ナナキ君プロフィールパート1
身長∶140cm 好きなもの
あにぃ、サメ、
ともだち、ごはん
体重∶35Kg 嫌いなもの ■■■■
ここはハイリヒ王国王城のとある廊下。そこの窓から見える空は灰色のヴェールに隠されている。この調子だと雨が降りそうだ。
少年。南雲ナナキは、そんな何も無い景色をぼーっと眺め、ハジメ達の帰りを待っていた。
時は前々日の夜に遡る〜
【オルクス大迷宮】のある宿場町【ホルアド】へと向かう前日。夕食時、王城の食堂にて、メルド・ロギンズと畑山愛子が顔を突き合わせ話し合っていた。
「団長さん、やはりナナキ君は……。」
「あぁ、当然置いていくしか無いだろうな。愛子、ナナキは頼めるか」
「勿論です。子供を守るのが教師の務めですから……。」
議題の内容は明日の遠征に少年。南雲ナナキを同行させるか否か。答えは当然否である。安全な王城内の訓練とはわけが違う。
いくらステータスが高くとも、技能を柔然に使えなければ命に関わる。元来、彼は戦いに赴けるような状態では無い。王城内の待機は当然の帰結である。
「ですが……やっぱり悔しいです。ナナキ君だけでなく他の子たちも、私が守らなければならない生徒のはずなのに…。」
しかし、愛子も一教育者として非常に口惜しい気持ちでいっぱいだった。本来であれば体を張って守らなければならない生徒たち。そんな彼らを前線で戦わせて、自分は後ろでふんぞり返っているこの状況に。
というのも、愛子の持つ天職が“作農師”が故である。
作農師とは、食糧自給問題において有用な技能を多く持つ、最も重要かつ希少な天職であり、万が一失ってしまえば国としても大きな損失となる。
因みにであるが、魔力以外は大したステータスではない(本人論)という事で、ステータスが低い事で見下されていたハジメに自分のステータスを見せて元気づけようとした結果。無事彼の自尊心にとどめを刺したのは言うまでも無い話である。
閑話休題
そうして暗い顔をする愛子にメルドは笑いかける。
「何、そちらの方は俺達に任せてくれ。必ず全員生きて返すさ。」
「……はい……よろしくお願いします……」
メルドのその熱い言葉に、愛子はお辞儀と共に感謝の意を示した。
そして出発の時。身支度を整え、メルドの指揮のもと隊列を組む生徒たち、それを離れたところで見守る、愛子と愛子に手を繋がれたナナキ。
「それじゃあ出発するぞ!」
メルドの号令のもと次々と王城の大門を潜る生徒たち。このまま何も無いまま出発すると思っていた。しかし、
「あっナナキ君!!」
そう生徒たちの後方から愛子の叫ぶ声が聞こえ、何事かと思い全員が振り返ると。なんと、ナナキが猛スピードで走って来ていたのだ。ナナキは他の生徒と比べてそこまで鍛えて居ないため、最初のあの日からあまりステータスの変動はない。
それでもクラスの中では未だ高めのステータスを駆使してナナキは猛スピードで走り抜ける。その向かう先は。
「うわっと!?」
列の最後尾を歩いていた兄、ハジメのもとだった。
「な、ナナキ?」
そのままナナキは力いっぱいハジメに抱きつく。ハジメの、10倍以上の力で抱きしめられて体から嫌な音が鳴ってしまったのは御愛嬌。
「ちょ!?痛い痛い!?ナナキちょっとはなれ━━
「あにぃ……やだぁ…」
「え……」
それはとても小さな声、しかしその周辺で否応なしに響く切実な声だった。
「いか……ないでぇ……」
「ナナキ君……」
その声を聞いて今この場で、その兄弟の身を誰よりも案じている白崎香織が呟く。
このなんとも言えない雰囲気で何を思ったのかこの男が動き出す。
「駄目だよナナキちゃん、わがままを言ってはいけない!」
そう、我らが勇者様。天之河光輝である。
「ナナキちゃん、俺達にはこの世界を救う使命がある。こんなところで足を止めてはいられないんだ。今こうして足を止めている間にも、君以上に幼い子供たちが泣いているかもしれない。そんな彼らを差し置いて、君ばかりのわがままは聞いてはおけないんだ。わかるねナナキちゃん。」
そう言って天之河光輝はナナキに近づき、キザな笑みを向け、まるで聞き分けのない子供を諭すように言葉を連ねる。
彼の言うことは正しい。世界全体からみて考えても、なるほど確かに今この時間は無駄なのだろう。少しでも多くの時間を訓練に費やし強くなることがこの世界にとっては正しいことなのだろう。わかる、よぉーく分かるとも。
