ハリー・ポッターと予言の少女   作:桜寝子

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第37話 未来への先手

 そんなこんなで休日を過ごし夕食を終えた後。

 私は改めてお爺様とお母さん、スネイプと話すべく校長室へ向かった。

 もう外出禁止の時間は元に戻ったからね。

 

 一応反省会ではあるけど、それは割愛。

 本題は今後の事についてだ。

 

 今回は不特定多数の死者が出かねない危険な事件だった、且つ土壇場で明かして考え始めたから上手く動けなかった。

 

 だから今回程の危険が無いならまだなんとかなる……と信じたい。

 未来を全て共有するのはまだまだ悩ましいけど、先手は打てる。

 

 まずは今明かしても大丈夫だと思う情報を伝えて対策をしていこう。

 

 

「してアリスよ、これは確認なんじゃが……分霊箱は複数あるのじゃな?」

 

 話が進んだ所で、お爺様が真面目な顔で確認をしてきた。

 とっくに察してる事だし、これくらいは良いかな。

 そもそも原作でもこの事件で気付く訳だし。ちょっと詳しく明かしちゃおう。

 

「うん。リドルの日記、ゴーントの指輪、スリザリンのロケット、ハッフルパフのカップ、レイブンクローの髪飾りだね」

 

「5つ……何と言う事じゃ」

 

「正確にはあと2つ。ヴォルデモートが連れてる大きな蛇と……最後の1つは……まだ言えない」

 

 とは言えハリーがそうだというのはまだ伝えられない。

 多分お爺様なら気付いてるかもしれないけどね。蛇語の件とかで。

 

 だけどスネイプとお母さんにまで、ていうのはマズイ気がする。

 

「言えない? 貴様、それがどれだけ重要な情報か――」

 

「構わん。言えぬ理由があるのじゃろう……しかし7つか」

 

 不満そうにスネイプが身を乗り出し、それをお爺様が止めた。

 重要過ぎるから言えないんだよ……

 

「蛇は多分、まだ分霊箱じゃない。もう1つは彼も想定外に作ってしまったんだ。最初は自分含めて7つに魂を分けようとしてたみたい」

 

 ナギニは確か……ヴォルデモートが復活してからだった筈だ。

 いつから傍に居るのか知らないけど、もしかしたらまだ居ない可能性だってある。

 

 ハリーについては、想定外の分霊箱であるという事だけは伝えておこう。

 もしお爺様が気付いてないならヒントになる。

 

「ふむ……7は最も強い魔法数字じゃからな。あやつらしい考えじゃ」

 

 お爺様はその数の多さに呆れる様な、悲しむ様な表情で呟いた。

 

「あからさまに拘った物を選んでおるのもあやつらしい。となれば隠し場所にも拘っておるじゃろうな」

 

 そして分霊箱にされた物品の特別さから、どんどん予測を立てていく。

 隠し場所についても伝えてしまって良いだろう。

 さっさと処理出来るならそれに越した事は無い。

 

「髪飾りはホグワーツにあるよ。何の対策も無く必要の部屋に隠してある」

 

「ほう……」

 

 という訳で、最も身近且つ対策のされていない髪飾りから説明。

 これは今からでも破壊出来るだろう。

 それを聞いたお爺様はニヤリと笑った。

 

 私があの部屋を知っているというのも同時に伝わったけど……まぁこれは良いか。

 

「カップはレストレンジ家の金庫だから手が出せないと思う。厳重な対策もされてるし」

 

「厄介だな……他は?」

 

 続いて、まず手が出せないであろうカップ。

 グリンゴッツに盗みに入るってだけで相当な事だ。

 改めて考えると、それをやってのけたクィレルはヤバイな……いやあれは誘い出した様なもんか。

 

 まぁそれはともかく。気を取り直したのか、スネイプが一層険しい顔で唸った。

 正直髪飾り以外はどれも厄介なんだよねぇ……

 

「ロケットは死食い人の裏切りでもう何処かに……確か、ブラック邸」

 

 アレに関してはやたら複雑だったけど、とりあえず現時点ではあの屋敷にある筈だ。

 譲ってもらうにはどうするんだったっけ……

 

