DRっ!?カードが墓地から取り除かれた事で【天道】のデメリットにより場の衰退カウンターが全て取り除かれてしまうが……問題はない。
攻撃を止める効果を持つ【シロテングタケ】が合計で4、さらにアーティファクトを守る我輩も場に存在する……今更、ただのモンスターが一体だけで何が出来るというのか。
「(この効果……そういう事か!!)【天羽々斬】の効果だよ!!このユニオンがDRで場に出た時、墓地からコスト:4以上のモンスターを一体場に出して、このユニオンをユナイトする!!」
【
天羽々斬】
赤 コスト:4 ユニオン・日輪・レゾナンス
【邪聖天の嫉妬レヴィアタン】とコスト:4以上のモンスターを使用したDRでのみ場に出せる。
このユニオンがDRによって場に出た時、自分の墓地からコスト:4以上のモンスターを一体場に出し、このユニオンをユナイトする。
このユニオンをユナイトしたモンスターのAとBを2増やし、以下の効果を付与する。
・一ターンに一度発動出来る。自分のデッキの一番下のカードの種別を宣言する。自分のデッキの一番下を確認し、宣言した種別のカードだった場合相手の場のカードを一枚選択し、その効果を無効にする。違った場合、自分はデッキをシャッフルする。
剣が光を放つ。
その光に導かれるように……地の底から見覚えのある鴉羽が翻る。
「アタシが出すのは……【混織誘黒旅団の詐術師Mr.O】!!!」
『なっ!?その我輩は黒の神の下にある筈!?』
「白掟様が貸してくれたんだよ!!コイツらがアンタをぶっ倒すのに相応しいカードさ!!
さらに【混織誘黒旅団の特攻隊長Mr.K】をサモン!!!」
並び立つのはドクロの面を被った嫉妬に狂わされた亡者と鬼を模した面を被るもう一人の我輩……しかし、その二体だけでこの布陣をどう越えようというのか。
「【天羽々斬】をユナイトした【Mr.O】の効果発動!!アタシのデッキの一番下のカードの種別を宣言し、それが宣言した種別なら鬼丸の場のカードの効果を一枚、無効にするよ!!宣言するのはモンスター!!」
『先程の【カイエン】の効果でデッキ下に【獄炎】モンスターが送られている……狙っていましたか、このコンボを!!?』
「(偶然なんだよなぁ……)へっ!デッキの一番下は【獄炎の元総長ゴドウ】!モンスターだ!アンタの効果を無効にするよ【オニテング】!!!!」
無骨な剣──【天羽々斬】を【Mr.O】が天に向かって掲げれば、分厚い黒雲が退けられて顔の描かれていない……正真正銘の太陽が我輩に陽光を照射する。
見る間に、天狗としての神通力が失われるのを感じ取れる……何よりも、陽光の熱が身を焼く苦しみに苦悶の声を漏らしてしまう。
『グッガ、アァ!!!?』
「まだだよ!!手札の【獄炎の暴走旗】を破棄して【Mr.K】の効果を発動!!【衰退の菌類楽園】を破棄するよ!!そして【衰退の菌類楽園】は破棄された時に、場に存在する他の菌類アーティファクトを全て破棄する!!全部、燃え尽きちまいな、クソキノコ!!!!」
我輩の守りが無い、故に我らが故郷は格好の的であった。
【Mr.K】が紅蓮の団旗を掴み、大きく振るえばそれが火の波となって、全ての同胞たちを呑み込む。
また、同胞が喪われる。
手を伸ばしても、その惨劇が止められることはない。
燃える、消える、死んでいく……我輩を、置いて……また、我輩はこれで独りだ。
いやだ、いやだ、いやだ
もう、■■■■のはいやだ
「──カウンタースペル【鬼源覚醒】ぃ発動ぉ!!!!!」
意識の範囲外から、もう聞こえるはずの無い声が聞こえた。
ーーーーー
ぐらりとあたまがゆれる
とおいところから、こえがきこえた
まっかで、きれいな……ごうをやきつくすひかり
それがほしかった
