もしも高羽がブロリストだったら   作:NJ

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Q.なんでこんな頭おかしい小説書いたの?
A.オラにもわかんねぇ(責任放棄)

長くなり過ぎたので前編後編に分かれております
後編は………気が向いたら投稿すっからよろしくな!(現実逃避)


前編:燃え尽きろ!熱戦!烈戦!超激戦!

 

 高羽史彦。

 

 千年を生きる呪詛師たる羂索によって巻き起こされた日本全土を巻き込む呪術儀式『死滅回遊』に巻き込まれる形で参加させられた元一般人の泳者(プレイヤー)

 

 職業はピン芸人。

 羂索によって覚醒させられた術式は『超人(コメディアン)』。

 

 能力は、『自分が“ウケる”と確信したネタを具現化する』という破格のもの。

 あくまでお笑い限定に絞られるが、想像のまま現実を改変するという呪術界でも前例のない、千年間呪いの世界を生きた羂索をして驚愕させた異能中の異能。

 

 そんな彼は、死滅回遊による殺戮を止める為に虎杖達呪術師に協力し、羂索や宿儺という世界を破滅に導く呪いを祓う為の戦いに身を投じていく事になるのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 ───これは、そんな高羽がもしもブロリスト動画を見て『これはウケる!』と確信していたら…

 

 そんな、鳥◯明ワールドを改悪しまくって領域展開したような呪術廻戦の、ありえてたまるかと言いたくなるようなIFとすら呼べない世界の話である。

 

 

 

・・・・・・

・・・・

・・

 

 

 

 時は21世紀。

 高羽の術式『超人』による想像の具象化は日本全国に及び、あらゆるものが彼の『ウケる』と確信したネタを実現させる為の舞台装置と化した。

 

 そして誰も、元凶たる高羽すらもそれを自覚しないまま物語は幕を開ける。

 

 

 

 日本某所。

 

 紆余曲折を経て伏黒恵の肉体に乗り移り受肉を果たした呪いの王、両面宿儺。心なしか髪の生え際がM字型である。

 今、彼は従者である裏梅と現代の花御…ではなく花見に興じている真っ最中だった。

 

「いまぁぁぁぁ!わぁぁぁぁたしのぉぉぉぉぉぉ!願ぁぁぁぁぁい事はぁぁぁぁぁ!!」

 

 近くでは、なんか一緒についてきた千年前の知己である万が無駄にデカい声で「翼をください」を熱唱していた。選曲が謎すぎる。

 

「つよぉぉいぃすぅぅぅぅくなぁぁぁぁぁ!すくぅなぁがぁぁ欲しぃぃぃぃ!」

 

「本当に…上手いのだろうか…」

「万めぇ…っ許さん…!」

 

 最初は気にも留めていなかった宿儺だが、チンパンジーもドン引きの求愛行動に次第にイラついてきたので裏梅に始末させようかと思い始めていた。

 

 そんな時、風が吹き荒れ、巨大な宇宙船のような呪霊が花弁を舞い散らしながら天から舞い降りた。

 

 降り立った呪霊の口がウィーンとやけに機械的な音を立てながら開き、中からは大勢の呪詛師達が現れ、全員が宿儺の前にひざまづいた。

 

宿儺(スクーナ)様」

「なんだ貴様ら?」

 

 思わず立ち上がり来訪者に問いかける宿儺。

 すると、呪詛師達の背後から一人の男がやって来た。

 

「探したよ呪いの王宿儺(スクーナ)

 

 袈裟を着た、額に縫い目のある異様な男だった。

 そんな彼は宿儺の前まで歩み寄ると、静かに跪いた。

 

「…術師だな?」

 

 宿儺は、そんな彼を見てニヤリと笑うと確信をしたように問いかける。

 

「羂索でございます」

 

 周りなど我関せずで歌っている万の奇声…美声をBGMにしながら宿儺を見上げ答える男、羂索。何故突然敬語になったのかは謎だ。

 