だが……しかし……。
彼ら兄弟の事情を正しく理解しているものならば口を揃えて言うだろう。
『空気を読め』と、
こんな状況だ。訓練だとしてもこれから向かうのは命の危険があるかもしれない大迷宮、ナナキも詳しく理解していなくても本能で感じ取ってしまったのだろう。
今回の訓練は一味違うと。
彼の心情を考えればもっともだ。無事に帰ってくるかわからない大好きな兄、不安になって、さみしくなって、行かないで欲しくて、呼び止め、抱きついてしまうのはもはや必然だろうに。
天之河光輝、彼は表面の正しさしか見えていない。それを他人に強要し、無意識に他人を傷つける。
自分だけならばまだ良かった。だが、それを大事な弟にも向けるというのなら……。
今も
「天之河君、ちょっと黙ってくれないかな?」
言葉に怒気を孕ませて返す。
「なっ!?」
まさかそんな風に言い返されるとは思っていなかったのだろう。自分の正義を否定された勇者様はハジメに叱責の声を浴びせる。
「何だよその言い方は!?だいたい南雲!お前がナナキちゃんを甘やかすからこんなことになっ━━━
「馬鹿光輝あんたはちょっと引っ込んでなさい!」
だが言い終わる前に保護者、八重樫雫に回収された。
天之河が連行されるのを尻目に、ハジメはナナキに振り返る。小刻みに不安で震え涙を流す弟のそれを優しく拭い、目線を合わせる。
「ナナキ、兄ちゃんと約束しよう。」
そう言ってハジメは自分の小指で弟のそれを絡め取る。
「やくそく?」
「あぁそうだ。兄ちゃん、何があっても絶対お前のところに帰ってくるから。ナナキもちゃんといい子で待ってられるか?」
「うん……」
「良しッ!いい子だ。じゃあ指切りげんまん、やるか?」
「うん!」
〜 ゆーび切りげんまん♪
嘘ついたらはーり一万本飲ーます!
ゆーび切った!! 〜
ここは本来千本であるが、南雲家ではローカルルールで絶対破れない約束、という意味で一万本と唱えるのだ。そして茶化すようにハジメが、「やっぱり万本は辛いなぁ〜」と笑う。
その笑顔を見てようやく安心したのか、ナナキもへにゃっと笑った。
その尊い光景を一部の人間以外は微笑ましく見守っていた。
もう大丈夫。まだ少しさみしいけど、それでも大丈夫!なんせ兄は約束してくれたから。今度は何の未練もなく、彼らの姿が見えなくなるまでその手を振り続ける。大好きな兄と、ついでに沢山のお友達たちが、元気に笑って帰ってくることを信じて。
そして時は冒頭に立ち戻る〜
この一日、ナナキもただ黙って待ってはいなかった。愛子やお城の使用人達、目に付く人のお手伝いをして回っていたのだ。
それはどれも拙いものだったが、それでも皆笑って受け入れてくれた。
きっとナナキ自身、無意識に気を紛らわせたかったのだろう。今は特にすることもないため、こうして空を眺めている。
昨日はあんなに晴れていた空も今では厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうである。
そんな窓の外を眺めるナナキは両肘を突き、顎を手の平上に乗せ、足場として持ってきた木箱の上で足をバタバタさせていた。
そんな彼の背後に近づく影、それは。
「あら?ここにいたのですねナナちゃん。愛子さんが探していましたよ?」
「りり!りり!」
リリアーナ・S・B・ハイリヒ
金髪のふわりと広がったポニーテールにエメラルド色の瞳と花のような桃色のドレスを着たこの国の王女である。
初日の晩餐会以降、彼女もまた、地球組の女子生徒同様にナナキの可愛さの虜にされ、ナナキと交流を持つようになっていたのである。
最初、見た目も中身も幼いナナキが実は自分よりも年上と聞いて仰天し、彼の障害を知り、表情を曇らせた一人でもある。
何処かの白崎と違い、堅実に距離を縮め、お互い愛称で呼び合う仲にまで発展する。リリアーナとて弟のいる身、年下←✕の扱いは心得ているのである。
そして愛子の下へ向かうためナナキと手をつなぎ王城内を練り歩く。しかしナナキの視線は窓の外へと常に向けられていた。
「皆さんが心配ですか?」
「……ううん」
心配じゃない訳が無い。だが、兄といい子で待っているように約束したのである。だから少年ナナキは心配ないと笑うのだ。
