「ちょ、俺が救世主!?」~転生商人のおかしな快進撃~   作:月城 友麻

126 / 193
126. 65535

「レ、レヴィア様ぁ……」

 

 俺はポロポロと涙をこぼしながらガックリと肩を落とす。

 

「なんじゃ?」

 

 その時、突如としてどこかから声が聞こえた。

 

「……? 空耳……?」

 

 俺は慌てて辺りを見回す――――。

 

「何やっとる! 作戦会議をするぞ!」

 

 なんと、足元からレヴィアの声がするではないか! 心臓が(おど)り、息が止まる。

 

「えっ!?」

 

 見おろせば、レヴィアが俺の掘ったトンネルの中にいる!?

 

 その姿は、先ほどまでの巨大な龍とは打って変わって、あの愛らしいおかっぱ頭の少女の姿だった。金色の髪が、暗闇の中でかすかに輝いている。

 

「あ、あれ? あのドラゴンは?」

 

 俺が間抜けな声を出して聞くと、レヴィアはフンッと鼻で嗤った。

 

「あれはただの(デコイ)じゃ。攻撃の時以外は囮を見せておくのは常套手段……。奴も囮だったようじゃな」

 

「えっ! じゃあ彼女もノーダメージってこと?」

 

 俺は神々の戦いの裏に広がる高度な騙し合いに、思わずため息をついた。

 

戦乙女(ヴァルキュリ)はヤバい、ちょいと工夫せんと倒せん。お主も手伝え!」

 

 レヴィアは鋭い視線でパンと俺の肩を叩く。

 

「え!? 手伝えって言っても……」

 

 俺は戸惑いを隠せない。自分が戦闘で役に立つイメージなんて全く持てなかったのだ。

 

「俺はもう一般人ですよ? チート能力なんてないんです……」

 

「つべこべ言うな! 死ぬかやるかじゃ! どっちじゃ!?」

 

 レヴィアの真紅の瞳がギラっと光を放つ。

 

「や、やりますよぉ……。でも……」

 

 やらなきゃ死ぬと言われたらやる以外ないのだが……、あんな神々の戦いでは足手まといにしかなれないだろう。

 

「ステータスならカンストさせてやる!」

 

 レヴィアがそう言うと同時に、突如として頭の中でピロロン! ピロロン! とレベルアップの音が延々と鳴り響き始めた。その懐かしい音は、まるで祝福の鐘のように心地よく響きわたる。

 

 刹那、全身に力が(みなぎ)っていく――――。

 

「うっ、うっほぉぉぉ!!」

 

 驚いてステータスを確認すると、

 

ユータ 時空を超えし者

商人 レベル:65535

 

 と、信じられないほどのレベルに到達していた。目を疑うような数字が、俺の新たな現実となる。

 

「え!? 六万!?」

 

 驚愕の声を上げる俺に、レヴィアは首を振り、冷静に説明を始めた。

 

「レベルなんぞ戦乙女(ヴァルキュリ)相手にはあまり意味がない。あ奴は【物理攻撃無効】の属性がついとるからお主の攻撃は一切効かん。でも、攻撃受けたらお主は死ぬし、あ奴はワープしてくる」

 

 その重い冷徹な口調に、俺は息を呑んだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。