ハリー・ポッターと予言の少女   作:桜寝子

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第23話 ギルデロイ・ロックハート

 翌朝、私達は揃って大広間へ。

 今日から本格的に新学期が始まる。

 

 朝食の並ぶテーブルに着くと、各々が好きな様に食べ始めた。

 

 原作ではハリーとロンはずっとしょんぼりしていたと思うけど、割といつも通りの2人に戻ってくれたようだ。

 特にハリーは物凄く反省しているらしく、何度も謝罪とお礼を言われた。なんだかむず痒い。

 勿論ハーマイオニーも一緒だ。昨夜寮に戻った時点で既にお説教を飛ばして満足してるらしい。

 

 ハーマイオニーと言えば……分かってはいたけど相当な注目を集めている。

 聞こえてくる会話からしても可愛いと評判だ。当然だね。

 女子からは頻繁に話し掛けられ褒められ、男子からは遠巻きに視線を沢山浴びせられ、随分と恥ずかしそうだった。

 

 それでも食事が始まる頃には、彼女もまたいつも通りになっていた。

 

「……ハーマイオニー、食べながら読書はどうかと思うよ」

 

「ごめんなさい……だってまだ読めてないんだもの。あとちょっとなの」

 

 いくら読書好きと言っても、ミルクの水差しに本を立て掛けて読みながら食事とは。

 その本のタイトルは『バンパイアとバッチリ船旅』……つまりロックハートの著書だ。

 どうやら夏休み最後の1週間も、読書より勉強に力を入れていたらしい。

 

「駄目でーす。私にだらしないとか言っておいてこれは許しません」

 

「あぁっ……」

 

 問答無用で私は本を奪い懐へしまう。

 ハーマイオニーの切なそうな声がか細く上がった。

 

「そんな夢中で読む程?」

 

「夢中って訳じゃ……アリスに言われてあの人の事は色々考えたけど、読まずに評価は出来ないじゃない。それに一応教科書だし……」

 

 若干呆れて私が訊ねると、ハーマイオニーは真面目に返してきた。

 いや、だからって食べながら読む理由にはなってないからね?

 

 そんなツッコミが喉まで出かかった所で、百を超えるだろう梟達が一斉に飛んできた。

 そのまま騒がしい生徒達に手紙や小包を落としていく。

 ネビルの頭にも大きめの荷物が降ってきた。

 

 さて、あの手紙が来るぞ。耳栓は無いから耐えるしか――

 

「ぶぁっ!?」

 

 ボケっと考えていたら、何やら大きな音と共に冷たい何かが顔にぶっかけられた。

 ミルクだ……なんで朝っぱらから白濁液まみれにされなきゃならないんだよ。

 顔はともかく、制服に染み込んだら最悪だぞ。

 

「うへぇ……」

 

「やだ、もう……」

 

 どうやら隣のハーマイオニーも少なからずぶっかけられたらしい。

 おい男子共、チラチラ見てんじゃないよ。

 

「エロール!」

 

 そんな私達に唯一反応しなかったロンは、叫びながら謎の毛玉……いや梟をミルクから引っ張り出す。

 どうやら気を失っている様で、何時ぞやの様にボトッとテーブルに落ちた。

 

「全く……その梟にやられるのは2回目だよ。まぁいいや、ハーマイオニーこっち向いて……テルジオ」

 

「ん、ありがとう」

 

 家の窓に続いて迷惑な梟だな。迷惑より先に可哀想という感情が湧いて来るけど。

 ひとまず私は呪文で念入りに綺麗にしておいた。ついでに制服にもスコージファイを掛けておく。

 

「大変だ……」

 

「大丈夫よ、まだ生きてるわ。本当に丈夫な子ね」

 

 息を呑むロンに対し、ハーマイオニーは呑気にエロールをチョンチョン突っついている。

 丈夫と言うかしぶといと言うか……

 

「そうじゃなくて……ママが……吠えメールを送ってきた……」

 

 ロンはか細い声で説明した。今にも手紙が爆発しそうだとばかりに見つめている。

 ハリーとハーマイオニーは何を言っているのか理解出来ていないようだ。

 と言っても私も原作知識で知っているだけで実際に見たのは初めてだ。真っ赤な封筒で存在感が凄い。

 

「ロン、早く開けないと凄く酷い事になるよ……」

 

 怖気づくロンへ、ネビルが近づいて来て恐々と囁いた。

 

「僕も婆ちゃんに1度送られたんだけど、放っておいたら……酷かったんだ」

 

 どうも言葉に出来ない程の酷い事になるらしい。

 気になるから逆に放っておいてみてほしい。

 

「あぁ、ほら! 早く開けて、きっと数分で終わるから!」

 

 尚も見つめ続けるロンへ、ネビルは慌てて畳み掛ける。

 なるほど、手紙から煙が出ている。本当に爆発するんだろうか。

 

 そこまで言われて、ようやくロンは震える手で赤い手紙を取り開き――

 瞬間、爆音としか言い様の無い大声が響いた。

 

 しまった遅れた……耳がぁっ……

 私達は揃って跳び上がり、慌てて耳を塞いで顔を顰める。

 

 

「――! 首を洗って待ってらっしゃい! 車が無くなっているのを見て――」

 

 そんな私達にはお構いなしに、手紙はただ叫んでいる。モリーさんの声を百倍に拡声してるんじゃなかろうか。

 食器はガチャガチャと揺れ、石の壁に声が反響して更に唸る。

 当然、大広間の全員が私達に……ロンに注目している。

 

「昨夜ダンブルドアから手紙が来て、恥ずかしさのあまり――」

 

 内容なんて碌に聞き取れやしない。これでちゃんと伝わるのか?

