ハリー・ポッターと予言の少女   作:桜寝子

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最初に少しだけハリー視点。
思ったより長くなったので2話に分割します。お陰で前半は大した見所無し……


第47話 ホグワーツ特急へ

 夏休み最終日の夕食は楽しかった。

 亭主のトムが食堂のテーブルを3つ繋げてくれて、ウィーズリー家にハーマイオニー、アリス、そして僕の大勢で囲んだ。

 しかも豪勢なフルコース。あんまりにも美味しくて楽しくて、皆次々に平らげてしまった。

 小食な筈のアリスでさえがっついてたくらいで……いや、あれは無理して食べてたかもしれない。ウィーズリー家と合流した後にまた身長の話が出てたから。

 

 僕が魔法を使っておばさんを膨らませちゃった話も無駄に膨らんだけど、それは置いておこうかな。

 去年はドビーの魔法で警告を受けたのに、実際に使った今回は何の問題も無く見逃された……ってのは気になってるけどね。

 

 食後も賑やかに過ごした。

 それでも明日から新学期、荷物の最終確認もあるし遅くまで起きてはいられない。

 時間が経つにつれ1人また1人と部屋へ戻って行った。

 

 そうして確認を済ませた頃、隣からパーシーの怒鳴り声が聞こえて部屋を出た。

 どうやら首席バッジが失くなったみたいで、相部屋のロンと口論していた……けど、とりあえずスルーした。

 近くに双子が隠れて笑っていたので、犯人は彼らだろう。

 

 そのままちょっと歩くと、今度は下の食堂からアーサーさんとモリーさんの口論が聞こえてきた。

 本当に賑やかな家族だ。

 

 戻ろうとも思ったけどその口論の内容が少し気になったから思わず聞き耳を立ててしまった。

 なんせ僕の事を話していたもんだから。

 

「――教えないなんて馬鹿な話があるか。彼には知る権利がある、そう何度も言ったのにファッジは譲らないんだ。ハリーを子供扱いしてる……彼はもう13歳だ」

 

「本当の事を言ったらあの子は怖がるだけです! ハリーがあんな事を引き摺ったまま学校に戻る方が良いって、本気で言ってるの? とんでもない! ハリーは知らない方が幸せなのよ!」

 

「そういう訳じゃない。私はあの子に、自分自身で警戒させたいだけなんだ」

 

 食堂のドアに近づいてみるとハッキリ聞こえるようになった。

 なんだろう……何を話してるんだ?

 

「ハリーやロンがどんな子か、母さんも知ってるだろう。何処で何をするか……今学期はそんな事しちゃいかんのだ! ハリーが家を飛び出したあの夜、『夜の騎士バス』があの子を拾っていなければどうなっていたか! 魔法省が発見する前に死んでいただろう!」

 

「でも、だからってわざわざ……」

 

「母さん……シリウス・ブラックは狂人だ。しかもアズカバンから脱獄する力がある。不可能と言われていた脱獄だぞ。もう3週間も経つのに誰1人足跡さえ掴めない」

 

 なんだか2人ともだいぶ熱くなってるみたいだけど……

 シリウス・ブラックと僕がなんだって言うんだ?

 

「ファッジがどれだけ世間に言おうと、事実我々がブラックを捕まえられる見込みは薄いのだよ。1つだけハッキリ掴んでいるのは、奴の狙いが――」

 

「ホグワーツに居れば絶対安全ですわ!」

 

「我々はアズカバンも絶対間違い無いと思っていたんだ! だけどそれを破れるなら、ホグワーツだって入れるだろう」

 

「でも、本当かは分からないじゃありませんか!」

 

「モリー、何度言えば分かるんだね!」

 

 相当に白熱してる。

 アーサーさんが遂に机を叩きだした。

 

「ブラックが脱獄した夜、ファッジはアズカバンへ視察に行っていたんだ……看守の報告があった。奴が『アイツはホグワーツに居る』と何度も寝言で繰り返していると!」

 

 シリウス・ブラックはホグワーツに何か目的があるらしい……いや、流石にもう察しは付く。

 

「奴はハリーの死を望んでいるんだ。ハリーを殺せば『例のあの人』が復権すると思ってるんだ。12年間もそうして……」

 

「でもダンブルドアの事をお忘れよ。ダンブルドアが居ればホグワーツでハリーを傷付けるなんて出来やしない……彼も全てご存じなんでしょう?」

 

「勿論知っていらっしゃる。アズカバンの看守を学校に配備して良いか、お伺いを立てなければならなかったしね。ご不満ではあったが、同意して頂けた」

 