 そして羂ガス…ではなく羂索は宿儺のもとに訪れた目的を話す。

 

「新国家スクーナの王になって欲しく、迎えに上がった次第だよ」

「何?新国家スクーナ?」

 

 羂索は続ける。

 

「もう一度、呪術全盛の時代。平安の術師達の優秀さを、全世界に知らしめてやろうじゃないか」

 

「───最強の呪術帝国を築き上げるのです!!」

 

『おぉー!』

 

 そして立ち上がり拳を掲げ、周りもそれに同調するように雄叫びをあげる。

 

「…チッ、くだらん」

 

 が、宿儺はそう吐き捨てて立ち去ろうとする。

 呪いの王たる彼の生きる指針は己にとって快か不快かどうか、それだけである。

 権威にも名声にも興味などなく、興味があるのは破壊と殺戮、そして強者との心躍る戦いのみ。悪のサイヤ人そのものである。

 

 だが、そんな宿儺の返答も予測済みだったのか、羂索は変わらず胡散臭い笑顔でこう続ける。

 

「伝説の特級(スーパー)呪術師を倒せるのは…スクーナ王、君しか居ないんだ」

 

 宿儺の足が止まる。

 

「伝説の…特級(スーパー)呪術師」

「南のコロニー一帯を、その脅威のパワーで暴れまわってるんだよ。 このままでは折角築き上げた帝国も、伝説の特級(スーパー)呪術師の手によって…」

 

「宿儺様!」

 

 静観していた裏梅が、宿儺に駆け寄る。

 

「駄目です!そんな話に乗っては!」

「羂索、案内しろ」

 

 が、宿儺は華麗にスルーして羂索について行く。

 

「宿儺さ──「君もどうだい?呪いの王の従者、裏ンクス王子」……くっ」

 

 裏ンクス…もとい裏梅も勧誘する羂索。

 謎すぎる改名に思わず顔を顰める裏梅。

 

「何がスクーナの王よ。バカじゃないの?」

 

 歌い終わった万は、着陸した時と同じように暴風を起こしながら飛び去る船を呆れた様子で眺めていた。

 ちなみに今は宿儺の生前のミイラの頭を赤子のように抱いている。どこで手に入れたのだろうか。

 

「万!私が必ず宿儺様を連れて帰ります!」

 

 裏梅も宿儺に続いて宇宙船に乗り込み、船は死滅回遊の開催地まで飛んでいった。

 

「頼んだわよ…裏ンクス」

 

 

・・・・・

 

 

 宇宙船が降り立った仙台コロニー。

 放棄された建物を改造した宮殿に宿儺達は訪れていた。

 

『スクーナ王バンザァーイ!!』

 

 大勢の呪詛師達が宿儺に喝采をあげる。

 レシートを全身に貼り付けたロン毛の変態やリーゼント頭、頭にパンツのような飾りをつけた変態ジジイにマッパの痴女も居た。

 

「スクーナ王。日本のあらゆる時代で契約した呪詛師(ならずもの)達が、君の従僕としてお待ちしていたよ」

 

 が、興味がない宿儺は一瞥するだけで宮殿の中へと向かっていく。

 

 ───そこで、妙な男を見つけた。

 

 短い薄赤色の髪の、高校の制服に身を包んだ少年だ。

 

 羂索に目を向けると、意を汲んだように答えてくれた。

 

「息子だよ。なんなりと使ってくれたまえ」

「虎どリーです」

 

 簡潔に自己紹介する虎どリー。その目はどこか虚ろだった。

 

「お前も術師のようだな」

「はい…」

 

 そこに、慌てた様子で一人の呪詛師が駆け寄ってくる。

 

「申し上げます!トトカマコロニーに特級(スーパー)呪術師が現れましたぁ!」

「───ダニィ!?」

 

 その報告にスクーナの目の色が変わる。

 