 耳が痛いどころか頭がグワングワンする。

 

「全く愛想が尽きました! お父さんは役所で尋問を――」

 

 お説教とも言えない怒声がまだまだ続く。

 当の2人はもう手紙と同じくらい真っ赤な顔で縮こまっているのでちゃんと伝わってるらしい。もしくは大勢からの注目の所為か。

 

「今度ちょっとでも規則を破ってごらん! 私達がお前をすぐ家に引っ張って帰ります!」

 

 そこまで叫ぶと、手紙は燃え上がって灰になり散っていった。

 

 ハリーとロンは呆然としたまま動けずにいる。

 静まり返った大広間は次第に騒めきが戻り、笑い声まで聞こえた。

 

「うぁぁー……くらくらするぅー」

 

 終わったのは良いけど、未だに頭が揺れている。なんという破壊力……

 こんなのを傍で聞かされたら文句を言っても許される筈だ。可哀想だから言わないでいてあげるけどさ。

 

「当然の報いを受けたって思うよな……くそ」

 

「分かってるならよろしい」

 

 ロンは真っ赤な顔のまま不貞腐れた様にボソリと呟き、ハーマイオニーはキッパリと答えた。厳しいねぇ……

 

 

 

 

 

 

 新学期最初の授業はハッフルパフとの合同で薬草学。

 

「やぁ、皆さん!」

 

 そして何故か私達を迎えるのはロックハート。

 

「スプラウト先生に暴れ柳の正しい治療法をお見せしていましてね! でも私の方が先生より知識があるだなんて誤解されては困りますよ? たまたま私、旅の途中で暴れ柳というエキゾチックな植物に出逢った事があるだけですから……」

 

 誰も聞いちゃいないのに勝手にペチャクチャ垂れ流している。

 いや、一部彼のファンが熱心に聞いているか……全く。

 

「皆、今日は3号温室へ!」

 

 片やスプラウト先生は普段の快活さは何処へやら、不機嫌なのが見え見えだった。

 お疲れ様です先生……

 

「ハリー! ハリーハリーハリー! 君と話したかった……スプラウト先生、彼が2、3分遅れてもお気になさいませんね?」

 

 私達がゾロゾロと温室へ向かう中、ロックハートが呼び止めた。

 先生のしかめっ面にはしっかりお気になさると書いてある……が、彼は言うだけ言って勝手にハリーを連れて行った。

 

 あぁ、ハリー……昨日と違ってこっちは緩衝材にもなってあげられないよ。頑張れ。

 きっと物凄く鬱陶しいセリフをこれでもかと叩きつけられているだろう。具体的には20行くらい。

 

 書店の時と言い、彼は何故ハリーにやたら絡むのか。

 他人の功績を奪ってきた彼にとって、魔法界の英雄であるハリーはこれ以上無い程に魅力的だ。

 だけど余りにも有名過ぎて手が出せない。だからせめて利用して自分の名声をより高めたい。そんな所だろう。

 全く、本当に鬱陶しい奴だ。私に気が向いてこないのが救いだな。

 

 

 

 その後……たった数分しか経っていないのに、ハリーは酷く疲れた顔で戻ってきた。

 しかしそれ以外は恙無く授業は過ぎ去った。

 

 いつも通りハーマイオニーが素晴らしくピンと伸びた挙手をして、教科書通りの素晴らしい答えを言う。

 原作では後の犠牲者であるジャスティン・フィンチ=フレッチリーの紹介を兼ねて、ハリー達と4人組で授業をするんだけど……残念ながら彼の出番は無さそうだ。

 

 なのでいつもの4人で一緒に作業を終えた。

 マンドレイクの植え替えはぶっちゃけキモかったけど耐えた。

 しかし予想以上に大変な作業で、誰も彼も汗まみれの泥まみれになって疲れ切ってしまった。初っ端からキツイ……

 まぁ、私達に限らず誰もマンドレイクの声を聞いてぶっ倒れる事が無かったのは幸いだ。

 

 え、ネビル? 未来の薬草学教授が耳当てを付け忘れる訳無いだろう。

 

 

 

 次の授業は変身術。

 コガネムシをボタンに変えるという課題だ。

 少なくとも私とハーマイオニーは何の問題も無い。

 

 しかしハリーはひたすら杖で追い掛け、虫を机の上でたっぷり運動させてやっただけだった。

 どうやら学年末にお爺様が言ってた通り、夏休みで頭はすっかり空っぽになってしまったようだ。

 

