「ちょっと待てよ、いいコンビだなぁとは思ってたけどまさかお前が好きになるなんて...」
「うるせー、しょうがねーじゃんか」
「告白するって言ってもどうするんだ?2人の時間なんか上手に作れるのか」
「...もうすでに予約はしてる。だから寝落ちしたとか盛り上がりすぎたとかよっぽどの事がない限りは大丈夫...だと信じてる」
「珍しくそこまで手を尽くしてるんだね。てっきりノープランでいくんじゃないかってヒヤヒヤしてた」
「そんなにバカじゃねーよ」
「まあ場のテンションに乗っけられて告白するよりは全然いいな。適した場所で柊なりの言葉見つけて想いを伝えればきっと大丈夫だ」
「委員長ってちゃんと委員長する時あるんだね...」
「伊達に委員長やってないからな」
「って言ってもよ、俺はあんまり告白とかしたことねーし。どうなるかわからねぇ。だから
「なんで俺なんだよ...」
「ちゃんと彼女いるのお前だけじゃん!こいつらリア充じゃないし」
「「余計なお世話だ」」
「どういう感じで告白したかとかさ、あるじゃん色々」
「うーん...」
古海は1度悩む素振りを入れたあと柊の顔目掛けて思いっきりお湯をかけた。
「ちょ!なにすんだよ!」
「僕のシチュエーションを聞いたところでなにも変わらないだろ。柊は柊らしく告白してこいよ。俺とお前とじゃ性格もテンションも全然違うだろ?自分が思った通りのこと伝えれば大丈夫だ」
「そのとおりだと思う。変に今アドバイス聞くくらいなら最初から自分が考えたプランで勝負するべきだと僕も思うよ」
「慰めてやるからな」
「おい!失敗する前提なのやめろよさっき大丈夫って言ったばっかりじゃん!」
「あはは!」
この騒がしい声が女子たちに聞こえてないことを切に願う。露天ということもあって下手したら聞こえてもおかしくないが今はそんなことよりもこの時間を楽しんでいたかった。
「ちなみになんだが」
「どうしたの委員長」
「知っての通り俺は癒月さん、大空さん、湊さん、柊とそして俺の計5人で清水寺を観光してわけだ。その時から結構いい感じだったから...うん」
「おい!なにが言いたいんだよ!」
「あ〜あ、柊顔真っ赤〜。意外と照れ屋さん?w」
「古海はうるせー、彼女がいるからって高みの見物してんじゃねーよ」
「古海はちゃんと伴侶がいるからな、隅に置けないぞ」
「やめろ委員長その言い方は!」
「で、実際のところはどうなの?」
「...ノーコメントだ。とにかく今は柊だ!」
「そうだねって言ってもあとで古海にも標的がいくからね?」
「そうだ、俺と風真がたっぷりお前の面倒を見てやる」
「結構だって...」
「それで柊、プランはどんな感じなの?僕たちにも教えてよ」
「えーとまずはあれだ、王様ゲームの途中にきっとトイレ休憩とかあるだろうからその時間を見計らって1回旅館の外に出る。散歩しながらいい感じになったら告白しようかと思ってる」
「ロマンチックになったな柊...僕感動してるよ今」
「いちいち茶々を入れるな!それでどう思う?俺が考えたプランは?」
「ああ無難だな」
「うん、いいと思う」
「もっとなにかないのかなにか!」
「強いて言うならもう夜だし寒いから上着は持っておいた方がいいかもね。おまけに浴衣だから冷え込んじゃう」
「あ、それは考えてなかった」
「お前の分はなくても大空さんのために1着は持ってるべきだ。お前は少しくらい寒さに耐えろ」
「...わかった」
「...ああやべ!気づいたら集合時間15分前じゃん!」
「早くシャンプーして女子の部屋行くよ、柊は...まあ頑張れ」
僕たちは告白を間近に控えた柊を背に急いで体を洗い、着替えて女子の部屋に一目散に行った。
「ご、ごめんあやめ!遅くなった」
「ちょっと大輝遅い余!心配したんだから」
「いやちょっと男同士の暑い話に夢中で、悪かった」
