TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
──まだ幼い、ようやく言葉を話すことが出来るようになった頃……いつになく真剣な眼差しで爺さんが俺に話があると言ってきた。
『良いか、言葉ってのは自分の気持ちを伝えることが出来る便利な物だが……使い方を間違えると、他の奴を傷つける。一度口から出た言葉は引っ込めることは出来ねぇ……だからな、言葉を使う時は気をつけるんだぞ、
「うん、分かった」
『よーし、いい子だ!あとは男なら、言葉よりも行動で示してやれ!
「うん、分かった」
それから、数日後に爺さんは亡くなった……風呂場で転んで、そのままらしい。
呆気ないと、子供ながらに思った……そして、爺さんと最期に話した内容が、俺の中に深く刻まれた。
『なぁ、
「……分かった」
成長した俺は、爺さんの言う通りにガタイがデカくなり……力が強くなった。
爺さんの言葉……最早、呪いじみた遺言に従ってきていた俺は、いつの間にか友達を名乗る小物たちに使われる暴力装置になっていた。
最初は、彼らの言う言葉を信じていた……悪口を言われた、殴られた、金を取られた……だから、自分たちよりずっと強い俺に
軽く小突くだけで、彼らの要望は叶えられてきた。そして……よくやったと笑顔を見せる彼らに、俺の中の何かが満足げに満たされていた。
そんなことが何度も続けば……周りから他の人は消えていって、残ったのは彼らぐらいだった。
もう嫌だと言えば……彼らも俺を見限って、消えていくだろう。
そうなれば、俺は独りになる
独りになるのが嫌で、惰性のままに暴力を振るい……彼らの目が無い時は、相手を逃がしていたことが何度かあるが、それも直ぐにバレて……彼らの前でその被害者を
──その日も、彼らの言う通りに……あまり、見かけたことの無い男性を殴るようにと言われた。
『本当は暴力を振るいたくないのではないですか?』
心の確信を突く言葉は、酷く甘い響きで耳の奥に滑り込んできた。
息が乱れ、握っていた拳の中に嫌な汗の感触が広がる。
動きが止まった俺に、彼らが何かを言ってくるけども……あの声がずっと耳の中でリフレインして全く聞こえない。
次に俺が再起動したのは、真っ赤な光が目の前に広がった瞬間だ。
『
叫びと共に、俺をブチ抜く飛び蹴り……痛みよりも、何よりも……そんな場合じゃないのに、ソレを行った彼女の姿がかっこよかった。
俺以上の暴力の持ち主、それが彼女──
俺以外の全員を叩きのめし、立ち上がった俺に襲い掛かる
最初は不意打ちだったから、見た目が俺よりもずっと
狭い路地裏だというのに、するりと何度も拳を避けられ……反撃に
顎への一撃で、脳が揺れるも倒れるまではいかない。舌を少し噛んで、血が口内に溢れるのを吐き出し……その一瞬の隙に飛び込んできた
『レイカ嬢、ストップ!ストップです!もう、私は大丈夫ですから……これ以上は流石に、彼を病院送りにしてしまいますよ』
『へっ、病院じゃなくて墓の下に送ってやりますよ!!』
『いや、もっとダメですよ。メッです、メッ!』
男性に
『コホン……キミにもしも、悩みがあるのならば聴きましょう……さあ、こちらへ』
俺の口の端から垂れる血を拭い、ニコリと優しげに微笑む男性──
ーーーーー
状況は、最悪では無いけども良いとも言えない。
【無限増殖ーグリーンハザードー】が発動されて、既に手札に【
【畜生道】はまだ見えてないけども……発動されるのも時間の問題だし、何より……
『それでは、主様のターンですな!はい、早くカード引いて下さいなー』
「…………」
手札:5
ライフ:9 ターンカウンター:5 残りデッキ枚数:36
口を開かず、背後に立つアイツの"ギアスモンスター"である【衰退の
『えーっと……あ、ソレ使いたいのですな?ではアーティファクトの【
緑・黒 コスト:1 衰退・アーティファクト
スペルカードが発動される度にこのアーティファクトに衰退カウンターを乗せる。
場の衰退カウンターの数だけ、相手の手札のモンスターのコストを増やす。
相手の墓地からカードが取り除かれた時に発動する。自分の場の衰退カウンターを全て取り除く。
空から降り注ぐのは黒い、多分カラスの羽。
うっとおしいソレにアタシの"ギアスモンスター"の【
『これでターン終了でよろしいですな、主様……のんびり進めていきましょう。
ニヤニヤとこちらを見下ろす
ソレは衰退の沼の唯一の生き残り。
騙るは理、驕るは偽り……天地から見放され、正道を外れたのは必然。
消え去る前に因子を集め、再び世界に衰退をもたらす為に……天狗は空を駆けた。
「まあでも?生きる為には先立つ物が必要なので、今日も稼いでいきましょうぞー!!」
──フレーバーテキスト【衰退の