 しかし最初の厄介過ぎる隠し場所に行かなくて済むのは大きい。

 あの場所を放置するのも気持ち悪いから、いつか処理しなきゃかもしれないけど。

 

「ブラック……チッ」

 

 裏切り、ブラック、という所からかスネイプが一気に不機嫌になった。

 実際惜しい。シリウスの弟だし。

 ひとまず反応はせず流しておこう。怖いし。

 

「指輪はそのままゴーント家にある筈。だけど、これは絶対に直接触らないで。問答無用で即破壊しなきゃ」

 

「それだけ殊更に危険である、と?」

 

 こっちは確かただ置いてあるだけ……でも触れるか指に嵌めるかしたら終わりだ。

 私の真剣な様子からお母さんが追及してきた。

 あれの危険性はしっかり伝えるべきだろう。

 

「……多分触ったら呪われて死んじゃう」

 

「うむ……心得よう」

 

 お爺様を亡くすのは私には耐えられるか分からない。いや、他の誰でもそうだけど。

 それくらい皆が大きな存在なんだ。だから護りたい。

 そのお爺様は私の目を見て、深く頷いてくれた。

 

「絶対! 絶対だよ! あ、でも嵌ってる石は回収して!」

 

「……なにやら重要な事のようじゃの」

 

 追加で念押ししつつ、即破壊して蘇りの石まで壊れたらマズイと思い直した。

 あれは回収しなきゃダメだ。多分。一応。

 

 そしてそれこそが原作でお爺様が呪われた原因。石の誘惑に勝てなかった。

 でもこれだけ警戒を伝えれば大丈夫……と信じたい。

 

 

「では、日記は破壊済みとして除外……髪飾りはすぐにでも破壊出来るでしょうから、残り5つ……」

 

「ゴーント家はもう誰も居らぬ。乗り込む事は出来るじゃろう」

 

「ならば問題はカップとロケットですな」

 

 そこまで話せば、もう皆でサクサクと纏まっていく。

 頼りになるぅ……話が早い。

 

「金庫には早々手は出せん……後回しにせざるを得ないのう」

 

「となるとロケットは」

 

「それも今は無理じゃろうな。ブラック邸に出入り出来る者が居れば別じゃが……」

 

「所縁の者を連れて行くにしても怪し過ぎますな」

 

「ではどちらも現状は無理、という事ですね」

 

 金庫は原作の成長したハリー達でさえ、ポリジュース薬や服従の呪文を駆使してなんとかギリギリ。というか大騒ぎだった。

 流石のお爺様でも隠密に済ませるのは無理なのだろう。

 

 そしてブラック邸……私の知識には無いけど、今は出入りが難しいらしい。

 騎士団本部に使う前ってどんな状態だったのやら。

 スネイプなら死食い人の繋がりか何かで関係者を連れて行く事は出来るかもしれないけど、その理由だとかが誤魔化せないのか。

 

 いや、待てよ?

 

「ブラック邸は……もしかしたら、早ければ来年にでも行けるかも」

 

「と言いますと?」

 

 丁度良い事に、来年はあの事件だ。

 そう口を挟んだ私にお母さんが訊ねた。

 

 一応来年の対策にもなるし、このまま話してしまおう。

 

「シリウス・ブラックが脱獄する」

 

「――っ!」

 

 とりあえず一番大きな事から話すと、スネイプが凄まじい形相で立ち上がった。

 怖っ……睨まないでよ……

 

 お爺様は分かりづらいけど、お母さんも驚いている。

 アズカバンからどうやって……て言いたいのが分かる。

 

 でもその方法は後回しにして、まずはあの恐ろしい人を鎮めよう。

 

「先に言っておくけど、彼は無実だよ」

 

「ふざけるなっ! そんな事が――」

 

「お、落ち着いて! 本当の裏切り者はピーター・ペティグリューなの!」

 

 全然ダメだった。

 スネイプはもう私に掴み掛らんばかりに迫ってくる。怖いって……

 

 勢いでペティグリューの事を言っちゃったけど、もうこのまま話していこう。

 

「奴は爆散した筈だ。他ならぬブラックの手によって」

 

 ひとまず冷静に聞いてくれないかな……せめて私を睨まないでほしい。

 

「小指だけ残して、ね。本当は切り落として逃げたんだよ。シリウスは自分を囮に、ペティグリューへ秘密を託したの……だけど彼は既に寝返ってた」

 

