TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
遥か遠い記憶は常に淀んだ空気から始まった。
昼間でも、空は常に
腐った水の臭いは、我らが同胞を育む生命の水の臭い。常に足元を濡らし、絡みついてくるようなぬかるんだ地面は我らが同胞の
ごく稀に、この衰退の沼を訪れる旅人は皆、
──こんな所に住んでいて、辛くはないのか?
それに対して、我輩の答えはいつも同じだ。
──いいえ!この沼地こそが我ら
笑みを貼り付け、心にもない言葉を吐き、その旅人を招き……そして、
増えていく
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時折、顔を覗かせるその感情から目を逸らす。
そして、今日もまた我輩は旅人を騙そうとするが……その青年が我らに
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『さあ、主様のターンですよ!カードを引いてくださいなー!』
手札:5
ライフ:2 ターンカウンター:6 残りデッキ枚数:35
ふらりと、カードを引く
その際に、引いたカードを覗き込んだ【オニテング】の表情がいやらしくニヤける。
『さあ、参りましょう!!我らが最新の同胞にして、衰退の沼の最高傑作!!おいでくださいませ【
じわりと、地面がぬかるみ……少しづつ水が染み出てくる。
空に浮かんでいたニヤケ
『【
その言葉の通りに、赤やら白やらのキノコが大量発生し始め……アタシたちの近くにまで生えてきたそれらを【シンコウ】と【ショコウ】が必死に追い払っている。
「出やがったね、インチキアーティファクトめ」
『インチキ?ノンノン、これは神の威光という奴ですぞ。【
恐れていたカードがついに来てしまった。
イボだらけの気色悪いキノコと共に地面にばら撒かれる動物の骨……それらが衰退の理に従い【シンコウ】と【ショコウ】へと襲い掛かる。
『【
「腹立つ動きすんな、蹴るよ!!!」
指を二本立てて、二倍を強調しながら煽り散らかす【オニテング】
『おお、怖い怖い。怖いので、念には念を入れましょうか!我輩、出陣!!!』
従来の【
諦めが心を覆いそうになる……でも、ここで諦めればアタシは、
『我輩の効果により、お嬢さんのデッキの上を主様の場のアーティファクトの数だけ破棄しますぞ!数は……15ですな!【イボテングタケ】二枚の効果により、併せて17枚破棄ですぞ!』
ゴッソリと持っていかれるアタシの
ああ、くそ……らしくない。らしくないんだよ!
アタシもアイツもらしくない事ばっかさせられて!あの文字通りに天狗になってる奴やチビ女に手玉に取られまくって!ああ、そうだこのイラつきの本当の矛先は……
考える前に動け、過程なんて知らない、結果だけだ……最速で、結果をもぎ取るのがアタシの"
たった一枚のカードに怯えて、戦術が縮こまってた!先のターンだって、後先考えずにいつも通りに殴ってりゃ倒し切れてた!!
自分の頬を両手で叩き、ヒリヒリとした痛みに衝動を乗せてアタシは吼えた。
「
『無駄無駄!!次のターンには
「うるせぇぞ、くそ鳥野郎!!!考えなんてないね!!アタシは、ただ真っ直ぐに!アンタらのタマをぶち抜くだけさ!!!」
ギラついた視線を向け、
「………ぁ……」
『主様……?いえ、気のせいでしょうな。ターン終了でございますね?
そして回ってくるアタシのターン……デッキは次のターンまで間違いなく持たない。これが、アタシのラストターンだ。
デッキの一番上に手を掛ければ……湿った空気の中だというのに、妙に喉が渇いた。
「アタシの……タァァァン!!!!」
レイカ 第五ターン
ライフ:18
手札:4 ターンカウンター:5 残りデッキ枚数:9
引き当てたのは……
『【
「知ったこっちゃないね!!スペルカード【
地面に大穴を空けてそこから飛び出すのは全身が血に濡れ、頭部から一本の刀が飛び出している大蛇──【レヴィアタン】が"ギアスモンスター"の【カイエン】と対になるようにアタシの横に留まる。
その身を喰らい尽くそうと噛みついてくる動物の骨を
『【
「
赤 コスト:3 スペル・炎
相手の場のカードを一枚破棄する。その後、自分は一ダメージを受ける。
最早、使えるカードを片っ端から叩きつけることしかアタシには出来ない。
それでも、
「コイツの効果で【オニテング】!!アンタを破棄して、アタシは一ダメージを受ける!!」
『ダメージを受ける……それはマズイ!主様!スペルカード【天狗の奥の手】を使って下さいな!!!』
緑 コスト:4 スペル・天狗
相手がスペルカードを発動した時に発動出来る。相手が発動したスペルのコスト以上の数のアーティファクトが自分の場に存在するならば、そのスペルの効果を無効にする。
【オニテング】の手に握られたのは葉っぱで作られた
『スペルカードが発動されたので【天道】に衰退カウンターを一つ乗せますぞ!これで【畜生道】の効果範囲がその【
その言葉と共に再び襲いかかる【畜生道】
【レヴィアタン】の全身が食い破られ、アタシの場はまた空となる。
何か、まだ何か無いか……!!
残りの手札は使えない、となったら残るは大量にカードが落とされた墓地だ。
そして、唯一使用可能なそのカードに触れた。
「【
何だか、もうよく分からなくなってきたけど知るもんか!!とにかく、使えるものは使っちまえ!!!
「墓地の【
とぐろを巻き、大人しく頭を垂れる【レヴィアタン】
その頭部に刺さった刀剣を【カイエン】が引き抜き……紫炎が二体を包み込む。
残ったのは一本の
無骨で、装飾の一つもない無愛想な剣だったけども……綺麗だと思えた。
「来な、神魔断ち切る豪剣【