おじさん、異世界冒険を配信するってよ   作:影薄燕

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 作者にとって初めての全年齢向け二次作。


プロローグ

 

 

――おじさんが異世界から戻り、同居してYouT〇berとなってから3年の月日が経とうとしていた。

――今日は藤宮も遊びに来て一緒にお菓子を食べた。

――そんな中でおじさんには悩みがあり、うんうんと唸っている。

――おじさんの異世界での生活を藤宮と3人でたくさん見て、異世界の理不尽さに心を痛めながらおじさんの勇姿を目に焼き付けた俺はこの日、悩めるおじさんにある決断を迫ろうとしていた。

 

 

「うーん……やっぱ再生数がここ最近イマイチになってきたな」

 

「YouT〇berだけじゃなくVチューバーも増えてきた弊害だね。やっぱ老け顔のおじさんより作り物でも可愛い女の子の配信を見たいだろうし」

 

「おい、たかふみ。お前はもう少し言葉を選べって」

 

「いや、いいんだ藤宮さん。受け入れるべきものは受け入れなきゃ先には進めないからな」

 

「(その割には“SE〇A”関係のことだと毎回受け止めきれずにいるけど……)」

 

「しかし困ったな。動画自体の評価は高いしファンも付いているけど、このままだと他の上位YouT〇berやどんどん増えるVチューバーの勢いに押されて俺のチャンネルが埋もれていってしまう。そうなれば新規の獲得が難しい」

 

「チャンネルの3周年記念も近いし、何か……画期的なアイデアで有名になって存在感を示せればいいんだけど……」

 

「あれはどうです? いつかみたいにおじさんがエルフさんに変身して、ついでにたかふみもアリシアさんに変身して、2人の美少女でゲーム実況とか――」

 

「「それはダメだ」」

 

「え、何で?」

 

「以前も言ったが自分とは大きくかけ離れた姿に変身すると精神がそっちに引っぱられる危険性がある。いや、たまにであればチャンネルのためと許容するんだが……」

 

「俺までアリシアさんに変身して、エルフさんに変身したおじさんと一緒に映ったらインパクトが強すぎる。その日だけの特別だって言おうが、視聴者達は美少女2人を出せとせっついてくるんだ。そうやって妥協して何回も同じことしていたら、おじさんのチャンネルである意味が薄れていく。絶対だ。アイツらは平気でそういうことしてくるんだ……!」

 

「だから、お前のその時々見せる闇は何なんだよ……?」

 

「だが、本格的にどうするか……」

 

「……おじさん、実は俺、前々から考えていたことがあるんだ。おじさんの負担になるかも知れないし、少しだけ危険だけど確実に再生数を稼げる手段を」

 

「え、え~~~!? たかふみさん!? そんな方法があるの!? 危険なことなんて今までもあったし、たかふみがそこまで言うなら余程自信があるんだろう? ほら、言ってみ。俺、プロとしてがんばってみせるから!」

 

「おじさん、そんな安請け合いしちゃ――」

 

 

「俺が考えていたこと――それは……おじさんの異世界での冒険を動画編集して投稿しようってことだよ! それも、Vチューバーたちと同じlive配信で!」

 

 

「はぁっ!? たかふみ、お前マジか!」

 

「live配信って、つまり生配信でってことぉ!? そんな、たかふみぃ……俺、そんなのできっこないよぉ!」

 

「お前、どんなこと言ってるか分かってんのか? あの(・・)おじさんの異世界事情だぞ?」

 

「何もそのままおじさんの魔法で記憶を映像化したのを、視聴者たちと見ようってわけじゃないよ。血とか、グロい表現もあるからモザイク入れる必要があるし。編集するためにも暗くした部屋で再生してもらった映像をカメラで撮ったりもする。live配信だって、編集した映像に説明やコメントを俺とおじさんで言うだけだ」

 

「でもでも! 俺言っただろ! もしも俺の魔法が本物だってバレたら……こう、政府の“何か”が捕まえに来るかもしれないって……!」

 

「政府の“何か”って何です???」

 

「そこは徹底して設定に基づいてCGやキャスト使った作り話ってことにするんだ。本気で魔法や異世界があるなんて信じる人はいない。“これは作りもの”だって言い切ればこっちの勝ちだ」

 

「で、できるかな?」

 

「できるかどうかじゃない……やるんだよおじさん! おじさんは“SE〇A”のゲームをクリアして何を学んだの! 諦めずに挑戦し続ける心でしょ!」

 

「!?」

 

「“ピンチはチャンス”! おじさんの座右の銘だったはずだ! このピンチを乗り越えて、YouT〇berとしてさらなる高みに行こうよ!!」

 

「!!!??」

 

「お、おい……」

 

「俺が間違ってたよ、たかふみ」

 

「おじさん……!」

 

「あの、ちょっと……」

 

「そうだ。俺は誰に何と言われようと“SE〇A”と共に生きて“SE〇A”を愛してたんだ。何度クリアできずに挫折しようと最後までやり遂げた。俺1人だけじゃ難しいかも知れない……でも、たかふみと一緒なら……!」

 

「ああ、そうだよおじさん! 俺たちなら視聴者たちを喜ばせられる! おじさんの“SE〇A”愛だって伝えられる! 話題になってどっかのサイトに記事が載れば視聴者はさらに増える! live配信で赤スパチャ飛んで最近また上がった税金への対策にもなる!」

 

「俺……やってみる!」

 

「……うん!!」

 

「おい、最後の方欲望溢れてるじゃんか……。結局、金じゃねえか……。ああもう! おじさんもハイになってないで現実を見てください! すごい嫌な予感がするんですけど!?」

 

 

――こうしておじさんの異世界配信が決まった。“SE〇A”の件を出しとけばおじさんは案外ちょろいと、これまでの経験が活かされた形だ。

――一先ず異世界転移初日の映像を記憶の精霊さんに出してもらって、良い具合にカメラに収めるところから始めよう。未来を想像して笑うおじさんと、おじさんの肩を揺すりながら何とか正気に戻そうとする藤宮を無視して、俺は機材の準備を始めることにした。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

【最近の】好きなYouT〇berを語るスレpart.56【技術高ぁ……】

 

324:名無しのおじさん

 Vチューバーは企業がバックに付いてたりするけど

 個人勢で動画編集やCG技術上手い奴ってすごいよなー

 

325:名無しのおじさん

 覚えればオレだって有名に……!と思っても実際はな

 

326:名無しのおじさん

 まーじで、その人の技術力が反映されるからな

 ある程度参考にするのが立体なら作業もしやすいだろうけど……

 

327:名無しのおじさん

 ただの二次絵をCGに落とし込むとか無☆理!

 上級者とか仕事にできるだろってレベル

 

328:名無しのおじさん

 そういう意味じゃ、おじさんのCG技術も地味に高いんだよな

 CG特有の違和感がほとんどねーもん

 

329:名無しのおじさん

 おじさんってどちらさん?

 

330:名無しのおじさん

 【異世界おじさん】チャンネルで色々やってる人。

 異世界行って魔法使えるようになったぜ!って設定でがんばってる

 

331:名無しのおじさん

 CGクリエイターの端くれだが、あの動画やばいぞ

 どう見てもCGに見えない

 ガチのマジで魔法なんだと信じはじめてる

 

332:名無しのおじさん

 妄想カワイソウ乙

 

333:名無しのおじさん

 そういやもうすぐ【異世界おじさん】3周年迎えるんだけど

 概要欄に記念でlive配信するって書いてあったわ

 キャストやCG使いまくって凄いこと挑戦しだすんだと

 

 

 




 次回からが本番。
 18時に投稿予定です。
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