「髪も乾かしてないじゃん!ここの部屋のドライヤー使っていいから乾かして余」
「ご、ごめん」
結局僕たちは遅れた。今回の旅行で最初以外全部集合を過ぎてしまっているので。時間にルーズなのは好きじゃないから気をつけなければ。
「おまたせいたしました」
「よう男子諸君!早速だが王様ゲームをしよう」
「でもスバル様、それはちょっと早いんじゃない?」
「楽しいことは最初にした方がいいでしょ〜?この人数じゃあとできてもUNOくらいだし」
「それもそうだな、よし!じゃあ早速カードを配るぞ」
9人が円形になりそれぞれ座布団の上に座った。
「王様だ〜れだ」
僕は6番、なんとなく真ん中の方の数字って当たりやすそうでヒヤヒヤする。
「はい!あてぃしです!」
「おお湊さんか、でなににする?」
「え〜じゃあどうしよっかな〜、あたし迷っちゃうな〜」
「湊さんってこういうキャラだったんだ...」
「風真様、あくあ様は意外とこういう節があるんですよ」
いつもの4倍はテンションが高い湊さんを見て新たな収穫ができたなと思った。夜も深くなる手前なので深夜テンションでもっといつもとは違う湊を見れるかもしれない。
「最初だから軽くいこ、あくあちゃん」
「じゃあ4番の人が腹筋!」
「ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!ばっかじゃないの?!」
「最初は紫咲さんか、ご愁傷さま」
「委員長は手を合わせないで!それであくあちゃん、何回すればいいの?シオン10回が限界なんだけど」
「え〜そんなこと言われちゃったら、20回かな?」
「ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「シオンちゃん、王様の言うことは絶対だからね?」
今の湊さんにはきっと悪魔が宿っているに違いない。予想通り10回を差し掛かったところでキツそうだったが悪魔に慈悲なんてなく20回を遂行するまで見守っていた。
「...絶対に許さないから」
「あはは!シオンおもろ!次行こ次!」
手際よく癒月さんがみんなにカードを配る。さすがと言ったところだ、気品すら感じてしまう。
「王様だれーだ?」
僕は1番だった。1番ってなんか最初だから当たりやすそうで怖いですよね?なんかとりあえず1番って言う人いそうじゃないですか?
「俺だ」
「委員長か〜まあ大丈夫だべきっと」
「じゃあ柊、お前に当たるようになんとかするわ」
「やめろよ絶対に!」
「じゃあまだ序盤だし、7番腹筋で」
「おー筋トレラッシュだね、7番の人は?」
「チッ」
「ああチョコ先生元ヤンの血騒いじゃってるって!」
「え?!癒月さん元ヤンなの?」
「誤解です!」
先程まで保たれていた気品のあるという僕の癒月さんへのイメージは一瞬で崩れ去っていった。とはいっても舌打ちもするんだなと人間らしい一面が見れて良かった。その後も王様と被害者が出続けた。肩揉みを要求する者、ジュースを買ってこいと従者のように扱うもの、指定された番号同士で手を繋がせる者、色々いたが波乱はあまり起きていなかった。
「おおスバルきたー!!じゃあ3番と6番ハグしてー!」
「結構攻めたな...。それで3番と6番は?」
「「...はいってええ?!」」
「えー!!まさかの古海夫妻かよ〜、ミスったな〜」
「...ほんとにハグするのスバル?」
「もちろん、夫婦だしできるでしょ?」
「余たちは夫婦じゃない余〜もう...」
すると百鬼さんは渋々と立ち上がり、正面にいる古海に向かって飛びついた。古海と抱きつくこと体感5秒いやそれよりも長く感じていたところで2人のハグは終わった。
「...これで十分?もう余恥ずかしい限界...」
「...なんていうか、うん。すごい良かった」
「俺もそう思う」
