ハリー・ポッターと予言の少女   作:桜寝子

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第5話 学校生活、スタート

「うわぁお!? なんで私パンツだけになってんの!? 襲われた!?」

 

 翌朝……目が覚めると私は何故かパンツ一丁。

 入学早々に何をされたんだ、と飛び起きた。

 

「いきなりうるさいわね……誰が襲うのよ。あなたが勝手に脱いだの。ていうか覚えてる? ここは寮の部屋よ」

 

「覚えてる……ような気はする。あ、おはよう」

 

 隣のベッドからハーマイオニーが文句を返してきた。彼女は既に身支度が殆ど終わってるようだ。

 歓迎会が終わってから、あんまりにも眠くて記憶が曖昧だな。寝る前に着替えようとして力尽きたんだったか。

 

「はいはいおはよう。早く服着なさいよね……女の子しか居ないからって、せめて隠しなさいよ」

 

「はーい。て、着替え何処ぉ?」

 

 これは失礼。確かにいつまでも裸同然なのは良くないな。

 今後は人と生活を共にするんだ。別に同性に見られるくらいなんとも思わないけど、今まで通りの感覚でいては迷惑になる。

 

 しかし……私は脱いだ制服を何処に置いたんだろうな?

 

「知らないわよ!」

 

 独り言にまで文句が返ってきた。

 なんでこんなに怒られなきゃならないんだ。

 

 あ、あった。シーツに紛れてた。

 ていうかシーツは掛けて寝てたんだな……多分ハーマイオニーが掛けてくれたんだろう。

 

 

「おはよう。これでちゃんと挨拶出来るね。ラベンダー・ブラウンよ」

 

「私はパーバティ・パチル。よろしくね」

 

 そうして私の着替えが終わると、同室のもう2人が挨拶に近づいてきた。どうやら4人部屋らしい。

 この部屋で4人か……まぁまぁ、それなりに個人のスペースは取れそうだ。

 

 そもそも新入生のグリフィンドールの女子って何人居るのかな。

 新入生自体あんまり数は居なかったし、歓迎会の記憶を振り返ってみると……各寮各学年は、精々が男女合わせて20人居るかどうかって感じか。

 まぁ作品設定としても生徒数は定まってなかった筈だから、実際はこんなもんか。

 

 いや、とりあえず挨拶は返さないとな。

 同室なのだから仲良くしないと色々キツイ。

 

「おはよう。私はアリス・ダンブルドア。改めてよろしくね」

 

 そのまま今日の準備を進めながら会話を始める。

 自己紹介から始まり、これからの事……主に今日から始まる授業についてだ。

 

 

 一応、改めてダンブルドアとの関係を説明しておいた方がいいかな。

 あとはホグズミードに住んでいて、寮監のマクゴナガル先生とは親子の様に親しいという事も伝えておいた。

 

 過ごしやすくする為にも情報は広めてもらおう。

 これで全員が肯定的で好意的になるとは言わない。内心はどんなもんか分かったもんじゃない。

 けど、厳しいと有名な先生と親しい生徒に表立って突っ掛かる人は居ないだろう。

 

 なんにせよこの名前を背負っている以上、上手く立ち回っていかなければ。下手な事をすれば私自身のストレスになり得る。

 その上手くやるってのが、具体的にどうするのかは……自分でも分からない。

 

 だからこそ、この魔法の言葉を唱えるのだ。

 なるようになーれ。

 

 

 

 

 

 

 ホグワーツでの生活が始まって早数日。

 私とハリーの注目と言えば、それはもう凄かった。

 初日から遠巻きに、物珍しそうに好き勝手言っていたものだ。半分以上はハリーの事だったけど。

 

 私は分かり切っていたし、正直大した事は無い。けれどハリーは随分と迷惑そうだった。

 慣れない学校生活が始まり、ただでさえ大変なんだ。彼のストレスはかなりのものだろう。

 

 だけど、そこを支えてこそ友人。

 ロンと私は基本的にハリーと一緒に行動している。特に、同じ様に騒がれている私が隣に居るのは彼としても気が楽になるらしい。

 

 ハーマイオニーはやはり彼らと噛み合わない様で、常に行動を共にする程ではない。

 それでも同部屋のお陰か、少なくとも私は仲良く出来ていると思う。

 

 

 

 そのホグワーツでの生活は、と言うと……予想以上だった。甘く考えていたと反省だ。

 

 階段は多いし動き回るし穴が空くし、扉も開け方を覚えたり偽物を覚えたり。

 なにより、肖像画の人物も鎧も何もかも、物と言う物が動き回る。

 だから何処に何があるのか全然覚えられない。既に何度迷った事か。

 もしかして私は方向音痴なのでは……?

