TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
人も建物も自然も、風さえも黒き水晶に変じて永劫変わる事なき呪いに落ちたその国を、ただ一人守り続ける白の英雄である魔女の元に、ゴウエン一行が訪れた時……終止符を打たれた筈のシナリオに新たな一ページが書き加えられようとしていた
──フレーバーテキスト【
さて……どういう状況なのですかこれは。
この異界の主であろうジュンくんと
……正直に言いますと、
「ユギト氏、アレは……瑞神でありますか?」
「ええ……黒の瑞神の一柱【
「ジュンの野郎、アレに取り込まれてんのか!?
「騎士サマ、ついにトチ狂ったデシか」
タクミくんもついこの前に結構、良い感じに頭がおかしくなっていたのにその発言はブーメランだと思います。
レイカ嬢の言葉には首を振ることしか出来ません……"ギアスファイト"が終われば、彼女から解放されるかもしれませんが精神に変調を来たしている可能性がありますし、何よりも……私は人に取り憑くのは得意ですが、その逆は出来る気がしません。分野が違います。
『アッハハハ!!!そこで見ていろ、
…………?
声が今、重なってブレたような……?
『私のターン、ドロー!!』
ライフ:9
手札:3 ターンカウンター:11
引いた札を見て【
『アーティファクトとなった【
「マジかよ……って事は、またあの効果がっ!?」
『その通りだ!!さあ、
オウムガイのような姿から、また人型の形態に代わる【
ジュンくんと重なるように聞こえる声、アレは【
そして、モンスターとして出た時の効果で場の【ゴウエン】が苦しげにその身を黒水晶に変えられます。
「また出て来やがった……!」
『
黒水晶を砕き、再びオウムガイの姿となった【
相手が展開して来たなら、再度【
……でも、その防御には穴があります。
【
『再度、アーティファクトとなった【
「……(さっきから、モンスターばかり殴ってくる……防衛出来ないから直接俺を攻撃してくればそれで終わるのに……しかも、アレだけ手札があるなら追加のモンスターも出せるのに来ないし……モンスターのサモン制限と攻撃制限がデメリットか?)」
【
「俺のターン、ドロー!!」
ライフ:3
手札:2 ターンカウンター:11
「来た!!スペルカード【
赤・白 コスト:5 日輪・火
自分のライフを1支払い、以下の効果を発動する。
自分のライフが4以下の場合は2支払い、以下の効果を全て発動することが出来る。
・自分の場のモンスターから一体を選択する、そのモンスターはこのターン防衛されない。
・相手の場のカードを一枚選択する。そのカードを破棄する。
・相手の墓地のカードを一枚選択する。そのカードをゲームから取り除く。
・このターン、自分はダメージを受けない。
場に白く輝く光の玉が現れ、爆炎を撒き散らしながら膨張していきます……ちょっと怖いので黒水晶の後ろに隠れさせてもらいましょうか。
「ユギトサマ、なんで微妙に離れたデシ……?」
「炎、苦手なんですよ……情けないことに」
そう答えながら、"ギアスファイト"の成り行きを見守ります……爆炎は鞭のようにしなり、場のオウムガイの形状を取った【
「ここのターン、俺はダメージを受けない!そして、相手の場のカードを破棄し、更に墓地のカードをゲームから取り除く!!俺が破棄するのは【
『
焼け焦げ、消え失せる【
さて、こうなると場がガラ空きのジュンくんはこのまま押し切られるでしょうね……
「墓地の【
二体のモンスターが纏う紅炎が蒼炎に転じ、一つとなる……その手に持つ片刃の大剣は"ギアスファイト"の中とはいえ何度も神殺しを行いました。故にその刀身に刻まれているのは笑う虫の紋……まあ、私を表していますね。もう数回、殺していたら……黒に来てもらっていたかもしれません。そして……まあ、瑞神にするにしてもまだ色々と裏工作しなくちゃいけませんね。
「理を正す浄火の剣!!【
竜の鱗や牙が装飾された鎧を身に纏った女武者が、大剣の切っ先をジュンくんに向けます。
『ヒャッカ、アレを斬るか?短冊切りか?いちょう切りか?』
「いや、そこまでスプラッタな事は望んでねえし!ちょっと懲らしめるだけで良いから!!」
『ふむ……良いぞ。軽く、叩きのめしてやろう!』
「(不安だけど……)……アタックフェイズ!!【クリカラ】でジュンに攻撃!!墓地の【ヒモリ】をデッキの一番上に戻し、効果発動!【クリカラ】の
「だがそれでもダメージは五点!!私のライぐはっ!!?」
喋ってる途中のジュンくんを、大剣の平たい部分で殴りました……ボールのように吹き飛ばされながら数回バウンドしています。顔面を思いっきりですので……鼻血も出ていて、すごく痛そうですね。
「人が話してる最中に殴るな!!!」
『話が長い』
「うわぁ……えっと、ターン終了時に【クリカラ】の効果発動。コイツを破棄して、その
ゆっくりと【クリカラ】がジュンくんの元に歩いていきます。顔を殴られた為に、脳が揺れたのか上手く立てないようで……アレは逃げられませんね。
「くっ……相打ち狙いか」
「アンタ、俺が発動した【
『という訳だ、我と共に逝くぞ。英雄志望』
【クリカラ】の手がジュンくんの首に掛かります。目を見開き、逃れようと暴れてその腕に爪を立てて抵抗していますが……
火柱が二人を飲み込みます。
ーーーーー
熱は一瞬だった。
"ギアスファイト"が終わり、奴のモンスターの実体化が解けたと同時に……私は地面に膝を着いた。
私のデッキに紛れ込んでいた、失った筈の瑞神【
何かしらの、トークンを生成するスペルさえ引けたら勝てていた。このデッキには複数枚のその系統のカードを仕込み、さらにはドローによってデッキ圧縮も進んでいた……だのに、
「ジュンくん、大丈夫ですか?」
頭上から声が聞こえる。
聞き慣れた、忌まわしい声……見上げれば、ヤツが私を
「すごい量の鼻血ですね……治療しないと、キレイな顔なのに傷が残ってしまいますよ」
ヤツが私を嘲笑う。
私を
「この異界から私たちを解放して……一緒に帰りませんか?」
何かを考える前に、私はその手を弾いていた。
「ジュンくん……?」
「違う、違う違う違う違う!!!私は、私はぁ……!!!」
■■■は私を■■と呼んでくれた。
彼に嫌われたくない……■■■だけが、未だに私の事を■■だと思ってくれている。
自らの名を言おうとしても、喉が乾き舌が張り付く……喘ぐような声しか出せず、息苦しさが
辛うじて、絞り出せた言葉が……嫌な音が足元から響く中、口をつく。
「私は、誰なんだ」
砕けるような音、突然の浮遊感……そして、決闘場の地面に空いた穴に飲み込まれる。
その騎士が見る夢は憧憬。
美しく、気高き王妃グネヴィア。自らの身分が彼女に釣り合うわけでなく……敬愛する王と仲睦まじく過ごされているだけで彼は幸せであった。
美しき姫君を守り続ける、それこそが騎士の誉なのだ。
第十二のルール、人形に触れるな……ソレはかつての王妃の似姿、狂った騎士にとっては本質はどうでも良いのだ。
──フレーバーテキスト【憧憬の