 そしてそれ以上に問題だったのがロン。

 車の事故で折れた杖はテープでなんとか繋いだみたいだけど、それでどうにかなる物じゃない。

 バチバチと火花を散らし、大量に煙を出しまくる。その煙がまた最悪で、腐った卵の臭いがするのだ。

 近くでそんな事をされたら堪ったもんじゃない。冗談抜きで辛かった。

 

 ちなみに彼は煙で見えなかったのか、コガネムシを潰してしまっていた。何もかもダメダメだな……

 

 

 その後の昼休み。そんなロンは癇癪を起こして杖を机に叩きつけ始めた。

 

「コイツめ! 役立たず! コンチクショー!」

 

 嫌になるのも分かるけど、杖が花火の様に弾けまくってるからやめてほしい。

 何が起きるか予想出来なくて怖いよ。

 

「家に手紙を書いて、別の杖を送ってもらえば? あるならだけど……」

 

「ある訳無いよ。ていうか、そんなのまた吠えメールが来るさ。『杖が折れたのはお前が悪いからでしょう』ってね」

 

 見かねたハリーが提案しても不貞腐れて返す。

 ロンはそのどうしようもない杖を放り出そうとして、ギリギリで鞄に押し込んだ。

 

 彼には悪いけど、1年我慢してもらおう。折れてなきゃロックハートに奪われた時に終わるからね。

 そういう展開になるかどうかは分からないけど。

 

 

 昼食を済ませると私達は中庭に出た。

 まだ時間があるからのんびりしよう。ついでにロンの気分転換にもなるかもしれない。

 

「午後の授業はなんだっけ?」

 

「闇の魔術に対する防衛術よ」

 

 ハリーが誰にともなく呟くと、ハーマイオニーが時間割を取り出して答えた。

 不安そうな様子だけど、まだほんのちょっぴりの期待が見える。何故だ……容姿か。イケメンだからか。クソが。

 原作の様に時間割をハートで囲んだりしてないだけマシか。

 

 私は思いっきり不安だと言おうとしたけれど、視界の端にとある生徒が見えたのでこっそりと動く。

 あれは1年生のコリン・クリービーだな。カメラを構えてハリーに熱い視線を送っている。

 彼も彼で中々な子だからな……

 

 どうやら写真を撮るにしても、声を掛けてからにしようかと悩んでいるらしい。

 カメラを覗いたり戻したりと忙しない。

 

 そんな風にジリジリと近づいて行く彼に、ハリーも遅れて気付いて顔を向けた。

 途端、慌てて写真を撮ろうと――

 

「ばぁー!」

 

「うわぁっ!?」

 

 彼がシャッターを押す瞬間、私は横から素早くカメラを覗き込んで満面の笑顔で驚かしてやった。

 

 盗撮は良く無いよ君。いや真正面から気付かれてるけど。

 ともかく、ちゃんと許可を取ってからにしなさい。

 

「どうしたんだ? えっと……君誰?」

 

「確かグリフィンドールの1年生の……」

 

 彼の悲鳴でロンとハーマイオニーも気付いた。

 誰だ何だと彼を囲む。いじめじゃないよ。

 

「盗撮君」

 

「違っ……いやでも、あう……」

 

 私がわざとバッサリ言うと彼は慌てたが、すぐに自分の行動を思い返して押し黙った。

 

「ていうか、こんな美少女をカメラに収めておいて『うわぁっ』って酷いなー」 

 

 たった1学年の差とは言え、年上に囲まれてビクビクしている彼を和ませようと冗談を言ってみる。

 半分くらいは本気だけどね。せっかく素晴らしい美少女スマイルを見せてやったのに。

 

「相変わらずね……実際可愛いけど」

 

「本当、その自己評価の高さはなんなんだよ……」

 

 ハーマイオニーとロンは溜息交じりに呆れていた。

 

 なんだと言われてもね……事実だもの。

 元男という、客観的と言っていい目線で見ての評価だ。

 

 て、そんな事は今はどうでもいいんだよ。

 

 

「あの、僕……僕、コリン・クリービーと言います……えっと……ハリー、写真を撮ってもいいですか?」

 

 冗談を言った意味はちゃんとあったようだ。

 彼は気を取り直し、おずおずとハリーに1歩近付いてそう言った。

 

「写真?」

 

「あなたに会った事を証明したいんです。僕、あなたの事はなんでも知ってます。皆に聞いて――」

 

 首を捻るハリーへ、コリンはひたすら好き勝手に喋り始めた。

 言ってる事もそうだけど、興奮して熱っぽく見つめながらというのがなんだか怖い。これはストーカーって奴じゃないだろうか。

 

 ハリーは口を挟む暇も無く黙って聞いているけど、嫌そうな顔を隠せていない。

 しかもそれに気付かないコリンはまだまだ喋り続けている。

 

「あなたの友達に撮ってもらえるなら、僕があなたと並んで立ってもいいですか? それから、写真にサインしてくれますか?」

 

