TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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読みはラプソディでもそのままきょうそうきょくでも可です。



炎衰の狂想曲

「アタシの先行だ!ドロー!!」

 

 

レイカ 第一ターン

ライフ:10

手札:6 ターンカウンター:1 残りデッキ枚数:43

 

先行をもぎ取ったのはアタシだ。

背後の"ギアスモンスター"は頼れる相棒の進化形態【煉獄炎の総長(フルヘルズバーン・ヘッド)カイエン】──フルフェイスのヘルメットに似た兜を被り、バイクのマフラーに似た金属パーツが至る所に張り巡らされた赤い鎧を纏っている──は腕を組んだ状態で、鬼丸(オニマル)とその後ろの"ギアスモンスター"……【衰退の起源菌類(オリファンガス)オニテング】を睨んでいる。

 

 

「こうなったらしゃあねぇ……速攻でケリつけてやるよ!【獄炎の整備士(ヘルズバーン・メカニック)】をサモン!効果でデッキから【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】を発動だ!!」

 

獄炎(ヘルズバーン)】デッキのメインエンジンであり、象徴でもある燃える髑髏の描かれた巨大な旗を、髑髏を模したゴーグルを付けたツナギの男が地面へと突き刺す。

 

 

「ターン終了だ!【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】の効果で、このターン戦闘を行っていない【獄炎の整備士(ヘルズバーン・メカニック)】を破棄だ!」

 

「俺の……ターン。カウンター、ブースト」

 

 

鬼丸(オニマル) 第一ターン

ライフ:10

手札:5 ターンカウンター:2 残りデッキ枚数:44

 

 

詰まりがちな言葉と裏腹に鬼丸(オニマル)のカードプレイはいつも滑らかだ。

デッキ破壊というゴール地点が明確な戦術をずっと使い続けているからこそ、相手のデッキタイプに応じて、どのカードを先ずは使うべきかの優先順位が明確になっている。

アイツの目には怯えが残っているけれど……それぐらいじゃあ、そのカードの冴えは曇らない。

 

 

「アーティファクト【衰退の菌類楽園(ファンガスガーデン)】を、発動……その効果で、デッキから……【寄生菌類(パラファンガス)シロテングタケ】……発動」

 

 

キノコが無数に生えた鬱蒼とした熱帯雨林、そこにポコポコと白いキノコが新たに生えてくる。

アタシと"ギアスファイト"する時のいつもの初動だ。攻撃を繰り返して、手札のモンスターを入れ替えるのが【獄炎(ヘルズバーン)】の基本戦術だから、その攻撃自体を止められるのがめちゃくちゃ辛い。

ここまではいつもの流れだけど……

 

 

「……アーティファクト【衰退因子(ディケイド):餓鬼道】を発動」

 

 

衰退因子(ディケイド):餓鬼道】

緑・黒 コスト:1 衰退・アーティファクト

 

相手のカードが破棄される度に、このアーティファクトに衰退カウンターを乗せる。

場の衰退カウンターの数だけ、相手の場のモンスター全てのA(アタック)を下げる。

相手の場からモンスターが破棄された時に発動する。自分の場の衰退カウンターを全て取り除く。

 

 

キノコたちの隙間に、卒塔婆が何本も突き刺さる……あの事件以降、鬼丸(オニマル)と話す事が無かったけどもその間に手に入れたカードなんだろうか?

知らないカードだけど、鬼丸(オニマル)が使うんだから、厄介な効果持ちなのは確定だ。

けど、そんなのにしり込みしていられない。アタシは攻めて攻めて攻めまくる事でしか勝てないのだから。

 

 

「……ターン、終了」

 

「アタシのターン、ドロー!こっから、アタシの新しい攻めを見せてやんよ!」

 

 

レイカ 第二ターン

ライフ:10

手札:6 ターンカウンター:2 残りデッキ枚数:41

 

 

「アーティファクト【獄炎(ヘルズバーン)堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)】発動!!」

 

 

獄炎(ヘルズバーン)堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)

赤・黒 コスト:2 炎・アーティファクト

 

自分の場の獄炎(ヘルズバーン)モンスターが手札に戻る度に発動する。相手プレイヤーから一人を選んで一ダメージを与える。

自分の場にこのアーティファクトと【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】が存在する限り、どちらのカードも場を離れない。

 

キノコが生え、繁栄している熱帯雨林を地震が襲う。

地獄の底から出張してきたのは獄炎(ヘルズバーン)の本拠地である闘技場兼レース場だ。煉瓦造りの外壁にはスプレーで骸骨の落書きがされていて、見るからに治安が悪そうだ。

 

 

「さらに!スペルカード【獄炎(ヘルズバーン)流!お礼参り!!】を発動!!」

 

