僕の平穏だった学園生活   作:-つくし-

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僕も男だった

 気づいたら朝になっていた。カーテンの隙間から差し込む日差しが眩しい外に行って柊の告白を見守ったあとなにしたんだっけ。みんなでお祝いしたあと...ああ、百鬼さんが寝落ちしてそのまま解散したんだっけ。

 

<続いてのニュースです、先日結婚を発表した...>

 

 

 朝からニュースを見るなんて今どきの高校生では考えられないようなことをするのは委員長しかいないだろう。布団から起き上がらずともきっとスマホとにらめっこなんてせずニュースを見ているのだろう。

 

 

「起きてるんだろ?風真。さっきから寝返りが激しいぞ」

 

「ああ、委員長おはよう。何時から起きてたのさ?」

 

「6時30分くらいだ」

 

「は?昨日は何時に...」

 

「ちょうど2時くらいじゃないか?みんな部屋に帰ってきたあとは泥のように眠ってたぞ」

 

「委員長は眠くないの?」

 

「俺か?俺もできるなら寝たかったが俺の隣を見てみろ」

 

「隣?...」

 

 

 目線を横にやるとそこには掛け布団を吹っ飛ばし、枕と反対の位置でぐっすりと寝ている柊の姿があった。

 

 

「おまけに寝相も酷いんだ。今は落ち着いてるけどさっきまではな。おかげで目が覚めちゃって」

 

 

<続いてのニュースです。昨日未明、○○市で...>

 

 

「ニュースは消しとくか」

 

 

 最後まで聞こえなかったが画面を見る限りそれは交通事故が起きて死者が発生してしまったという旨のニュースだろう。最近になってこの手のニュースをネットでも見かけるようになる。僕も実際に免許を取ったら気をつけないとな。

 

 

「さあ早く準備するんだな。後続が詰まる前に」

 

 

 古海と柊が起きる前に準備を済ませておくことにした。準備している最中に柊、古海の順番に起きてきたため早めに準備しておいて正解だったと思う。今日は京都の街を散策するということなので全体的にカジュアルなコーデにしてみた。元々ファッションセンスをおざなりにしてきた人生なため今くらいラフなのがちょうど良かった。

 

 

「朝飯も上手いな」

 

「だね、朝ごはんにしては贅沢すぎるくらい美味しいよ」

 

 

 全員準備を終えたあと朝食のビュッフェ会場に足を踏み入れた。朝食を準備しなくても勝手に用意されている朝は久しぶりなので少し感動した。普段は僕が朝食を準備することが多いからだ。ちなみに女子は準備に時間がかかるため朝食は別で食べるとのことだ。

 

 

「しっかしよ、未だに信じられねーよ付き合えたなんて」

 

「こっちからしたらどっちかがアタックしたらいけそうだなとは思ってたけどね」

 

「でも、お互いに好きって思ってないんじゃないかなって。あれがデフォルトな距離感だと思ってたからさ」

 

「そんなわけねーだろバチバチに意識してたわ」

 

「意外と初心かもな」

 

「うん」

 

「うるせー」

 

「じゃあ今日は晴れて恋人同士となって顔を合わせる1日目、もちろん行先は決まってるよな?」

 

「ばかやろう、決まってるわけねーだろ...。これから考えるさ」

 

「昨日突然決まったことだししょうがないよ、僕だって全くだし」

 

「甘いなお前たち、俺はすでにリサーチを入れてるぞ」

 

「あんだけ早く起きてたら暇でしょうね。必死にスマホをいじってるってことは古海も決まってないのか」

 

「...もちろん」

 

 

 昨日はあのノリで、せっかくならカップル多いし、2人だけの時間作ってあげない?という癒月さんの配慮により古海と柊は別々に行動することになった。そのため必然的に行先も変わるわけで、でも本人たちは2人で行きたいみたいだから暖かい目で見守ってあげる。僕は委員長たちと一緒に回るので委員長のプランに身を任せてるため少しラッキーだ。

 

 

「じゃあまたな、夜会おう」

 

「健闘を祈るよ」

 

 

 ロビーで古海と百鬼さん、柊と大空さんを見送ったあと僕たちも出発する。

 

 

「まあ京都と言えばここじゃないかと思って」

 

「定番ですね。千本鳥居1回見てみたかったのでちょうどいい機会です」

 

「近くで見ると鮮やかな朱色だなぁ。しかも大きいし」

 

