僕の平穏だった学園生活   作:-つくし-

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第2章
プール行こうぜ


 ジリリリ!

 

 夏休みが始まってからも普段と変わらない日常を送っていた。決まった時間に起きて、決まっていない予定をのらりくらりと埋めていき一日が終わる、今日もそんな一日だ。どうしようか、今日は読書の時間を多く取ってみようか。はたまた勉強でもするか?いいや、味気ない。妹がいない今、家は僕一人であり、秒針の音が静寂を際立たせている。だんだん心地よくなってきたところで読書をすることに決めた。そうと決まればまずは飲み物でもこしらえ

 

 

 ピンポーン

 

 

「プール行こうぜ!」

 

 

 扉の前には既にゴーグルをかけ準備万全の柊と浮き輪を持って意外とノリノリな委員長が仁王立ちしていた。

 

 

「なんで事前に連絡してくれないんだよ、こっちにも準備っていうものがあるじゃん」

 

「いや、どうせお前は暇だろうし小説でも読もうとしてたんだろ?そんな夏休みでいいのかよ」

 

「そうだ、せっかくの夏休みなんだ。風真も遊ぶべきだぞ」

 

「ていうかなんで委員長いるの?」

 

「え?ああ、柊に誘われたからだ。無論俺も暇だったからな」

 

「意外とフッ軽だろ、委員長。じゃあまた被害者を増やしに行きますか!」

 

「おう!」

 

 そんな2人の後ろを渋々と着いていく。前と後ろでは明らかな温度差があった。ちなみにその後、被害者を1名追加した4人パーティーでプールと言うよりもスパリゾート的な所に乗り込むこととなった。ごめんな、古海。僕にはどうすることもできなかった。

 

 

「うひょー!やっぱりプールだよな!たくさんのアトラクション、おまけに可愛い女子もたくさんいるぜ!」

 

 

「下心しかないじゃん...。悪いけど僕は変なことは勘弁だからな、柊」

 

 

「は?お前ものれよな、このビックウェーブに。それともあれか、僕には選びきれないほどの女の子がいるから大丈夫でーすってか?」

 

 

「帰るぞ」

 

 

「ごめんごめん!じゃあ委員長と古海とそういうことするからお前は...まあ眺めててくれよ」

 

 

「なんで俺も行かなきゃ行けねーんだよ!おい委員長は行くのか?」

 

「もちろんだ」

 

 

 あれ委員長ってこんな感じだったっけ...。でも柊とは違う貫禄を感じた。なんかこう、多くは語らずに任務を遂行するできる上司みたいな、そんな感じだ。

 

 

「と言ってもまずはまずは俺たちだけで遊ぼうじゃないか」

 

「まあそうだな〜」

 

 

 僕たちは時間がある限りウォータースライダーに並んでは滑り、また並んでは滑りを繰り返した。今の瞬間は少年、と言っても差し支えないだろう。僕は5回目を終えたあたりから限界を感じ、バスジェット付きのジャグジープールに入って体を休ませていた。

 

 

「あれ、風真先輩?1人で何してるんですか?」

 

「ああ、雪花さん。こんにちは、今は友達がウォータースライダー行ってるので休んでるところです」

 

「そうだったんですね、実はラミィも今みんながウォータースライダー行ってるのでここに来たんです」

 

「なるほど、お互い様ですね」

 

 

 境遇が同じことを知り、僕たちは互いに苦笑し合った。

 

 

「風真先輩はどうしてここに来たんですか?」

 

「もちろん夏休みだから...、と言いたいんだけど実は今朝友達に誘われて無理やり連れてかれたんですよね。全く困ったものです」

 

「あはは、風真先輩の友達は活発な人が多いんですね」

 

「そうみたい、僕とは違うや。ところで雪花さんは?やっぱり女子はプールとか来たいものなんでしょうか」

 

「はい!ラミィたちはまず最初にプールに行こうってなってここに来たんです。色々あるので遊びには困らないしラミィも来てみたかったので」

 