 

獄炎(ヘルズバーン)流!お礼参り!!】

赤・黒 コスト:2 炎・冥王・スペル

 

自分の場にモンスターが存在しない時に発動出来る。カードを二枚ドローし、相手の場にA(アタック):10B(バイタル)10のサンドバッグトークンを一体出す。このトークンは攻撃出来ない。

 

 

鬼丸(オニマル)の場に、顔面に当たる部分に誰かの写真が杭で打ち付けられ、さらにその上から赤い液体でデカイバツマークが描かれた人型のサンドバッグが置かれる。

 

 

「アタシの場にカードが無い時に発動出来る!カードを二枚ドローして、アンタの場にサンドバッグトークンを置かせてもらうよ!」

 

「……獄炎(ヘルズバーン)の、的……か」

 

「そういう事さ!ついでに、モンスターがいるからアンタのキノコもろくに出せないだろ?行くよ!【獄炎の軍師(ヘルズバーン・ブレーン)ソウテイ】をサモン!手札のコスト:2の【獄炎の親衛隊長(ヘルズバーン・ガード)ヘンジョウ】を破棄して、デッキからコスト:3の【獄炎の元総長(ヘルズバーン・オービー)ゴドウ】を場へ!」

 

 

獄炎の元総長(ヘルズバーン・オービー)ゴドウ】

赤・黒 コスト:3 炎・冥王

A:2 B:2

 

自分の場の獄炎(ヘルズバーン)モンスターが手札に戻る度に発動する。自分はカードを一枚ドローする。

 

 

メガネを掛けた青年──【ソウテイ】がノートパソコンで連絡し、呼び出したのは獄炎(ヘルズバーン)の元総長である【ゴドウ】。

筋骨隆々とした肉体を黒の長ランに包み、頭部に白いハチマキを巻いて木刀を提げた姿は、暴走族っていうか番長の類いだ。

 

 

「……【衰退因子(ディケイド):餓鬼道】の効果、発動。カードが破棄される度に……このカードに衰退カウンターを乗せ……場の衰退カウンターの、数だけ…駆魔(カルマ)の場のモンスターのA(アタック)を下げる」

 

「関係ないね!!アタックフェイズだ!!行きな、【ソウテイ】!!」

 

 

鬼丸(オニマル)の場の卒塔婆に怪しい光が灯り、それによって【ソウテイ】から力が抜けていく。しかし、相手は動かないサンドバッグだから問題はない。

 

 

「攻撃は……止めない」

 

 

思う存分にサンドバッグを痛めつけ、満足そうに【ソウテイ】がアタシの手札に戻ると同時に、闘技場の中から歓声が響いて観客が投げたらしいレンチが流れ弾として飛んでくる。

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:10→9

 

 

「【ソウテイ】は破棄される代わりに手札に戻るから、その卒塔婆の効果は発動しないよ!手札に戻ったことで【獄炎(ヘルズバーン)堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)】の効果で一ダメージ!さらに【ゴドウ】の効果で一ドロー!」

 

「それだけじゃ……ないだろ」

 

「そりゃそうさ!自分の場の獄炎(ヘルズバーン)モンスターが相手のモンスターに攻撃した後に、手札から【獄炎の特攻隊長(ヘルズバーン・リーダー)シンコウ】を場に出し、その効果で手札から【獄炎の副長(ヘルズバーン・サブヘッド)エンマ】を場へ!【エンマ】の効果で、デッキから【獄炎(ヘルズバーン)()狙撃手(リアガード)ビョウドー】を墓地に落とすよ!」

 

「【餓鬼道】に……衰退カウンターを、乗せる」

 

「まだまだ行くよ!!【シンコウ】と【エンマ】でサンドバッグトークンを攻撃!!」

 

「……【エンマ】の攻撃に、【シロテングタケ】の……効果を、使う。デッキトップを破棄し、そのコストだけ、互いのライフを……回復する」

 

「ほんと、良い所狙いやがって……破棄されたのはコスト:0の【十王決議】だから、回復は無しだ。【シンコウ】を手札に戻して、一ダメージと一ドローだよ」

 

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:9→8

 

 

「ここでスペルカード【再蘇生(リターン)】を発動だよ!」

 

 

再蘇生(リターン)

黒 コスト:1 スペル・復讐

 

自分のカードが破棄されたターンに発動出来る。

墓地から自分の場のモンスターの最大コスト以下のモンスター一体を場に出す。

そのモンスターの効果は無効になる。

 

 

地面に亀裂が走り、そこから石を詰め込んだ袋を抱えた女性──【ビョウドー】がエナジードリンク片手に這い出てくる。

 

