TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
「私のターン……ドロー」
ライフ:10
手札:7 ターンカウンター:4
惰性でカードを引き、指先から伝わるその脈打つような感覚に目を瞑る。
──構うことはありません、あの幼な子の器を砕きましょう?
思考に霧が掛かったように……考えが上手く纏まらなくなり、遠いのに近いその甘い声だけが脳内に響く。
また、導かれるままに……衝動のままに振舞おうか?
傷つき冷えきった体……その背に、暖かな物が触れた。
「やるべき事をしなさい」
霧の彼方から響くような、あの甘い声とは対称的な冷たい声。だが、その持ち主の手は暖かで……崩れ、散らばりそうになった思考が、また集まる。
「スペルカード【黎明暁月】を発動、その効果で場の【アグラヴェイン】と【ガレス】を破棄して、二枚ドロー……そして、手札を一枚デッキの下に送る。【
嫌そうな顔をしながら、再度場に降り立つ眼帯の騎士と視線が合う。
ほんの少しだけ、眉を跳ねさせた後に呆れたような溜め息を吐かれて前を向かれた……モルガナみたいな反応をするなコイツ。
──良いでしょう、ですが忘れないように……
負け惜しみにも似た言葉を吐きながら、【
「おや、良いのです?その子はサモン制限が無いとはいえ……捨てるには惜しいのでは?」
「構わない……耳元でずっと煩かったんだ」
深く息を吸う……それだけの行為なのに、久しぶりにまともに空気を吸えたようで、思考が少しづつ落ち着いてくる。
……本当に、私は何をしていたんだろう。
彼の為だと思っていたのに……彼を取り戻す為の行為を、その彼自身に否定された。
「……一つ、聞かせてくれ」
「内容次第ですが、私が答えられる範囲ならば」
「貴様は……自分の存在を否定されたのに、何故平然としていられるんだ。自分の今までを、偽りだと聞かされても……何故だ?」
「ふむ……」
口元に手をやり、目を閉じながら奴が考え込む……
「……元々、自分が異物な自覚があったからですかね」
「異物?」
「ええ……ありえざる存在、正しい物語の中に入り込んだ観客、やりたい事と感情の乖離に悩まされていましたからね……だからこそ、自分を否定されても
目元と口元を緩ませ、大切な思い出を語るように左手を自分の胸に当てている姿が……酷く羨ましく見えた。
「でも、ショックはやはり受けていたようです。当時の私は……やるべき事は残っていたとはいえ、性急に事を進め過ぎていましたし、なりふり構っていませんでしたからね……沢山の人を傷つけて、裏切ってしまいました」
「…………」
懺悔のようでいて、その言葉には後悔の色は無かった。
閉じた目が開かれ……血のように赤く純粋な瞳が私を映し出す。
「そんなろくでもない私が救った彼女が言ってくれたのです。『助けてくれたのはあなただ』『アタシ達を助けた責任を取れ』と……こんな私でも、生きていて良いんだって言ってくれたのです。っと、話がとっ散らかってきましたね。つまり言いたいのは……えーっと………何なんでしょうね?」
「なんで私に聞くんだ……責任を取れ、か。
「あ、やっぱり分かります?レイカ嬢が私の背を押してくれたんですよ。彼女、結構優しい子ですよね」
嬉しそうに言う奴は、結局の所……私の質問への答えはきちんと返してはいない。
だが、その振る舞いを見ると……毒気が抜かれ、考え込んでいたのが馬鹿らしく思える。
「アレが優しいなら、私は菩薩か」
「いや、どっこいですよ」
「殴るぞ貴様」
「ほらーそういう直ぐに怒る所を直さないと、ダメですよ」
舌打ちが出る。
……直そうと思って、直せたら苦労はしない。
「二枚目の【憧憬の
「自爆特攻ですか……」
自ら【
その首を一思いに、【
「【アグラヴェイン】で【
怒りのままに、足を覆う結晶が砕けるのも構わずに【アグラヴェイン】が【
的確に拳を刀でいなし、がら空きな顎を蹴りで勝ち上げて距離を取る【
砕け散り、空中を漂う黒い結晶が【
「効果破壊……ですね?」
「【アグラヴェイン】と戦闘をしたモンスターは戦闘後に破棄される。【ガレス】と【ケイ
ブレブレな刺突を鞭が支えてやって、ようやく奴の体に届く。
赤い血が流れるが、奴が手をかざすとその傷は服ごと無くなってしまう……血の跡は、そのままだが。
ユギト ライフ:10→7→6
「うーん……やっぱり
「だろうな、もう少し低コストのモンスターを入れろ」
「そしたら、ちょっと塩梅が悪いのですよ。ふふ、今のやり取り……まるでお友達相手にしているみたいですね」
「誰が友達だ、寒気がするわ……私はこれでターン終了だ」
くすくすと何が面白いのか笑う奴とのやり取りは……まあ
背後から生暖かい視線が向けられているのがうっとおしい事この上ないがな。
呪いのアイテムを捨てて、急速にSAN値回復していく図