TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
「取り敢えず……剣を収めていただけませんか?誤解があるようですし……」
「誤解だと……?
【ハムレット】の刃は引きませんし、なんならお父さんが呼び出した【
ソコロワ嬢が前に出ようとするのを手で制し、深く息を吸います。
「今の私は、そこのソコロワ嬢に与えられた任務の協力者です。先の"サモンエナジー"については……基青神が顕現した余波ですね」
「基青神だと……何故ここで青の神が出てくる事になる」
「ソコロワ嬢に与えられた任務の関係なので私からは詳しくは話せません。
「お前が基青神を手引きしたのか?」
「いいえ、彼の顕現はその配下によるものです……私たちは、その方にまんまと出し抜かれたのです」
まるで、大司教の集まりで父に報告をしている時のような状況です。お父さんと真面目に話すと、どうしてもこうなってしまうのが笑えますね。
口元に手を当て、何かを考えている様子のお父さんですが……私の奇行については誤魔化しきれませんでした。
「……それで、
「………………ちゃんと、暮らせているか心配だったのです」
「……何??」
怪訝そうな視線が突き刺さり、バツが悪くなって目線を逸らしてしまいます。
「私が色々やらかしたせいで……
「ついでとか言ってるでありますよ、自分の父親のこと」
「いやまあ、俺も又聞きだが……洗脳紛いのことをアイツにしていたらしいぞ、
「マジでありますか……蛙の子は蛙と言う奴でありますな……いやでも、ユギト氏と
「妙な所で似ているから、育ちなんだろう大事なのは」
ソコロワ嬢と
「特には変わらん……だが、同情と心配が多かった。この支部の者は……善良な者が多い」
「ええ……
本心からそう思います。善良な、善き人たちばかりならば……私は、この悪役という遊びを少しは我慢したと思います。
「……その、
「最近は調子が良さそうで、よく出歩いている……あの子は、昔と変わらない」
懐かしむような、遠くを見るような目をしているお父さんの雰囲気は柔らかくて、常に深く刻まれている眉間のシワも心做しか薄くなっているように見えます。
少しの沈黙が降り、お父さんが手を動かすと……背後の【
「……ソコロワだったか、キミの話を聞こう」
「理性的な判断、感謝するであります。こちらとしても、
ーーーーー
『死ぬかと思った!いやでも、この体で死んだら本当に死ぬのかは知らんが……』
「本体も死んじゃうわねぇ……コロッと」
『やっぱり死ぬんじゃないか!!なんだアレ、誘黒神の奴アレ程強かったか!!?』
マリ助の転移魔法で連れてこられたのは、奴のセーフハウスの一つのようだ。モンスターの方と一つに戻り、攫った者たちをベッドに丁寧に寝かせたマリ助が座るようにと俺に促す。
ふかふかのソファーにどっかりと腰掛け、近くのクッションを抱き締めればほど良い弾力が気持ちいい。
「
『おのれクソ虫……このクッション、高級品か?持ち帰れるならば、向こうに持ち帰りたいな』
「それ、そこら辺で売ってる安物よ?」
『人間の世界は素晴らしいな。このクオリティで安物とは……統白神と救黄神がこちらに夢中になるのも分かる。俺ももっと早く来てたらなー!!』
出不精を後悔したのはこれが初めてだ。いや、本当に。
このクッションを腰に当てたら執筆作業中の負担が減りそうだ……抱き締めて寝れば、数秒で
「で、【
『ちゃんとした理由だ。そっちの黒娘はテコ入れ候補だ。黒の英雄を使うサモナーをこれで引っ張り出せるし、この娘自体も使える……お前ならば、この娘を起こせるだろう?』
「まあねぇ。これでも、夢魔のママンがいるもの……でもこの子、厄介なのに目をつけられているわよ?」
口調は軽いが、目を細めてこちらを見るマリ助の表情には緊張の色が見える……この娘の眠りには間違いなく、
マリ助の格ではまだ荷が勝ちすぎる。
『それでもだ、瑞神討伐の予行演習にはちょうどいいだろう』
「……うふふ、じゃあ張り切っちゃうわよぉ♡で、こっちのかわいい坊やの方は?」
『
眠り続ける桃色の髪の少年には黒虫の面影がある。いや……黒虫がこの子供の肉体を使っているのだから、似ているのは当たり前か。
『……
「なら、その子も影響を受けているんじゃないの?」
『何事にも例外はある……死んだこの子供は、嘘の範疇から外れる』
その額に手を置き、撫でていれば騒がしい足音が響く。
「マリちゃーん、たっだいまー!!」
「あら?ヤォちゃんおかえり……って、その子はどうしたの?」
「ヤォの新しいお人形さん!!」
ヤォ坊の背後に無言で着いて立つのは、マリ助よりは少し小さいが……それでも十分にデカイ男だ。
顔の真ん中に札を貼られ、何も喋らないその男からは……腐った水の臭いがした。
『おい、ヤォ坊。何拾ってきたんだお前』
「んー?その呼び方……もしかして、テラちゃん!?わー、こっちに来たんだー!ようこそ、人間界へー!!」
『ようこそじゃなくてだなぁ……』
一番の問題児、ヤォ坊は人の話を聞きやしない。だから、コイツが
頭痛さえ覚えてきた中、部屋の隅が光り……二つの人影が現れる。
「着いてきていますね、ここがこれからの拠点です」
「くっ……眩しいし、目が回る……」
「耐えなさい、男の子でしょう。ジュン」
『また増えたか……モル太郎、そいつは?』
「…………ああ、アナタ基青神ですか。彼は私のサモナーです、行く宛てが無さそうなので連れてきました」
「行く宛てが無いは余計だ!……私は、今少し……家出しているだけだ」
「それが行く宛てが無いという状態なのですよ、ジュン」
「へー、ジュンちゃんって言うんだ!ヤォはねー
フリーダムの化身がジュン蔵に近づく。
その手を取ろうとした瞬間に、モル太郎がヤォ坊の手を払った……まあ、俺でもそうする。
「きゃっ、いったーい!モルモルひどぉーい!」
「私のサモナーに術を掛けようとしないで下さい……そこの彼だけでは、物足りませんか?」
「……えへ、バレちゃった♡」
ペロリと舌を見せるヤォ坊は全く反省していない。モル太郎が彼と指差した先にいる大男を見て、ジュン蔵が目を見開く。
「な、
「ジンちゃんのお友達ー?えへへ、ジンちゃんはねー、ヤォのお人形さんになってくれたの!良いでしょー!あ、ヤォのお部屋でいっぱいおめかししよーね、ジンちゃん!」
「人形……?おい、
「………………」
嵐のように暴れ、さっさと去っていったヤォ坊の後をついて行く大男にジュン蔵が声を掛けるが反応は無い……臭い的に、その末路を考えれば反応があるわけが無い。
「なんなんだ……」
「これが
…………もう少し、メンバーについては精査すべきだったかもしれん。
テラさんが出ると会話文が増える不思議……