「ねー風真君、何かお菓子とかないのーお腹空いたー」
「ちょっと待ってください、確かリビングここの押し入れの中にあったはずです」
どうして僕たちが僕の家にいるか、それは...
休み時間の出来事。柊が珍しく風邪で休みというので僕は紫咲さんに暇を潰す相手になってもらっていた。
「そういえばあともうちょっとでテストだねー。めんどー」
「そうですね、僕もめんどくさいと思います」
「だよねー。てか風真君は頭いいから良くない?」
「別に僕は地頭が良い訳じゃありません。コツコツ勉強してるだけです」
「それだけでも偉すぎー。シオンは考えられない」
「確かにあんまりしなさそうですよね。連絡の返信も早いですし」
「まーね。でもシオンは少し勉強すれば?そこそこいい点取れちゃうしいいかなーって」
「それもそれで羨ましいです。僕はそろそろ勉強を始める頃です」
「まじ?早くない?」
「て言ってもあと1週間くらいですよ」
「まだまだでしょー」
「万が一があるので、僕は始めます」
「えー、じゃあシオンもやるー。一緒に勉強しようよ」
「いいですよ、どこで勉強しますか?」
「え?じゃあ...」
で、今に至る。今日は都合よくいろはも沙花叉さんや白衣さんらと一緒にいるため僕の家で勉強しようということになった。もちろん抵抗はした。教室は色んな人いるからヤダ。図書館は居心地悪い。カフェはそういう気分じゃない。となるとここしかあてがなかった。
「はい、紫咲さん。これ、チョコクッキー」
「シオンチョコ好きなんだよねー。ありがと!」
「ついでに飲み物も持ってきました」
「お、気が利くねー」
紫咲さんは勉強している時は意外と静かだった。話しかけてくる時もこの問題分からないから教えて、というなんとも真面目ちゃんである。しかしいつもと調子が合わず、時計の音が聞こえるくらいには静かで気まずい。おまけに教室にいる時よりも必然的に距離は近くなるため、柔軟剤のいい匂いまでしてくる。いてもたってもいられなくなった頃におやつタイムになったため、個人的にはとても助かった。
「風真君、シオン疲れたー。なんかご褒美ちょうだいー」
「確かにずっと集中してましたもんね。いいですよ、何がいいですか?」
「えーじゃあ、今度買い物行こうよ」
「わかりました。でもテストが終わってからですね」
「まあさすがにねー、シオンそんなに馬鹿じゃないし」
「あと、僕もしかしたらバスケ部の助っ人に駆り出されるかもしれないので、もう少しだけ待ってもらってもいいですか?」
「え!風真君助っ人するんだ。シオンも見に行こーっと」
「いや...そんな見せ物じゃないですし、それに毎日練習してるわけじゃないので下手くそですよ?」
「いいのいいの、風真くんが変なプレイする度にそれをいじれるじゃん」
「そういうためですか...。さて、じゃあ続きやりましょう、僕はあともうひと踏ん張りで区切りがつきそうです」
シャーペンがノートを書きなぐる音と紙をめくる音だけが響いている。全く喋らないなら2人でする意味あるのか、と言われればそれもまた一理あると思う。しかし勉強は1人でする時の方が効率がいいと正直思ってしまう。だから今の互いに監視し合いながら1人で黙々と勉強をやるという形態は僕にはとてもマッチしていて尚且つ孤独感もない。まさに理想的だ。
「遥君ここ教えてー」
「!!」
「どうしたの?早く教えてよ」
「いや、今なんて言いました?」
「え?遥君、って。名前間違えちゃった?」
「いや合ってますけど...。」
「もしかしてー、照れちゃったー?ww」
「そんなことは...」
「って言いながら顔赤いよーww。ウケるーww」
「そんなに言うなら問題教えません」
「わかったよー謝るから。許して♡お願い♡」
「うーわ」
「うーわとか言うなし。試しにさ、シオンのことも下の名前で呼んでみてよ」
「ええ嫌ですよ。ハードルが高いです」
「そんなこと言わずにさー、ほら1回でいいから」
「シオン」
「!!」
「...さん」
「ちょっとーw。さん付けなかったら完璧じゃん!チキるなよ〜w」
「いやすみません、どうしても恥ずかしくて」
「まあ及第点ってところかなー。それにちょっと面白かったし良しとしましょう」
「なんで僕が採点される側なんですか」
「でもそろそろさー、さん付けくらい外しても良くない?未だに距離感じるんですけどー」
「善処してるつもりなんですが、癖が抜けなくて」
「柊君は呼び捨てじゃん、しかも砕けて話してるし」
「それは同性だからであって」
「もしかしてピチピチのJK相手は恥ずかしいとかー?w」
「まあ言っちゃえばそうかもしれません」
「ウケるんですけどーw」
「じゃあ僕の成長に協力してください。僕は紫咲さんのこと名前で呼びます。その変わり紫咲さんも僕のことを名前で呼んでください」
「えーシオンは楽勝なんですけどー。遥はできるのー?」
「え!もうですか?!」
「男に二言はないよね?遥」
「...分かりました。頑張ります」
こうして名前呼びになった僕たち。また一歩距離が縮まったのかもしれない。
サブキャラの話を番外編に載せるのはありか
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あり
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なくてもいい