TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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とあるシーンを書くの楽しい⸜( *´꒳`*)⸝


翠子と可哀想な子

さぁ……と風が吹いて、木の葉が擦れる音が不気味に感じたっぺ。

 

 

「道が……」

 

 

無くなっていた……ありえないけれども、無いものは無いっぺ。

人の踏み入った痕跡の無い落ち葉溜まりとボーボーの野草が背後には広がっているっぺ。

 

 

「どうしよう……わんこさん」

 

「わふ?」

 

 

あの女の子が言い捨てた言葉……『永遠に迷ったらいいのよ』

もしも、その言葉の通りに迷う事になったら……こんな、虫がたくさんいそうな山の中で永遠に……

 

 

「やだ……帰りたい……」

 

 

ぽつりと言葉が出てしまう。

【タマモノマエ】も出てこない……いつもなら、とっくに起きていてもおかしくはないのに。

心細くて、わんこさんを抱きしめていれば……生暖かい物が、ほっぺたに触れたっぺ。

 

 

「わふ!」

 

 

ペロリと頬を舐めるわんこさんの、小豆(あずき)みたいな目がわたすを見つめてる。

そうだ……わたすだけじゃなくて、このわんこさんも巻き込まれてしまってるっぺ。

 

 

「そう、だっぺな……進むっぺ。歩いていたら、もしかしたら知ってる所に出るかも知れないっぺな」

 

「わふん!」

 

 

再度、ほっぺたを舐めてくるのが(くすぐ)ったくて……こんな状況なのに、笑い声をあげてしまったっぺ。

 

 

 

ーーーーー

 

ジンちゃんが代わりに歩いてくれているから、疲れないけども……進めど進めど代わり映えのしない森の風景は気が滅入っちゃうわ。

 

 

「ジンちゃ〜ん、ヤォ飽きたぁ〜なんか面白いこと言って〜」

 

「……………なんか、おもしろい……こと」

 

「むぅ……やっぱりダメね。命令通りにしか動いてくれない」

 

 

まあ、それが正しい状態なのだけども。

無限湖の繁殖(グラーキ)】の()()()()()()()()()()()()とヤォの仙術の合わせ技で、ジンちゃんは()()()()()けど、肉体は日光を浴びても劣化せずに動くことが出来るようになってる。

でも、ヤォの命令に素直に従うのは良いけど、命令しなきゃ動かないお人形さんになっちゃったのよね。

まあ、可哀想で可愛いから良いけどね!お顔、結構好きだし!

 

 

「にしても、影緑神は何処にいるのかしらね……」

 

 

影緑神……恐怖を司る神の一柱にして、制御不能の生ける災厄。

占赤神の背負う日輪の影を追うことから、影の字を当てられたけども……行方をくらましてからは、文字通りに影も形も無いわね。

ここに来たのだって、影緑神の瑞神に干渉したら影緑神がおびき出されるかもしれないから来たのだけど……やっぱり暇はやー!

 

 

「はぁ……ジンちゃん、暇だからジンちゃんの事、話してよ。性癖でもいいよぉ?」

 

「…………駆魔(カルマ)の、蹴り」

 

「ふーん、蹴られたのが良かったの?」

 

「…………かっこ、よかった」

 

 

意思なんてもう無い筈なのに、カルマちゃんのことを話す時のジンちゃんは嬉しそうで……()()()()

 

 

「ジンちゃんはヤォのなの、他の子のことばっかり話しちゃだめ!」

 

 

ぺしっと、頭を叩いても何の反応もない……もうちょっと、術を優しめにした方が良かったかなぁ。

代わり映えのしない景色……でも、視覚より先に耳が異変に気づく。

 

 

「これって……お祭り?」

 

 

(かね)篠笛(しのぶえ)に、太鼓(たいこ)……楽しげな祭囃子(まつりばやし)が森の奥から聞こえてくる。

 

 

「ジンちゃん!音の方にゴーゴー!」

 

 

ヤォがそう言った直後に、ジンちゃんの体が深く沈む。

地面に深く刻まれているのは、踏み込みの跡……さっきまでのゆっくりした歩きは何だったのかと思う程の速度で、ジンちゃんが走り始める。

 

 

「アッハハハ!!ジンちゃんはやぁい!!良いよ、ヤォこれたのしー!!」

 

 

髪が乱れるのも気にしない!やっぱり、ジンちゃん最高!