くちのたっしゃな、かれがひかりにてをのばす
それはおれのものだ
わたしたくない、渡したくない。
ぼんやりと霞みがかっていた意識が、俺の中に湧いたその欲によって急速に、取り戻されていく。
酷く体がだるい……思考も、気を抜けばまた飛んでいきそうだ。
でも、現状は分かった。
俺は駆魔と"ギアスファイト"をしている……そして【オニテング】が杜撰なプレイをしていたお陰で、負けそうになっている。
何故、また彼女と"ギアスファイト"をしているかまでは思い出せない……だが、こんな無様な有様で押し負けるのは、嫌だ。
視界を阻む煩わしい紙を取り捨てれば、熱風にあおられてどこかへと飛んでいく。
そして、一枚のカードを"ギアスディスク"に叩きつけた。
「──カウンタースペル【鬼源覚醒】ぃ発動ぉ!!!!!」
【
鬼源覚醒】
緑・黒 コスト:4 衰退・天狗・スペル
自分の場のモンスターを一体選択して発動する。そのモンスターのAとBは相手の墓地のモンスターの枚数だけ上昇し、そのモンスターがバトルを行い、勝利した時にそのモンスターのAが相手のモンスターのBを超えている分だけ相手のライフにダメージを与える。
目を見開いた【オニテング】の姿が変貌する。
背に生えていた鴉羽は全て散り、二本の捻れた角が側頭部から生える。
天狗から鬼へと転じた【オニテング】が低く唸るような声で問い掛ける。
『あ、主様……?正気に戻られたのですか……?』
「【オニテング】……サーチ効果を、使い忘れて……いるし、アーティファクトの……選択も、良いとは言えない」
『……ぐうの音も出ません。主様のデッキ、回すの難しいです』
「…………駆魔」
【オニテング】の言い訳を黙殺し……対峙する、太陽の光を背負った彼女に視線を向けた。
彼女もまた、俺が意識を取り戻したことにショックを受けているのか……ぽかんと口を開けて固まっている……普段の男勝りな姿とのギャップがひどく可愛らしい。
「鬼丸……アンタ」
「決着を、つけよう」
彼女が言おうとした言葉を断ち切るように、俺の言葉を重ねる。
発動した【鬼源覚醒】の効果で"ギアスモンスター"である【オニテング】のステータスは駆魔の墓地のモンスターの数だけ上昇し、その数字はA:34B:38という【ドレッドギアス】において有り得ない値と化している。
【畜生道】によってバーンダメージを受けないので今、駆魔が俺のライフを削るにはこの強化されきった【オニテング】を突破しなければならない。
「ああ、やってやるよ!【Mr.O】はアタシの墓地のカードが八枚以上の時に効果が追加される!!アタックフェイズ時にアタシの墓地のカードの枚数だけ、Aを上昇させるよ!!!」
奇しくも、それは……俺の【オニテング】と似た効果だった。
ただし、アチラはAだけを上昇させる代わりに……対象が墓地のカード全てと増大している。
詰みだな、順当に【オニテング】たちが相打ちとなり……残った【カイエン】によって、俺は倒される。
…………負けるにしても、最期くらいはカッコつけたい。
「……来い、駆魔ぁ!!!!」
「ああ、やってやんよ!!!アタックフェイズ!!【Mr.O】で【オニテング】を攻撃!!!」
二体の鬼が幾度も交差する。
鏡写しのように拳をぶつけ合い、互いの牙を、角を、骨を砕いたその決着は……仮面を被った鬼の持つ無骨な剣によって、もう片方が貫かれるというものであった。
だが、それでも残された鬼もまた直ぐに後を追うように地に伏せる。
「【Mr.K】で、鬼丸に攻撃!!!!」
紫炎を纏った刀が迫る。
死ぬのも、痛いのも怖い……だが、その怯えを惚れた女の前で見せるのは、嫌だ。
歯を食いしばり、後ずさりそうな足を意志で留め……最後まで、目を逸らさずに前だけを見ていた。
鬼丸 ライフ:2→-2