「不満? ブラックを捕まえる為なのに、何が不満なんですか」

 

「ダンブルドアは看守達がお嫌いなんだ……まぁ、言ってしまえば私だって嫌いだ。しかしブラックの様な奴を相手にするなら、嫌な連中とも手を組まなければならん」

 

 やっぱりだった。シリウス・ブラックは僕を狙ってる……これで謎が解けた。

 ファッジ大臣は僕が無事だったのを見て安堵したから甘かったんだ。魔法を使った事なんてどうでもいいくらいに。

 

 新学期までここに留まるように言ったのも、ここなら大人の魔法使いが沢山居るからだ。

 明日わざわざ魔法省の車で駅まで送ってくれるのも、汽車に乗るまで見守る為なんだ。

 

「……そうね、アーサー。分かったわ、あなたが正しいと思う事をなさって」

 

「ふぅ……母さん、もう夜も遅い。そろそろ休もうか……」

 

 アーサーさんは大きな溜息を吐いた。同時に席を立つ音も聞こえた。

 しまった、呑気に考え事してる場合じゃない。早く離れよう。

 僕が聞いていたなんて知ったらどうなるか。

 

 

 そうして僕は出来るだけ静かに部屋へ戻った。

 未だに大騒ぎしてるパーシー達は大丈夫だろうか……まぁいいか。

 

 部屋に入って鍵を掛けベッドに潜り込む。

 暗い天井を見上げながら、改めて考えてみた。

 

 思わぬ話が聞けたお陰で色々理解出来た。だけど、不思議と恐ろしいとは感じない。

 一番安全な場所はダンブルドアの居る所だ。ヴォルデモートでさえ恐れた人なのだから、その部下のブラックだって恐れるだろう。

 それにアズカバンの看守とやらも居る。ブラックが学校内に入る可能性は殆ど無い筈だ。

 

 そんな事よりも、だ。

 ホグズミードに行ける見込みが無いという事の方がよっぽど困る。

 

 許可証のサインが無いとか以前に、そんな状況ならホグワーツという安全地帯から僕を出すつもりは無いだろう。

 それどころか、危険が去るまで誰もが僕を監視するだろう。

 

 僕が自分で自分の面倒を見られないとでも思ってるのか。

 皆が恐れるヴォルデモートと、1年生の時に対峙した。

 去年はヴォルデモートの過去であるリドルと対峙した。

 それで結局何をしたんだと言われると痛いけど……でも、怯えて引き籠って、守ってくれる大人に縋る程ヤワじゃないつもりだ。

 

 僕はもう子供じゃない……子供じゃないんだ。

 僕は殺されたりしないぞ。

 

 

 

 

 

 

 翌朝、私はハーマイオニーに叩き起こされて目を覚ました。

 うぅむ……過酷な生活から解放されて1週間、のんびりし過ぎて起きれなくなってるかもしれない。

 

 相部屋だった彼女はもうとっくに支度を終えているようだ。

 とりあえず私も早くしなければ。全員揃って魔法省の車に乗って行くのだから遅れる訳にはいかない。

 

 そうしてササッと顔を洗ってから手早く着替えていくと、やたらとハーマイオニーが見てきた。

 

「……昨日も思ったけど、背は伸びてないのに胸は多少育ったのね」

 

 そして中々な事を言い出した。

 何を観察しとんねん。

 

「いきなりだね……まぁ大きくなったのは事実だけど。ちょっとだけ」

 

 苦笑いを返しながら服を着て、確認するかの様に胸に手を当てる。

 そう、これでも一応成長はしているのだ。一応……まぁ……微増。

 

 しかし遠慮無く着替えてたのは私だけど、だからってマジマジと見られるのは恥ずかしい。

 ていうか彼女がそんな事を話題にするとはあんまり予想してなかった。

 

「でも体重は落ちちゃったのに幸いな事だよ」

 

 多少ぷにぷにしていた筈の体は瘦せてしまった。良いか悪いかで言えば、とりあえず良い方ではあるんだけど……

 とにかく幸いとしか言えないだろう。

 

「世の女の子が聞いたら羨む話よね。そこだけ聞いたら」

 

「実情を知らなければね……」

 

 体重が落ちて胸が育った。それは確かに、そこだけ聞けば素晴らしい様に感じる。

 だけど実際の所はもう見ての通りだ。苦笑いを止め、ただの苦いだけの顔になって呟いた。

 こんなちんちくりん、誰も羨む事は無いだろう。

 

「ていうかちょっと待って。こんな微妙な差が見て分かったの?」

 

