TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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( ˇωˇ )ギアスファイトのお時間です、でも省略予定ですね……多分


第三章、黒曜決闘

パック剥いてたら、急に目の前がひっくり返るような気持ち悪さに襲われて……さっきまで座っていた椅子が無くなり、そのまま石の地面に尻を強く打ちつけてしまう。

 

 

「痛っ!?」

 

 

完全に油断していたから尚の事痛くて、うっすら目に涙の幕を貼られる。

持ってた物も……さっき剥いたパックの中身と、俺のデッキが装着された"ギアスディスク"ぐらいしか見当たらない。

辺りは完全に見覚えのない……廃墟に変わっていた。

円形の広場は、墓標のように乱立している巨大な黒い水晶が並んでいて……出口らしい場所を完全に塞いでいた。

 

 

「どこだよここ……」

 

「決闘場だ」

 

 

凛とした声が響く。

黒水晶が道を開くように動き、広場に入ってきたのは……騎士みたいな黒い鎧を着て、白いマントを(なび)かせているジュンの奴だ。

……なんかのコスプレか?

 

 

「お前が俺をここに連れてきたのか!?何が目的なんだよ!!」

 

「決まっている!貴様が所有している赤の瑞神【永遠に燃える(クトゥグア)】を貰い受けに来たのだ!」

 

 

いちいち大袈裟に身振りを入れるジュンの奴……瑞神?父ちゃんから貰った【永遠に燃える(クトゥグア)】のカードは普通のカードじゃあ無いとは思ってたけど……瑞神ってなんだ?

 

 

「フッ、その(ほう)けた顔を見るに知らないようだな……瑞神とは神に連なる眷属であり、次代の神となる存在だ!貴様の持つ【永遠に燃える(クトゥグア)】の力は日輪の力、ソレならば誘黒神を焼き尽くし、滅せられる……私は神殺しを成してやる!!」

 

 

ギラギラと目を欲に輝かせるジュンは、正気じゃない顔をしていた。

アイツの様子がおかしいのもあるけれども……ユギトを殺すなんて言ってる奴を放っておけるか!!

 

 

「俺の友達をやらせねぇよ!!アンタ、絶対におかしくなってる!目ぇ覚まさせてやる!!」

 

「そう来なくてはな!!行くぞ、炎柳(エンリュウ)百火(ヒャッカ)ぁ!!」

 

 

「「"ギアスファイト"レディセット!!」」

 

 

 

炎柳(エンリュウ)百火(ヒャッカ) 【炎熱纏う龍騎】

VS

■■(オウドウ) ■■(ジュン) 【不変に呪われた騎士】

 

 

 

「「スタートアップ!!」」

 

 

ジュンの"ギアスモンスター"は変わらずに【アーサーI(ファースト)】のままっぽい……向こうの墓地肥やしが先か、俺の攻めが先かの勝負だ。

俺の"ギアスモンスター"は【クリカラ】だ。確実に一度は攻撃を防げるから、万が一に【アーサーI(ファースト)】を出された時も何とか出来る。

 

 

「俺の先行!ドローだ!!」

 

 

百火(ヒャッカ) 第一ターン

ライフ:10

手札:6 ターンカウンター:1

 

 

「【烈火ネズミ】をサモン!ターン終了だ!」

 

 

背中が燃えている赤い毛皮のネズミ──【烈火ネズミ】が『チュウ!』とやる気満々で場に出てくる。切り込み隊長であり、俺のデッキのマスコットモンスターだ。

 

 

「ふん、ネズミ一匹で終わりか……さっさと踏み潰してくれるわ!私のターン、ドロー!」

 

 

■■(ジュン) 第一ターン

ライフ:10

手札:6 ターンカウンター:1

 

 

「アーティファクト【騎士は消して引かず(ラウンドオブシール)】を発動!さらに【黒曜騎士(オブシディアンナイト)ガレスⅩI(イレヴン)】をサモン!」

 

 

光を纏いながら場に出てくる【ガレスⅩI(イレヴン)】は敵意に満ちた目をこちらに向け、槍を構える……前に見た時よりも刺々しい雰囲気だ。

 