 出来るだけスネイプを刺激しない様にゆっくり説明。

 

 小指だけ残して爆散と言うとおかしな話に聞こえるけど、実際は辛うじて指1本だけは判別出来た……って意味だろう。

 クレーターが出来る程の爆発で12人ものマグルを巻き込んでるんだ。

 散らばったエグイ諸々の中で、どれが誰の何かさえ分からなかったのかもしれない。

 

 だから誰も疑問に思わなかった。

 なんなら当時は裁判も無しにシリウスを投獄したそうだし、詳細な調査さえしてない可能性も充分ある。

 

「裏切りを知ったシリウスに追い詰められながらも、全ての罪を被せて逃げたんだ」

 

「まさか彼が……あぁ、なんてこと……」

 

 お母さんは思い詰めた様な、悲痛な表情で俯いた。

 確かあの世代は教え子だったんだもんね。その教え子が裏切ったと信じて、犠牲を悲しんで……なのに真実は逆だった。

 辛い立場なんだろうな……無実のシリウスをアズカバンに見送った罪悪感とかもあるんだろう。

 

「……そこまで言うのなら、逃げ延びた方法も知っておるのだろうな?」

 

「動物もどき。それも小さな動物だったから、爆発に紛れて逃げられた」

 

 若干落ち着いてくれたスネイプに追加で説明。

 ちょっと悩ましいけどこれも伝えてしまおう。

 

「そんな、いつの間に……」

 

「学生時代に揃ってこっそり習得したみたいだよ。誰かさんの為に」

 

 そんな高度な魔法をいつ習得したのか……変身術を教えていたお母さんとしては疑問に思って当然だ。

 それ程に優秀だったのかという驚きもあるかもしれない。

 

 この事情はルーピン先生としては秘密にしたい事だった気がするけど……ごめん、バラしちゃうね。

 

「シリウスが脱獄出来るのも動物もどきだから。動物なら吸魂鬼に耐えられるとかなんとか……」

 

「そもそも正気では居られない筈です。魔法を使える様な状態では……」

 

「それだけ精神力が凄いんじゃないかな。自分は無実だ、って……後悔と復讐だけを考えて……」

 

 信じられない、と尚も驚き続けるお母さん。

 正直、彼の途轍もない精神力があってこそだと思う。

 アズカバンだって人の目はある。常に犬の姿のままでは居られないんだから。

 

 仮にシリウス以外の動物もどきが居たとして、脱獄出来るかって言うと……微妙じゃなかろうか。

 そもそも北海を泳いで渡るとかいう訳分からん事してるし。

 

「復讐……どうやってか獄中でペティグリューの所在を知り、脱獄する訳じゃな」

 

「そう。だから彼を悪人としては扱わないで」

 

 お爺様に頷きを返しつつ、スネイプに一応お願いをしておく。多分無意味だと思うけど……

 だってスネイプが恨む理由は悪人どうこうとか関係無いし。

 

 でもその事情を私が知ってるという事は流石に言えない。知られたくもないだろう。

 

「私の知る未来で彼は味方、むしろハリーの親代わりとして物凄く大きな存在になる」

 

「……チッ」

 

 それでも念押ししておこう。せっかく未来が変わるんだ、ほんの少しだけでも不和が解消出来たら良い。

 ぶっちゃけ出来る気はしないけど……今こうして飲み込んでくれただけでも充分だ。物凄い表情だけど。

 

「まぁ、直近の事で今言えるのはとりあえずこんなもんかな。私も全部を全部覚えてる訳じゃなくて断片的だから……他にも伝えるべきだと思った事は追加していくよ」

 

 ひとまず今覚えてる範囲で伝えておきたい事はこれくらいだろう。

 多分後から色々思い出すと思うけど。

 まぁまぁ、本来はそれらを知らない訳だから……これだけでも充分に意味はある、筈。

 

 

「で、それで今思い付いたんだけど……お願い、私に動物もどきを教えて。勿論、魔法省には内緒で」

 

 そしてふと思った。私も動物もどきを習得すればめっちゃ活用出来るのでは?

