TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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大乱闘クトゥルフブラザーズが始まるよー


【永劫に留める】VS【這いよる混沌】

「良いのを喰らってるな、ジュン蔵の奴」

 

「痛そうねぇ……状況も良いとは言えないみたいだし」

 

 

眉を(ひそ)め、腹部をさすっている元英雄志望を心配そうに見ているマリ助だが、視線は微妙に外れて奴の場のモンスターを見つめている……その腕の中ではぐったりと意識を失ったままのヤォ坊が抱き抱えられている。

……誘黒神の侵食は大抵の者には効果がある。効かないのは不感症の奴か、そもそも体内に血の無い存在だろう。

 

 

「【レヴィアタン】って子の効果で、彼は赤のモンスターをコントロールしない限り、アタックフェイズが行えない。下手なモンスターを置けば、【這いよる混沌(ナイアルラト)】が吸収していくし、その【這いよる混沌(ナイアルラト)】は【誘黒神(ナイアルラト)】由来の強固な耐性と高ステータスを得てるわ」

 

「まあ、すり潰されるだろうな。ジュン蔵には元から荷が重すぎた」

 

「おいゴラァ!!アタシの仲間への悪口聞こえてるぞ、この青色天パぁ!!!」

 

「れっきとした事実だ!後、天パは俺には悪口にはならん……事実だからな!!」

 

 

生き急いでる女がこっちに向かって来ようとするのを、デカブツが襟元を掴んで止めている。

 

 

「腹立つなぁ本当に!!一発殴らせるか、アタシと"ギアスファイト"をしろ!!!」

 

「ハッ!どっちも嫌だな!!お前は黒虫の獲物だ、奴を怒らせるのはごめんこうむるからな!!」

 

「クソ……だったら、白掟(ハクジョウ)様を戻したら、次はアンタだからね!!!」

 

 

威勢の良い言葉を放ちながら、こちらに指を指す生き急いでる女……それに答えてやるつもりは無い。

四人がかりとはいえ、黒虫を倒す?笑わせてくれる。

不滅故に(・・・・)アレは(・・・)恐ろしい(・・・・)というのに(・・・・・)

 

 

ーーーーー

 

「私のターン」

 

 

何とかターンは得たが……惹琴(マネゴト)だけで【誘黒神(ナイアルラト)】を引きずり出したのは誤算だ。

私と惹琴(マネゴト)で防御リソースを大量に墓地に貯めつつ、【誘黒神(ナイアルラト)】を引きずり出した後の効果による敗北で、交代した次のプレイヤーが無防備になるのを防ぐ予定だった。

何とか、私だから耐えれたが惹琴(マネゴト)め……私の策を勝手に変えてしまうなんて、後で詰めてやる。

……だが、私のやるべき事が浮いてしまったのでその分のリソースを他に回す余裕が出来たのは事実だ。

ハンデス効果により、奴の手札は今は七枚。

誘黒神(ナイアルラト)】の残機は7……いや、確か【サタン】を引いていたから手札の補充は可能か。

……これ以上は、引いてから考えるか。

 

 

「ドロー!!」

 

 

ジュン 第三ターン

ライフ:6

手札:5 ターンカウンター:5

 

 

引いたカードを見た瞬間、甘ったるい声が脳に響く。

 

 

──お元気?

 

 

よし、捨てよう。

 

 

──判断が早いのは良いけれども、少し待ってほしいです。あの子と戦っているのでしょう?

 

 

カードのコストにしようと手に掛けた瞬間、慌てたように止めてくるのは今しがた引いたカード──【永劫に留める(ガタノソア)

……私のデッキに唯一入っているコスト:8のモンスターはコイツだけだ。

だから不本意ながら、コイツをデッキに入れたままだった。だが、既に【誘黒神(ナイアルラト)】は引きずり出している……ならば、コイツは不要だ。

 

 

──あの子を助けたい、その気持ちは私も同じよ

 

 

眉が跳ねる。

前の時は、コイツはアレを殺す気だった筈だが……どういうつもりだ?

