TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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基青神の名前はノーヒントだと分かる人いないやつです。


【■■■■■テラ■】

"サモンエナジー"が一箇所に集まり、濃密なソレは橙の光から透き通るような青色に変わる。

 

 

「これは……まさか、あの人を呼ぶのですか!?」

 

「ええ、そうよ♡未遂とはいえ神をサモンしようとした事による大量の"サモンエナジー"に加えて、この辺りの土地では別の神が顕現したという縁があるから……()()()()()を呼ぶのにうってつけでしょ?」

 

()()()()()()!!小官とのファイトはその為の行為だったでありますか!!?」

 

「そういう事になるわねぇ……ごめんなさいね♡ソコロワちゃんの力量も見たかったから一石二鳥だったのよ♡」

 

 

両の手を合わせて、小首を傾げながら舌を少し出す動作は女性ならば可愛かったでしょうが……体格の素晴らしい成人男性が行うととてつもなく違和感を感じます。

そうしてる間にも"サモンエナジー"が臨界点を迎えます。

一瞬だけ見えたのは歪なシルエット、それが瞬く間に圧縮されて……閃光が走る。

 

 

『呼ぶならタイミングを考えろ!!消火作業中だったんだが!?俺の住処が盛大に燃えている最中だったんだが!!?』

 

 

光が収まるかその寸前か、開口一番にそんな事を早口にまくし立てる声には聞き覚えがありました。

手入れがろくにされていなさそうなくしゃくしゃのくすんだ青色の髪、(すみれ)色の瞳と怜悧な顔立ちを合わせた印象は数学者のようでもあります。

しかし、そんな印象を覆すようにキャンキャンとアヴァロニア氏に詰めながら吠えている彼は……

 

 

「それが貴方の仮の姿ですか、基青神」

 

『ああ?誰だこの囚われの優男……遂に男に走ったかマリ助』

 

「もー、マリリンって呼んでって言ってるじゃないテラちゃん♡」

 

『呼んでほしかったらそのふざけた呼び名で俺を呼ぶな!……で、コイツ誰だ』

 

 

ジト目でこちらを見つめる基青神こと……仮称:テラさんに茨に手足を戒められていますので、軽く会釈だけをします。

 

 

「どうも、誘黒神です」

 

『なんだ、誘黒神か………………誘黒神!!?嘘だろ、あの黒虫がコレか!?あの遊園地入場不許可に暴れ回った黒虫がこんな優男に!!?』

 

「私の過去のやんちゃを突然ばらさないでいただけますか……?」

 

『あの菓子を渡せばほいほい誰にでもついて行って、そのまま襲われても返り討ちにしていたアイツがこんな丁寧な言葉遣いの優男に!!?』

 

「誰にでもついて行ってません!優しそうな人について行っているだけです!!お菓子をくれる人は優しい人なのでセーフです!!」

 

「いや、十分にアウトであります……遊園地で暴れたって何してるでありますかこの男……」

 

 

ああ、墓穴を掘ったせいでソコロワ嬢から凄まじく冷たい視線を感じます……例えるならば、親戚のおじさんから恥ずかしい過去をばらされているような状態でしょうか。凄く、いたたまれないです。

 

 

「やほーお話が今日も絶好調だね、基青神」

 

『…………誰だこいつPart2』

 

「占赤神だよ、キャラ変したんだよね」

 

『変わり過ぎだろう!?知神(ちじん)に久しぶりに会ったら揃いも揃って印象が逆転しているんだが!?救黄神と統白神を見習え!アイツら、全然変わらんぞ!!?』

 

 

ゼーハーと肩で呼吸をしているテラさんには悪いですが、慣れてもらうしかありません。

困ったように肩をすくめるアポロさんが視線をこちらに向けます。まあ、そろそろ良いでしょうね。

影の中から触手(うで)を出して、私の肉体を締めつけている茨を引きちぎります。

 

 

「それで、アヴァロニア氏の目的は基青神を呼び出すこと……私は釣り餌ですか?」

 

「【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】が欲しかったのは私的な理由よ、それにあたしのお仕事は()()あるのよね」

 

 