「早速伝説の特級(スーパー)呪術師を鏖殺(せいばつ)しにでかける! 後に続け虎どリー!」

 

「宿儺様!闇雲にでかけるのは危険です!もっと情報を集めてからでも「凡夫(おくびょうもの)はついてこなくてもよい! 虎どリー、早くしろ」…宿儺様っ」

 

 止めようとする裏ンクスを再び一蹴するスクーナ。

 そうしてそのまま虎どリーと共に宇宙船へと向かっていった。

 

 その頃、死滅回遊を阻止する為にやってきた乙骨憂飯(ゆうはん)達も仙台コロニーを調査している真っ最中であった。

 

「ん?あれは…」

 

 そこで乙骨達が目撃したのは、羂索の呪霊操術で操られ、新帝国の為に強制労働させられている呪霊達であった。

 目から木の枝を生やした呪霊やらタコっぽい呪霊、ゴキブリなどが死んだ目で鉄骨や機材を運び続けている。

 

 そのうちの一人の頭が火山のような単眼の呪霊が、とうとう限界を迎えたのか運んでいた機材を落とし、座り込んでしまう。

 

「うっ、ゴホッゴホッ」

漏瑚(じいちゃん)!」

「だ、大丈夫だ…」

 

 倒れた仲間の下にツギハギの呪霊が駆け寄る。

 そこに乙骨達が降り立ち、呪霊達はあからさまに怯えた顔になる。

 

「俺たちサボってるわけじゃねぇぞ!漏瑚(じいちゃん)の具合が悪くて…」

「安心してください、ボク達は見張りじゃないので」

 

 乙骨達はツギハギの呪霊…真人から話を聞く事にした。

 

「それにしても、こんな荒地に呪術師の帝国を作るなんて無理ですよ」

「そんな事知るか。俺達は特級(スーパー)呪術師に故郷を荒らされてここに連れてこられたんだ……人間(たべもの)もロクにくれねぇんだぜ!呪術師なんて、地球の悪魔さ!」

 

 働きながら術師達への愚痴を吐き散らす真人だったが、そこに見張りの呪詛師(ならずもの)がやってきて真人を蹴っ飛ばした。

 

「わぁー!?」

「小僧ッ、サボルンジャナァイ!!」

 

 ボ◯ー・オ□ゴンみたいな喋り方の黒人は、そのまま黒い鞭を真人に叩きつける。

 

 ヨロヨロと、先程の火山の呪霊が真人を庇おうとする。

 

「真人は悪くない! 儂だ!儂のせいだ!」

「反抗スル気カ……Oh!」

「なんて酷いことするんですか!」

 

 呪霊と言えど弱い者いじめをする姿に流石の乙骨も耐えられず、黒人を吹き飛ばす。

 

 その後呪詛師(ならずもの)が騒ぎを聞きつけて集まったが、クリ…秤金次(ハカリン)が追い払ってことなきを得た。

 

 更にそこに、東堂葵(ヤードラット星人)から学んだ瞬間移動(ブギウギ)で転移してきた、孫◯空のコスプレをした中年の不審者もとい高羽史彦も合流した時だった。

 

「高ロット…いや、高羽史彦。オガミ(バー)ダックの(せがれ)だろう?」

 

 騒ぎを聞きつけた羂索が、高羽達を上から見下ろしていた。ちなみにオガミ婆は一切無関係だ。

 

「どうしてオラの名を…お前も呪術師だな!?」

「ふっ───夕食でもいかがかな?」

「っ……」

 

 

 

「そーいやオラ腹減っちまったぁ〜!」

 

 

・・・・・・・

 

 

 そうして高ロット達を招き入れた後、羂索は一人鏡の前で不気味に笑い続けていた。

 

「いいぞ…その調子だ…DON☆DON近づけ…一億呪霊(グモリー彗星)よ…ふっふっふ…は〜はっはぁ〜↑あっはっはっはっ!はっはっはっは↑!ふ〜はっは↑!」

 

 なんだか気持ちわりぃ笑い声まで出し始めた。もはや呪霊の一種と言われても納得の奇行ぶりだ。

 

「ま、まさか…!」

 

 案の定、無駄にでけぇ声を出したりするから部下に目撃されてしまった。

 

「レジィ、心配することはない。君はその恐怖を味わわずに済むんだからね」

「はい、京都に移住しましても一生懸命に…」

「かぁん違いするな」

「へっあ───ワァァァァァァァァ!?

