TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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終章ノ二 嘘から出た真

「アタシのターンだ!ドロー!!」

 

 

 

 

レイカ 第四ターン

ライフ:15

手札:5 ターンカウンター:4 残りデッキ枚数:30

 

 

 

ターン数の割にデッキの削れてる枚数が少ないのは、あの"ギアスモンスター"のプレイングが甘いからだ。

場にあるのは攻撃抑制の【シロテングタケ】二枚とターンカウンターが増える度にデッキを削らせる【ベニテングタケ】が一枚……後はサーチ用の【菌類楽園(ファンガスガーデン)】とついさっき貼られた【天道】だけだ。

 

 

『【ベニテングタケ】の効果で、デッキの一番上を破棄して下さいな』

 

「分かってるよ!」

 

 

落ちたのは……白掟(ハクジョウ)様から渡されたカードの一枚であり、()()()()使()()()()()曰くつきのカード【邪聖天の嫉妬(デモリエル・ヴァーチェ)レヴィアタン】

どうしてコイツを渡されたのかは分からないけれども……アタシのデッキに足りてなかった高B(バイタル)のモンスターだ。

ソイツが呆気なく墓地に落とされてしまったのは痛い……

 

 

『ふ〜む〜?どうやら、こちらにとって良いカードが落ちたようですな!流石、主様!よっ、デッキ破壊の名手!!』

 

 

どこからか出した扇子で、これまたどこからか取り出した紙吹雪を仰ぐ【オニテング】

……鬼丸(オニマル)の奴は完全に無反応だから、一人芝居にしか見えない。

滑稽だが、だからこそ……反応を返さない人形みたいなアイツを弄ばれているようでむしゃくしゃする。

 

 

「あーくそ!!苛立つ!!アタシは【獄炎(ヘルズバーン)()救急隊長(ヒーラー)ショコウ】をサモンするよ!!」

 

 

獄炎(ヘルズバーン)()救急隊長(ヒーラー)ショコウ】

赤・黒 コスト:2 炎・冥王

A:0 B:2

 

一ターンに一度、このモンスター以外の獄炎(ヘルズバーン)カード一枚を選択して発動する。そのカードを手札に戻し、墓地の獄炎(ヘルズバーン)カード一枚を手札に加える。

 

 

優しげな風貌(ふうぼう)の白衣の女性が現れたと同時に、その身を包んでいた白衣を脱ぎ捨てる。

イカついグラサンに殆ど裸みたいな(きわ)どい黒のパンクファッション、指の間に長い畳針(たたみばり)を握り、風船ガムを膨らませる姿はどう見ても白衣を纏っていた先程までとは似ても似つかない。

 

 

「【ショコウ】の効果で【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】を手札に戻し、墓地の【シンコウ】を回収!そして、今しがた回収した【シンコウ】をサモンし、手札の【エンマ】を破棄して、それよりコストが1高いモンスターであるコスト:4の【獄炎総長(ヘルズバーン・ヘッド)カイエン】をデッキから場に出すよ!!」

 

 

獄炎(ヘルズバーン)のシンボルであるドクロの描かれた団旗を振り回す【ショコウ】を止める為に、地獄の底から戻ってきたメガネの青年──【シンコウ】がノートパソコンのキーを叩いて、ボスである【カイエン】を呼び出す。

【ショコウ】が振り回す団旗を片手で止め、逆に団旗を握り締めたままの【ショコウ】を振り回してしまう【カイエン】

目を回しながら、【シンコウ】に受け止められた姿を確認し……【カイエン】が腰に下げていた刀を抜き放つ。

 

 

「【カイエン】の場に出た時の効果だよ!アタシのデッキの上を見て、それが獄炎(ヘルズバーン)モンスターならこのターン【カイエン】は二回攻撃が出来る!デッキの上は【獄炎の元総長(ヘルズバーン・オービー)ゴドウ】!【ゴドウ】をデッキの一番下に戻し……アタックフェイズ!!【カイエン】でプレイヤーに攻撃だよ!!」

 

 

抜き放たれ、振るわれようとした刀に幾つもの白いキノコが生えてその動きを止める。

煩わしそうに紫炎で焼くが……【カイエン】の攻撃の機会は失われる。

 

 

『流石にその方の攻撃は痛いので【シロテングタケ】の効果を二回使いますぞーささっ、デッキの上を破棄して下さいな』

 

「デッキの上は……【ビョウドー】と【獄炎の調達屋(ヘルズバーン・プロモーター)】、それぞれコストは2と1だよ。でも、【獄炎の調達屋(ヘルズバーン・プロモーター)】が破棄された時にカードを一枚引く!」