「うんうん、初めての高校での夏休みは上々の滑り出しだね。でも宿題はちゃんとやるんだよ?」

 

「げ...は、はい」

 

 

 雪花さんは宿題の存在を今知ったかのように顔をげっそりさせた。1年生の宿題は多い、そのため前々からコツコツとやることを強くおすすめした。

 

 

「僕の友達は宿題終わらなかったから気をつけてね、でも雪花さんしっかりしてるし大丈夫か」

 

「え!ラミィしっかりしてると思いますか?」

 

「はい、前学園祭で会った時からしっかりしてるなって思いましたよ」

 

「え〜具体的にどんなところですか?」

 

「う〜ん、しっかりしてると言ったらまた違うかもしれないですけど、あの3人相手にずっとツッコンでるところが印象的でしたよ」

 

「あの3人は自由奔放なので大変なんです...」

 

「ツッコミ同士頑張ろうね」

 

 

 周りにツッコむ人がいない境遇を互いに励ましあった。これからも僕たちの宿命はきっと変わらないのだろう。

 

 

「それで先輩...」

 

「はい?」

 

「ラミィの水着似合ってますか?」

 

 

 雪花さんの水着は水色と白色が混ざったフリルの水着だった。こんなことはあまり言いたくは無いが雪花さんの見るものを魅了してしまうようなボディは水着のせいで余計に際立っていてこっちとしては目線に困った。どうしても目が胸、脚、お腹と転々としてしまい後輩を凝視してしまうという結果になった。

 

 

「...えっち」

 

「え!いやその、水着、似合ってるなって思って...」

 

「ラミィの身体見てましたよね?」

 

「...ごめんなさい少し見てました」

 

「ふ〜ん、まあ素直に謝ってくれたことに免じて許してあげますよ、先輩」

 

 

 

 小悪魔にようにクスッと笑ったあと、雪花さんはおもむろに立ち上がった。

 

 

「ラミィの友達も風真先輩の友達も戻ってくる気配ないのでいっそのこと2人で遊びに行っちゃいましょう!」

 

 

「え、あ、ああ...」

 

 

 僕は勢いに乗せられてしまった。先輩なのに後輩にリードされてしまっては情けないなと思いつつもいっそのこと全てを託してみるのもありなのではないかと思った。

 

 

「風真先輩!ラミィたちはあっちのウォータースライダーに乗りましょう!」

 

「はいはい」

 

 

 僕たちがやってきたのはみんなが乗っているであろうウォータースライダーの反対側にあるものだ。あっちのものよりはインパクトにはかけるが人もあっちほど並んではいなく、お手軽に滑れそうだった。

 

 

「風真先輩、どっちが前に乗りますか?」

 

「え、前ってどういうこと?別々に乗るんじゃないの?」

 

「え!別々に乗るつもりだったんですか?もうそんなわけないじゃないですか〜」

 

「ええ...」

 

 

 このウォータースライダーは2人乗りできるタイプのものだったようだ。通りで浮き輪がでかいし取手も2人分ある訳だ。しかし同時に葛藤した。僕が前に乗ってしまえばラミィさんの大きなスイカを背にして滑ることになり、後ろに乗れば何がとは言わないが気まずい。男として試されているのではないかさえ疑う。

 

 

「じゃあラミィ後ろ乗りますよ、ほら先輩も早く座ってください」

 

「え、わ、わかったよ...」

 

 

 僕は前に渋々座った。到底リラックスはできない。僕の頭とラミィさんのスイカはある一定の距離を保つように努力した。

 

 

「え?もう発進するの...ってわあああぁぁ!!!」

 

 

 そんな努力は長くは続かなかった。体感3秒といったところだ。きっと僕の頭はスイカに乗っかり、その感触は滑ったあとも色濃く残っていた。

 

 

「あはは、先輩驚きすぎですよ」

 

「ごめんごめん、いきなりこられるのは苦手なんだ」

 

「あっちのよりは全然ですよ?」

 

「こっちはこっちで大きいでしょ、比較したら確かにこっちの方が楽かもしれないけど」

 