 

 恥ずかしいところを目撃された羂索は、いつも通りクールを装って極の番(うずまき)でレジィを吹き飛ばしたのだった。

 

 そうこうしている内に数時間が経過し…。

 

「クソッ、特級(スーパー)呪術師は影も形もなかった…」

「今行方を調査させている。もう暫く待っていてくれたまえ」

 

 特級(スーパー)呪術師を見つけられず、苛立ちを隠しもしない足取りで宮殿に戻ってきたスクーナ。三歩後ろに虎どリーも続く。

 

「よっ」

 

 廊下を歩いていると、窓際に座っていた男が声をかけてきた。スクーナも足を止め、振り返る。

 

「高ロット、態々俺に殺されに来たのか?」

 

 高ロットはスクーナにそのまま話しかける。

 

「スクーナ、伝説の特級(スーパー)呪術師は見つかんなかったみてぇだな?」

「伝説の特級(スーパー)呪術師は俺が見つけ次第鏖殺(ぶっころ)してやる! 出しゃばるでない…」

 

 高ロットの揶揄うような言葉にそれだけ言うと、スクーナは一人歩き去ってしまった。

 

「スクーナの奴また怖え顔になったなぁ〜…ん?」

 

 呑気に笑いながらその姿を見送った高ロットだが、背後からの殺気に咄嗟に振り向いた。

 

 そこにはスクーナに置いて行かれた虎どリーが立っており、高ロットを親の仇のように睨みつけていた。

 

 大人しい様子から一転、獣のように唸りながら次第に呪力を高め始める虎どリーに高ロットも呼応するように呪力を高めようとする。

 

呪力()を鎮めろ虎どリー」

 

 が、それを見た羂索がやや焦りを含んだ表情で腕に装着した呪具を虎どリーに向ける。

 

 すると、先ほどまで殺気立っていた虎どリーの表情が嘘のように戻っていき、何事もなかったかのように歩き去っていった。

 

 その後、高ロット達はあてがわれた部屋で眠りについたが、不安を捨てきれなかった羂索は呪具を調べさせていた。

 

「もうよろしいですじゃ、呪力を鎮めて装置をお外しください」

 

 なにやら胡散臭い老人の呪詛師──ドルゥブの声に対し苛立ちを隠せず、雑に腕に嵌めていた測定器を投げ捨てる羂索。

 

「うわへへ!?」

 

 そのせいで装置に込められていた呪力が爆ぜてしまい、驚いて腰を抜かすドルゥブ。

 

「羂索様、呪力をお鎮めくだしゃい…コンピューターが弾き出したデータによりますと、呪具(リモコン)は壊れておりましぇん。 あなた様の気一つで、虎どリーのパワーを封印する事も開放する事も、自由自在でございますじゃ」

 

「あぁそうかい」

 

 どこか投げやりな態度で、羂索はさっさと退室してしまう。「リモコンは全く正常ですじゃ〜!」というドルゥブの言葉を聞き流しながら。

 

 虎どリーは相変わらず昂っており、トイレで一人唸り続けていた。

 羂索は、そんな息子をドアの隙間から覗きながら不安を隠しきれない様子だった。ハタから見たら息子のトイレを覗く変態親父ぃでしかないのだが。

 

「虎どリー…一体、どうしてしまったというんだ」

 

 ───まさか、高ロット…!?