 

『どうぞどうぞ、その分だけお嬢さんの敗北が近づくのですからなー。ではコスト分だけ、互いにライフを回復しますぞ』

 

 

レイカ ライフ:15→17→18

 

鬼丸(オニマル) ライフ:9→11→12

 

 

言葉(づか)いとは裏腹に、ニタニタと底意地の悪い笑みを浮かべる【オニテング】……アタシの高打点を止めて調子に乗ってる所悪いが……

 

 

「悪いけど、そっちは(おとり)さ!!スペルカードW(ダブル)発動!!【継承する火炎(イグニッション・アサルト)】【電光石火】!!!!」

 

『なんですとーっ!!!??』

 

 

【電光石火】

赤 コスト:1 スペル・火

 

自分の場の赤のモンスター一体を選択して発動する。そのモンスターはこのターン二回攻撃が出来る。

 

 

「【カイエン】を【継承する火炎(イグニッション・アサルト)】で破棄し、そのA(アタック)を【シンコウ】に!そして、その【シンコウ】は【電光石火】の効果で二回攻撃が出来るよ!!」

 

『お嬢さんがスペルカードを発動したので、【天道】に衰退カウンターを合計で二つ乗せます……が…』

 

「好きにしな!!やりな【シンコウ】!!!!」

 

 

アタシの言葉に頷き、その身を紫炎に溶かす【カイエン】

遺された刀を【シンコウ】がおっかなびっくりで掴むが、その姿は酷く危なっかしい……見ていられないのか【ショコウ】が共に握り、二人で【カイエン】が使っていた刀を構え……巨大な紫色の斬撃が鬼丸(オニマル)を庇った【オニテング】を襲う。

 

 

鬼丸(オニマル) ライフ:12→7→2

 

 

地面に巨大な亀裂を作り上げた斬撃は、遠くで何かに着弾して紫炎の火柱を生み出す。

ソレをやった【シンコウ】と【ショコウ】は互いに顔を見合せてから、ガックガクに震えながら【カイエン】の刀を手放す。

 

 

『し、死ぬかと思った……やり過ぎですぞ!!それでも、貴公らは公務員ですか!!』

 

「知らねぇよ!!アタシは学生だし、コイツらはタダの暴走族だろ!?」

 

『あー!!知らないんですねー!?獄炎(ヘルズバーン)の皆様方、赤の側の冥府の管理者なんですよ!!お役所でお仕事している公務員の方々が羽目を外しているのが今の姿なのですよ!!』

 

「それがどうした!今のコイツらはどう見ても暴走族だし、休日だったら好きにさせてやれよ!!」

 

 

アタシの言葉に同意するように頷く【シンコウ】と【ショコウ】の姿はどう見ても……お硬い仕事をしてそうな雰囲気がしてねぇ。

どっからどう見ても、ちょっとおバカな暴走族だ。

 

 

『休みだったら責任を取らなくて良いという事ですかーそうですかー!……責任と言えば、そちらの黒の神も無責任だと思いませんか?アレ程の好き放題をして、実質お(とが)め無し!主様がこんな哀れな事になっていようとも、自ら助けに行くこともせずに、見捨ててしまうなんて……主様が不憫でしかたないですぞ〜』

 

 

急に饒舌になり『オヨヨ……』と泣き真似をしてみせる【オニテング】はポンポンと鬼丸(オニマル)の奴の頭を撫でる。

 

 

『そのような文字通りの"薄情(はくじょう)"なお方に良いように使われているお嬢さんも不憫(ふびん)で仕方ありません!!不肖(ふしょう)、この【オニテング】はお嬢さんと主様の為をと思いまして、微力の限りを尽くしてお二方(ふたがた)をお助けしましょうぞ!!』

 

 

派手な身振り手振りと共に、その背の鴉羽(からすば)が広げられる。

 

 

『その為に、どうでしょうか?この勝負……負けていただけません?』

 

 

にこやかに、こちらに手を差し出す【オニテング】の魂胆は分かってる……()()()()()()()()()()()()()()()()()()

だから、口八丁で言いくるめてしまおうとしている。

……でも、前提からして【オニテング】は見誤っている。

 

 

「アンタ、白掟(ハクジョウ)様のこと分かってないね」

 

『…………分かっていないとは?』

 

「あの人、すっごい感情豊かだよ……鬼丸(オニマル)の奴が死んでいるって聞いた時の暴れようは凄かったからね」

 

 

ーーーーー

 

「奴は、今はもう……妲己(ダジ)妖娘(ヤォニャン)の人形だ」

 

 

苦虫を噛み潰したようなジュンの野郎の表情に、少し引き()った笑みを浮かべたままの白掟(ハクジョウ)様が立ち上がって詰め寄る。

 

 

「人形……ということは、自由意志を奪われているということですか?」

 

「半分はそうと言えるかもしれませんが……()()()()()()()()()()()()()()()()ので、その言葉は適当ではありません、黒の神よ」

 

 

意思の無いしたい……?したい……したい…死体?

