TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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( ˇωˇ )ジュンくんを気持ち悪く書くマイブーム到来


歪み歪め歪んだ物語

眠り続ける優義徒(ユギト)の頬に、手の甲で撫でるように触れれば……柔らかさと温もりが伝わる。

あの魔女……モルガナと名乗った女が私の横に立つ。

 

 

「その子はまだ起きませんか……寝る子は育つと言いますが、これでは不健康ですね」

 

優義徒(ユギト)は生きているだけでいいんだ……だから、眠り続けたままでも問題は無い」

 

「アナタが良くても、こちらが良くないのですよ……どうしてここまで拗らせてしまったのか」

 

 

頭が痛むのか額を軽く抑えるモルガナに、少しカチンと来るが……ここで声を荒らげて優義徒(ユギト)が起きてしまっても可哀想だ。

眠り続ける優義徒(ユギト)は本当に可愛らしい……()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ダメです。時は戻らず、ただ流れるままに進み続ける……それが(ことわり)です。それに逆らおうとすれば……そのしわ寄せが、必ず来ます。最も望まない形で」

 

「人の心を勝手に読むな」

 

「……口に出ていましたよ、ジュン」

 

 

舌打ちが出る。

名残惜しいが優義徒(ユギト)の頬を撫でる事を辞めて、モルガナに向き直る。

 

 

「それで、お前は結局私に何をさせたいんだ?お前の言った言葉……()()()()()()()、真実だろうな?」

 

 

あの時は身も心も荒れていた……故に、何も考えずにモルガナの手を取ったが、明らかに怪し過ぎる。

大体なんだ、英雄?私をそれにすると?……そんな物になれたら、優義徒(ユギト)は私を好いてくれるだろう。眠り続ける優義徒(ユギト)は、童話に出てくるような眠り姫と言えるし、起きた時に最初に見たのが英雄となった私ならば……それはきっと、素敵なハッピーエンドになるじゃないか。

 

 

「……ええ、()()()()()()()()()()()()()()必ずアナタは"英雄"となるでしょう……」

 

 

喉の奥で引き攣ったような笑い声が漏れる……今度こそ、私は成してやる。

今度こそ、何かを成してやる。

 

 

 

ーーーーー

 

目の前で嗤う青年──ジュンと名乗っている彼は気づいているのでしょうか?

英雄という言葉の重み、その意味を……

初心を忘れ、何かをしなければならないという強迫観念と自分の事を認めてもらいたいという承認欲求が混ざったその有様は……正常とは言えない。

 

 

でも、まだ堕ちきってはいない。

 

 

だからこそ、これ以上歪む前に……致命的な過ちを(おか)す前に、基青神へと私は(こいねが)った。

 

 

『あの子をシナリオに組み込んで下さい』

 

『はぁ?却下だ却下、アレは使いづらいし思考が(おぞ)ましい。アレの思考をトレースしてシナリオに落とし込むのは俺なんだぞ?分かってるのか?ん??』

 

『分かっています……アナタの負担となる事も、シナリオの強度が下がって不足の事態が起こりやすくなるのも重々承知です……それでもあの子を、"唯純(イズミ)"に救いを与えたいのです』

 

 

頭を下げ……それでも足らなくて跪いて、地に額を擦りつけようとするのを基青神がその手で止めてきます。

 

 

『やめろ、俺なんかにそこまで頭を下げるな……あーもうくそ、分かった!やってやろうじゃあないか!シナリオにお前のサモナーも組み込んでやる、その代わりにお前への報酬の"サモンエナジー"は無しで、その唯純(イズミ)とやらもキッツイ流れにぶち込んでやるからな!!具体的には誘黒神にかち合わせる!!』

 

『ありがとうございます基青神……偉大なる【■■■■■■■■】』

 

『偉大なるとか付けるな!サブイボが立つわ!!』

 

 

しっしっと手で退出を促され、彼の部屋……書斎から素直に出ていきます。

……基青神は、私がよく知る神とは全く違うタイプでした。俗っぽく、敬われる事を酷く嫌い……その癖、雑に扱えば怒る。気難しくて、面倒くさがり屋……何より、も他人と関わりになりたがらない。

それでも、相手がどうしてもと頼み込まれてしまうと断れない……恐怖を扱っている筈なのに、契約を司る神達よりも酷く優しい。

あの時に、この神へと願っていれば……私たちは救われていたのでしょうか。

 

 

「おい、早く行くぞ……モルガナ」

 