 そしてハッとして顔を上げた。

 なんでハーマイオニーはこんな微増でしかない変化に気付いたんだ。

 夏休みで育った分なんて見て分かる程も無い筈だけど。

 

「そりゃ去年ポリジュース薬で……あ、いや、ほら、小柄だからちょっとでも分かりやすいというか……ね?」

 

 すると彼女は酷く慌てて、それっぽい言い訳をして誤魔化した。

 おい。あの時か。そういえば揉んでたし……私が行く前にも何かしてた可能性がある。

 

 でもなるほど。そりゃあの時と比べれば見て分かるかもしれなくも……ないかもしれない。

 

「……なんか怖いからもう突っ込まない」

 

「あはは……」

 

 とりあえずこれ以上は私からは触れない方が良いだろう。何をされたのかはあんまり知りたくない。

 溜息を吐いて顔を逸らすと、彼女は隣で苦笑いをしていた。

 なにわろてんねん。

 

 

 

 部屋を出ると丁度ハリーとロンも出て来るところだった。うん、良い時間だね。

 

「おはよ――」

 

「一刻も早く汽車に乗ろう。とにかくパーシーから離れたい」

 

 挨拶をしようと口を開くと同時、ロンが不機嫌を隠さずに言った。

 足取りもイライラと分かりやすい。どうも何かあったみたいだ。

 

「どうしたの?」

 

「夜は首席バッジ、朝はガールフレンドの写真で大騒ぎさ。僕が紅茶を溢したって責めるんだ。ペネロピー・クリアウォーターの鼻の頭が赤くなって、写真の額に隠れちゃったからカンカンさ」

 

 私とハーマイオニーが顔を見合わせ、ハリーが代表して訊ねた。

 なるほど、とりあえずパーシーが大変なんだな。

 なんだか彼は首席になった所為かおかしな事になってたし、振り回されてるのかもしれない。

 

「「やるな、ロン」」

 

 双子がニヤニヤとロンの背中を叩いて歩いて行った。

 あぁ、振り回されてるのはパーシーの方かな……

 

「まぁ……よく分からないけど、もう少しの辛抱だね。まだ朝食と移動があるし」

 

「憂鬱だよ……」

 

 なんにせよ今すぐ汽車に乗る訳じゃない。

 ロンはうんざりしながら、足早に食堂へ向かった。

 

 

 

 朝食は各々が軽く済ませるだけ、なのにある意味で昨夜以上に賑やかだった。

 準備は終えていた筈なのにどうしてこんなにドタバタするんだ……

 全員のトランクも運ばれて山積みになっている。

 ペットの籠も並んでいて中々に騒がしい。

 

「ほら、そんなにシャーシャー言わないの」

 

「大丈夫よクルックシャンクス。汽車に乗ったら出してあげるからね」

 

 そんな中で私とハーマイオニーは威嚇しまくるクルックシャンクスを宥めていた。

 あの鼠は傍に居ないから、籠に入れられるのが嫌なのかもしれない。

 

「出してあげない。可哀想なスキャバーズはどうなるんだよ?」

 

 少し後ろからロンの不満な声が聞こえた。

 うーん……ソイツはどうなっても良いと言いたい所だけど、なっちゃったら困るんだよね。

 友人としてもわざわざロンに嫌な思いをさせたい訳じゃないし。

 

 汽車はともかくとして、早々に対応しなきゃ不味いよね。

 クルックシャンクスは頭が良い筈だけど、私が人間のままでも説明したら理解してくれるんだろうか。 

 動物もどきの変身で簡単な意思疎通が出来るからこそだったような……

 

 しばらくはロンに我慢してもらって、ホグワーツに着いたら人目を忍んで変身して密会が良いかな。猫と密会……うん。

 どっちにしろ夜中とか、絶対に誰にも見つからない状況じゃなきゃ駄目だな。夏休みを経て夜更かしも全然大丈夫になったしね。

 

 

「さぁ、車が来たよ。皆おいで」

 

 そしてロンに何か返す前に、アーサーさんが顔を出して声を張った。

 魔法省の車が到着したらしい。その声を合図に皆が一斉に動き出す。

 

 外に出ると、旧型の深緑色の車が2台停まっていた。

 その僅かな距離さえ、アーサーさんはハリーの横に張り付いて周囲を警戒している。

 

 促されるままに私達は車に乗り込んだ。なんだか運転手が胡散臭いな……魔法省の役人はこんな感じの人ばかりなのかな。

 

「あぁ……良かった。人数に余裕があったら、パーシーがこっちに乗ってたよ」

 