 

獄炎(ヘルズバーン)()狙撃手(リアガード)ビョウドー】

赤・黒 コスト:2 炎・冥王

A:1 B:1

 

このモンスターが攻撃していない時に発動出来る。

相手の場のモンスターまたは相手プレイヤーに一ダメージを与える。この効果は、このターン中に自分のモンスターが攻撃した回数まで発動出来る。

この効果を使用したターン、このモンスターは攻撃出来ない。

 

 

「【ビョウドー】でサンドバッグトークンに攻撃!効果で手札に戻して一ダメージと一ドロー!!」

 

「……デッキ破壊、相手に……よくドローを、し続けるな」

 

「そりゃそうさ、ここで臆して攻めるのを辞めたらそれこそ負けしかないからね!!」

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:8→7

 

 

「手札の【シンコウ】の効果発動!再度場に出して【ビョウドー】を引っ張り出すよ!!」

 

 

雄叫びにも似た奇声を上げながら場に飛び出る半裸の男性──【シンコウ】の隣でガンギマリの目でエナジードリンクを投げ捨てる【ビョウドー】

これで、一気に終わらせてやる!

 

 

「【シンコウ】と【ゴドウ】でサンドバッグトークンを攻撃!!それぞれの効果が起動して二ダメージと一ドロー!もう一度手札に戻った【シンコウ】を場へ!」

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:7→6→5

 

 

「【ビョウドー】の効果発動!!攻撃権を放棄し、相手モンスターまたは相手プレイヤーに一ダメージ!このターン中に五回攻撃したから、この効果を五回発動する!!全てのダメージを鬼丸(オニマル)に!!!」

 

 

石を袋の中から取り出し、それを鬼丸(オニマル)に向けて投げつける【ビョウドー】

勢いよく投げつけられた石は、空中で摩擦により発火して火の玉となる。

 

 

「…………手札から、スペルカード【繁殖崩壊滅亡感染(デッドルート・パンデミック)】を発動」

 

 

繁殖崩壊滅亡感染(デッドルート・パンデミック)

緑・黒 コスト:1 スペル・衰退

 

自分の場に【衰退因子(ディケイド)】カードが存在する時に発動出来る。

互いの場のモンスター全てを破棄し、その元々のB(バイタル)の合計だけ互いのライフを回復する。

 

 

降り注ぐのは……真っ白な灰のような粉。それがサンドバッグトークンやアタシの【シンコウ】と【ビョウドー】【エンマ】に降り掛かると、ボコボコに全員が膨れ上がって破裂した。

 

 

「【衰退因子(ディケイド)】が……存在する時に、発動出来る……互いの、場のモンスター……全てを破棄し、その元々のB(バイタル)だけ……互いのライフを…回復する……合計は、14」

 

「嘘だろ……クソが!!」

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:5→4→18

 

レイカ ライフ:10→24

 

 

【ビョウドー】の効果でダメージは入るけども……ライフがアレだけ増えてしまえば問題ない。

アタシのライフも増えたが……鬼丸(オニマル)の戦術には、これっぽっちも関係が無いからタチが悪い。

 

 

「【餓鬼道】は……場のモンスターが、破棄された時に……場の衰退カウンターを、全て……取り除く」

 

「効果の補足ありがとね、クソッ!!……アンタ、アタシに【ゴドウ】の効果でドローさせまくる為に今まで使わなかったんだね」

 

「……ああ、あのタイミングが……一番、効く」

 

「ほんと!やなタイミングで使ってくれたよ……!アタシはこれでターン終了!でも、次のターンには轢き倒してやるからね!!」

 

「俺の、ターン……ドロー」

 

 

鬼丸(オニマル) 第二ターン

ライフ:18

手札:3 ターンカウンター:3 残りデッキ枚数:42

 

 

「【衰退の菌類楽園(ファンガスガーデン)】の効果で……デッキから、もう一枚【寄生菌類(パラファンガス)シロテングタケ】を……発動」

 

「チッ……」

 

「……アーティファクト【寄生菌類(パラファンガス)コガネテングタケ】を発動、ターン終了」

 

 

淡々と最適なアーティファクトを置いていくプレイングは地味だが、堅実で……強い。

【コガネテングタケ】の効果で、【獄炎(ヘルズバーン)】モンスターたちが手札に戻る度にデッキを削られていくようにされ……その上で二回の攻撃封鎖は正直、キツイ。

でも、()()()()()()()()()()

 

 

 




( ˇωˇ )鬼丸(オニマル)とレイカのターンの密度差に笑う今日この頃
獄炎(ヘルズバーン)の連打は書いてて、たまに訳分からなくなりそうです……何だこの連打ギミック
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