軽くウインクしたと同時に外から爆発が響きます。

空気を切り裂く音と共に、勢いよく大聖堂の壁をぶち破るのは戦闘機を模した機械天使──【焦土天機(カラミティ)】の内の一機。

その後から悠々と大聖堂に入ってくるのは……どこかで見た覚えのある黒髪の女の子と優義徒(ユギト)を小脇に抱えた()()()()()()()()()()()。二人とも意識は無いようで、ピクリとも動きません。

 

 

「首尾は上々ね、あたし」

 

「あのおじ様がおっかない顔して追い掛けてきて大変だったのよ、あたし!()()()()()()()()あたしが向かって正解だわ、そっちのあたしだと間違いなく燃やされてたわよ!」

 

『呑気に話している場合じゃないぞ、マリ助。黒虫がキレてる』

 

 

大聖堂の隙間という隙間から私を構成する黒い虫の群れを呼び出す。

触れるだけで生物を喰らい尽くし、無機物もその気になれば平らげる悪食の小虫を束ね、私の触手(うで)とし……

 

 

「その子を返せ」

 

 

返事を待たずに不届き者達へと殺到させた。

無手の方の不届き者が青の(えさ)を抱え、もう一人の不届き者と共にこの狭苦しい箱の中を逃げ回る。

追い詰める度に、触手(うで)を何かしらの術で吹き飛ばされて……またすぐに再構築して追い掛ける。

 

 

『くそ、シャレにならんぞ!?マリ助、早く飛ばせ!!』

 

「無茶言わないでほしいわぁ!」

 

「流石にこの速度で迫られたらキツイわよぉ」

 

『同時に同じ声で喋るな!耳がおかしくなる!!』

 

 

喚く青の(えさ)触手(うで)を叩きつけようとするが、すんでのところで逃がされる。

奇襲の為に数本の触手(うで)を影の中に埋めて、背後から不届き者たちを狙おうとした瞬間

 

 

「最後の手段ね……このままあたしたちを襲ったらこの子も巻き添えよ!!」

 

 

盾にするように優義徒(ユギト)を前に出されて、触手(うで)の動きを止めてしまう。

 

 

「今よ!!」

 

 

空中に刻まれる魔法陣、ソレが光を放ち……不届き者たちが姿を消す。

追いかけようと、気配を辿ろうとしても……微塵も気配は感じられませんでした。

 

 

「逃げられたであります……っ」

 

「まだチャンスはあるさ、大丈夫だよレジーナちゃん」

 

 

優義徒(ユギト)を目の前で攫われた……群れ(わたし)を霧散させ、触手(うで)も影の中に返し……残った私本体はただ呆然と立ち尽くすしか出来ませんでした。

 

 

「ユギトくん。腕、痛いからやめな?」

 

「……痛いのは慣れています」

 

 

無意識に自分の腕に爪を立てていたようで……言われてから、血の流れる感覚と臭いに気づきました。

目の前でおめおめと攫われた事に対して……犯人であるアヴァロニア氏よりも許せないのは自分自身です。

だから、多分……無意識、傷つけていたのでしょう。

 

 

「ゆうこ……いや、()()()氏。小官は、ユギト氏は悪くないと思うであります……あんな風に人質取られたら、誰だって止まっちゃうであります。だから、その……悪いのはマリリン・アヴァロニアと基青神でありますから!ユギト氏は自分を追い詰めないでほしいであります!」

 

 

困った様子で私を励ますソコロワ嬢に、胸がじんわりと暖かくなります。

一度、切り替えましょう……優義徒(ユギト)を取り返す、そしてソコロワ嬢の神託(クエスト)を完遂する為には結局の所はアヴァロニア氏を探さなければいけません。

そうして、次の動きについて考えようとした瞬間に……喉元に刃を突きつけられました。

 

 

鏡花(きょうか)を攫ったのはお前の指図か白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)……!!」

 

「誤解です」

 

「ソレは白掟(ハクジョウ)の家の者ではない……」

 

「訂正するのはそこですか……?」

 

 

血濡れた復讐鬼(ブラッディ・アヴェンジャー)ハムレット】に刃を向けさせ、半壊状態の大聖堂の扉の前に立つのは黒鉄(クロガネ)恐馬(キョウマ)くんと白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)──お父さんのコンビです。

どこで接点が生まれたのですかこの中ボスコンビは……

 

 

 

 




( ˇωˇ )絵面が酷い誘拐風景……中学生二人を小脇に抱えて移動するムキムキマッチョ
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