TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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最後の繋ぎ回です、後はもう終わりに向かって各方面バトル祭りです


賽は投げられた

昼間の事件……もしも、小官が"ギアスディスク"を携帯していれば、小官は駆魔(カルマ)氏の足手まといにならなかったであります。

もっと、"ギアスディスク"を小型化する事が出来れば……小官にそんな事が出来る技術力は無いであります。

そう、()()には。

 

 

「まだ、起きてるでありますか?」

 

 

小さくドアをノックし、そう声を掛ければ中から入室を許可する言葉が聞こえて……ドアノブを回した。

自宅である病院を襲撃され、その修繕が終わるまでの間……彼は、小官らが身を寄せるIGPの施設に小官ら同様に泊まる事になったであります。

 

 

「何の用デシか」

 

「頼みがあるであります……惹琴(マネゴト)少年」

 

 

蛇を模した白地に青のラインが入った仮面を付けたまま、タブレット端末で何か作業をしていた様子の惹琴(マネゴト)タクミ少年が、デスクチェアをぐるりと回してこちらに向き直るであります。

……同室のユギト氏は既に眠っているようで、頭まですっぽりと被った布団は微動だにしていないであります。

 

 

「頼みって何デシか、ボクサマはお安い奴じゃないデシ」

 

「……"ギアスディスク"の小型化を頼みたいであります」

 

「小型化って……"ギアスディスク"は元々フランスのブラン・アンテリジャンス社が開発した物デシ。()()()()()小型化はされているデシ……ボクサマみたいな天才でも、これ以上の小型化は無理デシ」

 

「それは、今の"ギアスディスク"の()()()()()が入っている状態での最大限の小型化でありましょう?」

 

「それはそうデシが……何の機能を取り除くつもりデシか?一個や二個、軽微な機能を取り除いても意味は無いデシ」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……………………正気、デシか?」

 

 

息を飲む音が聞こえ……沈黙がしばらく続き、震える声で惹琴(マネゴト)少年が小官の正気を問う。

頷き、そしてデッキを抜いた状態の小官の"ギアスディスク"を惹琴(マネゴト)少年に手渡す。

 

 

「昼間、小官たちは"ギアスディスク"を携帯していなかったから……あの異界に巻き込まれた時に、何も出来なかったであります」

 

「だからって、"ギアスディスク"から"ギアスファイト"をする機能を取り除くのは本末転倒デシ!」

 

「"ギアスファイト"用に普通の"ギアスディスク"を用意したら良いであります……携帯が容易で、異界に巻き込まれた際にモンスターをサモンして自衛が出来ればそれで良いであります。それで……可能でありますか?」

 

「……"ギアスディスク"で一番システム的に容量を取ってるのは"ギアスファイト"をする機能とその補助機能デシ。そこら辺を全て取り払えば…………手帳サイズにまで小さくする事は出来るデシ」

 

「なら、ソレをお願い」

 

『すんな阿呆娘』

 

 

ゴチンと固い拳が脳天に落とされる……目の奥で星が飛び、ズキズキと痛む頭を抑えて蹲る。

 

 

「何、するでありますか!!」

 

『馬鹿なことしようとしてる阿呆娘を止めただけだ、ボケ』

 

 

トレードマークの床に着きそうな程に長い顎髭(あごひげ)に手をやりながら【モンザエモン】が小官を見下ろす。

勝手に実体化したのも有るけども、いきなり殴ってくるのは酷いであります……小官の身長が縮んだらどうするでありますか!

 

 

「馬鹿なことって、どこがでありますか!」

 

()()()()()()()する機能取っ払うことだよ、そりゃあ兵器を作るのと(おんな)じだ。()()()()()()()からその機能を取っ払えば、モンスターを武器として使う為の装置に成り下がる……救黄神はそれを見逃さねぇぞ』

 

 

左目を閉じ、右目だけで鋭く小官を見る【モンザエモン】……そこまで言われてしまえば、二の句も告げずに押し黙るしか無かった。

そして、その小官の代わりに反論を述べたのは惹琴(マネゴト)少年だ。

 

 

「だとしても、自衛の手段を持とうと思うのは間違ってないデシ!ボクサマだって、何も出来なかったのは悔しいし……他の人には使わせないなら問題無いデシよね!?」

 

『救黄神は例外を認めねぇ……技術は必ず流出する、だからやめとけガキ共』

 

 

今度こそ何も言えなくなった小官たちの頭を乱雑に暖かな手が撫でる。

 

 

『そこの蛇の坊主は【ハイランドーラ】、レジーナはオレ様のカードを常に持ってな。そうすりゃ、ヤバくなったら助けてやる。だから、今日はとっととクソして寝ろや』

 