 心底安堵した様に呟くロンに、私は適当に笑って返すしかなかった。

 本当に、一体彼はどれだけおかしくなっちゃってるんだか。

 

 

 そうして、駅までの移動はスムーズに終わった。

 時間にもかなり余裕がある。何故に信号待ちの車の列を飛び越して先頭に着けられるのか……謎だ。何がどうなった。

 

 相変わらずハリーにピッタリ張り付いて歩くアーサーさんの後ろに続き、9と3/4番線へと入る。

 そうすれば、最早懐かしくも感じる真っ赤なホグワーツ特急が目に飛び込んだ。

 沢山の人で溢れ返り、騒がしいまでの空間。去年乗ってないだけでこうも感じ方が変わるとは。不思議なものだ。

 

「あ、ペネロピーが居る!」

 

 ボケッと辺りを見回していると、後ろからパーシーの嬉しそうな声が聞こえた。

 そのままご機嫌に歩いて行く彼を見て、私達は揃って思わず吹き出してしまった。

 

 なんせ彼ときたら、顔を紅潮させ髪を撫でつけ、胸に輝くバッジを主張しようと突き出す様にふんぞり返っているのだ。

 それでルンルン気分で歩いて行くもんだから、傍から見れば面白い以外に無い。そもそもがお堅い監督生のイメージが強いのに。

 

 そんなパーシーを見送りつつ、私達もまたモリーさんに見送られて車両へ入っていく。

 私とハーマイオニー含め、子供達全員の頬にキスをしてくれた。

 特にハリーに対しては涙目になりながらギュッと抱き締めた。

 ハリーもドギマギしていたものの、すぐに嬉しそうに笑っていた。

 

 そんな彼は続けてアーサーさんに連れられて行った。

 多分、シリウスに関しての話をしておきたいんだろう。

 モリーさんが涙目だったのも、シリウスに狙われていると考えているからだ。

 

 彼らはハリーを息子の様に愛している素晴らしい人達だ。

 心配して、支えたくて、そうして彼を思って悩み少なからず苦しんでいる。

 

 私なら情報を正してあげる事が出来る。信用されないならお爺様達を呼べる。

 真実を伝える事で、無駄に思い悩ませる事をせずに済む。

 だけどそれは決して気軽には出来ない事だ。

 

 未来の為に色々と考えてるつもりだけど……未だに物語として、第3者として、俯瞰して合理的に見てるんじゃないの?

 私は……正しいの?

 

 そんな胸の内のモヤモヤを見ないフリして、私は皆と一緒に空いているコンパートメントを探しに歩いた。





【インフレータス「Inflatus」】
対象を膨らませる呪文。肥大化とはまた違う。
現状、ハリーがマージョリーを膨らませたのはこれだと言われている。

シレンシオを失敗すると風船の様に膨らむ、という所からそちらの説もあるが……
恐らくはその説が出た後にゲーム等の情報からこっちが有力視されているっぽい。



【夜の騎士バス】
ナイトバス。見ての通り夜と騎士でのダブルミーニング。
ただし英語では「Knight Bus」なので騎士の方。
夜行バスに因みつつ、助けを求める人の為に走るという事で騎士だそうだ。

元ネタはAECリージェントIII RTというバス。
AECは1912年から1979年までバス等を製造していたイギリスの自動車メーカーで、それとロンドン交通局が共同で作った2階建てのバスである。
これについては深堀すると長いので割愛。

ナイトバスの方は3階建てに改造されている。しかもド派手な紫色。
昼は座席、夜はカーテン付きのベッドが並んでいる……が定員が何人までなのかは設定が固まっていないようだ(映画では乗客は9人までっぽい?)
安全装置なんてものは無く、走行時は乗客も荷物も吹っ飛ぶ。
サービスでホットチョコレート等を売っているが、買っても当然の様に吹っ飛ぶ。

このバスを呼ぶには杖を持った手を突き出す様にするが、これはイギリスでバスを呼ぶ時と同じらしい。勿論杖は持たない。
少なくとも道路に面していなければ呼べないと思われる。
あくまで道路を走るが、とんでもない速度で運行し障害物を跳ね除け、明らかに通れないだろう狭い場所も通り抜けてしまう。

比較的新しい発明らしく、1865年から運行している。元ネタのバスを考えると、車自体は代替わりしているのかもしれない。
そもそも登場した1台のみという話も無いので、複数走ってる可能性もなくはない……かもしれない?

