TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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終章

青天(せいてん)霹靂(へきれき)だった。

白掟(ハクジョウ)様の付けていた無骨なデカイ首輪……それが、なんの前触れもなく爆発した。

爆音と共に、焦げ臭い……異臭が黒煙と共にこっちにまで届いた。

 

 

「ッッッ白掟(ハクジョウ)様!!!!」

 

 

どうして?何故?という思考の混乱を置いていって、体が真っ先にゆっくりと倒れていく白掟(ハクジョウ)様の元に行こうと走り出すが──アタシの腕を、鬼丸(オニマル)が掴んだ。

 

 

「離しな!!」

 

「行くな、駆魔(カルマ)……"アレ"は、ダメだ」

 

 

振り払おうとするけども、ビクともしなくて……ただ真っ直ぐにこちらを見てくる鬼丸(オニマル)に勢いを削がれてしまった。

次に、耳に飛び込んできたのは小さな何かが飛び交うような不愉快な音だ。

 

 

「ハラキリダイナマイトのロックはしてあったのに……どうして」

 

「……神に対してはテラちゃんのシナリオの効きは良くないけれども、付属品なら話は別よ」

 

 

近くで会話しているソコロワちゃんと女装しているデカイ野郎の言葉が、徐々に羽音によって聞き取れなくなっていく。

その羽音の出元は……恐馬(キョウマ)の抱えている女の子だ。

彼女の影の中から逃げ惑うように……無数の黒い虫が湧いて出てくる。それらは全て、速度に違いはあるけども……白掟(ハクジョウ)様の体に向かっていっている。

恐馬(キョウマ)の奴が何か言っているが……よく聞こえない。

混沌(こんとん)としてきた状況の中で……この状況に似つかわしくない、時計の針が動くような音が聞こえる。

 

 

「この音……どこかで」

 

 

どこかで聞いた覚えのある音を思い出そうとした瞬間、腹の底を引っ張られるような不快感と共に……辺りの景色が変わる。

その異界に入れられて真っ先に感じたのは……焦燥感。

無数の時計がデタラメに配置され、それら全ての針が全く別の方向を向いている。それらの中心に置かれているのは古めかしい机と椅子……羽根ペンとインク、大量の原稿用紙に囲まれているから、執筆用の机なのだと思う。

その椅子に腰掛け、(ひじ)を着いた状態でこちらを眺めているのはくしゃくしゃのくすんだ青色の髪の男。

いつの間にか、女装野郎と妲己(ダジ)妖娘(ヤォニャン)が男の近くに移動させられている……こっちにいるのはアタシと鬼丸(オニマル)、そして何故かいるタクミとジュンの野郎だ。

白掟(ハクジョウ)様は、一人だけぽつんと離れた場所で寝かされている。

 

 

「よーし、全員揃っているな……結構結構!」

 

「テラちゃん……【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】をどうするのよ、ヤォちゃんが頑張ってたみたいだけども……あの爆発でも多分、死んでないわよ?」

 

「あの程度で黒虫が死ぬものか、星でもぶち当てんと死なんわアイツ……(当てても、普通に生きてそうなんだがな)」

 

「基青神……私たちをここに引きずり込んで、何のつもりだ」

 

 

警戒しながら、"ギアスディスク"を構えたジュンの野郎を鼻で笑う基青神と呼ばれた男。

 

 

「ハッ、ジュン蔵の望みを(ついでだが)叶えてやろうというだけだ」

 

「私の…望み、だと?」

 

神殺し(・・・)()さなければ……死ぬぞ?」

 

 

基青神の言葉と同時に……背筋を寒気が走る。

嫌な予感がして、アタシたちが一斉にその悪寒(おかん)を感じた場所に視線を向ければ……ゆっくりと、白掟(ハクジョウ)様が立ち上がろうとしていた。

 

 

「ユギトサマ!!大丈夫デシか!!?」

 