 

 その時羂索の脳内(メロンパン)に流れる、存在しない記憶(・・・・・・・)

 

『ホギャー!ホギャー!』

 

 生後間もなく、隣り合わせのベッドに置かれた赤子達。片方が虎どリー、もう片方が高ロット。

 なお高ロットは回想でもオッサンのままであり、無理矢理ベビーベッドに詰め込まれた状態で泣き喚いていた。完全にホラーである。

 

『ふぇ、うぇぇ…』

 

 隣の虎どリーもつられて泣き出してしまう。隣でこんなモンスターが泣き喚いているのだから当然である。

 

 存在しない記憶は更に続く。

 

 数年後、そこには少年に成長した虎どリーが、破壊衝動のままに町に呪力の弾を放って焼け野原に変える姿があった。

 

『やめろ虎どリー!!』

 

 そんな息子の暴走を止めようと羂索が飛びかかる───が、一瞬で返り討ちにあった。

 

『どぁ!?』

 

 ───虎どリーこそ呪術師そのものであった…生まれついての桁外れのパワーは成長するに従って、親の私が恐怖を感じるほどに増大し、凶暴化していった…。

 

 そして、遂に羂索は決意した。

 今のうちに息子を完全な制御下に置かなければならないと。

 

 ───私は…呪具製作者(かがくしゃ)に虎どリーを自在にコントロールできる装置を作らせた。

 

『親父ぃ…なんだぁ─────へぁ!?

 

 寝込みを襲われた虎どリーはそれはもう抵抗し、羂索はあわや殺されかけるもどうにか装置をつけることに成功し、虎どリーを止めることができた。

 

 ───とうとう私は、虎どリーのパワーを自由に操る事によって、全世界を支配する力を手に入れたのだ!

 

 だが、当の虎どリーは刻一刻とコントロールの壁を乗り越えようとしている。

 このままでは、再び制御不能となって羂索にも牙を剥くだろう。

 

「もしそうだとしたら、私のこれまでの苦労が…」

 

 羂索が悩んでいる間にも虎どリーの異変は進行する。

 

「んんんんんんんんん!ンンーーーーーーーッッ!!」

 

 そして、トイレで踏ん張りながら唸り声を上げ続けていた虎どリーは遂に限界を迎え、潜在能力と腸内の特級呪物が解放される。

 

「高ロットォォォォォォォォォ!!」

 

 そして遂に暴走した虎どリーは熟睡していた高ロットの部屋の扉を突き破って突入してきた。

 

出川(デヤ)ァ!」

「テメェは虎どリー!」

 

 飛び起きた高ロットも応戦し、そのまま宮殿の外に飛び出した二人は周囲を破壊しながらぶつかり合う。

 

 ───バキィ!!

 

 そして高ロットの一撃が虎どリーの顔面に突き刺さるが…

 

 ───レロォ…

 

「〜〜〜っかぁ!気持ち悪ぃ…やだオメエ…ッッ!」

 

 攻撃を受けたにも関わらず不気味に笑い、口元に垂れた血を舐めとる虎どリーの異様な雰囲気に、高ロットも思わず顔を顰める。

 

 その頃…

 

「───シュワット(しまった)!!」

 

 あれだけ心配していたにも関わらずグースカ眠りこけていた能天気な羂索も流石にこの大騒ぎに目が覚めたのか、布団から飛び起きると呪具を手に駆け出した。

 

「やめろ虎どリー!!」

 

 そして二人の間に割って入り、装置でどうにか虎どリーを抑え込む事で事態を収拾した。

 

「(奴が伝説の特級(スーパー)呪術師だ…)」

 

 去りゆく二人の後ろ姿を見送りながら、高ロットは確信するのだった。

 

 

 

 

 そして、遂に運命の日が訪れた…。

 

「スクーナ王!お待ちください!」

 