魔法族でも公共交通機関の重要性や必要性は理解していたそうで、様々な提案がされた結果だとか。
それでも当初はマグルの真似という事で騒がれたらしいが、結局は人気が出て未だに盛況となっている。
ただし乗客は安堵で喜んで降りていくそうだ。

映画の撮影に際しては複数台を組み合わせて作ったらしい。
そうして実際に走り、周囲の車に低速走行をさせる事で後から映像の編集をしている。



【アズカバン】
北海の真ん中にある島、もしくはそこにある要塞の様な建物。
イギリス魔法界において唯一の公式な刑務所でもある。
吸魂鬼の所為で殆どの囚人は数週間で発狂するとかしないとか。

この島はずっと昔にとある闇の魔法使いが拠点とし、大勢のマグルに対し拷問や殺害等の悪逆の限りを尽くした。
彼の死後に隠蔽の呪文が消え、そうして初めて魔法省はこの場所に気付いた。
しかし調査に来た時点で既に吸魂鬼が蔓延っており、あまりに恐ろしく危険である事から手が出せなかった。

しかし後に刑務所を作ろうとした際にアズカバンを再利用する案が上がった。当初は抗議の声も多かったそうだが……
基本的にマグルから隔絶された場所である、危険な吸魂鬼を看守として島に留められる、オマケに人員や費用も最小限で済む、と合理的過ぎる事から最終的に実行された。

ここに常駐して働く人間は居ないが、定期的に魔法省の目が入っていると思われる。


物語終了後、吸魂鬼は一掃されたらしい。
しかし倒す手段が存在しないのでただ追い出しただけに過ぎない。
それでは餌を求めて広がるばかりだが……流石に何かしら対策を取ったのだろう。

その後も依然としてアズカバンは刑務所ではあるが、看守は闇祓いが務めている。



【吸魂鬼】
ディメンター。最も忌まわしい生物の1つ。
暗く不潔な場に巣食い、腐敗と絶望を好み、周囲から幸福や希望を奪う。

近くに居るだけでも危険だが、最も危険なのはキス。
死よりも恐ろしいとされるそれは、文字通り魂を吸われ肉体が生きているだけの空っぽの抜け殻と化す。

魂を失う為、被害者はゴーストになる事は出来ない。それどころかこの世を去る事さえ出来ない。
本来あの世へ向かう魂が吸魂鬼の内に閉じ込められるのではないか、と言われている。
だからこその「死よりも恐ろしい」という事なのだろう。


彼らは強烈な冷気を纏い、空を滑る様に飛び、周囲に闇を広げる。
人型で身長は約4メートル程もあり、真っ黒でボロボロのローブとフード、皮膚は灰色でヌルヌル。
亡霊と言うよりもむしろ腐敗した死体なんて言われている。

深いフードで顔は見えないが、口があるべき所には穴が空いておりそこから吸魂する。
また、感情を察知する事が出来るので目が存在しないとは思えない程に周囲を把握する。

だからこそ動物もどきのシリウスに脱獄を許してしまったが、彼の感情の変化自体は人間らしくない物だと察知していた。
ただしそれが動物もどきだと理解出来ず、正気を失っているだけと捉えたそうだ。

そうして分かる通り、知性は意外とある。
餌を提供してくれるので魔法省に一応従っていたが、ヴォルデモート復活後はあっさり鞍替えした。どっちがより良いかを判断出来ているのだろう。
会話が可能かどうかは不明だが、少なくとも指示は理解するし何かしらの意思疎通が出来る。
魔法使いと絆を結び命令に従う事もあるとか。


危険である事以上に厄介なのは、彼らを滅ぼす事は不可能という事。守護霊の呪文で退けるのみである。
性別は無く、腐敗した場所で菌の様に増えるとかなんとか。本当に不死なのか、倒す手段が現状見つかっていないだけで寿命自体はあるのか、その辺りは不明。

幸福や希望を糧とする為に吸い出すとされている。しかしそのポジティブな力の塊である守護霊は何故吸われないのか、何故逆に追い払えるのか。
それっぽい説明は作中でされるものの、正直しっくり来るものではない。

守護霊は生きた人間ではなく力の塊だからこそ、絶望させる事も餌にも出来ない。だそうで。
結局、何故それを彼らが嫌がり逃げるのかが分からない。

そういった面から、本当は「嫌いで邪魔な幸福を吸い出した後に、残った恐怖や絶望を糧としている」なんて説がある。


ちなみにアズカバンでの仕事振りは意外とちゃんとしている。
看守としては勿論、死亡した囚人の埋葬をするし、食事を運んだりする。その食事が何処から来ているのかは不明だが。
何かしらの意思疎通が可能と言った通り、異常があればそれを伝えたりもしていた。
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