「待て、惹琴(マネゴト)!!…………アレに近づくな」

 

 

さっきのアタシの焼き直しのように、白掟(ハクジョウ)様に駆け寄ろうとしたタクミをジュンの野郎が捕まえて引き留めた。

 

 

『んー………?』

 

 

首輪が爆発したことにより、白掟(ハクジョウ)様の首には治りきらなかったのか……肉が(えぐ)れたような痕が残っていて、その痕に違和感があるのか手で何度も触っているのが見える。

 

 

「おい、黒虫!!」

 

『………だぁれ?』

 

 

間違いなく、白掟(ハクジョウ)様の声だったが……あの人の普段のハキハキとした喋り方と正反対の舌っ足らずな喋りに、面を食らってしまう。

基青神が、口の端を歪めた。

 

 

「俺は基青神だ。よく、本をくれてやっただろう?覚えているか?」

 

『んー…………ん!おぼえてる!ごほんのにーちゃん!!』

 

「そうだ、ごほんのにーちゃんだ。今日は遊び相手を連れて来てやったぞ、喜べ」

 

『ほんと!!?』

 

 

嬉しそうな声と同時に、白掟(ハクジョウ)様が、初めてこちらを見た。

いつもよりもキラキラと輝いているのに、焦点がうろうろと彷徨(さまよ)っていてる赤い瞳、心底嬉しいと言わんばかりの、紅潮した頬と緩んだ口元……どこかのネジが外れているように思えて、酷く(あや)うく感じる。

 

 

「なぁ……なんか、白掟(ハクジョウ)様いつもより……こう、その」

 

「………子供っぽい(・・・・・)、か……?」

 

「それ!前にぐちゃぐちゃに泣いてたのと、ブチ切れてたのは見たことあるけど……こっちのがやべぇ気がする」

 

奇遇(きぐう)だな、私もそう思う」

 

「ユギトサマ……おかしくさせられたデシか?」

 

 

こそこそとアタシたち四人で話しているのを、首を傾げながら見て……飽きたのか、周りの時計に手を伸ばして(いじく)ろうとする様子も、やっぱりあの人らしくない。

 

 

『おはなしつまんなーい、はやくあそぼー!』

 

「…………何をして、遊びたいん……ですか?」

 

『おにごっこ!!ぼくがおにでねー!つかまえたらね、ぼくがおにだからつかまえた(・・・・・)ひとのおてて(・・・・・・)もいじゃうの(・・・・・・)!おもしろいでしょーー!』

 

 

ニッコリと笑いながら、楽しそうに話す白掟(ハクジョウ)様。

あの人の、人間離れした面を考えれば……腕をもぐという行為は不可能では無いと思う。

白掟(ハクジョウ)様から予想外の猟奇的(りょうきてき)な遊びを提案され、顔色が悪くなった鬼丸(オニマル)の代わりに……ジュンの奴が前に立つ。

 

 

「……腕をもがれたら、我々は死んでしまう」

 

『えー?もいじゃったら、しんじゃうの?』

 

「人間は(もろ)い……腕でも、足でも、どこかをもがれたら死ぬ……だから、代わりの遊びをこちらから提案しようと思う」

 

『かわりのあそび?なーに?おもしろいあそび??』

 

「ああ、とびっきりの遊びだ……"ギアスファイト"をしよう」

 

 

ジュンの野郎の頬から、汗が垂れるのが見えた。

 

 

「私たち四人で、お前と戦う……どうだ?面白そうだろう?」

 

『えー……どうしようかなぁ』

 

 

視線を動かし続け、首を何度も傾ける白掟(ハクジョウ)様に……基青神が、また声を出す。

 

 

「黒虫、お前の瑞神のうち二体はそこの四人の中の二人が持っているぞ」

 

『そーなの?そっかぁ……んー……でもなぁー……』

 

「…………菓子、くれてやるぞ」

 

『やる!!!"ギアスファイト"する!!!!』

 

 