「……今は夜ですよ、明るくなってから動きましょうジュン」

 

 

目を瞑り、過去へと飛ばしていた思考があの子の言葉で現実へと引き戻される。

……これが最後の機会です、どうか

 

 

あちら側へ戻って下さい……唯純(イズミ)

 

 

ーーーーー

 

すぅすぅと寝息を立てる少女──レイカちゃんに、毛布を掛けてあげてから私は寝室を抜け出し……そのまま、自宅と店舗を繋ぐ渡り廊下から夜空を見上げた。

彼女から聞いた話によれば、妲己(ダジ)妖娘(ヤォニャン)の手に神牙(ジンガ)くんが落ちている……しかも、その神牙(ジンガ)くんは【無限湖の繁殖(グラーキ)】を所持している。

行方知れずだった黒の瑞神の一体の所在が掴めたのは良いけれども……かなり手が出しづらい所に行ってしまうとは。

 

 

「困った困った、【永劫に留める(ガタノソア)】はリポップ待ちだしなぁー【空に誘う冷気(イタクァ)】は多分……水兎(ミト)ちゃんだろうなぁ、居候先」

 

 

寒々とした月の輝きは、日輪から放たれるソレが反射した物だ。

直接浴びるよりも、柔らかくなったその光は……私には物足りない。熱く燃えたぎる火球から放たれる影を許さない熱こそが、私には心地よい物だ。

 

 

「つまらナそうなカオしてるなおマエ」

 

 

バッと勢いよく振り返れば……橙色の髪が目に入る。

頬や目元に入った歴戦の傷は、男らしい顔つきの彼に凄みを与えていて……海と同じ色の深い蒼の瞳だけは、昔から変わらずに楽しげに細められている。

目を見開いたのは一瞬、次の瞬間には……私は、彼を抱き締めていた。

 

 

「太陽!ああ、私の太陽……久しぶりだね!また、傷を増やして……それを付けたのは()()()()()?」

 

「おマエン所の瑞神だよ、とっくにやり返してやったからおマエからホーフクすンのはヤメろよ?後ショリめんどいから」

 

 

ケラケラと笑いながら、するりと私の腕から抜ける太陽が名残惜しくて……手を伸ばしてしまう。

 

 

「おーおー、ネツレツなこっテ。なンかオモ白そうなこトシてッからマざろうとオモったンだけど……ワク、あるか?」

 

 

ニヤリと笑う太陽は……悪戯を閃いた時の顔をしていた。

基青神のシナリオには間違いなく、太陽は含まれていない……私の予言を使ったとしても、二度目のシナリオ破壊は難しいだろう。

一回目は不意打ちに近い形だから成立した物だ、二回目は……何かしらの布石が無ければ成功しないだろう。失敗すれば、太陽に悪影響が及びかねない。

だから……残念だけども、私は首を横に振るしか出来ない。

 

 

「あーソウ。ま、イイケどな。今回キたのは百火(ヒャッカ)の入ガクシキに出るタメだしな」

 

「わあ、意外ー優しいパパさんしてるんだね」

 

 

……正直、太陽のキャラだとそういう子供のイベント事には関心が無いと思っていたからすごく意外だ。

 

 

「イ外とかイうなよ〜ケッコウ、百火(ヒャッカ)のコトは大ジにしてるんだぜ?アイツにはサビしいオモいさせてッかラな」

 

 

不貞腐れたように唇を突き出しながら言う姿は昔のまんまで、くすくすと笑ってしまう。図体は大きくなったけども、こういう所は変わってない。

 

 

「そっかぁ……私も寂しい思いしてるんだけどね?」

 

「そりゃワルかったな」

 

「悪いって思ってないでしょ……もう」

 

 

でも、そんな雑な扱いをされても……太陽の事を嫌いにはなれない。

私の心を焼き尽したこの悪い男を、私は愛してしまっているのだから。

 

 

「ねぇ……悪いと思ってるなら、一つお願い聞いてもらってもいい?」

 

「お、イイぜ。カンタンなことならな」

 

「……【水底の呼び声(クトゥルフ)】のカード、私に貸して?」

 

 

一瞬固まるも、観念したように太陽が両手を上にあげ……一枚のカードを虚空から取り出す。

 

 

「よくモってるのわかったなおマエ」

 

「太陽が私以外のカード持ってたら分かるよ?」

 

「ギャハハハ!オレ、アイされてンなァ〜!!」

 

 

 

 




好きな相手にはヤンデレと化す成人男性が多いです、不思議不思議
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