 

 阿吽の狐の像が見守る門をくぐり抜けて僕たちは千本鳥居を歩いている最中だ。漆塗りの鳥居がズラリと連なる光景は圧巻だった。中から見てこのしき詰まり具合は、外から見てもかなりギュウギュウにしき詰められているのだろう。

 

 

「あ、ようやく終わりそう」

 

「ここの先におもかるいしがあるらしいですよ。皆様行きましょうか」

 

 

 少し待った後僕たちはおもかるいしの前で願いごとをする。願いごとをしながらおもかるいしを持ち上げ予想より軽ければ願いが叶うというものだが

 

 

「重っ!」

 

「ちょっとwなに願ったのさ?そんなたくさん願いごとしたの?」

 

「いや全然...家族が健康に暮らせますようにって」

 

「それでそんな重く感じるか?お前がただたんにおもかるいしの重さを甘んじてただけかもしれないぞ」

 

「きっとそうかも」

 

 

 伏見稲荷を1周しよう!という試みが打診されたが、湊さんの体力を考慮した結果その提案は空中分解した。これだけで帰るのはあれなのでお土産を物色している。

 

 

「う〜んこのきつねの被り物可愛いな、シオンさん被ってみてください」

 

「いーやーだ!遥が被ってみればいいじゃん」

 

「いいですよ...。どうですか?」

 

「ハハッ!まじウケる!wwもう買っちゃいなよw」

 

「う〜ん、僕が被るのはなんか違う気がするので今回はパスですね」

 

「なんでさ〜似合ってるよ?w」

 

「普段被ることはないので、このきつねのお菓子買ってきますね」

 

 

 お土産を買ったあと稲荷大社から出て次なる目的地へと向かった。バスに乗って到着したのは八坂神社、素戔嗚尊を主祭神とする有名な神社だ。また神社かって思うかもしれないけど、たまにはこうして普段は行くことのない神社を巡るのも一興かなと思う。

 

 

 みんなで手を合わせる。ここの神社のご利益は学業成就や厄除け、そして縁結びなどが挙げられる。いつか縁があればいいなとは思いつつも正直不安もある。僕はその器なのかなと。

 

 

 八坂神社を軽く散策しているうちに日が落ち始めてきたため早めに旅館に戻ることにした。と言っても湊さんが疲れてしまったのが大半の理由。いつも以上に歩いているせいもあるだろう。ここで風邪を引いてしまうと帰りが大変ななため苦渋の決断ではあるが観光はここまでとなった。

 

 

「水戸様と風真様ですね。こちら、部屋の鍵となります」

 

 

 受付の人から鍵をもらったのはいいが、よく考えると僕と委員長の部屋は一緒なはずなのに別々の鍵をもらったことが引っかかった。おまけに女子に部屋の番号を聞くといずれも異なっていたため余計に混乱した。

 

 

「あの...部屋の鍵間違ってるんですけど...」

 

「ああ、君たちが大輝の友達かい?」

 

「もしかして古海君のお祖母様ですか?」

 

「もちろん!部屋について疑問なんだろう?君たちが夜中騒いでる姿を見ちまってな。いい雰囲気だったから男女で部屋泊まってみんしゃい!」

 

 

 荷物を下ろして、新しくなった部屋を見渡す。うん、部屋は昨日と同様に綺麗、一回り小さくなってしまったが問題ないだろう。別の問題はあるが。

 

 

「シ、シオンさん。この後どうします?」

 

「え!えーと...。あ!シオン喉乾いてきたから飲み物買ってるくるね〜」

 

 

 そういうとシオンさんは部屋を出ていってしまった。なんでこんなことになったのだろうか。部屋の住人が男4人から男女1人ずつになるなんて。嬉しくないって言ったら嘘だけど、だけど色々あるじゃないか。僕だってれっきとした男子高校生だ。何も思わないはずがない。

 

 

「はい、これ。遥の分も買ってきたよ」

 

「ああ、ありがとうございます」

 

「スバルとあやめ、どんな感じかな〜。スバルに至っては成立ホヤホヤだしな〜」

 

「そうですね。帰ってきたらきっと驚きますよ」

 

「だよね〜!スバルの声ここまで聞こえてきちゃったりして」

 

「何となく予想がつきますね...。話が変わるんですけど、夕食はここまで運ばれてくるみたいですよ」

 