完全にお菓子に釣られている白掟(ハクジョウ)様が、腕をブンブンと振り回してこちらに向き直る。

 

 

『じゅんばんにひとりずつね!いっぱいながくあそびたいからね!!』

 

「分かった、順番を決めるから少し待て」

 

『いいよー!でも、はやくしてね!』

 

 

白掟(ハクジョウ)様から背を向けたジュンの野郎が深く息を吐く。

 

 

「すまん……勝手にだが、巻き込んでしまった」

 

 

珍しく、ジュンの野郎が頭を下げた。

 

 

「良いよ、別に……白掟(ハクジョウ)様は強いから、アタシら四人がかりじゃなきゃ勝てないだろ……でも、なんで"ギアスファイト"にしたのさ?」

 

「……頭を叩けば、もしかしたら元に戻るかもしれんと思っただけだ」

 

「騎士サマ……今日日(きょうび)、家電でも叩いて治しはしないデシよ」

 

(うるさ)い!!……仕方ないだろう、アイツを元に戻す手段が分からんのだからな!!」

 

「ま、アタシは分かりやすくて良いと思うけどね。殴って治す、シンプルじゃないか!」

 

「…………脳筋がここにもいたデシか」

 

「考えて、いても……始まらない…から、これで……良いと、思う」

 

「脳筋三人目ぇ……」

 

「そう言う惹琴(マネゴト)は何か思いついたのか?」

 

「…………」

 

「おい、惹琴(マネゴト)?」

 

「……アナログも、たまには良いと思うデシ!」

 

「結局、お前も脳筋じゃあないか!!?」

 

 

あんまりにもグッダグダな会話、それでも四人全員が同じ結論に至ったのは……良いことだとは思う。

 

 

「ふ、ふふふ……」

 

「何を笑っている神牙(ジンガ)

 

「すんません……でも、こんな時、なのに……昔みたいで、なんだか面白くて……」

 

 

懐かしむように、目を細めて笑う鬼丸(オニマル)の肩をポンと叩いてやる。

 

 

「ま、こうしてこの四人が集まるのは久しぶりだからね」

 

「……もう、集まれないと…思っていた、から」

 

「何時でも集まれるさ、私たちはそれほど不仲という訳でもないだろう?……そろそろ、順番と策を練るぞ。ガチで行くぞ、ガチで」

 

 

順番についてはデッキの性質もあって、すんなりと決まった……作戦については、後半の二人……鬼丸(オニマル)とアタシが(かなめ)になった。

 

 

「良いのかい?勝率で考えたら……最後の所は、アタシよりアンタのが良いだろ、ジュン」

 

「最後の詰めは物量が命だ……私よりも、お前の方が向いている」

 

 

『まあ、私と惹琴(マネゴト)で終わらせるかもしれないがな!!』といつもの調子で言い切るジュンの野郎の背中を小突いて、調子に乗らない様に(うなが)してやった。

……アタシで、本当にやれんのか?

 

 

『おはなしおわったー?じゅんびできたー?』

 

「出来たデシよ!!最初はボクサマデシ!!」

 

 

 

 

「「「「『"ギアスファイト"レディセット!!』」」」デシ!!」

 

 

 

 

ナイアルラト 【闇をさまようもの】

VS

惹琴(マネゴト)タクミ 【虹色(オールカラー)未来線(ハイランダー)

皇導(オウドウ)ジュン 【不変に呪われた騎士】

神牙(ジンガ)鬼丸(オニマル) 【衰退と増殖の輪廻】

駆魔(カルマ)レイカ 【斬羅射不(サンライズ)煉獄炎(フルヘルズバーン)!!】

 

 

 

「「「「『スタートアップ!!』」」」デシ!!」

 

 

 

 




ずっと前からやりたかった、ラスボスVS四天王の戦いです。

ルールとしては、場と墓地とターンカウンター継続でライフが0になったら次のプレイヤーに引き継ぐハンデマッチです
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