TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
カードが独りでに浮き、そこから青白い触手が何本も飛び出す……向かう先は、戦場じゃなくてジュンの所だ。
両手両足に絡みつき、段々とアイツの体全てが触手に埋もれていく。
「なっ……!?」
『ククク……さあ、賛美しろ!英雄誕生の瞬間だ!!!』
もはやアイツの面影は、濁り溺れているような音が混ざった声しかない。
外に出ているのは口元だけで、それ以外の全てはその巨体の胸元に取り込まれている。
緑がかった甲殻によって、青白い触手で形作られた肉体を保護し……黒い結晶で作られた大剣を構え、背中に生えた黒いコウモリのような翼を広げた姿は、英雄というよりも、邪悪な魔王に見える。
顔の大部分を覆う灰色の髪の隙間から、真赤な目が見えて……背筋を寒気が走った。
黒・黄 コスト:8 瑞神・黒曜・使徒
A:5 B:5
このモンスターはギアスモンスターにできず、プレイヤーを攻撃出来ない。
このモンスターが場にいる限り、プレイヤーはモンスターをサモン出来ない。
このモンスターが場に出た時に発動する。互いの場の全てのカードの効果を無効にし、モンスターは攻撃と防衛を行えず、アーティファクトは全て破棄する。
自分の場にトークンが出る度に発動する。相手の手札を一枚破棄する。
このモンスターは破棄される時にアーティファクトとして場に残る。
このモンスターがアーティファクトの時、以下の効果を得る。
・このアーティファクトが場に置かれた時、自分のデッキから
・ターンカウンターを6支払い、このアーティファクトをモンスターとしてサモンすることが出来る。
『【
【
「二人とも逃げ」
『遅い!!!』
全身に薄らと切れ込みが入ったと思った次の瞬間に、その切れ込みが大きく開いて中に収められていた眼球を露出させる。血のように赤いその瞳の色はユギトと同じで……その目に見つめられた【バンカ】と【クリカラ】がその動きを止め、黒い水晶の塊へと変ずる。
『さあ、戦闘だ!【
その言葉通りに、呆気なく【クリカラ】だった黒い水晶が【
「【クリカラ】……ごめん!」
墓地に【ゴウエン】と【クリカラ】……そして、【
『ははは!!!脆い、脆すぎるぞ赤の英雄!!やはり、英雄になるべきなのは私だ!このまま貴様を倒し、【
「っ!さっきから聞いてりゃ、好き放題言いやがって!!ユギトの奴は、割とろくでもない事しかしねぇけどなぁ!それでも、誰かを助ける為に頑張れる奴なんだ!!アイツの近くにずっといてそんなのも知らねぇのかよ!!それで、そんな奴を殺して、しかもそんな化け物みたいな姿になってまでなる英雄に意味はあるのかよ!!?」
『
ジュンの言葉と同時に、アイツの盤面に一枚のカードが置かれる。
『相手の場のモンスターを戦闘で破棄した時、手札からアーティファクト【
黄・黒 コスト:3 アーティファクト・黒曜・預言者
一ターンに一度、ターンカウンターを3消費して発動出来る。相手の場のモンスターから一体を選択し、破棄する。
相手の場のモンスターを戦闘で破棄した時、手札のこのカードを破棄して発動出来る。相手の場のカードを全て破棄する。
カードが回転し、ヒビだらけの黄金の剣になったかと思ったら……ソレが黒い水晶に侵食されて歪な形の大剣へと変化する。
そして、その大剣を【
『相手の場のカード全てを破棄する!!!これが、全ての敵を滅ぼす英雄の一撃だ!!!』
振り下ろされ、地面に触れた瞬間に爆発が起こる。
黒い水晶になった【バンカ】はもちろん粉々になり、俺もまた吹き飛ばされる。
尖った黒い結晶が、俺が吹き飛ばされた先に見え……これから俺が辿るであろう末路に思わず目を瞑った
……
…………
………………?
固い何かに当たった感触はあったけども、一向に来るであろう痛みが無い。
恐る恐る目を開ければ、ニコリと笑った友達の顔が目に映る。
「こうして吹き飛ばされたキミを受け止めるのは二度目ですね、
「ユギト……!?」
『貴様……!!』
「これはまた……凄いことになってますね、ジュンくん」
目を細め、そう呟くアイツはいつもよりも……いや、最後に戦った時くらい怖く見える。それから目を逸らすように遠くを見れば、この闘技場の入り口近くにあった黒い結晶は
「まだ戦う力はありますか、
「あるに決まってる!」
そうは言うものの……未だに【クリカラ・カルラ】をまだ出してはいけないという感覚だけが強くある。
手札的にも手詰まり感が強い……そんな俺の背を軽く叩いて、ユギトが笑う。
「そうですね……【
何を根拠に勝てると言ってるか分からないけど……何だか、気が抜けてしまった。
強ばってた体から無駄な力が抜け……活力が湧いてくる。
もっと絶望的な状況を乗り越えたんだ、あんな化け物よりも……【
だから……
「やってやるさ!あんな奴、倒してやるよ!!!」
『私を倒す?無理だな、お前のその状態では不可能だ!!私はこれでターン終了、さあ……最後のターンを進めるがいい!!』
「言ってろ!!俺のターン、ドロー!!!!」
ライフ:3
手札:2 ターンカウンター:10
引いたカード、そして墓地の中身を思い出して……俺は動き始めた。
「墓地の【燻火の守り人】の効果、発動!!コイツをデッキの一番下に戻して、墓地のカードを一枚手札に加える!俺が手札に加えるのは【獄炎刀:カイエン】!!そして【
赤 コスト:1 火・人
A:0 B:1
墓地のこのモンスターをデッキの一番下に戻して発動出来る。自分の墓地からカードを一枚選択し、手札に加える。
小さな火の入ったランタンを掲げ、少女がニコリと笑う。軽く振ったその炎の軌跡に導かれて、俺の手札にカードが加わり……突如として立ち上る火柱に飲み込まれて、少女は姿を消す。
代わりに火柱から出てきたのは【ゴウエン】だ……前の姿なのが少し窮屈なのか、腕を回して首を捻ってる。
『(あのモンスターは確か墓地のモンスターの数が一定を超えていれば防衛されない……削り切られる!!)』
「【ゴウエン】に【獄炎刀:カイエン】をユナイト!!アタックフェイズ!!」
『その攻撃時にスペルカード【黒の生贄】を発動する!【
地響きと共に巨体が縮こまり……巻き貝みたいな形に甲殻によって身を丸めていく。
確か……前に図鑑で見た、オウムガイに似ている気がする。
『【
「(防御札……!でも、使わせないと絶対にマズイ!!)構うもんか!【ゴウエン】で攻撃!!」
『【ガラハド
案の定止められた攻撃……でも、今度こそ防御札は使わせた……後は、押し切るだけだ。