 

「これから先の未来、動物もどきになれたら便利だと思うから。お爺様とお母さんに教えて貰えればなんとか……ならないかな?」

 

 ただでさえ便利なのに、恐らく私なら不死鳥に変身する事になる。多分ね。

 不死鳥の能力が使えるかは分からないけど、飛べるってだけでとんでもない。

 

 なにより変身術に物凄く優れた2人がここに居る。手伝って貰えばイケるんじゃないか?

 

「……正直とても厳しいでしょう。既に守護霊の呪文を完璧に扱えるあなたでも、相当な覚悟で臨まなければなりません」

 

 唐突な提案に驚いていたお母さんは、渋い顔で答えた。

 どうやら思っていた以上に難しいらしい。実際に習得してるお母さんがここまで言うなら疑うまでもないだろう。

 

「うぅむ……流石においそれと承諾出来る様な魔法ではないがのぅ……」

 

 チラリとお爺様を見ると、こっちも渋い顔。

 そんなにか……

 

「でもワガドゥだと14歳で習得するんでしょ?」

 

「環境が違い過ぎます。そもそもどれ程大変な過程になるか分かっているのですか?」

 

「なんとなく……」

 

 相当甘い考えだったんだろう。厳しい目で見られてしまい、私は縮こまってしまった。

 正直その過程も詳細までは知らないくらいだ。

 

 でも便利だと思うしなぁ……どうにかならないかな。

 

「……ともあれ有用性があるのは確かかと。彼女の持つ情報を護る為にも、動物もどきという手を隠しておくのは賛成ですな」

 

 だんまりだったスネイプがまさかの援護。

 先生っ……そのまま説得お願い!

 

「習得出来るかどうかはともかく……ではありますがね」

 

 期待を込めて見つめると嘲る様な目で笑われた。

 援護してくれたと思ったらこれだよ。

 

 お前に習得出来んの? あ?

 みたいなセリフが聞こえてくる気がする。

 

「有用なのは分かっています。魔法戦争の頃は私も存分に活用しましたからね」

 

「ならばこそ、今後に活きるとも言えるじゃろう。恐らくは第2の魔法戦争になり得るのじゃからな」

 

 お爺様は若干揺らいでくれているようだ。

 言ってる通り、お母さんが実際に活用していたからこそだろう。

 

「そう、ですね……ではやるだけやってみましょう。アリス、少しでも無理だと判断したら即止めますからね」

 

「ありがとう!」

 

 そんなお爺様の言葉のお陰か、お母さんは溜息を吐いてそう言った。

 よし! これで無事に習得出来たなら、私の行動の幅は相当大きくなる。

 どうなるか分からない未来の為にも、手段は増やしてナンボだ。

 

 

「しかしアレは本当に手間じゃからの。学校生活の中では不可能じゃろう……夏休み、それも機会は1回だけじゃ。失敗すれば更に次の夏休みまで待たねばならん」

 

 長期の休みでどうにか1回のチャンスか……確か何かの葉っぱを、満月から満月まで1ヶ月間も口に含むんだったよね。

 だから失敗したら次の満月まで待たないと再挑戦も出来ない。そうなると新学期に入ってしまう。

 

「その間は正直まともに口を開く事も出来ません。いつもの鍛錬の方はほぼ無言呪文になるでしょう」

 

「それはそれで良い鍛錬になるが……ならば合わせて閉心術の習得も進めるとしよう」

 

「えっ」

 

 続いてお母さんの忠告を聞いて、スネイプが大変な事を言い出した。

 

 呪文を唱えるのも難しい状態なら、それは逆に無言呪文の鍛錬に集中出来るという事でもある。

 うん、それは分かる。有意義なのも分かる。だからってどうして閉心術まで……

 

「貴様は自分の抱える情報がどれ程大きな物か分かっているのかね? 絶対に誰にも明かしてはならん……心を読まれるなどもっての外だ。対策はしなければなるまい」

 

 驚く私にスネイプは怪訝な顔で言った。

 うん、それもそれで分かる。私の知る情報は絶対の秘密だ、万が一もあっちゃいけない。

 でも詰め込み過ぎじゃない?