 

 ピーブズもそこら中で好き放題していて、たった数日で何回も被害にあった。

 どうにも出来ないのが本当に腹が立つ。突然現れる奴に、後手でなんとか対処する以外に無いのだ。

 

 せめてもの救いは、皆の嫌われ者――アーガス・フィルチの態度が、私にだけほんのちょっぴりマシになる事か。

 多分、ダンブルドアの名前のお陰だろう。マシになるとは言っても厳しい事には変わりないけど。

 

 

 そしてそして、授業も当然ながら大変……ではなかった。

 なんせ既にたっぷり教え込まれている上に、まだまだ復習と言うにも軽い内容だからね。

 

 ただ、ハリーの様に魔法に初めて触れる子にとってはそれこそ大変なんてもんじゃないだろう。

 杖を振っておかしなまじないを言うだけじゃないんだ、と早々に理解した筈だ。

 

 

 

「変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険な物の1つです。いい加減な態度で私の授業を受ける生徒は出て行って貰いますし、2度とクラスには入れません」

 

 最初の授業で私達を迎えたマクゴナガル先生は、とにかく厳格にそう伝えた。

 私も散々厳しく教えられたものだ。身に付けるまで苦労した。

 

 複雑なノートを書き連ねた後、1人1人にマッチ棒が配られた。ご存じ針に変えるアレだ。

 授業を終えるまでにマッチ棒を僅かにでも変身させる事が出来たのは、私とハーマイオニーの2人だけだった。

 

 私は出来て当然、と先生は大した反応は見せなかった。特別扱いはしないと言っていた通りだ。

 しかしハーマイオニーには、随分と嬉しそうな微笑みを向けた。なんか私が初めて成功した時より嬉しそうな……

 

 多分、先行している私に並ぶ程の新入生が居る事が嬉しいんだろうなとは思う。

 でも私はほんのちょっぴりだけ、モヤモヤした。すぐに忘れたけど。

 

 ていうか彼女は優秀過ぎる。私は丸1日も掛かったよ? 

 これが努力する天才か……悔しい。

 

 

 

「あぁ……左様。ハリー・ポッター。我らが新しい――スターだな」

 

 語るに外せないのはこれだろう。

 魔法薬学の暗い教室で、出席を取るスネイプが嫌味ったらしい声で呟く。

 案の定、マルフォイがお供と一緒に冷やかし笑いを飛ばしていた。

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。ここでは杖を振り回す様な馬鹿げた事はやらん」

 

 出席を取り終わったスネイプが話し始める。呟く様な声だと言うのに、不思議とクラス中に響く。

 誰も声を出さず黙って聞いていた。

 

「これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力。心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん」

 

 耳と記憶に残る大演説だ。

 知識と技術に優れるのは勿論、根本的に魔法薬学が好きなんだろう。

 

「吾輩が教えるのは、名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である――ただし、吾輩がこれまでに教えてきたウスノロ達より諸君がまだマシであればの話だが」

 

 何を言ってるのかは分からないけど、なんだか凄い事を言っている。

 多分、私は彼の言うウスノロだ。何回も何回も何回も、彼には厳しく嫌味ったらしく指導されたからね。

 

 ハーマイオニーは、まるで自分はウスノロではないと言わんばかりに、椅子の端に座り身を乗り出す様にウズウズしていた。

 この先生の前で、この空気の中で、やる気を見せる事が出来るのは本当に凄いと思う。

 

 

「ポッター!」

 

 唐突にスネイプがハリーを呼んだ。うわ、出た。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると何になるか?」

 

 そんなもん、この場で分かるのは極少数だろうに。

 その極少数の内の1人であろう、ハーマイオニーは高々と手を挙げた。すげえ。

 