「あてぃし恥ずかしくて途中目瞑っちゃった」
「これが青春、これが夫婦か...」
「ああもう!恥ずかしい!1回休憩しよ!」
古海の呼びかけで一時休戦協定が結ばれた。ということは同時に柊にとっての勝負が幕開けることを知らせていた。案の定休憩という言葉を聞いた柊は飛び跳ね、緊張を隠しきれていなかった。ちなみに王様ゲーム中も一際静かだった。癒月さんに心配されて以降はいつも通りの調子を装い、その場をやり過ごしていた。
「...じゃあちょっとのみもん買ってこようかな、大空さんも一緒に行かない?」
「あ、行く行く〜!」
2人は扉の奥に消えてしまった。
「スバル様と柊様いい感じだよね〜」
「ああ癒月さん、実は...」
「ええ!がちぃ?!」
「え、なになにチョコ先生?」
「えーとね、今2人が出ていったのは柊様がスバル様に告白するからってことを委員長が...」
「「ええ?!」」
「でもスバルそんな素振り見せてなかったよ?」
「そうなんだ、柊は僕たちといる間もずっと緊張してて少し心配なくらいだったよ」
「あーだから王様ゲーム中も静かだったのか〜。シオンもおかしいな〜とは薄々感じてたけど」
「余も気づいてた!」
「じゃあ柊様とスバル様は決してジュースを買いに行ったわけじゃないと?」
「うん、あいつは旅館の外で告白するらしい」
「じゃあシオンたちも見に行くしかないでしょ!」
僕たちは急いで部屋を出て柊たちのあとを追った。旅館の外を出て少し歩いた辺りに柊と大空さんが歩いてるのを発見し、バレないようにしながら現場を見守った。
「ていうかさむっ!」
「シオンさん静かにして、我慢です」
「あ!柊君なんか喋ろうとしてるよ」
「...今日楽しかったな」
「だね〜スバルはもっと清水寺観光したかったな〜」
「もう少し時間あったらいっぱい回れたかもな」
焦れったい、焦れったいよ柊。もう男なら一発目でガツンといってくれ!
「明日も楽しかったらいいな」
「そうだね〜、それで柊、話ってなに?」
「え、あ、え〜まあそうだな、なんていうか」
「ちょっと柊様ってあんなにチキンなの?」
「しー!チョコ先生声少し大きい!」
「でもスバルもいつもと違ってメスバルの顔かも...」
「もうここまできたら見守るだけですよ」
「...俺さ、大空さんのこと...」
あとひと踏ん張りだ柊。
「好きだ」
「え!!!」
「ちょっと大空さん声大きい...」
「ああごめんごめん」
「その...大空さんと学園祭の準備してる時間とか一緒に夢の国で行動してる時とか今日の清水寺だってそう、大空さんといる時間が楽しくて...気づいたら、その...好きだなぁって思ってて。絶対楽しませるし嫌な思いはさせない、だから、その...俺と付き合ってほしい!...です」
大空さんの返事を固唾を飲んで見守る。見ているこっちも柊と同じくらいの緊張感があった。
「あはは!!」
「...なんで笑うんだよ」
「いやなんかいつもと違うな〜って思って」
「...悪いかよ」
「いや全然。...そのスバルこういう時どう返事したらいいから分からないんだけど...。スバルで良かったらこちらこそお願いします」
「「「うおー!!柊おめでとう」」」
「は?!お前ら見てたのかよ」
僕たちはいてもたってもいられずその場を飛び出た。2人の祝福に夢中になっていたせいか先程までの寒さは僕たちの歓喜の熱によってどこかへ飛ばされた。僕たちは今の瞬間、夜だろうが周囲の人に迷惑だろうが関係なしに祝福した。
サブキャラの話を番外編に載せるのはありか
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あり
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なくてもいい