 

「あれも杖や呪文の必要は無い。吾輩自ら叩き込んでくれよう」

 

「え……学校の課題をやりつつ、動物もどきの習得をしながら無言呪文の鍛錬して、閉心術まで……?」

 

 キッパリ言い切ったスネイプに、お爺様とお母さんも頷きを返している。

 さっきは動物もどきの難易度がどうとか言ってたのに……こっちの難易度には何も言わないのね。

 

「今度の夏休みは大変な事になりますね。頑張るのですよアリス」

 

「え」

 

 元はと言えば、私の提案が始まりではあるけど……

 なんか凄い事になっちゃった。やり切れるのか……? 私に。

 

 

「しかし吾輩としては、魔法省に内密でと言った事が気になりますな」

 

「そうじゃの……それがどれ程重い罪になるか、アリスも分かっておるのじゃろう?」

 

「う」

 

 呆然とする私を置いてそのまま話が切り替わり、魔法省について追及された。

 特に考えもせず言っちゃったからなぁ……それだけあそこに不信感がある訳だけど。

 

「つまり、魔法省に隠さなければならない理由がある……と?」

 

「あぅ」

 

 お母さんにも詰められた。

 これ説明して良いかな……どうかな。良いか。

 

「閉心術はともかく、この分かりやすさをどうにかせねばならんかのぅ……」

 

 それは無理な気がする。

 

「魔法省は敵なのだな?」

 

「……今は知らない」

 

 険しい顔で詰め寄るスネイプにモゴモゴと返す。

 腐ってはいるけど、少なくとも今は大丈夫。多分。良く知らないから言い切れない。

 

「では今後敵になり得るのだな?」

 

「……多分。乗っ取られたりとか……」

 

 でもって後々に制圧されてしまうのは事実。

 全体が敵に回る程ではないけど、一部の人は便乗したりして好き放題し始める。

 

「ふむ……魔法省を掌握されては情報は筒抜けじゃ。動きづらいなんてものではない」

 

「そこで隠してあった手が使える訳ですね。では尚更、習得の為に私も手を尽くさなければ」

 

「取れる手段が多いに越した事はないからの。わしも分霊箱の対処をしつつ、アリスを支えるとしよう」

 

 言っちゃ悪いけど、動物もどきは秘匿してこそ真価を発揮すると見てる。

 あぁ……それこそ万が一にも知られないように閉心術を学んでおいた方が良いか。

 

 なにはともあれ、半年先の夏休みは大変な予定に決まったようだ。

 

「……頑張ります」

 

 頑張ろう。とにかく頑張るしかない……けど……

 呪文も碌に唱えられない様な口の状態だと食事だってまともに摂れないんだぞ。

 しかも動物もどきの習得の1つに、夜明けにどうとかもあった筈だから睡眠時間さえ削られる。

 

 それでこんな超過密な鍛錬って確実に体に負担が掛かるじゃん。

 え……私の成長期……そろそろ肉体的に成長したいんですけど……?





【ブラック邸】
先祖代々引き継がれてきた、グリモールド・プレイス12番地にある豪華な屋敷。
ずっと昔、ブラック家が「自分達に相応しい美しい家」を求めてマグルから魔法で強奪したらしい。
マグルには見えず、11番地と13番地が隣り合っている番号間違いの不思議な場所扱い。

あらゆるセキュリティ対策がとことん施されているとか。
それが具体的にどういう物なのかは不明だが、そこに加えてダンブルドアが秘密の守り人になる事で更に厳重な隠れ家となった。

不死鳥の騎士団の本部として使われる前の状態は詳細不明。
誰も居なくなった屋敷をクリーチャー1人で管理し続けていたという事くらい。


グリモールド・プレイス12番地をどれくらいの人が知っていたのか?
王族並みの立場だったらしいブラック家ともなれば、屋敷の場所くらいは知られていてもおかしくはない。
そもそも相当数の家にブラック家の血が流れているという設定上、どうしたって隠し通せないだろう。
少なくともダンブルドアより以前に秘密の守り人は居ないと思われるし。

なら騎士団本部になる前なら、魔法族の誰でも見つけられるのか? 見つけたとして入る事が出来るのか?
上記のセキュリティの1つとして魔法で鍵を掛けているそうだが、それくらいしか情報が見当たらなかった。


なのでここでは、知られてはいるものの今はブラック家のみが入れる状態である、という設定にした。
物語として後回しの方が良さそうなので。
というか乗り込んだとしてもクリーチャーとのやり取りが始まるし、詰め込み過ぎても仕方ない。


