TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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またキャラの濃い新キャラです。


回顧録、真実

「前提として、俺はもう恐怖連合(ダークアライアンス)を抜けている」

 

 

教会の一室に通された私たちは、テーブルを挟んでそれぞれソファーに腰掛けています。

時折すれ違う人たちからギョッとした顔を向けられますが……お父さんが近くにいるからか、直接の声掛けはありませんでした。

 

 

「抜けている……?あの組織がそう簡単抜ける事を許すとは思えないでありますが」

 

「俺は元々、外部の協力者という扱いだったからな。奴ら主導の犯罪行為……カードの偽造等には関わっていない」

 

「"ミラージュ"で同志百火(ヒャッカ)を襲っていた件は犯罪行為ではないと?」

 

()()()()()()から、子供が強大な力を持つカードを扱っていると聞いた……どこぞの総主教が狙っているかもしれないという情報付きでな。俺がそれをできるだけ穏便に奪い、その総主教を釣れたら良かったが……」

 

「総主教……」

 

 

ソコロワ嬢がお父さんに視線を向け、そのお父さんは私に視線を向けますね。

隠す事もないのでバラしましょうか、素直に。

 

 

「その情報筋は私ですね、百火(ヒャッカ)くんには色々と経験してもらいたくて……」

 

「またお前でありますか……この一年の出来事、大体お前が原因ではないでありますか?」

 

「流石はソコロワ嬢……大体、私が原因ですね!」

 

「誇らしげに言うな」

 

 

ペシりとお父さんに頭をはたかれます……頑張って裏で動き回っていたのに、誇らしくしてはいけませんか……まあ、そりゃそうですけども。

 

 

「……話を戻すぞ。それから俺は紆余曲折があり、そこの総主教……白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)と"ギアスファイト"をした」

 

「ふむふむ……どちらが勝ちましたか?」

 

「引き分けに無理やり持っていった……あの時の俺ではそれが精一杯だった。それからだ……」

 

 

 

ーーーーー

 

──【ハムレット】がその身を破裂させ、俺と白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)を吹き飛ばした。

その衝撃は俺の意識を少しの間、刈り取るには十分だった。

 

 

「っ……」

 

 

意識を失ってから、それ程の時間は経っていないと思うが……

 

 

「奴はどこだ……」

 

 

炎が燃え盛る異界と化している結界内は煙に満ちている。それにより、視界が白く霞む中で……少し離れた所で倒れ伏した白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)とその近くに佇む【神聖なる(エンジェリル)焦土天機(カラミティ)メタトロン】を見つける。

俺が近づくと、【メタトロン】は一瞥をくれるも……俺に対して何かをしようという意思は感じられなかった。

 

 

「……仮にも、お前のサモナーなんだろう。守ろうとかそういう行動はしないのか?」

 

 

"ギアスファイト"中の様子もあって、思わず目の前の強大な機械天使にそう声を掛けてしまう。

返事は期待していなかったが……予想とは裏腹に、【メタトロン】が口を開く。

 

 

『当機とこの男の間に有るのは利害の一致のみだ。道半ばでこの男が事切れるならばそれまでの関係という事だ』

 

 

冷たい声色だった。聞き取りやすいテノールボイスは、人ならば存在するであろう呼吸音が含まれておらず、抑揚も無いのでひたすらに一本調子。

その放たれる言葉もまた、血の通わない機械らしい冷たい言葉だ。

 

 

「ならば、何故そいつを守るように実体化している……?お前ほどのモンスターならば自力で実体化する事は出来るだろうが、"サモンエナジー"だって無限にある訳じゃない……そいつが死んでも構わないのならば、実体化する理由はないだろう?」

 

「…………」

 

 

押し黙る【メタトロン】だが、白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)が目を覚ましそうになると、その姿を消した。

……アレは、逃げたな。口ではああ言いながらも、自分のサモナーの事を【メタトロン】なりに気にかけているように見えた。

 

 

「ん、ぐっ……」

 

「目を覚ましたようだな、白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)

 

 

倒れている奴の目の前に立ち、見下ろす。

状況を理解しているのか、白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)は妙な動きを見せず、ただ真っ直ぐに俺を見上げる。

 

 

「……俺は死した父と話し、そしてこの【モンテクリスト】を受け継いだ」

 

「やはり、冬馬(トウマ)は死んでいたのか……」

 

「やはりだと……?お前が父を殺したのだろう!!【()()()()()()()】による死者蘇生の生贄として!!!」

 

 

【モンテクリスト】にだけ備わっている能力、命を代償に命を甦らせる力による死……それが父の、黒鉄(クロガネ)冬馬(トウマ)の死の原因だった。

倒れている奴の胸倉を掴み、その真っ赤な目──息子の白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)とそっくりな色をしている──を見据える。