「わかりません」

 

「チッ、チッ、チッ――有名なだけではどうにもならんらしい」

 

 ハリーが答えると、スネイプはせせら笑った。ハーマイオニーは無視された。

 

「もう1つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいと言われたら、何処を探すかね?」

 

 そこの倉庫でも探してみれば良いんじゃないかな。

 そんな事を言ったら何を言い返されるか怖いから言わないけど。

 

 そして当然の如く、ハーマイオニーが思いっきり高く限界まで手を伸ばした。

 

「わかりません」

 

「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかった訳だな、ポッター。え?」

 

 彼は『魔法の薬草とキノコ千種』を、ハリーが隅から隅まで覚えたとでも思ってるんだろうか。そんな訳ないか。ただの嫌がらせだ。

 というかそんなのはそこでプルプル震える手を伸ばし続けてる誰かさんくらいだろう。

 

「モンクスフードとウルフスベーンの違いはなんだね?」

 

 この質問で遂にハーマイオニーは椅子から立ち上がり、天井に突き刺さらんばかりに手を伸ばした。何がそこまで君を駆り立てるんだ。

 

「わかりません。ハーマイオニーが分かっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

 こっちも遂に言い返した。まぁ気持ちは分かるけど、言い返すネタに彼女を使うんじゃない。

 

「座りなさい」

 

 言われてようやく、スネイプは彼女を見た。

 しかしハリーはともかくとして、何故ハーマイオニーまで邪険にするのか。虐める邪魔をするなって感じなのかね。

 

「教えてやろう、ポッター……いや、丁度良い者が居るではないか。君ならば答えられるだろう? ミス・ダンブルドア?」

 

「え」

 

 ちょ、なんでこっちに飛んで来るの!?

 

 とことん無視されたハーマイオニーが凄く不服そうに見てきた。

 ごめん、私の所為じゃない。

 

 あーもう、指名された以上答える以外に選択肢は無いじゃないか。

 分かりませんとか言ったら、後でハリー以上に嫌味を言われるだろう。

 

 

「……アスフォデルとニガヨモギを合わせると『生ける屍の水薬』と言う、強力な眠り薬になります。ベゾアール石は山羊の胃から取り出す石で、大抵の毒に対する解毒剤になります。モンクスフードとウルフスベーンは、どちらもトリカブトの事。更に別名でアコナイトとも言います」

 

 私を使って何をしたいのかは分からないけど、お望み通りの答えを返してやる。これでいいんでしょ。

 ジトリとスネイプを見つめながら、ハキハキと答えを並べた。

 

 

「よろしい、充分な答えだ。とは言え君がどれ程の知識を見せた所で、一切の加点はしないがな――諸君、何故今のをノートに書き取らんのだ?」

 

 随分とあからさまに言うじゃないか。

 もしかして私を特別扱いしないという事を周知させるつもりで……?

 

 確かに、これでこのクラスの人は私の扱いを分かってくれただろう。

 知識があっても、ダンブルドアだろうと、特別扱いどころか厳しく見られているのだと。

 

「ポッター、君の無礼な態度でグリフィンドール1点減点。そしてミス・ダンブルドアの生意気な態度で2点減点」

 

 何故。今の何処に生意気な要素があったって言うんだ。しかも私の方が減点デカイし。

 前言撤回、やっぱり意地悪したいだけだ。

 

 

 その後は、おできを治す簡単な薬の調合が始まり……ネビルが事故を起こして大騒ぎ。

 彼のフォローをしようにも、早々にシェーマスと組んでしまっていた。

 しかも私は私で、睨む様に観察してくるスネイプが気になって咄嗟に止める事が出来なかった。

 

 その癖、理不尽にもネビルを止めなかったからとハリーと私は更に減点された。

 なんなんだこの、あまりにもな理不尽は。

 

 

 

 とまぁ、語れる様な事があった授業はこの2つだ。

 でも一応、他もどんな授業だったのかくらいは話しておこうかな。

 

 

 まずは呪文学……いや、1年生と2年生の場合は妖精の魔法と呼ばれる事もある。つまり私達は初歩的な魔法を学ぶ事になる。

 