 なんだかおかしな言い回しをする子だな……なんて、私はすっかり傍観者になっていた。

 そこへ更に鬱陶しい声が混ざってきた。

 

「サイン入り写真? ポッター、君はサイン入り写真を配ってるのかい?」

 

 一体いつから聞いていたのやら。マルフォイがニヤニヤと笑いながら、わざと大きな声で言う。

 

「皆並べよ! ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」

 

 今度は中庭の生徒達に呼び掛けた。

 久々にハリーを揶揄えるからか活き活きしてるな。夏休み中は寂しかったんだろうか。

 

「僕はそんな事してないぞ。黙れマルフォイ!」

 

 ハリーはいつも以上に怒っているのか、拳を震わせていた。

 どうやらコリンへの苛立ちをマルフォイにぶつけているらしい。

 

「君、やきもち妬いてるんだ」

 

 と、そんな当のコリンは極自然とマルフォイを煽り始めた。

 いや、そんなつもりさえ無いんだろうな。ある意味凄い。

 

「妬いてる? 何を? 僕は額に醜い傷なんて要らないね。頭をカチ割られる事で特別な人間になるなんて思いたくもないさ」

 

 怒鳴らなかったのが不思議なくらい、彼もまたイライラと返した。普段より5割増しに酷いセリフだ。

 しかしまぁ……実際そうだからこその反応だよね。彼は図星を突かれるとキツイ返しをするタイプだ。

 

 確か原作でもボージン・アンド・バークスで思いっきり嫉妬のセリフを言ってる描写があった筈。

 そもそも未来の彼自身が明かしちゃってるし。

 

 結局の所、何もかも両親の所為なんだよね。

 愛してるのは間違い無くとも、価値観を植え付けたり闇の魔法使いと繋げたり……

 だからこそ、そんな家族に反発する未来がまた良いんだけども。

 

 いやなんか話がズレたな。ていうかキャラクター設定で判断するなって、彼は現実の人間だってば。

 もしかしたら全然違う成長をするかも……て、そうじゃなくて……えーっと……

 

 

 なんて事を、ロンとマルフォイの言い合いを眺めながらボンヤリモヤモヤ考えていた。

 

「……なんだ? お前も何か言いたい事があるのか? いつもいつも眺めるだけじゃないか、アリス・ダンブルドア」

 

 じっと見ていた所為か、マルフォイは珍しく私に絡んで来た。

 本当に珍しいな……ていうか――

 

「あっ! 初めて私の名前呼んだ!」

 

 絡んでくると言うか、まず私は彼に呼ばれた事さえ無かった。

 だから別に言いたい事なんて無かったけど、思わずそんな反応を返してしまう。

 ちゃんと認識されてたんだな……なんかちょっと嬉しいぞ。

 

「だからなんだって言うんだ」

 

「別になんも無いけど……ていうかなんでフルネームなのさ。普通にアリスでいいじゃん」

 

「それこそ別にいいだろう。そんな距離感じゃないし、校長と同じダンブルドアと呼ぶのも変じゃないか」

 

「そりゃそうだけど……なんか寂しいじゃん」

 

「知った事か」

 

 更に珍しい事に会話が続く。

 こんなに彼と話したのも初めて……だっけ?

 

 つっけんどんな態度だけど、ハリーやロンと比べればまともな対応だ。

 本当に彼の中で私の扱いはどうなってるのやら。

 この際だから話を広げてみるか。

 

「そうだ、聞いておきたかったんだけど……なんで汽車で会った時、私の事を知ってたの?」

 

「今更だな、去年の話じゃないか。お前は1年ズレて生きてるのか?」

 

 ズレてないよ失礼な。ただ機会が無かっただけだよ。

 

「まぁいい……父上に色々と聞かされていただけだ。あのダンブルドアが態々養子に引き取るなんて、何かあるんじゃないかってね」

 

 馬鹿にしつつも一応は答えてくれた。

 そこは予想通りか。私自身も未だに疑問に思ってるくらいだからね。

 

 ハリーを近くで守る為、且つ私じゃなきゃいけない理由があるらしいけど……

 あんまりにもお爺様が言い辛そうだったから聞かなかったんだよね。

 本当になんなのか……まさかハリーみたいに予言に関わってるとか? いやいや、そんな物語の根本にまで関わるなんて……ねぇ? 

 

「それで随分と調べていた様だけど、お前についてはさっぱり分からないそうだ。何の情報も無いからマグル生まれだろうって事だけだな」

 

 私がちょっと思考を寄り道させてる間にも、彼はしっかり語ってくれていた。

 マルフォイ家ともなれば、狭い魔法界の事くらいは時間を掛ければ調べられるのか。

 その結果何も分からなかった、つまり魔法界には私に繋がる人や物が無かった、と。

 

「えぇ……私より私の事知ってるじゃん……」

 

 というか驚くのはそこだ。

 両親の事なんて考えもしなかったなぁ……そうかマグル生まれか。

 

 え、ヤバイじゃん。今年はマグル生まれが可哀想な年だよ?