森の奥に広がっていたのは屋台の無い、寂しいお祭り。

タヌキやキツネ、ネコとか色々な動物のお面を付けた人達が一斉にこちらを見て来るけども……スピードに乗ったジンちゃんを止められやしない。

行く手を(さえぎ)る人たちを吹っ飛ばし、お祭り会場の奥へと進むヤォとジンちゃん。

 

 

「あは♡全部ぜーんぶ、壊しちゃえ!!」

 

 

走っていった先、注連縄(しめなわ)に囲われた大きな岩の塊の前で沢山の人が祈っているけども……ジンちゃんなら、関係ないわよねぇ?

ヤォが岩を指差せば、ジンちゃんが拳を振り上げる。

 

 

「だ、だめだっぺ!!」

 

「キャッ!?」

 

 

何かが、ジンちゃんにぶつかって……その衝撃でヤォはバランスを崩しちゃった。

いけ好かない声がしたから、地面に落とされてすぐにぶつかってきたものを(にら)めば……それは、やっぱりあのやな雰囲気の女の子だ。

 

 

「もう!何すんのよ!!ヤォが怪我したらどうするのよ!!」

 

「だ、だって……みんなが大切にしてるモノを壊そうとするのはだめだっぺ!」

 

「ヤォが壊したいからいいのよ!やっちゃえ、ジンちゃん!!」

 

「だからだめだっぺー!神牙(ジンガ)お兄さん……ごめんなさい!!」

 

 

あの女の子がポケットから何かを投げる。あれは……ボトル?って、やば!!

止める間もなく、口の空いたボトルからは液体が(こぼ)れて……ジンちゃんの顔に貼り付けた霊符(れいふ)を濡らしてしまう。

書かれた(まじな)いは滲んでしまって、効力を持たなくなって……札が外れたジンちゃんと目が合う。

 

 

「 ぁ 」

 

 

あの爆発的な加速を、再度行って……ジンちゃんの拳がヤォのお腹に突き刺さった。

衝撃、そして吹き飛ばされたと同時に赤い血が混じった胃液が宙に汚い色の線を描く。

ヤォ、仙人だから何も食べなくて良くて良かったなぁなんて、場違いなことを逃避的に考えて……内蔵が破裂した事による痛みがヤォを襲ったの。

 

 

「ゲボッゴホ、ヴ……ぁ………」

 

 

咳き込み、お腹から逆流してくる血を何度も吐いて……笑みが零れる。

いきなりの暴力に()(すべ)もなく襲われる美少女……なんて、()()()()()()()()()()()

 

 

「あは……♡良いよ、ジンちゃん……おいで、ヤォをもっと、可哀想に(可愛く)してよ!」

 

 

返事は無いけども、獣みたいな叫び声を上げながらヤォに襲い掛かるジンちゃんの目は完全にヤォの事を獲物として見ていた。

 

 

「……でも、ヤォのお人形さん(ジンちゃん)に手を出したのは許さないからね?」

 

 

懐から霊符(れいふ)を出して、吐いた血で(まじな)いを書く……そのまま、大きな岩──否、()()に向けて投げつけてやった。

 

 

「あっは♡狂った瑞神に殺されちゃいなよ」

 

 

そのまま背を向けて、森の中へ走れば……ジンちゃんもまたヤォを追って走ってくる。

鬼ごっこなんて、いつ以来かしら……あは♡

 

 

 

 

 

 

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