待てよ、それじゃあつまりは

 

 

鬼丸(オニマル)が死んでるってことなのかよ!?」

 

「そうですよ、彼は今は【無限湖の繁殖(グラーキ)】の権能により動く屍となっています」

 

 

『ですが、彼が【無限湖の繁殖(グラーキ)】と深く同調すればもしかすると……』というモルガナの言葉を遮るように、白掟(ハクジョウ)様がその喉元を掴む。

 

 

「いますぐ、ぼくを、かれのところに、つれていけ」

 

「無理、ですよ……忘れたのっ、ですか?招かれざる存在はぁっく、死んでしまう、と」

 

()()()()()()()

 

 

白掟(ハクジョウ)様は()()()()()()()()

その手の力が強くなり、モルガナの首に爪が刺さって血が流れる。

 

 

「はやく、つれていけ」

 

「ぐっ……ぁ……」

 

「おい!無理だと言ってるだろうが!?死ぬぞ!!」

 

「だから、しなないって、いってるでしょ!!!」

 

 

苛立たしげに地面を蹴り、ジュンの野郎を睨む白掟(ハクジョウ)様は完全に……感情を制御出来てない。

前の時に見た、あの泣き喚いていた時よりも酷い。もっと、ダメな方向に感情が振り切れていた。

ジュンの野郎にも噛みつき、今にも襲い掛かりそうな雰囲気の白掟(ハクジョウ)様に声を掛けられるのは……それこそ、同格の存在だろう。

 

 

「ユギトくん、落ち着こう」

 

「ぼくは、おちつモガッ!?」

 

「はい、これ食べてなさい」

 

 

白掟(ハクジョウ)様が振り向き、口を大きく開いた所目掛けて……手にいっぱいのクッキーを持った天神(テンジン)アポロがそのクッキーを放り込む。

目を白黒させながらも、口の中の異物の正体に気づいた白掟(ハクジョウ)様が、椅子に座り直して……大人しく咀嚼を始めている。

…………無駄に、行儀が良い。

 

 

「食べながら聞いてね、ユギトくん。キミの怒りも分かるけど、ソレに他の人を巻き込んで無理させちゃダメだよね?」

 

「…………でも!!ぼくはモガ……」

 

「おかわりは沢山あるからね〜大人しく聞こうね〜」

 

 

口内が空になり、喋ろうとしたタイミングでまた叩き込まれるクッキー……律儀に全部食べるまで喋らない白掟(ハクジョウ)様。

…………やっぱり、無駄に行儀が良い。

 

 

鬼丸(オニマル)くんのことは他のみんなだって辛く思ってるし、助けたいと思ってるよ。だから、キミ一人で突っ走らないでね。分かるね?」

 

「………………」

 

 

流石に、二回も止められたからか怒りも(しぼ)んで大人しくなる白掟(ハクジョウ)様。

恐る恐るという風に周りを見渡して、モルガナと目が合う。

 

 

「……ごめんなさい」

 

「いえ……こちらも、配慮に欠けていました……正直、アナタがそれほど彼のことを大切にしているとは思いませんでしたよ」

 

「…………鬼丸(オニマル)くんだけじゃないです」

 

 

声のトーンがいつもの調子に戻った白掟(ハクジョウ)様がアタシたちに視線を向け……微笑む。

 

 

「レイカ嬢も、タクミくんも……一応、ジュンくんも、みんな私の大切なモノなのです」

 

 

 

ーーーーー

 

 

あの人にとっての大切なモノが、物なのか者なのかは分からないけれど……でも、これだけは分かってる。

 

 

鬼丸(オニマル)を助ける大役を、あの人はアタシに譲ってくれたんだ……白掟(ハクジョウ)様は、アタシの感情を汲み取ってくれている!決して薄情(はくじょう)者なんかじゃあないね!!アタシはこれでターン終了だよ!!」

 

 

胸を張り、真正面から言ってやれば【オニテング】の奴の表情が歪む。

 

 

舌先三寸(したさきさんすん)……口では何とでも言えますぞ?ああ、愚か!!愚かしいにも程がありますぞ!!……では仕方がありません、ここからは力づく(パワープレイ)で行きましょう』

 

 

 

 

 

 

 




お父さんからの躾が行き届いているので、行儀が良いです
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