世界最強の弟はとってもカワイイサメ人間   作:翁月 多々良

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 今回の話は、前から言っていた原作キャラ魔改造回です。
 
 改造激し過ぎて、もはやオリキャラ
 


幕間∶ナナキと奈々 〜出会い編〜

 

 

 ハイリヒ王国王城。その廊下を

 私、園部(そのべ) 優花(ゆうか)は、友人の菅原(すがはら) 妙子(たえこ)と一緒に歩いている。

 未だ部屋に引きこもっている、もう1人の友人に会いに行く為に……。

 

 

 コンコンッ

 「奈々?あたしだけど……」

 

 ガサゴソ「…………。」

 

 微かな衣擦れの音はするが、返事は一向に返ってこない。

 

 南雲が死に、ナナキくんが居なくなってから約2週間以上。

 彼女……宮崎 奈々はずっとこの調子だ。

 

 先日、南雲の死に打ちのめされていた私達の元に

昏睡状態だった白崎さんが目覚めたと言う吉報と共に、ナナキくんの失踪と言う報せが届いた。その報せに私達の多くが動揺し、そしてすぐに連れ戻さないとと騒ぎ立てた。

 当然だ。いくら打ちのめされていようとも、あんな小さい子を見殺しにして良いと考える程落ちぶれてはいない。しかし、王国の人たちはそんな私達の懇願に付け入るように、私達を「もう一度戦場へ立て」と促してきた。

 

 私達は再び打ちのめされた。

 今でも鮮明に思い出されるあの死の恐怖に……。

 そんな場所に、まるで消耗品のように私達を送り込もうとする彼らの心無い言葉に……。

 そして、私たちが如何に考え足らずだったかを思い知った。

 こんな狂った要求に、なんで安安と首を縦に振ってしまったんだろうと……。

 

 

 “「これ以上、生徒達に無理に戦いを強いるなら……私は今後一切農地へは行きません!!」”

 

 

 そんな私達を救ってくれたのが、私たちと一緒にこの世界へ連れてこられた唯一の大人。“畑山 愛子先生”だった。

 普段は小さなその背で私達を庇う姿に、限界だった私達は救い上げられた。彼女をこんなにも頼もしく感じたのは初めてだった。そのナナキくんと双璧を成す愛くるしい姿からマスコットのように扱われていた彼女も、大人なんだと初めて理解した。

見知らぬ世界に誇り出された無意識だった不安の中、初めて心強い大人の存在に私達の心は救われた。

 

 そして、私達はそんな先生の力になりたいと思った。全員ではないけれど、部屋に引きこもっていたメンバーの中の一部は

 戦争には参加できないけれど、せめて

 「愛ちゃんは自分達が守る!」と奮起した。

 なんとか愛ちゃんの護衛の役目を勝ち得た私達は、数日後早速愛ちゃんに同行する為『湖畔の町ウル』へ行くことが決まった。 

 他にも護衛として教会から無駄にイケメンな騎士が数名同行するらしいが、こいつらは全く信用ならない。恐らくハニトラ要員で教会から送り込まれた奴らだろう。しっかり目を光らせておかないと……。 若干ミイラ取りがミイラに〜みたいな感じになっているけど……。

 

 閑話休題

 

 

 今のところ、愛ちゃん先生に同行するメンバーは私たちを含めて5人……。他のみんなは引きこもったままだ。その中には奈々もいる。

 

 それについてはなんの文句も不満もない。私達だって少し前までそうだったんだから、文句なんて言える筋合いはない。

 

 けれど……奈々に関しては、どうしても考えてしまう。

 

 少し前、とある噂が流れ始めた。

 それは──“白崎さんが南雲の事が好きかもしれない”──と言うものだ。

 感の良い人はそれだけで察することができる。白崎さんは、南雲の生存を未だに諦めていないと。

 

 正直、凄いと思った。想い人を探す為に再びあの恐ろしい場所に足を踏み入れる事が出来るなんて、自分には不可能だ。

 

