を開く。

 

 「なっ!?」

 

 すると、そこは先ほどまでいた樹海ではなく、すべてが木の枝が折り重なったようにして作られた、トンネルのような場所だった。

 

 僅かに空いた木々の隙間には、ほのかに光が漏れ出ていて樹海の霧が僅かに足下を漂っている。 

 

 アルは警戒しながら周囲を見渡す。左右、背後共に行き止まり、トンネルの通路は正面に一本道しか存在していなかった。

 

 

 「ここを通れ と言うことですわね。明らかに罠としか思えませんが……。」

 

 

 そう言いながらも歩を進めるアル。ここで立ち止まっていても野垂れ死ぬ未来しかない。

 

 ならば前に突き進むまで。命の恩人ハジメ、愛しい人ナナキの様に、立ちはだかる者がいるなら砕くまで。

右手に蛇腹剣、左手に小刀を握り締め、周囲に意識を研ぎ澄ませながら霧で先の見えない道を進む。

 

 

 

 どれだけの時間歩き続けたか、張り詰めた意識を長時間維持し続けたからか、大量の冷や汗をながして喉が渇く。少しでも水分を求めようと口の中の唾を掻き集めゴクンッと喉を鳴らす。

 

 その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『■■■、■……■■■■■■、■■■■■■■■■■■■

《今宵ハ、誠……ココ数万年間、稀ニ見ヌ千客万来デアルナ》』

 

 

 

 「ッ!!?」

 

 突如、耳に響く意味をなさない音。

だが、アルの脳内にはその音の意味が正しく理解できてしまう。

 

 突然の不可解な現象に小刀を握る方の手で咄嗟に耳を塞ぐアル。だが……。

 

 『■■■■■■■■、■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■

 《ソウ怯エズトモ良イ、我ハ其処元(ソコモト)ニ、危害ヲ加エルツモリハナイ》』

 

 

 いくら耳を塞いでもやはりその音は、脳内に直接語りかけてくる。そして次の瞬間。

 

 「ッグゥッ!?」

 

 ビュオォッ!! と突然正面から突風が吹き荒れる。咄嗟に近くの木々を蛇腹剣で巻きつけていなければ吹き飛ばされていた程の強風だった。

 

 風が止むのを感じ目を開く。

 

 そしてアルは、そこにあったものに驚愕する。

 

 眼前広がるのは、一面の……白……、だがそれは霧ではなく実体を持った白。

 

 強風によって霧が晴らされた通路の先には、球形の巨大な空間があり、その空間に無理矢理封じ込められてるかのように、それはそこに座り込んでいた。

 

 

 大樹なんて目じゃない巨大な体躯。くびれのない卵型の体、その中腹から延びる2本の丸く太い腕、座り込んでいるからかこちらに向けられる円柱型の太く短い脚、足裏には黒い肉球があり、手足それぞれ4本づつ伸びた真っ黒な鋭い爪が生えている。

 頭から天に真っ直ぐ伸びた、2本の兎人族そっくりなウサギの様な耳のすぐ下、体の上方に密集するようにある小さな顔は、魔物のような真っ赤な目に、硬質な質感の黒く小さな鼻、その鼻を中心に左右の頬から横に真っ直ぐ伸びた3本の髭、そして顔の端から端まで裂けた大きすぎる口。

 それら全てが真っ白な体毛に覆われている。

 

 あまりにも、あまりにも巨大すぎる化け物がそこにいた。

 

 今、アルがいる通路はその化け物からしたらとても小さく、腕すらそこを通ることは叶わないだろう。

 だからアルは通路の奥に逃げ込めば良い。

 

 ………逃げれば良い、それだけの筈なのにアルはその圧倒的な怪物の存在感に気圧され、この十日間の訓練がまるで無駄だったかのように身がすくみ全く動く方が出来なくなっていた。

 

 すると怪物はアルが佇む通路に顔を近づけてその大きな口が開く。その口に生え揃う真っ白な歯はそれだけでもちょっとした丘ぐらいはありそうな大きさだ。

 

 その口の端からまるで蒸気のように吹き出す白い靄、これはなんと、樹海に漂う霧と同質の物だった。アルも、この霧とは物心ついてからの付き合いだ。見間違うはずもない。

 

 食われるッ!そう思って尻餅をつき目を固く閉ざしたアルだったが……、

 

 

 

 

  次の瞬間再び驚愕することになる。

 

 『■■、■■■■■■■……■■■■■■■■■■■■■■。■■■■■■■■■■■■■、■■■■「■■■!■■■!」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

《マァ、落チ着クガヨイ……別ニトッテ喰ウワケジャァナイ。先ホド相見エタ新タナ同胞(・・・・・)ハ、我ヲ見テ「ト●ロ!ト●ロ!」ト騒グダケデ全ク会話ガデキナカッタノダ。》』

 

 「えッ!?」

 

 アルの脳内に先ほどから響く音が再びアルの耳を突く。そう、この怪物こそがこの(こえ)の正体だったのだ。

 

 怪物は何処か嬉しそうな表情を見せて再びアルへと話しかける。

 

 『■■■■……■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。■■■■、■■■■■■■■■■■“■■■■■■■”■■■■■■■■■

 《スマヌナ……恥ズカシナガラ久々ノ話シ相手ニ年甲斐モナクハシャイデシマッタダケナノダ。客人ナゾ、アノ同胞ノ童を除ケバ“リューティリス”ノ小娘以来ダカラナ》』

 

 そう言って指のような爪で頬を、ポリポリと掻きながら人間臭い(・・・・)仕草を見せる怪物にアルは面喰らう。

 

 ひとまず、襲われる危険はないと判断したアル。

 怪物のその言動に疑問や気になる事があり過ぎて考えも纏まらないが、まずは兎に角。初対面の相手に対する質問なんて、これ一択であろう。

 

 

 「貴方は……一体……?」

 

 

 『《………………。》』

 

アルの問いに、一瞬表情を強張らせる怪物。機嫌を損ねたかと一瞬思うも、次の言葉でそれは杞憂であるとすぐに理解する。

 

 『……■■■、■■■■■■■■■■……■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

 ■■■■、■■■■■■■■■■……

《……イイヤ、名乗ル程ノ者デハナイ……ガ、久々ノ客人ニソノ対応ハ不義理デアロウ。ソウサナ、敢エテ言葉ニスルナラ……》』

 

 そこで、言葉を一度切った怪物はゆっくりと首を上へと持ち上げる。何処か遠い過去を思い出すように、そんな切なげな、後悔と哀しみを織り混ぜたような……そんな表情を浮かべている。

 

 『■■■、■■■■■■■■■■“■■■”■■■■■■■■……

 

       ■■■……■■■■

我等(・・)ハ、カノ神ヲ騙ル侵略者ニ“変質者”ナドニ貶メラレタ………

 

       タダノ……敗北者ダ》』

 

 

 響く(こえ)は、その巨体に見合わず。とても弱々しいものだった。

 

 

 





  アル・ハウリア
 (血染のアルマレジーナ・ネオ・ハウリア)

 イメージCV∶真田アサミ

 14歳

 今は)身長∶157cm

    体重∶56kg



 
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