 

 

「そして、お前は【モンテクリスト】の力で白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)を甦らせた!!違うか!!?」

 

()()

 

 

間髪言わずに放たれたのは迷いの無い言葉だった。

動揺も躊躇いもなく、間違っている事をただ指摘しているだけという態度だ。

……"ギアスファイト"をしたからこそ分かる、この男は下手な嘘はつかない。だからこそ、俺は父から聞いた()()()()との食い違いに目を見開く。

 

 

「ならば、何故【モンテクリスト】の代償で父は死んだ!?あの鳥に取り込まれ、苦しみ続ける羽目になった!!?」

 

「私が甦らせたかったのは美禍(ミカ)だ……だが、彼女は甦らなかった……【モンテクリスト】の力は不発に終わったと思ったのだ」

 

「不発ならば父は死ななかった、あの場にいたのはお前と父と…………」

 

 

ああ、そうだ……良く考えればおかしい事じゃないか。

【モンテクリスト】もそうだが……その手の代償が必要となるカードは、使用者が代償を支払う必要がある。

代償で死んだのは父だ……それなら【モンテクリスト】を使って誰かを甦らせたのは父本人だが……()()()()()()

脳裏に浮かぶのは、未だに目覚めない最愛の妹──鏡花(キョウカ)だ。だとしたら……父の死の原因、その根本は……これ以上は考えるな。

 

 

「いや、だが……それなら、何故……父は、嘘を……?」

 

()()()()()()()()()()()冬馬(トウマ)のやりそうな事だ……昔、聞いた事がある。本家のやり方についていけずに、離れた分家が冬馬(トウマ)の家系だと……その本家からの干渉を息子が受けるかもしれないと。だから、お前の意思を鍛え強くし、尚且つ命を取るまではしない標的として私を選んだんだろう……合理主義なんだ、アイツは」

 

「…………」

 

 

今まで生きてきた十年、その全てを根底から覆された。

心では納得出来ないのに、理性はそれを真実だと認めようとしている。だから、必死に白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)の言葉の粗を探そうとして……ある事について問い詰める。

 

 

「だとしたら……何故、あの時に母も殺した。俺の家族を傷つけて大事な物を奪ったのも、父の合理主義には必要な事だとでも言うのか!?」

 

「……あの日の"ギアスファイト"で私は冬馬(トウマ)に勝ち、【モンテクリスト】を手に入れたが……()()()()()により手を離れ、また冬馬(トウマ)の元に戻った」

 

「乱入者たち……?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

恐怖連合(ダークアライアンス)だ」

 

 

ーーーーー

 

 

「えー……つまりは、恐馬(キョウマ)くんは諸々の仇がお父さんだと勘違いしていたけども、本当は所属していた恐怖連合(ダークアライアンス)こそが家族の仇だと知ったから、組織を抜けた……という事ですか?」

 

「……まあ、簡単に纏めるとそうなる」

 

 

……お父さん呼びをした為に、お父さんから鋭い視線を向けられますがへこたれません。

しかし、納得です。お父さんが当時に求めていた特別なカードは六英雄のカードの内の一枚……【モンテクリスト】だった。

それを所有していたのが、恐馬(キョウマ)くんのお父さんの冬馬(トウマ)さん。

冬馬(トウマ)さんとお父さんは同僚……というか、お父さんが使っていたカードからして、お父さんの教団聖剣士(ホーリーエッジ)だったのでしょう……【モンテクリスト】の詳細を知っていたのも、その縁からでしょうね。

そして、その力でお母さんを甦らせようとしたけども失敗……その時に恐怖連合(ダークアライアンス)が襲撃してきます。

【モンテクリスト】の力により、冬馬(トウマ)さんが自らを代償にして誰かを甦らせ…………冬馬(トウマ)さんの仇討ちの為に、恐馬(キョウマ)くんは力を求めて恐怖連合(ダークアライアンス)に仮加入。

……なんというか、恐馬(キョウマ)くんがかなり可哀想ですね。空回りにも程がありますし、何よりも知らなかったとはいえ、仇である恐怖連合(ダークアライアンス)に所属していたなんてね。

 

 

「苦労、しましたね……お茶菓子、私の分もどうぞ」

 

「あ、ああ……(なんだこの生暖かい目は)」

 

 

私としては大分、親近感が湧いています……サービスで、一回くらいならば約定(クレスト)カードの方を使わせても良いと思うくらいに。

 

 

「話を続けるぞ……その言葉を信じられずに白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)に食ってかかったが、直後に信じざるを得ない事が起きた」

 