 なんでこんな大勢居る中で言っちゃうんだよ馬鹿。

 

「ふん、お気楽な奴だな。いいか、ポッターやウィーズリーよりマシだってだけで、僕はお前だって気に入らないんだ。マグル生まれだろう捨て子の癖に、ダンブルドアの下で育ったからって優等生面で注目されて……いい気になるなよ」

 

 色々と勝手にショックを受けていると、マルフォイはこれまた初めて内心を明かしてくれた。随分な言い様だな。

 喧嘩する程じゃないだけで、結局やっぱり嫌われてるらしい。寂しい事だ。

 

「付かず離れず適度な距離を保っておけと父上に言われていなければ、お前にも手を出してやったさ。感謝するんだな」

 

 ほほう、今までの態度の理由はそれか。

 ていうか別に手を出してきても良いけどね。やり返したるわ。

 むしろそれはそれで青春の思い出になりそう……か?

 

「ふーん……残念。私としては友達になってあげてもいいんだけどな」

 

 ともかく、悪感情とは言え見せてくれたのなら私も応えよう。

 私は決して嫌ってはいないぞ、と笑顔で言ってやった。気に入らないのはこっちも同じだけど、久々に大人らしい対応をしてやるさ。

 

「はっ、要らないね」

 

 しかし彼には何も響かなかった様で、冷たく吐き捨てて去って行った。

 うーん……難しい奴だ。

 

 

「行っちゃった」

 

「よくマルフォイなんかとまともに会話出来るな」

 

 彼の背を見送っていると、後ろからロンに声を掛けられた。

 いや、君は会話する気さえ無いだけでしょ……

 

「あれ、ハリーは?」

 

「ロックハートに連れて行かれたよ」

 

 振り向いたらハリーが消えていた。

 謎に満足そうに恍惚としているコリンが居るだけだ。

 そうか連れて行かれたのか……またしても謎のお説教とも言えない話を垂れ流されてるんだろうな。お気の毒に……

 

「どうせ次の授業なんだし、私達も行きましょ」

 

「そうしよっか」

 

 可哀想なハリーを追って、私達も次の授業……ロックハートが待つ教室へと歩いた。

 あー……今から気が重い。

 

 

 

 

 

 

「――君の経歴では、今の段階でサイン入り写真を配るのは賢明とは言えないね。ハッキリ言って……ハリー、すこーし思い上がりだよ」

 

 教室の前まで来ると、そんな鬱陶しい声が聞こえた。

 嘘でしょ、まだ喋ってるの?

 

「その内、私の様に何処へ行くにも写真を1束準備しておく事が必要になる時が来るかもしれない。しかしですね……君はまだまだ、その段階ではないと思いますね」

 

 ロックハートはそう言って笑いながら教員用の部屋へ入って行った。

 本当に腹立つ奴だな……何かにつけて自分が上だとアピールしたくて堪らないんだろう。

 

 被害者のハリーは大股で机に向かうと、教科書扱いの本を壁の様に積んで突っ伏した。

 怒る気力さえ削られてるっぽい。

 

「お疲れ様」

 

 私達は揃ってハリーの居る机に並んだ。

 まだ少し早いからか、教室には他に誰も居ない。

 とりあえず労っておこう。大した意味は無いかもしれないけど。

 

「僕が……僕が何をしたって言うんだ……」

 

 突っ伏したままのハリーは恨み言を呟いた。

 きっと心の底から絞り出してるセリフだ。

 

「ロックハートもそうだけど……クリービーとジニーが出逢わないと良いな。2人でハリー・ポッター・ファンクラブを始めちゃうよ」

 

「やめてくれよ」

 

 しかしそれでもロンの冗談のお陰か、苦笑いで返せるだけ回復した様だ。

 

「いいじゃん、ファンクラブなんてあったら面白そうだよ」

 

 じゃあ私もそれに乗ってハリーの気分を変えてやろうか。

 もしそんな物が本当にあったら入ってやろう。

 

「アリスにはもうあるよ」

 

「は?」

 

 しかしなにやら聞き捨てならないセリフが返ってきた。

 なんですと?

 

「ちょっ、馬鹿、ハリー!」

 

「あ……しまった」

 

 慌てたロンが止めるが無意味だ。バッチリ聞いてる。

 

「え、私のファンクラブがあるの?」

 

「いや、あー……その……みたいな物、だよ」

 

 今更誤魔化そうとするな。

 そんなの聞いた事も無いんだけど……思いっきり非公認じゃないか。

 この反応からして内緒の話だったみたいだし。

 

「まぁ……アリスなら納得かしら。実際人気だものね」

 

「ハーマイオニーも知らなかったんだ?」

 

「知る訳無いでしょう。きっとどうせ、男子の中でこっそりやってるのね」

 

 うーむ……流石にこれは予想外。

 そりゃ、あえて人気者になろうとしてきたけど……そこまでか。

 男子連中は大丈夫か? ロリコンかよ。誰がロリだよ。

 

「そっか……なるほど……うへへ」

 

