僕の平穏だった学園生活   作:-つくし-

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世代交代

「まったく、あんたが記憶なんて失わなければぺこーらが送辞を書く羽目になんてならなかったペコなのに」

 

「よかったよかった、送辞なんてたまったもんじゃない」

 

「前の風真先輩なら嬉々としてやってそうですけどね」

 

 

 前との変わりように鷹嶺は苦笑していた。そんなこと知ったこっちゃない。大勢に見られながら原稿読んでみろ、絶対に噛むに違いない。不慮の事故ではあるが兎田に押し付けられたのは不幸中の幸いというやつではないのか。

 

 

「あと何やったペコ...。あ〜球技大会か。確かあんたが初めて行事を担当した時ペコ」

 

「そんな話してましたね。俺は大活躍だったのでしょう?」

 

「バスケだけ、ペコ。仕事はまあ及第点ってところペコ」

 

「え〜白上先輩とときの先輩はそうやって言ってくれたのにな〜」

 

「調子に乗るなペコ!」

 

「ふふっ」

 

「ルイちゃん何がおかしいペコ!!」

 

「いやなにもありませんよ。ただ微笑ましいなって」

 

「それよりも手を動かさないと原稿仕上がりませんよ〜」

 

「くぅ〜!!ガチでムカつくペコ!!」

 

 

 ときの先輩と白上先輩は生徒会の第一線から退いた。他の部活動より引退は長引いたが2月の中旬辺りから3年生は自主学習という名の自宅待機期間に突入したため晴れて生徒会を引退となった。つまりあの二人が抜けた今生徒会のメンツは俺、兎田、鷹嶺の三人となった。全校生徒が約1000人近いこの学園をたった三人でまとめあげることは到底不可能。ましてや今の段階では戦力になりそうにもない俺もいる。新入生、はたまた新しい人材に期待するほかないに違いない。そう兎田と鷹嶺は嘆いていた。

 

 

「3人にしてはこの教室広いよな。5人の時も広かったんだけどさ、なんていうか寂しいな」

 

「柄にもないこと言うようになったペコね」

 

「関わり自体はほんの2ヶ月程度だけどあの2人には安心感があった。だからかな、感傷に浸るのもいいじゃんかたまには」

 

「確か夏のオープンキャンパスの時期に何名か生徒会の見学に来てましたよね?なんで他の部活を蹴ってまでここに来たのか...まあ来るに超したことはないんですけど」

 

「やる気のあるヤツらが来たら徹底的に教え込むペコ」

 

「おお、怖」

 

「もちろんあんたも」

 

「ですよね」

 

「あんたには早く前みたいにテキパキ仕事をこなせる状態に戻って欲しいペコ。それじゃないと困る」

 

「まあ私から見たら前よりは劣ってますけど今も全然大丈夫だと思いますけどね。ぺこら先輩からしたら物足りないのかもしれないですけど」

 

「あんまり言うと調子に乗り始めるからやめろペコ」

 

「少しくらいいいじゃん」

 

「とりあえず、ルイちゃんとあんたは卒業生用のバッジの準備を。あと余裕があったらそら先輩とフブキ先輩へのプレゼントの梱包もやっちゃえペコ」

 

「はい!」

 

「御意...」

 

 

 傍から見れば閑散としている生徒会かもしれない。しかし繋がりは他の大所帯の部活と比べたらきっとより深いものだろう。だって俺が言うんだから違いない。

 

 

 

「ヘイヘイヘイ!もっと腰落として!ハンズアップハンズアップ...どうしてそこでプレッシャー緩めるのさ?!もっとタイトにやるよタイトに」

 

「...お前はそんなキャラだったのか」

 

「なによ?」

 

「いや、少なくとも俺が知ってる風真のバスケはシューターだったし、こんなにうるさくないぞ」

 

「バスケはコミュニケーションが命だろ。熱を周りに伝播させて初めて一体感が出るんだから。だいたい強くなりたいならもっと声掛けが必要だ。一流のプレイヤーなんかずっと喋ってるぞ」

 

「よくもまあ部活に入ってないやつがやるもんだ。こっちとしてはありがたいが...メンタルすげえな信じられん。あの風真がクレバーじゃなくてパッション系になるなんて。クールさ求めてお前を見に来てるファンの子が泣いちまうよ。こんなにゴリゴリにゴールに向かう姿見たら」

 

「身長も伸びたし体も戻りつつあるからな。でも体力はどうしても戻ってこないから入部はお預けだな」

 

「真琴君」

 

「どうしたかなたちゃん」

 

「ちょっと調べてみたんだけどさ、中学の頃の風真君は北海道の大会で優勝してる。オマケに大会のベストファイブにも入ってるし...。なんでここに来たんだろう。推薦もあらゆる所から来ていてもおかしくないのに」

 

「まじか!!どうしてそれを黙ってたんだよ!」

 

「う〜ん、まあ謙虚な風真君がベラベラ口外しないのは解釈一致だけど...。少しくらい誇ってもかなたそは何も思わないよ」

 

「地元じゃ自慢できたかもしれない。だけど全国に目を向けた時に...やっぱり壁は高いなって感じた。準々決まではいけたけどそれじゃまだ足りない。俺の能力を買ってくれる監督さんもいるにはいたんだけど...。俺はここを選んだ」

 

「なんで?」

 

「別にガチでバスケやらなくてもいいかなって思って。でも少しはやりたいじゃん。だからまあそこそこ強いところ行ってやりたくなった時にまた入部したらいいかなって、甘い考えの元ここを選んだんだ。強要されてやるバスケよりも自由に自分らしく好きなものをやりたいんだ」

 

「なるほどね...。確かに全国大会常連校にもなると規律と規則が厳しいし、風真君の理念には反してるね」

 

 

「そう、だから今も入ってないんじゃないか。現にバスケ部には入ってないみたいだし有言実行したんだろう」

 

「意見を曲げねーところはずっと変わらんな」

 

「ははっ、そうかもしれない。でも手を抜いてやるのは違うぞ。さっきディフェンスサボってたよな柊?」

 

「...なんのことやら」

 

「おいっ!待て!」

 

 

 逃げ惑う柊を猛追した。きっと扱かれるとでも思っているのだろうか。後ろでは天音が他の部員に指示して次のメニューへと舵を切っていた。こういう扱いが付き合いが長くなるに連れて上手になっていったのだろう。他の部員もいつものことのように流していた。

 

 

「こら真琴君!次の試合勝たなきゃいけないんだから!早く練習しろばか!」

 

「わかった、わかったからかなたちゃん!耳、耳引っ張んないで!」

 

 

 ああこいつはずっとこんな感じなんだ...。

 

 

「約束したんでしょ?あずき先輩と。次は絶対勝つって」

 

「ああそうだな」

 

「言葉だけで終わらせていいの?」

 

「まさか!絶対勝つさ」

 

「じゃあこんな体たらくでいいの?キャプテンが周りの空気を引き締めなきゃいけないんだから、風真君がいるからって浮かれないで」

 

「...そうだな、悪かった。よし!やろう」

 

 

一瞬で目付きが変わったのが俺にもわかった。バスケに対しては一途な思いがあるのだろう。俺もそれに引っ張られるかのように顔を思いっきり叩き、気合いを入れ直した。

 

 

 

 

 

 

 

サブキャラの話を番外編に載せるのはありか

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