「まあそうかもしれませんね」

 

「でしょ、ていうか僕お腹空いたな。雪花さんもよかったら一緒に食べませんか?」

 

「え!いいんですか?じゃあお言葉に甘えて!」

 

 

 なんというか雪花さんは後輩力が高いなと感じた。後輩らしいあざとさもありながら先輩を適度に立たせてくれ、僕も少しは先輩のメンツが保てているような気がした。

 

 

「雪花さんは席に座ってても大丈夫ですよ、僕が買ってくるので」

 

「そんな、さすがに悪いのでラミィも一緒に行きますよ」

 

「気にしないでください、ここは先輩らしく振る舞うので休憩しててください」

 

「風真先輩がそういうなら待ってますね。あ!ラミィは焼きそばがいいです!」

 

「はいはい、わかりました」

 

 

 無邪気に手を挙げて焼きそばがほしいとねだる雪花さんは前見た時のしっかりしている顔ではなく1人の高校1年生の少女相応の笑顔だった。おそらく今みたいな砕けた感じが本来の雪花さんなのだろう。僕はプールサイドとはまた別にあるフードコートへ行き、焼きそばやお好み焼き、飲み物は夏らしくラムネなどをこしらえて両手をいっぱいにして雪花さんの待っている場所へと戻った。

 

 

「お嬢ちゃん、俺たちと遊ばない?」

 

「結構です、待ってる人がいるので」

 

「そんなこと言わないでよ、楽しいことしようや」

 

 

 戻ってきたら雪花さんは2人の弱そうなチンピラに絡まれていた。明らかに怪訝そうにしている雪花さんを見て僕は急いで間に入り説得を試みた

 

 

「すみません、僕の連れなのでやめていただきたい」

 

「はあ?なんだお前」

 

「俺はその...」

 

 

 まさか自分がこんな場面に遭遇するとは思っておらず言葉が出てこなくなった。かくなる上は

 

 

「俺はこの人の彼氏だ、近づくな」

 

 

 そういうと雪花さんは僕の意図を察し、僕の腕にしがみついた。さすがだなとは思ったが雪花さん、その色々当たってる、頼む耐えろ僕。

 

 

「ちっ」

 

 

 ナンパに失敗したと勘づいたチンピラは一目散に撤退してまた新たな獲物を探そうとしていた。

 

 

「ごめんなさい、1人にするのが間違いでした」

 

「いやしょうがないですよ、まさかラミィがナンパされるなんて思ってもいませんでしたから」

 

「そんなことないです、確かにナンパされてもおかしくないと思います。だって雪花さんはかわ...」

 

 

「「あー!いた!!」」

 

「え?ああ柊、それと尾丸さん?」

 

「お前あそこにいないなって思ったらまた女の子引き連れてどっか行ってたのかよ!」

 

「ラミィもどこ行ってたんだよ!」

 

「あはは、ごめんごめん...」

 

 

 そのあとの話だけど、柊と尾丸さんたちはまた別で一緒に行動してたみたいだった。まあその原因が僕たちを探すためだとは言うまでもないけど。でも良かったんじゃないか、柊は当初の目標である女の子をナンパ?することに成功はしたんだから。フードコートに全員集合し、みんなで食事を取った。僕たち男性陣は先輩らしくリードし雪花さんたち女性陣は後輩らしく先輩をいじっては笑いの種にした。

 

 

<また遊びましょうね、風真先輩。今日の先輩かっこよかったですよ>

 

<こちらこそありがとうございました。とても楽しかったです>

 

<次はちゃんと面と向かってラミィのこと可愛いって言ってくださいね?>

 

 雪花さんは僕が言いかけていたことをちゃんとわかっていたようだった。

 なんともあざといね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




委員長とその友達のスペックを書いときます

水戸 晃介 (委員長・みとこうすけ)

古海 大輝 (ふるみだいき)

2人の出番はたまにくらいだと思ってください

サブキャラの話を番外編に載せるのはありか

  • あり
  • なくてもいい
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