 しかしなんだろうな。嫌な気分ではない。

 困惑は間違い無いけど、嬉しさもある。人に認められる、良い感情を向けられるってのは気持ち良いもんだ。

 あぁ、なるほど。ロックハートよ、アンタの気持ちが少し分かったよ。

 

「喜んじゃった……」

 

「これで喜べるのがアリスだよな」

 

 ニヤニヤしながら授業の準備を進めていると、ハリーとロンは笑って安堵した。

 私が怒ってファンクラブを潰すとでも思ったのだろうか。

 そこまではしないのに……

 

「なんか、アリスってロックハートみたいだよな」

 

 そして聞き捨てならないセリフ第2弾がロンの口から飛び出してきた。

 

「なん……だと……?」

 

 あまりのショックで、私は取り出した本達をドサドサと落とす。

 私が……あんな奴に似てる……? 馬鹿な……そんな……

 

「あぁいや、えっと、良い意味で……」

 

「ほら、アリスも自信家だし、見た目も良いし、人気だし……ね?」

 

「……もう何も聞こえてないみたいよ」

 

 あんなナルシストで自己中心的で虚栄心塗れの犯罪者と……?

 くっ……でも全てを否定出来る気がしないのは何故だ。

 

 いや、似てるならそれこそああはなるまいと改められる筈だ。

 気を付けよう……いやでもだって私の場合ちゃんと事実だし……ちゃんと努力してるし……裏打ちされた自信だし……

 うぅ……ウザいとか思われてたらヤダなぁ……

 

 

 

 なんて、私が沈み込んで自己嫌悪をしている間に生徒は集まり授業が始まった。

 

「私だ」

 

 誰だ。帰れ。

 

「ギルデロイ・ロックハート。勲3等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして『週刊魔女』5回連続チャーミング・スマイル賞受賞……もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払った訳じゃありませんしね!」

 

 長い。帰れ。

 こんなのと似てるだって? 有り得ないわ、バーカバーカ。

 

 奴は掲げた自分の本の表紙……つまりウインクしてる写真に合わせて笑顔を振舞った。

 はっ……アレで賞が取れるなら私だって取れるね。私のチャーミング・スマイルを見せてやろうか。

 

 奴としては、ここで本来の意味である失笑を買うつもりだったのだろうけど……結果は間違った意味の方。お似合いだな。

 

「全員が私の本を全巻揃えたようだね。大変よろしい」

 

 私達の反応なんて意に介さず、奴は満足そうに頷いている。

 そりゃ誰かさんが教科書に指定しやがったからね。大変迷惑です。

 

「今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います。心配ご無用、君達がどのぐらい私の本を読んでいるか、覚えているかをチェックするだけですからね」

 

 そう言って奴はなにやら紙を配っていく。

 心配しかないよ。なんでチェックする必要があるんだ。

 はぁ……物語の中じゃ面白いキャラとか思ってたけど、実際関わるととんでもないな。もうやだ。

 

「30分です。よーい、始め!」

 

 そうしてテストとやらが始まった。

 無視は出来ないから、仕方なくやってやろうかね……

 

 

 第1問 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?

 第2問 ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望は何?

 第3問 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?

 ・

 ・

 第54問 ギルデロイ・ロックハートの誕生日はいつで、理想的な贈り物は何?

 

 

 くだらねー!!!

 

 おっと、危うく本当に叫ぶ所だった。

 あぁもう、心底破り捨ててやりたい。

 

 どっかの答えに、先生の忘却術の腕は素晴らしいです、とか書いてやろうか。いや、そんな事したら襲撃されるな……

 むしろそうさせて、女子生徒を襲ったと周知させる罠にしてやろうか。早々にご退場して頂ける良い案だ。

 

 まぁ、冗談はともかく……あームカつく。

 何がって、これでも授業扱いだという事だ。真面目に受けなければならない。

 しかも更にムカつくのが、ちゃんと一通り本を読んでるお陰で答えられてしまう事。

 

 全問正解は気分が悪いから、わざと適当な所で間違えておこう。

 はぁ……頭痛いなぁ……

 

 

 

 キッチリ30分後……答案は回収され、これまたキッチリと確認されていく。

 

「チッチッチッ……私の好きな色はライラック色だという事を、殆ど誰も覚えていないようだね。『雪男とゆっくり1年』の中でそう言っているのに」

 

 そうだね。

 

「それから『狼男との大いなる山歩き』をもう少ししっかり読まなければならない子も何人か居るようだ。第12章でハッキリ書いている様に、私の誕生日の理想的な贈り物は、魔法界と非魔法界のハーモニーですね」

 

 すごいね。

 

「もっとも……オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でもお断りは致しませんよ!」

 

 私はこの授業をお断り致したいよ。

 

 奴はまたしてもウインクをバチコンと決めた。

 極々一部を除いて、大概の生徒はもう呆れて何も言えないという様子。もしくはただの笑い物にされているか、だ。

 笑われている事にも気付いてないんだろうか。

 

「しかし――ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは良く出来ていますね。満点です! 素晴らしい! グリフィンドールに10点あげましょう!」

 

 思わず私は隣を見つめた。嘘でしょ……

 

「だって……一応授業だし……」

 

 ハーマイオニーは私の視線に気付いて、気まずそうに小声で答えてくれた。

 いや真面目か! 馬鹿が付く程に!