 

言いたい事を言って姿を消す【モンザエモン】

……格の高いモンスターは自力で実体化する事が出来る。でも、それはモンスター自身がが貯めた"サモンエナジー"を消費しての物だし、何よりも"ギアスディスク"無しでの実体化なんてどれ程の負荷が掛かるか分からない。

 

 

「……信じて、良いでありますか?」

 

 

デッキケースから取り出したのは【撥条式黄金百手魔像(スプリング・ファニークレイドル)モンザエモン】のカード……そのイラストとして描かれている【モンザエモン】の目が光った気がした。

 

 

ーーーーー

 

 

完全に起きるタイミングを見失いました。

中々寝付けず、タクミくんが寝てから寝酒でも入れてこようと思っていたら……ソコロワ嬢が入って来られ、そこからの一連の流れです。

……【モンザエモン】の言う通り、"ギアスディスク"から"ギアスファイト"をする機能を取り除いてモンスターを出す機能に特化させてしまえば……待っているのはモンスターの兵器転用でしょう。

間違いなく……私は拘束されて、兵器の一つとして扱われてしまうでしょう。

()()()()()()()()

 

 

「その、今日はごめんであります。邪魔しただけでありますな……」

 

「別に良いデシ」

 

 

微妙な距離感ですね……初対面とはいえ、年の頃は同じくらいですし、もう少し話が進むと思いました。

しかし、どちらも大人びているからでしょう……気まずい空気が流れています。

 

 

「それじゃあ、お邪魔したであります」

 

「……部屋まで送るデシ」

 

 

布団越しに歩く音、そしてドアが閉まる音が響いて数秒後にゆっくりと布団から出ます。

ふむ……

 

 

「馴れ初めとしては弱いかもしれませんが……中々、悪くはありませんね」

 

 

人見知りの激しい天才少年と真面目過ぎる秀才美少女……良いではないですか。

ちょっとした短編が生まれそうな感じがしますよ、少女漫画でありそうですよねこういうの。

 

 

「まあ、今の内にお酒を確保しましょう…………キッチンに何か有った筈ですし」

 

 

出来たらワインが良いですがこの際、ビール……最悪、発泡酒でも構いません。

こっそりと部屋を抜け出し、人の気配の無い廊下へと出ます。

春先だと言うのに妙に肌寒い廊下は夜遅い時間ということもあって灯りが付けられていません。

窓から差す月の青白い光も相まって……この建物に人はいる筈なのに、酷く寂しさを覚えます。

 

 

「まあ、夜になれば人間誰しも寂しくなるものです」

 

 

私の独り言の相槌を打ってくれるのは、私自身の靴の(かかと)が鳴らす音です。

カツリカツリと規則正しい音が響き……ぽふりと背中に柔らかく、暖かな感触が広がりました。

 

 

『ユーさん!』

 

「この声は……ザドキエルですか?」

 

『えへへ、当たりー!!』

 

 

完全に後ろを取られているので、声でしか判別は出来ませんが……どうやら、私に抱き着いているのはザドキエルのようですね。

 

 

「また勝手に実体化をして……ベリアルに怒られますよ?」

 

『へーき!あいつ、寝てるもん!』

 

「起きてからバレても知りませんよ……で、何故実体化したのです?」

 

『うんとね……寂しかったからかなぁ』

 

 

照れたように話すザドキエル……そのまま、背に何かが強く当てられます。これは……顔、でしょうか?

 

 

『ユーさん、ユーさん……』

 

「はい、どうしましたか?」

 

『…………やっぱり、なんでもない!ごめんね、夜のお散歩の邪魔しちゃって』

 

「構いませんよ、こんな寂しい夜ですし……一緒に、悪いことしちゃいます?」

 

 

『具体的には夜食を食べちゃうってことなのですが』と付け加えるも、背中の温もりは離れていきました。

 

 

『やめとく!流石にベリアルにバレちゃうもん……じゃあ、()()()()()()ユーさん!』

 

 

妙なニュアンスの言葉に不安を感じ、振り返りますが……そこには()()()()()()と五枚のカードが残されていました。

…………まさかと思いましたが、残されたカードを拾えばその疑惑は確信に変わります。

 

 

「……何を考えているのですか()は」

 

 

手元に有るのは【マモン】と【ベリアル】を除く五枚の邪聖天(デモリエル)カードたち……あの、どこか後ろ暗い気持ちを増幅させる力は感じられず、ただのカードに戻っています。

本当に……わざわざザドキエルに化けてまで姿を見せたのはどういうつもりなのですか【ルシフェリオン】

 

 

 

 

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