TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
「なんで、なんでよ……!?」
「私のターン開始時に【
淡々と言葉を紡ぐ誘黒神の口の端には、吐き散らした中身の
何度も、幾度も、十を超えて百を超えて……叩き込み続けたのはヤォが丹念に練り上げて、呪いを込めた虫殺しと虫下しの術式。
「
マズイマズイマズイマズイ!!!
誘黒神の
真赤な光を頭部らしき所に収め、
耳の奥をこそげるように鳴り続ける、ザワザワという不快な音から逃れたくて手で耳を抑えるけれども……何故か、寧ろ音が強くなる。
不意に
喉の奥が引き
「いつの間に、なんで……!?やだ、ヤォの中から出ていってよ!!」
「散々、人を傷つけておいて何も反撃をされていないと?随分と……優しい世界で生きてこられたのですね」
赤い瞳が
誘黒神が見せつけるように、ゆっくりと腕を天に向かって伸ばす。
「【
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い……ああ、でもこんな酷い状態になってるヤォってなんて
「なんて、
ーーーーー
【
"ギアスファイト"が終わったと同時に、私の足を締め付けていた
何度もいたる所を、そこそこの太さの針に貫かれた足は赤い血と共に黒い塊を垂れ流していて、
出血と共に、虫の群れが体内からかなりの数を流出したので……全身が酷く
「虫下し……私のメタとしては、合ってますけども合わせた虫殺しの強度が足りてませんね……私を殺し尽くしたいなら、統白神か占赤神を連れて来てください」
『まあ、聞こえてはいなさそうですが』と付け足し、完全に目を回している
……
後は、彼が自力で術を打ち破るか……外から──レイカ嬢が彼を助けるかの二択ですね。
……後は、任せましょう。私は疲れたので少し休みます。
ーーーーー
「──
覚悟していた苦痛は訪れず……軽く押されたような衝撃と共に、尻餅をつく形で座り込んだ俺のもとに走り寄ってくる
"ギアスファイト"が終わったというのに【カイエン】はその場に残ったままで……一歩離れた場所で
「……
「なんでかは分かんねぇけど、元に戻ったんだよな!?良かったぁ……」
破顔し、嬉しそうに話してくる彼女の笑顔が眩しくて……目を逸らしてしまう。
「どうしたんだよ?どっか痛いのか……?」
「いや、痛くはない……無い、が………」
胸の奥がまたザワついて……
話してしまえば、この関係が変わる。
彼女は……俺のことを喋るのが苦手で図体はデカいが、気性は穏やかな手のかかる弟分として扱ってくる。
それでいい。
──ほんとうに?
自分でも女々しいと思うが……彼女が楽しそうに笑っている姿、敵対者に獰猛な牙を見せつける姿、憧れの相手を語る姿……それを近くで見られるだけでいい。
──ほんとうに?
彼女を、
──うそつき
時計の針が動くような音が響き……直後に、ピシリとヒビが入る音が聞こえた。
それは、振動を伴っていて……危険を感じて、逃げようとしても体には力が入らない。
「カル」
俺が彼女を逃がそうとしたのと同時に……地面が崩れ落ちる。
視界に広がるのは
酷く
──おいで、おいで、ぬまのそこ
苦しげに、表情を歪める彼女。
──みんないっしょ、うれしいね
口の端が歪む……誰かに渡すくらいなら、俺と共に心中させてしまおうか。
俺の光、温もり、宝物。誰にも触れられないように……壊してしまおうか?
手に力が
痛みに、驚いたように見開かれる彼女の瞳……金色と、目が合った。
俺は、何を考えていた?
──おいで、あたらしいなかまたち
水の勢いが強くなる。それと共に悪臭が強くなり、吐き気すら
彼女の口から、吐き出された酸素が泡となって水面に向かって登る。
彼女は、このままだと死ぬ。
──おんなじ、おんなじ、うれしいね
歯を食いしばる。
意識を失ったのか、ぐったりとした
重い水は最早、半分固体のようになっていて……それでも
──なんで?すすもうとするの?そちらはくるしいだけだよ
そうだろうな、
彼女の隣にいるという願いも、やがて叶えられなくなるだろう。
──なら、なんで?
……ここだと、彼女は笑えないだろう?
水は
ぼんやりと、進む先……遠くが明るく見えてくる。
──じぶんがむくわれないと、しっていても?
十分に報われている。
色んな人に迷惑を掛けた、傷つけた、そんなろくでなしの俺を助けてくれた人たちがいて笑ってくれている……十分だ。
水面から、腕が伸ばされる。
──うそつき
視界の端から暗くなる……
……でも、あの時と違って不思議と満足感がある。苦しくもない、ただひたすらに眠い。
──
何かが強く背を押した。
俺の体が水面へと押し上げられる……そして、二本の腕が俺を捕まえて引き上げていく。
引き上げられる寸前、振り返ろうとした俺を
ーーーーー
貯めに貯めた"サモンエナジー"……それにより、実体化したことで最後の一押しが出来た。
──あーあ、いっちゃった
沼の底の
獲物が消えた沼は静かで、舞い上がっていた泥は落ちていき……若干だが、水が透き通る。
──あたらしい、なかまがふえたとおもったのにね。なんで、にがしたの?
「主様は存外、欲深い方ですからな……このような沼では彼を留めることは出来ないでしょう」
──てんぐのおまえより?
「ええ!その欲を抑え、愛に
──りかいできないね、あのこもおまえも。ほんとうはひとりでさびしいくせに
「何のことでしょう?ほら、侵食を抑えて抑えて!黒の神が怒っちゃいますぞ【
──はぁい
徐々に水気が引く。
それと共に、"サモンエナジー"で作り上げた
らしくない。見ず知らずの人間を落とし続けていたのに……今更、片方は自分のサモナーとはいえ、獲物を二人も見逃すなんて……本当にらしくない。