 待ち続ける内に痺れを切らしたスクーナが宇宙船に乗り込もうとしており、羂索は必死にそんなスクーナを止めようと躍起になっていた。

 

「スクーナ王!明日まで、明日まで待ってくれ!」

 

 息を切らしながらもスクーナに追いつき、立ち塞がる形で前に立つ。

 

「(一億呪霊(グモリー彗星)が衝突するその時まで、なんとしてもスクーナをここに釘付けにしておかなくては…!)…明日になれば、伝説の特級(スーパー)呪術師のいるコロニーが分かる筈だ!」

 

「………チッ」

 

 だがスクーナは知ったこっちゃないと言わんばかりに羂索を押しのけて宇宙船の目と鼻の先までやってくる。

 

《スクーナ、待ちくたびれたぞぉ〜! 朝メシも食わねぇで待ってたんだぞぉ〜!》

 

 そこで船の中から高ロットの声が反響して響き渡り、スクーナと羂索が目を見開く。

 

「───スクーナ、出かける必要はねぇぞ。 伝説の特級(スーパー)呪術師はここにいるんだ」

「何?」

 

 その言葉にスクーナが驚き、羂索はぎくりと顔を硬らせる。

 

「羂ガス!スクーナに教えてやれ! 虎どリーがその特級(スーパー)呪術師だってよ!」

「め、めめめ滅相もございません! スクーナ王、そのような事があろうはずがございません!」

 

 高ロットのネタバラシに羂ガスはしらばっくれて誤魔化そうとする…が、盛大に吃っている上に不自然に敬語になっている辺りまったく動揺を隠せていない。

 

「私より呪力が劣る虎どリーが特級(スーパー)呪術師などと…スクーナ王、さっ宮殿に戻ってく…「宿儺様ーー!」」

 

 そこに割り込む新たな声。裏ンクスだった。

 

「嘘でぇす!」

 

 高ロットの前に着地した裏ンクスは語る。

 

「宿儺様を王に迎えて新国家スクーナを建国するなんて、全て嘘です! あそこにあるのは、廃墟なんです!」

 

 同時に乙骨達が証人となる奴隷…もとい呪霊達を連れてきた。

 

「あ?…あぁ!」

 

 その中に居た真人(シャモ)は高ロット達がいる方を見て、驚いた表情で一人を指さす───スクーナの側の虎どリーを。

 

「あいつだぁ!俺達の故郷(ほし)で暴れたのは!」

 

 スクーナの四つ目が羂ガスをギロリと睨め付ける。

 

「───騙したな?」

 

「やっと能天気な君でも呑み込めたようだね。全ては君の従者の言う通りだよ───こんな最低なコロニーにはなんの未練もない…ふん! 一億呪霊(すいせい)が衝突する事が分かったからこそ、この都市を利用したんだ」

 

 先程までの媚びた態度が嘘のように本性を露わにする羂索。ついさっきまで動揺しまくっていた事実は彼の中で無かったことにされたようだ。

 

「私の狙いは、呪術の聖地京都なんだからねぇ…ふぁー↑はっ↑はっ↑」

 

 そこから羂索は己の目的を語り出す。

 

「呪術界で最も環境が整った美しい京都に移住し、そこを本拠地として帝国を建設するのが、私の本来の目的なんだよ……新国家スクーナの王などと、その気になっている君の姿はお笑いだったぜ☆」

 

 相当我慢していたのか堰が切れたようにベラベラとお喋りに興じ始める羂索。しかもついでと言わんばかりにスクーナまで煽る始末。

 実際、こんな穴だらけの勧誘に引っかかった上に、今の今まで騙されていた事に気づかなかった辺りバカ丸出しなのでなんとも言えないのだが。

 

「君達をこの仙台コロニーと共に葬り去れば、私達の敵は最早一人もいない! 東も、西のコロニーも訳なく支配でき、私と虎どリーの帝国はぁ…永→遠↓(ゑゑぃえん)に不滅になるという訳だぁ!」