「へ〜、漫画とかドラマとかで見るあれみたいな感じなのかな〜。少し席を外してる間にいつの間にか用意されてるやつ」

 

「じゃあ試しに少し外出て暇でもつぶしましょうか。もうすぐ夕食どきなのでもしかしたらありえるかも」

 

「えー!でも寒いじゃん!」

 

「外でなきゃいいだけの話です」

 

 

 好奇心に駆られて僕たちは旅館を散策するついでに夕食が用意されているのかどうか検証してみた。売店で夜食やお菓子をこしらえたり、卓球台が置かれていたため少し遊んだりした。僕は卓球が絶望的に下手なのでシオンさんにボコボコにされ、マウントを取れてしまう結果となった。30分くらい経ってから部屋に戻ると

 

 

「うわ、ほんとに準備されてる!」

 

「本当だったんだ〜」

 

 

 目の前には美味しそうな懐石料理が机いっぱいに広がっていた。昨夜とはまた違った面々に舌鼓を打ちながらシオンさんと食べ進めた。

 

 

「ふ〜おなかいっぱい」

 

「お風呂先入ってきてよ」

 

「え?いいんですか?」

 

「いいよいいよ、シオンは敗者に気を使えるくらいには優しいから」

 

「その言い方は癪ですけど、遠慮なく先に入ってきますね」

 

 

 2人部屋となったが露天風呂が備わっているのには変わりなかった。旅の疲れ、特に足にきていたため揉みほぐしながら最後の露天風呂を楽しむ。

 すると突然部屋へと通じる扉が開いて...

 

 

「え!ちょ、ちょっとシオンさん!」

 

「うるさい!あっち向いて、恥ずかしいから...」

 

 

 タオルに身を包んだシオンさんが現れた。咄嗟の出来事だったため理解が追いついていないが、タオルを巻いているということはそういうことなのかもしれない。

 

 

「...入ってもいい?」

 

「...はい」

 

 

 後ろを向いているためわからないが、足音で徐々にこちらに近づいて来ているのがわかった。ちゃぽんと確かにお風呂に入った音が聞こえたあとで背中になにかがあたった。

 

 

「...近くないですか」

 

「近くないでーす」

 

「...シオンさん俺だって男ですよ」

 

「知ってるよ?でも遥はきっと何もしない、だって優しいから」

 

「...そうですか」

 

 

 ちょっと貶されているかもなと思ったが、優しい声色をしている時のシオンさんは冗談なんて言わず本音を言うことは今までの付き合いでなんとなくわかっている。彼女はふざけているように見えて根は真面目、優しさが隠しきれていないこともよくわかっている。

 

 

「...旅行楽しかったですね」

 

「そうだね〜」

 

「みんなでまた旅行来れるといいですね。今度はどこに行くんでしょうか」

 

「もう次の話?早くない?」

 

 

 背中合わせでお風呂に浸かっているため、微かだがシオンさんの心音が聞こえる。僕の心音はいつもよりもスピードを増している。緊張もあるが同時に僕はタオルなんて巻いていないことに気づきパニックに陥っていた。

 

 

「...のぼせたかもしれない」

 

「ちょっと〜なんでさ」

 

「1番わかってるでしょ!」

 

 

 僕はあの後色々耐えきれなくなりお風呂を飛び出した。のぼせたのもきっとそのせいだと思う。

 

 

「あ、柊から連絡きたから1回外出ますね」

 

 

 1度部屋を出て柊と会う。柊は部屋が2人きりという状態に困惑を隠しきれていなかったが距離を縮めてやると意気込んでいた。話はそれだけだった。なんで呼んだのか聞いたら緊張をできるだけ和らげるためと可愛いことを言っていた。

 

 

「あ〜?おかえり遥〜」

 

「え?シオンさんなんか変じゃないですか?」

 

「ん?そんな変じゃないって〜」

 

 

 明らかにおかしかった。火照った顔、机に置かれた得体の知れない瓶。考えられることは1つだった。

 

 

「これアルコールじゃないですか...。しかもルームサービスの高そうなやつ。おまけに度数も結構高いような」

 

「ん〜?そんな変じゃないって〜」

 

「とりあえず、これ水。飲んでください」

 

 

 お酒を飲んで酔っ払らったら水を飲ませるのがいいみたいなことを聞いたことがある。その通りにしてシオンさんに水を飲ませる。

 