 実は凄い人ランキングで間違いなく上位に来るだろう、フリットウィック先生の授業だ。

 多くの生徒に慕われる人柄で、ゴブリンの血を引いている為とてもちっちゃい。

 

 授業としては、内容が内容だから手古摺る訳も無く。なんなら周囲に教える事の方が多かった。

 

 

 薬草学はスプラウト先生の元、栽培や取扱いを学ぶ。勿論、新入生が危険な植物を扱う筈も無い。

 だからなんとも言えない土いじりと書き取り程度の物だ。つまり特筆するべき事は今の所無い。

 

 

 闇の魔術に対する防衛術。臭い。

 後頭部にヴォルデモートを貼り付けたクィレル先生が担当。ニンニクが強烈過ぎた。

 

 

 魔法史。眠い。

 ゴーストになっても授業を続けるビンズ先生の担当。眠りへ誘う授業だ。

 新入生はまだ頑張ろうとしているけど、上級生はきっと大半が寝てるに違いない。

 

 

 天文学。寝た。

 シニストラ先生と共に、深夜に星空の観察。私に限らず眠ってしまう子が居た。

 ただし1年生には良くある事なのか、大目に見てくれている……らしい。

 

 

 

 うん。高々1週間程度じゃこんなもんか。

 まだまだこれからだからね。

 

 そして今日はハグリッドの所に行く……というか、今まさに小屋へと歩いている所だ。

 ロンだけじゃなく私もしっかり友人として誘ってくれる辺り、良いポジションに付けたと見ていいかな。

 

「退がれ、ファング、退がれ」

 

 私達がハグリッドの小屋を訪れると、随分と大きくて厳つい犬がお出迎え。

 彼が押さえてくれていたけど、結局放した瞬間に私へ飛び掛かってきた。

 

「あぶなっ」

 

「え、うわっ!?」

 

 新入生の中でも特に小柄な私は、犬と言えど襲われたら堪ったものじゃない。それが例え、じゃれついているだけだったとしても。

 なので咄嗟にロンを盾にした。うわ……滅茶苦茶に舐め回されてる。あれはあれで嫌だな。

 

「紹介するよ、ロンとアリス」

 

 そんなロンの危機は無視して、ハリーがハグリッドに私達の紹介を始めた。

 

「ウィーズリー家の子かい。そんでそっちは、ダンブルドアの……全く、ダンブルドアも事前に紹介してくれりゃいいのに」

 

 どうやらお爺様が紹介してくれなかった事に若干の不満があるよう。

 まぁ、頑なに秘密にしていたと言う程では無さそうだけどね。教育に悪いとでも思われたんじゃないかな。知らんけど。

 

 なんにせよハリー達と行動を共にするのなら、ハグリッドとも親しくしていく事になる。

 人柄は割と好みだけども、やらかしが多いからどうしたものか。

 それに彼の(ここ重要)魔法生物飼育学……私にやれるかな。今から不安だ。

 

 

 そうして挨拶が終わると、学校生活についてのんびりお話。

 その中で、ハリーはスネイプについてを不満気に語った。

 

「僕の事を本当に憎んでるみたいだ」

 

「馬鹿な。何で憎まなきゃならん?」

 

 そう返したハグリッドは、ハリーの目を見なかった。

 憎んでると言うか何と言うか……私が話せる事くらいは話しておくか。

 

「あの人がハリーをどう思ってるか、教師として良いかはともかくさ。お爺様が一番信頼を置いてる程の人だから……悪い面だけを見ない様にね」

 

「そうなの? とても信じられないや」

 

「ていうか君もスネイプに目を付けられてるよね。勿論悪い意味で。前から知り合い?」

 

 横でロンが目を丸くして驚いている。同じくハリーも驚きつつ、私に訊ねた。

 聞くかい? 彼への不満なら私以上に語れる人は……いくらでも居そうだな。

 

「お爺様に引き取られてから、私の世話に関わってたのがマクゴナガル先生とスネイプだったんだよ。本っ当にネチネチと厳しく指導されてね……私も揶揄ったりして返してたけど」

 

 私が答えると、2人は口をポカンと開けて言葉も出さなかった。

 多分スネイプが子守りしてるのを想像しようとして出来ないんだろう。

 