 

 彼女も私と同じで、ちゃんと読んだから覚えてしまっていたんだろう。

 せっかく正気でいたと思ったのに……いや別に悪い事じゃないんだけどさ……

 

 

「さてさて! では授業ですが……」

 

 満点の生徒が居た事が大層嬉しかったのか、ロックハートは満足気に話を切り替えた。

 そうして机の後ろから、布を掛けた大きな籠を取り出す。

 

「さぁ……気を付けて! 魔法界の中で最も穢れた生物と戦う術を授けるのが、私の役目なのです!」

 

 それを机の上に置くと、勿体ぶった……芝居がかった言い回しで何やら語り始めた。

 

「この教室で君達は、これまでに無い恐ろしい目に遭う事になるでしょう。ただし! 私がここに居る限り、何者も君達に危害を加える事は無いと思いたまえ。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう」

 

 こうも語られると、さっきまで呆れたり馬鹿にしていた生徒達も気になって注目してしまう。

 文才だけじゃなく話術もあるんだろうな……そうでもなければ、世界中を旅して事細かに話を聞き出せやしないか。

 

「どうか叫ばないで……連中を挑発してしまうかもしれないのでね」

 

 布に手を掛けつつ、息を殺す様に低い声で囁く。すると生徒達はゴクリと生唾を飲み込み、緊張が走った。

 うん……魔法を捨ててマグルの俳優にでもなったら紛れも無くスターになれただろうな。

 

「さぁどうだ、捕らえたばかりのピクシー小妖精だ!」

 

 現れたのは20センチくらいの青い妖精。軽く10匹以上は居るだろう。

 妖精といっても見た目はハッキリ言って醜い。とんがった顔でキーキーと甲高い声で喚いている。

 

 が、あれ程に語った割には拍子抜けだ。

 少なくない生徒がそう思って笑った。

 

「思い込みはいけません! 連中は厄介で危険な小悪魔になり得ますぞ!」

 

 この笑いはしっかり認識出来たらしい。

 ロックハートはまるで窘める様に指を振った。

 

 まぁ奴らがどれ程の脅威かは置いといて、実際に対面させるというのは授業としては良いと思う。

 それはあのルーピン先生だって取った手法だ。

 

 ただし、教師がしっかり管理と指導を出来るなら……だけど。

 

 

「さぁ、それでは……君達がピクシーをどう扱うのか、やってみましょう。お手並み拝見!」

 

 ロックハートは碌に指導もしないままにピクシー達を解き放った。

 

 途端、教室は大騒ぎ。

 ロケットの様に四方八方へ飛び出した奴らは、窓ガラスを突き破って破片を降らし、インク瓶を振り回し、本やノートを引き裂き……

 更には壁の写真を引っぺがし、ごみ箱をひっくり返し、手当たり次第に鞄を窓から放り投げる。

 

「さぁ捕まえなさい、たかがピクシーでしょう!」

 

 笑うくらいなら対処出来るんだろう、とでも言いたげな教える気の無い態度……なんだけど、聞いてるのが何人居るのやら。

 殆どの生徒は悲鳴を上げて逃げ惑い隠れるばかりだ。

 

「こりゃ大変だ……」

 

 そんな大惨事を眺めつつ、私は向かってくるピクシーを本で叩き落す作業をしていた。

 こんなもん、飛んで来る呪文やクィディッチのボール達に比べればどうって事無い。

 ハリーとロンだってちゃんと対抗してるし、滅茶苦茶に鞄を振り回してるだけとは言えハーマイオニーもだ。

 

 なんならネビルでさえピクシーを殴り飛ばして……え?

 あー……まぁいいか。よし。

 

 

 しかし誰も杖を抜かないのが気になる。君ら魔法使いですよ。

 私? 私はあえてだよ。

 

 やろうと思えば呪文1発で終わりだ。

 だけどこれはあくまで授業……どうであれ経験という糧になるのは間違い無い。

 だったらその機会を勝手に奪うのも良くはないだろう。どうしようも無くなったら手を出すさ。

 

「全く、仕方の無い子達ですね! ではお見せしましょう!」

 

 そしてどうしようも無い手を出してきたのはロックハート。

 余裕ぶって笑いながら、腕まくりして杖を振り上げ呪文らしきものを唱えた。

 

「ペスキピクシ・ペステルノミ!」

 

 何も起こらない。

 むしろ突き出した杖を颯爽と奪われ、窓の外へ放り投げられるオチ。

 これは流石の彼でもマズイと分かったのか、ひぇっ、と情けない声を上げ慌てて机の下へ隠れた。

 何やってんだか……そんなんでどうやって捕まえたんだよ。

 

「うわっ!? ちょっ……」

 

 呆れて眺めていた所為で注意が逸れてしまった。

 ひたすら叩き落としていたから怒っているのか、ピクシーが何匹も纏めて向かってきたのだ。何故かスカートに。

 いや本当になんでだよ! やめろ引っ張るな!