 

「もう飲んじゃダメですよ」

 

「はいはい〜」

 

「お酒は20歳になってからですよ」

 

「わかってるってば〜そんなに言わなくてもいいじゃん。シオンのこと嫌いになったの?」

 

「いや、そういうわけじゃないですって」

 

 

 もう正直に言ってしまおう。酔ったシオンさんは普段とは違う可愛さを纏っていた。未成年の飲酒は許されるものではないがいいものを見れたと思う。

 

 

「とにかく、もう寝ましょ。明日朝早いしシオンさん眠そうですよ」

 

「いーやーだー、シオンはまだ寝たくない」

 

「じゃあ布団だけ引いちゃいましょ」

 

「ちょっと」

 

「え?」

 

「離れないで」

 

「いや、布団ひくだけ...」

 

「やーだー!」

 

 

 酔うと程よい面倒くささを得るのかもしれない、でもそんな上目遣いで言われたら断れるわけがなかった。

 

 

「うわっ」

 

「えへへ、遥〜体ゴツゴツしてる〜」

 

「ちょ、ちょっとシオン」

 

「シオンとハグしたくないって言うの〜?」

 

「...」

 

 

 もう何言っても無駄だなと思った。僕も理性がだんだん崩壊しつつあるが、いっそのこと自分から理性をぶち壊してもいいのかなと思った。そんな邪な考えを払拭するべくシオンさんをできるだけ刺激しないように布団を引き終えた。

 

 

「布団引き終わったので移動してください」

 

「え〜、遥が運んでよ〜」

 

「自分で行ってください」

 

「遥が運べばシオンも楽だし遥もかわいい女の子を助けれていっせき...わっ」

 

 

 僕はシオンさんを抱きかかえて布団まで移動させた。甘いフルーティな匂いが僕の鼻腔をくすぐる。

 

 

「これで満足?」

 

「まんぞくまんぞく〜、遥も横にきてよ」

 

「...ダメですって...」

 

「いいからさ!」

 

「でも...。ちょ、シオンさん」

 

 

 結局その矮躯に僕の体は引き込まれ布団にシオンさんと僕はゼロ距離になった。そしてシオンさんは電気を消す。

 

 

「シオン...。ここまでするってことは...。僕だって男だから何してもいいってことなの?」

 

「...いいよ、遥だし。遥じゃなかったらこんなことしてない。気づいてよ」

 

「...シオン」

 

 

 僕のブレーキはとっくの前に故障していた。目の前にいるシオンに唇を落とす。初めてのキス。初めてのキスの味はレモンという言葉があるが、そんなのはどうでもよくて。気づいたらシオンの虜になっていて、僕はその行為をやめるなんて選択はできなかった。

 

 

「...ちょっと待って、息が...」

 

「そんなの知らない」

 

 

 相手の都合なんて気にせず何回も何回もシオンに吐息を注いだ。シオンからしたら今の僕は獲物を襲う獣のように見えているのだろうか。離れようとしてもその度に抱き寄せて、僕から離れることを断じて許さなかった。頭に手を回し、その綺麗な銀色の髪をさく。ときには赤子をあやす様に頭を撫でる。その度にいい香りがして僕の理性をくすぐる。

 

 

「...シオン」

 

「...長すぎるって」

 

「ごめん、でも」

 

 

女性経験がほぼない僕は一瞬にしてキスの虜になっていた。乱暴にキスを繰り返すうちにはだけていくシオンに僕は心底魅了されいるに違いない。だって止めようと止めようと何度も自分に信号を送っても壊れた機械のように言うことを聞くことが一度もなかったんだから

 

 

「...ごめん、もう我慢できない」

 

 

 互いに息が切れているのがすぐにわかった。ひと呼吸おいてからシオンの方を見る。後先考えられるほど大人ではなかった。

 

 

「シオン...あれ?」

 

 

 気づいたらシオンは寝ていた。あどけない表情で眠りに誘われていた。その時初めて僕は再び自分の世界に舞い戻ることができた。思い出すだけで恥ずかしい、何回も何回も何回も...唇と唇が重なって、離した口には透明な橋がかかるくらいの熱いキス。身悶えそうなくらい恥ずかしくて、まるで僕が僕じゃないみたいだった。

 

 

「...なにしてんだろ」

 

 

 僕は全てを忘れたくて目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サブキャラの話を番外編に載せるのはありか

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