 噂を耳にして、白崎さんへ一種の尊敬の念を覚えてから、私はどうしても、奈々の元へ行きたくなった。

 そして奈々に、どうしても言ってやりたかった。

 

 「ねぇ、奈々。あんたはこのままでいいの?」

 

 返事の返ってこないその扉を、今度はドンッと無遠慮に叩く。

 

 

 「あんただって……」

 

 そうして私は

 

 

 「あんただって……同じ、

 

 

 

 

 

 

 

 

   ──同じ恋する乙女のはずでしょ!!」

 

 

 あの小さな少年に、密かに想いを寄せる友人に……

 

 無遠慮に問いかけた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 これは、私達がまだ異世界に来る前……。

 そこから更に1年前に遡る……。

 

 「奈々〜今日の放課後カラオケ行かな〜い?」

 「うん!行く行くぅ〜!」

 

 行きたくない……

 

 「あ、奈々〜お願い!教科書忘れちゃってさぁ〜。次の授業で貸してくんない?」

 

 「う、うん!良いよ〜!」

 

 全然、良くない…………

 

 「あ〜喉渇いた〜。あ!奈々ぁ〜ジュース買ってきてくんない?全員分(・・・)

 

 

 

 「   うん!オッケ~オッ──

 お”え”え”え”え”え”え”え”え”え”ッ!!

 

 

 

 トモダチ(・・・・)にジュースを渡した後、私はトイレに駆け込み、便器に顔を突っ込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、宮崎 奈々は……小中の9年間、ずっとイジメられてきた(・・・・・・・・・・・)

 

 

きっかけは何だったのか?私の何が気に食わなかったのか?

今となってはもう分からない。

 まぁ、私自身人付き合いは苦手な方ではあったから、その時の私のキョドった態度が不快だったのかも知れない……。

 

 それでも9年間。欠かさず学校に通った理由は、負けたくないって言うやっすいプライドと、臆病風に吹かれて学校をサボる勇気が無かっただけだ……。

 それも、中3の春に決定的な暴力を受けてからは……

 

 ……全てどうでも良くなって家に籠った。

 

 そこから約半年、家族や学校の援助を受けながら考えた。

 

 「私……ずっとこのままなのかなぁ……」

 

 そう考えたら、どうしようもなく惨めになって……

  

 変わらなきゃって思ったんだ。

 

 

 お母さんに協力してもらって、お洒落に気を使うようになった。髪も金髪に染めて、眼鏡からコンタクトに変えた。

 

 漫画や雑誌を読んで、気の強い女子……ギャルになりきろうと勉強した。

 

 学校は、引っ越したこともあって、まったく知らない場所に行くことができた。それによって私は、誰も私を知らない新天地で、見事に高校デビューを果たした。

 

 友達も出来て、カースト上位のグループの仲間入りも果たした……。

 

 だけど………。

 

 「奈々〜。お願い!」

 

 「うん、良いよ〜!」

 

 いつの間にか私は、トモダチ(ご主人様)に傅く召使いになっていた。

 

 嫌われない様に、機嫌を損なわれない様に、毎日毎日相手の顔色を伺い、今の地位に必死にしがみつくだけの日々。

 

 だって、そうしていないと……とても恐ろしいから……。

 拒絶する事は、拒絶される事と同義だから……。

 少しでも不好を買えば、直ぐに捨てられてしまう。

私みたいな弱者は、少しでも囲い(カースト)から外に出れば、

瞬く間に捕食される。

 

 だから、取り繕わないと……

 追い出されないように、擬態しないと……

 元気で、

 明るくて(道化で)

 とても気が利く(都合が良い)

 完璧なトモダチ(どれい)に………。

 

 

 アレ?

 

 私……ナニになりたかったんだっけ?

 

 

 

 「あれ?奈々。ちょっと痩せた?」

 

 「……え?」

 

 「お?何?奈々ちゃん、ダイエットしてる感じ?」

 「ひょっとしてカレシできたぁ?抜け駆けかぁ(・・・・・・)〜?」

 「ッ!?違うッ!!