ちなみに現時点で存命のブラック家は、シリウスは勿論の事……ベラトリックス・レストレンジ、アンドロメダ・トンクス、ナルシッサ・マルフォイ。
彼女達は旧姓ブラックの3姉妹、シリウスのいとこ。

この屋敷以外にも住居があったのかは不明。
親戚も全員纏めて暮らしていたのだろうか。



【動物もどき】
アニメーガス。杖も呪文も使わず自由自在に動物へ変身する魔法。
相当な忍耐力と実力が必要になる上、習得方法がやたら手間、しかも失敗すると悲惨な事故が起きる。
更に、好みの動物に変身出来る訳でも無い。何になるかは分からない……が、一応守護霊と同じになる可能性が高い。確実と言える程の例は無い、というかそういう設定が明かされているだけで作中では誰も知らない筈。

そんな訳で、習得しようとする魔法使いはあまり多くない。
とは言え便利なのは事実。隠密活動が出来るし、姿によっては行動出来る幅が大きくなる。

しかし喋る事は出来ず、感情が若干抑制される。
半面、そのお陰で吸魂鬼が感情を吸い取れなくなる。

服も一緒に変身出来るので裸になる事は無い。
ただし身体的特徴や装飾品が姿に反映される場合がある。



複雑とされるその習得方法は……

まず満月から満月までの1ヶ月間、マンドレイクの葉を口に含み続ける。汚い。
食事の時も寝る時もであろうし、飲み込んだり吐き出したらやり直し。のっけから大変。
魔法で接着とかするのかもしれない。

1ヶ月後、満月の夜に葉を取り出し、瓶に入れて唾液に浸し、月光に照らす。絶対臭い。
曇っていたら最初からやり直し。は?

次に自身の頭髪1本と7日間日光に当たっていない露を小さじ1杯、ドクロメンガタスズメの繭を瓶に加える。
瓶を暗所で静かな、誰にも触れられない場所に置く。覗き見たり、日光を当ててはいけない。

そして杖を心臓に向け、アマト・アニモ・アニマト・アニメーガスという呪文を唱える。
これは雷雨が来るまで、毎日夜明けと日没に行う。
すぐに天気が荒れたらラッキー?

そうして雷雨になった時、成功していれば赤い魔法薬に変わっている。
ここでようやく一安心。広く安全な場所へ移り、再度呪文を唱えてから薬を飲み干す。

これにて終了。変身が失敗しない事を祈ろう。



こんなのをジェームズとシリウス、おまけにペティグリューは学生時代にこっそり達成している。
ただし彼らでも3年を費やし、習得時は5年生だったらしい。それでも独学なのだからとんでもない事だろう。

抜きん出て優秀と言われている2人はともかく、ペティグリューはどうやって……と思うが、ジェームズとシリウスがとことん世話を焼いて習得したそうだ。
そもそも描写を見る限り、ナメられまくってるだけで実際は彼も充分に優秀ではあるが。


マクゴナガルはダンブルドアの指導の下、17歳で習得した。
これはあくまで変身術を極める内の1つだったとか。
ダンブルドアは何故習得しなかったのだろうか……

ちなみにアフリカの魔法学校、ワガドゥでは14歳でアニメ―ガスを習得する。
杖を使わなかったりと、どうにも環境や体系が全く違うようだ。


変身した姿に関しては、絶滅した動物や魔法生物の姿は確認されていない。
偶然なのか不可能なのか、そもそもの数が少ない為判断が出来ないようだ。

もしダンブルドアが習得していたなら、守護霊と同じ不死鳥になっていたと思われるが……あくまで可能性でしかない。
仮に魔法生物に変身出来たとしても、その能力をどれ程扱えるのかも分からない。


習得が危険である事と悪用し放題な事から、魔法省が厳しく管理しようとしている。
詳細を記した登録簿があるが、20世紀中に登録されたのはたったの7人。
まぁこっそりやってるのが殆どだと思われる。バレたらアズカバン。

なお、アニメ―ガスではなく変身術で動物になる事も可能ではあるが……
人間としての思考は消え、自力で戻る事も出来ない。
流石、ゲームで即死呪文扱いにもなる。
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