ヤンキー少女は迷子の歌姫に恋をする   作:アッシュクフォルダー

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第五話 春日影

一年前。後藤暁美、椎名立希、高松燈が中学三年生だった時の話。

 

後藤暁美は当時、紅南二中に通っており、

椎名立希は当時、羽丘女子学園の中等部に通っていた。

 

暁美と立希の関係が、少し薄れつつあった時の事だった。

 

暁美自体は、ロクに勉強せず、成績も30点台が多かった。

 

(ただし、社会のみ何故か、40点台)

 

勉強をしても、一切身につかなかった為か、

外で遊んでは、非行ばかり繰り返していた。

 

殴り合いの喧嘩や、強盗、万引きを、

ひたすらやっていた。

 

一度だけ、警察に逮捕されたこともあった。

 

警察から釈放された直後、立希と暁美は再会するのだった。

 

「どうしてこんなことしたの?」

 

それが、椎名立希の最初の一言だった。

 

「だって、勉強も出来ないし、

成績不振だし、何をやっていも、身に付けなかったから!」

 

「だからって、そんなことしたら、ダメ!」

 

「…」

 

「これ、観に行って欲しい」

 

「え?バンド、始めたの?」

 

「うん。友達とバンド組むことになったから、

観に来て欲しい」

 

「ありがとう。観に行く!何が何でも」

 

その時、あたしは、心なしか救われたように感じた。

 

クライシックの(春日影)の曲に。

高松燈ちゃんの歌声に。

 

ライブ当日、あたしは人生で初となる、

バンドのライブを観に行った。

 

どういう訳か、すぐに夢中になった。

 

そして、あたしは初めて高松燈ちゃんとも出会った。

 

ライブが終わり、あたしは立希ちゃんに会いたい気持ちで、

楽屋まで飛んだ。

 

「立希!」

 

「このお方は?」

 

「…!暁美…」

 

「立希さんの知り合い?」

 

「うん。幼稚園からの幼馴染で」

 

「後藤暁美」

 

「初めまして、豊川祥子ですわ」

 

この豊川祥子ちゃんの制服は、

月ノ森の中等部の制服。いわば、お嬢様学校の制服だ。

 

ここら辺じゃ、見かけないが。

 

「長崎そよです」

 

「若葉睦」

 

「た、高松燈…で、です…」

 

「カ、カワイイ…!」

 

「えっ?」

 

と、あたしは思わず、燈の手を握った!

 

「カワイイね!あたしの彼女になる?」

 

「どうしてそうなる訳?燈はね!」

 

「まぁまぁ、二人共。

それに、立希ちゃんのお友達が、来てくれたから、

観に来てくれたのかな?」

 

「初めてライブを観に行って、

思わず、今まで生きてきた中で幸せな一日だった」

 

「それは、いいことですわ!

また、いらしてください」

 

「ライブがあったら、必ず観に行きます!」

 

「えぇ、お待ちしていますわ」

 

これが、豊川祥子さんと若葉睦さんとの最初で最後の対面だった。

それっきり、この二人とは出会っていない。

 

その後、立希が、解散したと言い出し、

あたしの心のどこかが、失って、

全てが空っぽになったという感情を始めて実感するのだった。

 

 

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