「偉いですねヨシヨシ」
そう言って頭を撫でられる。だが何故か、他の皆から撫でられるのは気にもしないが、リリアーナから撫でられるのはちと面映ゆく感じてしまうナナキ。
そんな事を思っていると、一人の騎士がリリアーナの下へと駆けつける。
「何事ですか?」
「報告します!勇者様御一行が戻られました!」
それは、待ちに待った兄達の帰還の知らせだった。その報告を聞き、リリアーナも胸を撫で下ろす。
「あぁ、良かった……これで一安心です。さぁナナちゃん一緒に迎えに……ってあれ?」
リリアーナは安堵したまま隣に居るはずの少年に視線を移し、一緒に迎えを促すも、いつの間にか隣にいたはずのナナキは姿を消していた。
「それがぁ……先程猛スピードで城門の方へと走っり去ってしまわれて……。」
ナナキを慌てて探し出すリリアーナに報告に来た騎士がナナキの行方を伝える。恐らく帰還の報を聞いて居ても立っても居られなかったのだろう。
キラキラ輝く笑顔で兄の下へと走る可愛らしい少年を思い、リリアーナもついつい笑みが漏れる。
「………。」
しかし、先ほどから騎士の様子が少しおかしい。まるで何かを言いたづらそうに、目が泳いでいる。
「何かあったのですか?」
騎士のその様子に嫌な予感を感じた王女はその騎士を問いただす。流石に王族の命には逆らえない。それが騎士というものだ。
そうして、その騎士は恐る恐るといったように口を開く
「じ、実は━━━━━━━━━━━━━
「……………えっ?」
♢
南雲ナナキは、城門目掛けて一目散に嬉々として走っていた。なんせ遂に兄達が帰ってきたからだ。
あにぃ、ナナキ。いい子で待ってたよ。ナナキね、待ってるだけじゃなくて、愛子やりり、色んな人のお手伝いをしたよ。
きっと褒めてくれるかな?
よくやったって頭を撫でてくれるかな?
それとも久しぶりに高い高いをしてもらえるかも?
どっちにしろ、早くあにぃに会いたい!
いつもみたいに、玄関で、扉を開けたあにぃが「ただいま」って言う
それにナナキが「おかえり!」って返すの
そう、また、いつもみたいに………
あにぃが……
おかえりって……
ナナキが城門に着くと、そこには昨日と違い、暗い顔をした皆がいた。担架の上で布団にくるまって眠る白崎、そしてナナキの姿を目にした瞬間、辛そうな顔で目を逸らす八重樫。
そんな昨日とは全く違うみんなの中に……
「あにぃ?」
ハジメの姿は何処にもなかった。
「あにぃ……どこ?……おかえりッ」
試しにこっちから「おかえり」と言ってみる。しかし返ってくるのは兄の「ただいま」ではなく、女子の涙をすする音のみ。
「ナナキね、いいこでね……まってたよ」
一歩帰ってきたみんなへ歩を進める。
「ナナキね……おしろでね……おてつだいしてたよ」
一歩
「ナナキね……あにぃにね……びっくりしてね……ほしくてね……どう?……びっくりした?」
また一歩
「ねぇ……あにぃ……どこ……?」
更に一歩、進むごとにナナキの声は震えていく。嫌な予感が、何処か
イヤだ……このイヤなのとって……だから……あにぃ……
そうしてまた一歩ナナキが足を踏み出した瞬間。
ガシッと何かが抱き潰してくる感覚がナナキを襲う。
硬い鎧を全身に纏う感覚、そうメルド団長がナナキを強く抱きしめていた。
「……すまない……すまないナナキッ……俺が…、俺が付いていながら……こんな……こんなことに……ッ!!」
王国最強と謳われた騎士、あのメルド・ロギンズが、後悔と罪悪感で、声を震わせている。
「すまない……本当にすまない!!」
謝っても謝っても許される事ではないのはメルドも理解している。それでも謝らずにはいられなかった。
この抱擁を受け、ナナキは悟る……。
あぁ、
この時、ナナキの脳裏に、懐かしい記憶が蘇る。
『■■ナナキ君……残念だけど、君のお父さんとお母さんはもう……。』
『あなたがナナキ君?……
『僕は南雲ハジメ!今日から君の兄(あにぃ)だ!これからよろしくナナキ!!』
「あにぃ………」
ナナキは改めて思った。「あぁ、またか」と……。
この日南雲ナナキは、久しぶりの
ナナキ君プロフィールパート1
身長∶140cm 好きなもの 家族・・、ちち、はは、
あにぃ、サメ、
ともだち、ごはん
体重∶35Kg 嫌いなもの
※今回、ちょっと短いけど切が良いから……
ごめんね(^_-)-☆