「君、よくスネイプを揶揄えるな。そっちの方が信じられないよ」

 

「なら今度授業の時、揶揄ってやってよ」

 

 そっちか。まぁロンは兄達から聞いてるだろうし、ハリーは言わずもがな。是非とも揶揄われるスネイプを見てみたいよね。

 

「それは無理かな……入学に合わせて態度を改めろって、これも厳しく言われてるし。勿論マクゴナガル先生にもね。下手な事したら超減点されちゃうよ」

 

「そりゃ残念」

 

 心底残念そうにロンが項垂れた。

 いや、私だって皆の前でスネイプを揶揄ってやりたいよ。でもマジで後が怖過ぎて絶対に出来ない。

 

「あと、目を付けられてるってのもちょっと違ってね。意地悪なのもあるだろうけど……付き合いがあったからこそ、ダンブルドアの名を背負ってるからこそ、特別扱いはしない様に厳しく評価されちゃうんだ。はぁ……頑張らなきゃ」

 

「アリスも大変なんだね……」

 

 良い機会だからと説明も兼ねておいた。

 ハリーが同情して慰める様に呟く。これで多少なりとも、彼のスネイプへの印象や評価がマシになれば良いんだけど。余計悪くなったらごめん。

 

 

 

 そうこう話している内に、ハリーが『日刊予言者新聞』の切り抜きを見つけた。

 あぁ……遂に物語が明確に動き出す。ここからだ。

 

「ハグリッド! グリンゴッツ侵入があったのは僕の誕生日だ! 僕達があそこに居る間に起きたのかもしれないよ!」

 

 その瞬間、ハグリッドは明らかに目を逸らした。おい、ちゃんと誤魔化せ。

 しかしハリーは何をそんなに興奮しているんだろうか。

 

「そんなもん気にしてどうする。今お前さんが考えるのは学校生活だ、違うか? ほれ、もう夕食の時間になる。さっさと戻れ」

 

 招待しておいてさっさと戻れとな。やっぱり誤魔化したりするのがとにかく下手なんだな。

 とは言え実際に夕食の時間が近いのだから、戻るべきではある。ひとまずハグリッドの下手な誤魔化しに乗って、私は2人を連れて城に戻る事にした。

 

 

 

 帰り道、興奮冷めやらぬハリーは銀行での出来事を語っていた。

 襲われた713番金庫で、ハグリッドが汚い小さな包みを取り出していた。泥棒が探していたのはあの包みに違いない。

 一体何なのか、何故ハグリッドが危機一髪で取り出せたのか……と。

 

 どうやら彼にとっては、これまでの授業よりもずっと好奇心が向く事だったようだ。

 

 適当に相槌を打っておいたけど、私は私で色々と考えなければならない。

 本来の流れを大きく変えず、邪魔をせず、私もそれなりに関われる様に立ち回るには……

 

 そもそも私は頭が悪い。大人だった事やらでどうにかやれてるだけだ。 

 下手な考えは意味が無い。結局いつものアレしかないのだ。

 

 いずれにせよ物語は動き始めた。ここからが本番だ。

 ハリーとは別の意味で、私も内心で興奮を抑えて歩く。

 果たしてどうなっていくのか。なんだかんだ今は楽しみの方が大きい。

 

 だからやっぱり、今日も今日とて唱えよう。

 なるようになーれ。

 

 

 ちなみに……お土産的に渡されたロックケーキとやらは硬過ぎて食べられた物じゃなかった。なんだこれ。

 なのでこっそりとハリーのポケットに忍ばせておいた。お食べ。




ホグワーツの生徒数は記述がバラバラで、設定が固まってないという事しか分かりません。

個人的には各寮各学年は男女合わせても10人前後なのでは、というイメージ。
魔法族自体少ないという話なので。

しかしそれではなんだか寂しい人数なので、ここではそれよりも少し多めの設定にしました。
だからと言ってそのモブ達の出番は無いのですけれど。
雰囲気です。


綺麗に4寮に別れる筈が無いので、スリザリンやレイブンクローなんかは特に少ないのではないでしょうか。
スリザリンがずっと寮杯を獲得出来るのも、スネイプの贔屓+生徒数が少ないお陰で減点の機会も少ないから、という要素もあるかもしれません。
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