 

「アタックフェイズ!【ガレスⅩI(イレヴン)】で【烈火ネズミ】を攻撃!」

 

 

ちょこまかと動いて逃げ回る【烈火ネズミ】をイラついた様子で追いかけ回す【ガレスⅩI(イレヴン)

何度も何度も刺突を避けられて、近くの黒水晶を引っこ抜いてソレを叩きつけて小さな命を潰す。

しかし、小さな火が残り……それが、地面の亀裂に吸い込まれていく。

 

 

「【烈火ネズミ】がバトルを行ったから効果発動だ!デッキから【燻火の守り人】を墓地に送るぜ」

 

「構わん、これでターン終了だ」

 

 

互いに初手は様子見だ。

俺もジュンも布石は打った形で、動き出しは静かに見える……手札的には次のターンから一気に攻めて行くべきだな。

 

 

「俺のターン、カウンターブースト!!」

 

 

百火(ヒャッカ) 第二ターン

ライフ:10

手札:5 ターンカウンター:3

 

 

「【龍騎炎熱(ドランバーニング) 護り手のヒモリ】をサモン!」

 

 

龍騎炎熱(ドランバーニング) 護り手のヒモリ】

赤 コスト:3 人・炎

A:1 B:4

 

このモンスターが場にいる限り、相手はプレイヤーを攻撃対象に選べない。

このモンスターがバトルをした時に発動出来る。自分はデッキからカードを一枚引く。

このモンスターが墓地にいる時に発動出来る。このモンスターをデッキの一番上に戻し、自分の場のモンスター一体のA(アタック)を1上げる。

 

 

火柱が立ちのぼり、龍の咆哮と共に消え失せる。火柱があった辺りに立っているのは、龍の紋様が描かれた赤く巨大な盾を構える白髪の女性──成長した【ヒモリ】だ。俺の視線に気づくと、ウインクしてくる。

 

 

『やっほー召喚者くん久しぶりー!おニューのヒモリねーちゃんがバッチリ守ってあげるからね!』

 

「頼むぜヒモリ!俺はターン終了だ!」

 

「ちまちまと展開して……時間稼ぎのつもりか?」

 

「勝負はまだ始まったばかりだからな……楽しんでいこうぜ!」

 

「減らず口を!!!」

 

 

そう言ってはみるけれども、楽しむ気持ちにはなれそうもない。

落ち着いて周りを軽く見れば、この広場は古びた……殆ど廃墟と言える外観の西洋風の城に接続されている。

風に乗って、悲鳴らしき声が聞こえてきて……正直おっかない。

 

 

ーーーーー

 

 

「ああああああああ来るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

全速力で駆け抜けるアタシ目掛けて、真っ黒な矢が放たれる。狙いが正確すぎるのと、頭を狙って来ているので少し動くだけで避ける事が出来るが……通り過ぎて行った矢が地面に深々と突き刺さる様を見ると、頭部に当たった時の末路が察せられてしまう。

 

 

「ドクロサマ!【ランスロット】来てるデシ!右に寄って!!」

 

「矢もまた来てるであります!足狙い!跳んで!!」

 

 

右脇に抱えてるのは、京都から持ち帰った狐のお面を被った状態のタクミ、左脇に抱えてるのはレジーナって娘だ。

目眩と共に異界に飲み込まれたアタシ達は、殺意に溢れる黒曜騎士(オブシディアンナイト)に追いかけられる羽目になっている。

しかも、運悪く"ギアスディスク"を所持していなかった為にモンスターを出して対抗する事が出来ねぇ。

とにかく、アイツらが諦めるまで逃げ回るしか出来ないが……アイツら本当にしつこい!