 

 己の理想をドヤ顔で語り切った羂索。

 ちなみに彼の本来の目的は呪力の適正化による人類の進化だったが、『超人』で頭がお笑い芸人(ブロリスト)化している今の彼はそんな理想すら忘れ去っている。実に滑稽(あわれ)だ。

 

 そして、そんな彼は存在しない記憶と共に埋め込まれた偽物の理想すら叶えられずに終わる。

 

 何故なら…。

 

「う"ぅ、あ"ぁ…っ!! 高ロットぉ…」

 

 後ろに立つ悪魔(むすこ)が、今まさに獲物を前にして本性を露わにし始めているのだから。

 

「い、虎どリー………はっはっはっは!いいぞぉ!もはや一億呪霊など待つ必要はない!今のお前のパワーで、呪術師をこの世から消し去ってしまえー!」

 

 装置からピロロロロロロ!と音を鳴らしながら笑う羂索は気づいていない。

 

 既に呪具は拘束具としての役割を果たしていないことに。

 

「伝説の…特級(スーパー)呪術師…っハァァァァ!!」

 

 その様子を眺めていたスクーナも呪力を高めながら高ロットに歩み寄る虎どリーに一撃を加える……が。

 

 ───ギュピッ!ギュピッ!

 

「高ロットォ…!」

 

「…なっ!?」

 

 特級(スーパー)呪術師、止まらず。

 それどころか痛痒を感じている様子すらない。

 

「高ロットじゃねぇ!オラ孫悟空だ!」

 

 高羽である。

 

「ハァァァァァァァァ…!」

 

「───やべっ!?」

 

 そんな血迷った事を叫んでいる間に、遂には炎の術式まで出したスクーナに慌てる高ロット。

 

でぇや(フーガ)ぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」

 

 巻き上がる爆炎。

 

「Door!?」

 

 盛大に転がりながら吹き飛ぶ羂ガス。

 袈裟が破れてケツが丸出しになっていた。

 

 渋谷にて火山の呪霊すら祓ったほどの火力。

 並の術師ならば灰すら残らず消滅する所だが…それすらも特級(スーパー)呪術師の前には…。

 

 ───ピシャァァァン!!

 ゴロゴロゴロ…

 

「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

 寧ろ、爆弾の導火線に火をつけるだけの行為にしかならなかった。

 

「おぉ、おお!? だ、ダメだ虎どリー!それ以上呪力を高めるなぁ!やめろ虎どリー!落ち着けェ!」

 

『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァ!』

 

 咆哮と共に虎どリーの顔の穴という穴から呪力の閃光が溢れ出す。

 

 そして遂に、悪魔が目覚める。

 

 

 デッデッデー!

 

 

 拘束具が外れ、ブロリストならお馴染みのBGMと共に呪力を爆発させながら覚醒する虎どリー。

 

 制服は完全に弾け飛び、顕となった巨人と見紛う鋼の肉体。

 漲る呪力。逆立つ髪。白目を剥き、狂気に染まった貌。

 

 ここに、伝説の特級(スーパー)呪術師が顕現した。

 

 この場の全員が、戦慄していた。

 

 その、スクーナすら比較にならない圧倒的な邪悪に。

 互いの一挙手一投足が全て死因になり得るという確信を抱かせるほどの存在感に。

 

 スクーナすら、どっかの火山のように思わず片膝をついて怯え切っていた。

 

「ハァ…ハァ…伝説の…特級(スーパー)呪術師…」

 

「くっ…」

「高羽さん!」

 

 膝をつかずとも怯んで動けない高羽を庇うように前に出る乙骨。リカも顕現させて完全に戦闘態勢に入っている。

 

 

 

「高ロット───まずお前から血祭りにあげてやる

 

 

 

 地獄が、今ここで幕を開ける。

 




ネタバレ:羂索は死ぬ
「笑っちゃうよねー(タハー)」
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