「というと?」

 

「…………直接の、襲撃犯が出てきたんだ」

 

 

 

ーーーーー

 

 

「ピーヨピヨピヨピヨ!!恐馬(キョウマ)くん、そんな奴の言う事を信じちゃいけないピヨ!」

 

 

甲高い、成人男性が無理に作ったような奇声を上げながら、燃え盛る木の合間からソイツは飛び降りてきた。

怪人だった。

(にわとり)を模した着ぐるみの頭部だけを被り、首から下は仕立ての良さそうな黒の燕尾服。一切肌を露出させていないその男の佇まいは……頭部と言動さえ見なければ、良家の執事にも見える。

恐怖連合(ダークアライアンス)の大幹部、首領の片腕……【空飛ぶ(チキン)野郎】【怪人(とり)ヘッド】【焼き鳥男】【素顔の写真に懸賞金10万ドル】

【この前、被り物被ったままフライドチキン食べてたのは共食いじゃないの?】等とあだ名が付けられているが最も有名で、その男を表す言葉は……

 

 

「【不死鳥(フェニックス)】……!?なんでアンタがここに!?」

 

「そりゃ、この炎の異界はピヨちゃんが維持してるピヨからな!すっごい疲れるピヨ!!」

 

「【不死鳥(フェニックス)】……?その声、どこかで聞き覚えが」

 

「ピヨのプライベートは内緒ピヨ!知りたきゃ、ファンクラブに入って会費を払えピヨ!!月々雑穀1kgな!」

 

 

ふざけた言動と格好だが、その実力は本物だ。ある程度の距離まで近づき、そしてわざとらしい振る舞いで頭を抱える。

 

 

「ああ、なんたる悲劇ピヨ……恐馬(キョウマ)くんが仇の言葉に惑わされて恐怖連合(ダークアライアンス)に疑いを持ちそうになるなんて…………まあ、それ本当の事ピヨけどな。ついでに言うと、恐馬(キョウマ)くんのお家燃やしたのピヨちゃんピヨ」

 

「な……!?」

 

「何でって言いたげだけども……理由なんて無いピヨ!全部どうせ壊すんだから、今燃やしても後で燃やしても変わらんピヨからなー」

 

「ふざけるな!!!!!」

 

 

"ギアスディスク"に叩きつけるのは最も信頼する相棒【ハムレット】のカード。

白銀の髪とそこに混ざる一房の赤毛が流星のような軌跡を描き、得物である細剣(レイピア)が【不死鳥(フェニックス)】を串刺しにしようと迫るが

 

 

「【フレズヴェルグ】」

 

 

巨大な黒い翼が、【ハムレット】ですら反応出来ない速度で横合いから殴りつける。

ボールのように弾き飛ばされる【ハムレット】はその身を構成していた"サモンエナジー"ごと霧散し、奴を守るように現れていた黒い翼もまた同じように消えていった。

 

 

「ふざけているんだよ。私はね、君の事が嫌いなんだよね。恐怖連合(ダークアライアンス)に所属しているのに、やれ関係ない奴を傷つけるな、無駄な犯罪行為をするな、カードを奪うな…………そのいい子ちゃんな態度、虫唾が走るよ。さっさと堕ちて楽になればいいのに」

 

 

淡々と話す【不死鳥(フェニックス)】の言葉が突き刺さる。白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)にではなく、俺自身に向けて悪意を放つ奴は、この場にいる誰よりも、今は強い。俺も白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)も消耗しているからこそ……勝ち目は無いに等しい。

 

 

「先ずは恐馬(キョウマ)くんから鳥刺しにしてやるピヨー!その後は、後ろのを鯖焼きにしてやるピヨ!」

 

「……遅かったな」

 

 

ポツリと白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)が言葉を出すと同時に、足音が二つ分……耳に入る。

 

 

「お前が後先考えずに突っ込むからだ、裁刃徒(サバト)

 

「そうですよ、ボクも幽蔵(ユウゾウ)も探すのに苦労したのですよ?」

 

 

白金色の髪を後ろに撫で付けている男性──神聖制約教団(ホーリーギアス)総主教付き秘書兼元教団聖剣士(ホーリーエッジ)器繰(キクリ)幽蔵(ユウゾウ)と青みがかった髪の少し神経質そうな男性──元教団聖剣士(ホーリーエッジ)惹琴(マネゴト)カタルが、この場に参戦してきたのだ。

 

 

 

 




こそこそ話

この鶏怪人の素顔と本名知っているのは恐怖連合(ダークアライアンス)首領ともう一人の片腕だけです。後、この人左手の薬指だけありません。白の手袋付けているのでパッと見は分かりませんが、触ると分かります。
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