 

 

「クソ……このまま逃げるのもそろそろキツイんだけどなぁ!」

 

「だったら、小官たちを降ろしたらいいであります!」

 

「そうしたら、お前らの足だと逃げられねぇだろ!!」

 

 

だから、キツイけれどもアタシがこの小学生たちを抱えて逃げるしかない。

でも流石に限界が近くて、足がもつれる……転ぶ前に、二人を庇うように受け身を取れたから二人に怪我は無さそうだけども、アタシの方は足を(くじ)いたようで、ズキズキとした痛みが走り始める。

 

 

「しくった……アンタたち、早く逃げな!!」

 

「ドクロサマを置いていけないデシ……!!」

 

 

ほっそい体でアタシを引っ張るタクミ、そして追いついた二体の黒曜騎士(オブシディアンナイト)の前に立つのはレジーナだ。

 

 

「く、来るなら来いであります!IGPの捜査官は、一般市民を見捨てないであります!!」

 

 

勇ましく吠えるレジーナ、だが無慈悲な騎士たちはソレを意にも返さない。

そして放たれる矢は空気を切り裂き……鋭い音を立て、そして…………

 

 

 

「大丈夫、私も見捨てませんよ」

 

 

 

黒い風が駆け抜ける。

矢を飲み込んだ黒い流れが、そのまま騎士たちの上半身を豆腐みたいに()()()()()()()()

壁に大きく空いた穴から姿を見せるのは……服に赤い血の跡が着いている白掟(ハクジョウ)様だ。

口をモゴモゴと動かし、何かを咀嚼するような仕草をしている白掟(ハクジョウ)様が喉を鳴らす。

 

 

「……お待たせしました。さあ、この趣味の悪いお化け屋敷から脱出しましょうか」

 

「いや待って!?白掟(ハクジョウ)様、その血は!?」

 

「ああ、これです?胸に穴空けられただけですよ。あの騎士たち程度では、私本体まで攻撃が届きませんので、肉体だけが傷ついてしまうのですよね……肉体だけなら、治すのは直ぐなので問題ありませんよ」

 

 

『だから、心配しないで下さい』と笑う白掟(ハクジョウ)様はいつものように笑っているが……正直、不安しかない。

 

 

「そういうレイカ嬢も怪我をされていますね……他者を治すのは得意じゃないのですよね、ごめんなさい」

 

「あ、いや……大丈夫っす。足(くじ)いただけなんで……っ()

 

「ドクロサマ、ボクサマとその子を抱えてずっと走っていたデシ……ボクサマたち、"ギアスディスク"が無いから戦えなくて」

 

「なるほど……」

 

 

そう言いながら、腕を振るった白掟(ハクジョウ)様……再度、黒い風──極小の虫の群れが振るった先に殺到して、上半身を再生させた黒曜騎士(オブシディアンナイト)たちを、今度はその全身を飲み込む。

 

 

「私一人で、彼ら全員を止めることが出来ますので……そこは問題ないでしょう。タクミくん、ソコロワ嬢、立てますか?」

 

「う、うん」

 

「もちろんであります」

 

「結構。さて、レイカ嬢は……っと」

 

 

白掟(ハクジョウ)様が近づいたかと思うと、ヒョイっという効果音が着きそうな程簡単にアタシの体が抱き上げられる。

確かに、足を挫いたアタシは今は歩くのが難しいけれど……この体勢は、

 

 

「お、お姫様抱っこ……!!?」

 

「横抱きで失礼。首周りに手を回して頂けると、体勢が安定するのですが……協力していただけますか、レイカ嬢?」

 

「は、はい!!」

 

 

胸が高鳴り、顔が熱くなる……別に、そういう対象として白掟(ハクジョウ)様を見ている訳じゃないのに……この体勢はずるい。

 

 

「ユギト氏、アレ……無自覚でやってるであります?」

 

「ユギトサマ、変な所で鈍感デシから……マジで一回刺されると思う」

 

 

 




その騎士が見る夢は平穏。
彼が求めていたのは変わらない日常だった。
姉と弟、気の置けない同僚たち、守るべき国民たち……それらと過ごす当たり前の平穏な日々を乱す者を騎士は許さない。
平穏を守る為ならば悪逆非道を成そう、汚れるのは私だけでいい。
第四のルール、血を流してはならない。血は平穏とは掛け離れたモノ……悪へ堕ちた騎士がソレを見逃すはずが無い。

──フレーバーテキスト【平穏の黒曜騎士(オブシディアンナイト)ケイ】から抜粋

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