 

 「ど、どうしたの?急に」

 

 「抜け駆け」と言う言葉に過剰反応して、無意識に大声が出ていた。その事に言われて気づいた私は、慌てて取り繕う。

 

 「ご、ごめんごめん。ちょっとびっくりしちゃってさ。それに私なんかに(・・・・)彼氏なんてできるわけないじゃぁ〜ん」

 

 要らない誤解で苛つかせたかもしれない。

 急に大声を出して不快にさせたかもしれない。

 

 犯した失敗を取り返すために、トモダチに精一杯の言明をして媚びへつらう。

 

 そうしているとまた、私の胃から気持ち悪いものが迫り上がってくる。

 

 「ッ!……ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」

 

 吐き気とそれを我慢する不快感を表に出さないように、その場から中座する申し訳なさを前面にアピールして教室から逃げる。

 

 「おいおい大丈夫か〜?」

 「んじゃついでに、購買からシャー芯買ってきてくんない?さっきの授業で切れちゃってさぁ〜。」

 

 

 

 「………うん。良いよ」

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 「ひっどい顔……。」

 

 私はよだれしか出なくなるまで、しこたま吐いた便器に座り手鏡で顔を確認する。

 一目見て、最初に出た感想が「誰これ……?」だった。

 窪んだ頬に、黒く染み付いたくま。ぱさついた髪はボサボサでまるで山姥だ。

 

 最近、食事もまともに喉を通らなくて、吐いてばかり……。これじゃ「痩せた?」と言われるわけだが……

 

 「やっぱりみんな、私に興味無さすぎ(・・・・・・)でしょ」

 

 正直、ちょっと痩せた?どころの話じゃない。最早、変貌と言える変わりようだ。

 それなのに、今まで何ともないように平然と会話し、明らかに体調がおかしい私に何かしらお使いを頼んでくる。

 あのトモダチ達だけじゃない。他のクラスメイトもみんな、それを指摘すらしない。

 

 ……いや、流石にそれは私の身勝手だな……。

 

 「一応、ファンデで隠しとかないと……」

 

 トモダチに気づかれなくても、お母さんはそうでは無い。お母さんは私を女手一つで育ててくれた。毎日私の為に夜遅くまで働いてくれている。それなのに、入学前にも散々迷惑をかけたからこれ以上は心配はさせたくない。今でもたまに家に帰ってこれる時で、学校での事をよく聞いてくる。

 

 『奈々。最近学校はどう?』『楽しい?』『無理してない?』

 

 その度にいつも「大丈夫」「平気」と私は口にする。

 

 ……言えるわけがなかった。

 

 今でも学校が辛い。だなんて……。

 

私が部屋から出てきたことを泣くほど喜んでくれた母に、

私が社会復帰するのに、仕事で忙殺する中必死に時間を作って私をサポートしてくれた母に、

 

 全て無意味だったなんて……言える筈も無かった。

 

 

 「まぁ……でも……イジメ、よりかは……まし……」

 

 そう口に出して、なんとか自分を騙す。

 

 そうでもしないと……吐き気の他にも、色んなものが溢れ出しそうだったから……。

 

 キーンッコーンッカーンッコーンッ

 キーンッコーンッカーンッコーンッ

 

 そう深く考え込んでいると、気づけば次の授業を知らせる予鈴が鳴っていた。

 

 「あ、いけない……シャー芯、買ってこなきゃ」

 

 言葉とは裏腹に、慌てる様子もなくゆったりとした足取りでトイレから出る。

 

 

 とてっとてっとてっとてっ

 

 その時だった。

 

 とてっとてっとてっとてっ

 

 私が、

 

 トンッ

 「あうっ!」

 「ん?……あっごめんなさ……い?」

 

 

 

 その子(うんめい)と、出会ったのは……。

 

 

 

 

                   

 





         ナナキと奈々 〜出会い編〜 完

                      
                     ……続く。




 ※今作での宮崎さんは他作品のキャラを参考にしてます。
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