 

「やめっ……見える! 見えちゃうから!」

 

 予想以上に力が強く、私は両手で必死にスカートを押さえる。

 しまった、これじゃ杖が抜けないじゃないか。誰かー、助けてー!

 

「そこ! 眺めてないで助けてよ!」

 

「いやいや、眺めてなんかいないぞ」

 

「そうそう、別に見えそうだから見てる訳じゃないぞ」

 

 正面に居て何故か目が合ったシェーマスとディーンを睨んで叫ぶ。

 思いっきり期待してるじゃないか、堂々とし過ぎだろお前ら!

 

「この変態……じゃあハリー、ロン! ……目ぇ逸らすなコラァ!」

 

 パンチラを期待する変態共は置いといて、彼らなら助けてくれるだろうと振り返る。

 すると揃って目を逸らすだけで助けてくれない。

 

 お前らもか? お前らもパンチラ待機中か?

 どいつもこいつも男の子だなぁ、もうっ!

 

「ヘルプミーハーマイオニー! イモビラスだよ!」

 

 今更だけどなんで君は杖じゃなく鞄を振り回してるんだよ。

 夏休みにあれ程呪文を練習したじゃないか。

 

「はっ……そう、それよ! どの呪文ならって悩んじゃってたわ」

 

「詰め込み過ぎて呪文に悩んでちゃ意味無いよ!」

 

 流石にこれはツッコミを入れてしまった。

 この頭の良いお馬鹿め。

 

「ご、ごめんなさい……コホンッ、イモビラス!」

 

 ようやく呪文が唱えられ、部屋中のピクシーが動きを止めた。

 勿論スカートを引っ張っていた奴らも止まったので、1匹ずつ全力で殴り飛ばしておいた。スッキリした。

 

 

「はぁ……なんで私はこんなんばっかりなの?」

 

 とりあえず身嗜みを整え、大きな溜息を吐く。

 私のスカートは呪われてるのか? 

 

 たまにはハーマイオニーがこうなっても良いじゃないか。

 今や彼女だって可愛らしい下着だぞ。お披露目してしまえ。男子連中は大層喜ぶだろうよ。

 

「……そういう運命なんじゃない?」

 

「こんな運命あって堪るか!」

 

 投げやりな彼女の言葉に叫んで返しつつ、私は大人しくなったピクシーを纏めて魔法で籠に叩き込んだ。

 そのままガチャリ。はい解決。

 丁度良いタイミングで鐘の音も響いた。はい帰ろう。

 

「いやぁ、素晴らしい! 追い詰められた君達がどう対処して見せるのかと、私はわざと杖を奪われたのですがね……こうも見事にやってくれるとは! グリフィンドールに10点あげましょう!」

 

 さようなら。





【吠えメール】
送り主の声を封じ込め、百倍にしてお届けする怒りの手紙。
恐らくは真っ赤な封筒がそういう効果なのだと思われる。
実際他にも声を届ける手紙はあれど、大音量で叫ぶのはこの赤い物のみ。

内容を全て怒鳴り散らすので周囲にも筒抜けになる。
それがどんなに恥ずかしい事でも叫んでしまうので、受け取った人は手紙と同じく真っ赤になるだろう。

放置すると侮辱と呪いの言葉を浴びせた上に爆発するとかなんとか。

映画版では描写が変わっており、ロンを叱った後そのままジニーに向き直って入学のお祝いの言葉を優しく伝えた。
そして燃えて灰になるのではなく、自ら滅茶苦茶に破れて散った。



【テルジオ「Tergeo」】
スコージファイと並ぶ、掃除等に使う呪文。
詳細な区分は分からないが、こういった呪文は目的によっていくつかに別れるらしい。
こちらは拭き取る様な呪文になり、液体に使用している描写が殆ど。
他にもゴシゴシ呪文なる物もあるらしい。ブラシで擦る様な違いだろうか。

しっかり綺麗になるっぽいが、別にスコージファイでも良いのではと思ってしまう。
ただしこちらは人に使っても何の問題も無いという違いはある。



【ペスキピクシ・ペステルノミ「Peskipiksi Pesternomi」】
全てが不明な謎の呪文。恐らくはピクシーを大人しくさせる効果……?
何故か出来ると思っちゃっただけで、多分ちゃんとした呪文なのかもしれなくもない。

呪文ですらない何かを適当に叫んだだけの可能性すらあるが……
虚栄心の塊である彼だからこそ、そんな恥を掻くと分かってる真似はしないかも?
……と思ったが、普通に虚言癖があるのでやりかねないとも言える。どっちだろう。

しかし本当にどうやってピクシーを捕まえてきたのやら……彼に協力してくれる教師が居るとも思えないのだけど。
やはり上手く扱えないだけで、どうにかこうにか成功するまでこの呪文を唱えていたのだろうか。
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