 

 

──あの器はあの子には相応しくないから、壊してもっと相応しいモノに入れたかったのです

 

 

優義徒(ユギト)の体はいつ以下なる時もパーフェクトで素晴らしいものだが??

 

 

──話が進まないから、ちょっとそこはスルーして担い手ちゃん

 

──コホン……でも、今のあの子は【這いよる混沌(ナイアルラト)】によって(おびや)かされている……私の一番の命題はあの子を守ること

 

 

だから、手を貸すと?

都合がいいな、随分と。

 

 

──最初のお前のプランだと、私を使い回すつもりだったのでしょう?都合がいいのはどちらですか

 

 

痛い所を突かれた、が……だとしてもコイツを信用するにはまだ足らない。

 

 

──強情ね、暗く硬い意志……嫌いじゃないです(・・・・・・・・)。でも、時には柔軟さを加えないと、折れてしまいます

 

 

…………

 

 

──金輪際(・・・)あの器には(・・・・・)手を出しません(・・・・・・・)。だから、なんとしてでも【這いよる混沌(ナイアルラト)】を打ち倒して下さい

 

 

そこまで言うか……【這いよる混沌(ナイアルラト)】は名前的にも誘黒神の一部なのだろう?何故、そこまでアレを取り除こうとする。

お前の言う"あの子"には【這いよる混沌(ナイアルラト)】は含まれていないのか?

 

 

──【這いよる混沌(ナイアルラト)】はあの子に完全に取り込まれた筈の存在です。だから、あの子ではないのですよ。

 

 

取り込まれた……?

だが、それならばカードの奴が"ナイアルラト"を名乗っているのは何故だ?自分本来の名を名乗ればいいだろう?

 

 

──あの子に名前はありませんよ。付けられる存在がいませんから

 

──話がズレてきましたね。担い手ちゃん、私の力を借りて【這いよる混沌(ナイアルラト)】を打ち倒すか、自分たちだけであの子に挑んで喰われるか……選んで下さい

 

 

 

奴を完全に信用することは……やはり出来ない。

だが、喰われるのは……論外だ。

 

 

「【タイムカプセル】の効果で、ゲームから取り除かれていた【黄魔華時】を手札に加える!手札のアーティファクト【朽ちたる黒曜の処刑場(オブシディアン・グレイヴヤード)】を発動!コストで手札を一枚破棄し、その効果を使う!デッキから【黒曜騎士(オブシディアンナイト)ランスロット(セカンド)】を破棄する!」

 

 

勢い良く捨てるのは【永劫に留める(ガタノソア)

今のターンカウンターでは、手札から出す事は出来ない。だが、墓地からならば話は別だ。

 

 

「【ランスロット(セカンド)】の効果!このカードよりコストが低い【黒曜騎士(オブシディアンナイト)】モンスターを一体、場に出す!来い!【失墜の黒曜騎士(オブシディアンナイト)ベディヴィア】!!」

 

 

【失墜の黒曜騎士(オブシディアンナイト)ベディヴィア】

黄・黒 コスト:3 黒曜

A:3 B:3

 

墓地にこのモンスター名を除く【ベディヴィア】モンスターがいる時にのみサモン出来る。

このモンスターが場に存在する限り、自分が手札を破棄する時に相手プレイヤーも同じ枚数だけ手札を破棄しなければならない。

このモンスターはデッキに四枚以上入れることが出来る。

 

 

地面から生える黒い結晶の塊……その中から、黒いモヤを(ともな)って影のように抜け出してくるのは薄ら笑いを浮かべた片眼鏡(モノクル)を掛けた騎士──【ベディヴィア】

左手に短槍を、右手(・・)に長槍を握り締めた状態でその長槍の切っ先を奴に向ける。

 

 

「さらにアーティファクト【騎士はやがて聖杯を手にする(ラウンドオブホーリーグレイル)】を置き、効果発動!手札を一枚破棄し、ゲーム外から【聖杯の奇跡:人命復活】を手札に加える!【ベディヴィア】の効果により、私が手札を破棄する時にお前も同じ枚数だけ手札を破棄しなければならない!!」

 

『またぼくのてふだをー!!そいつやー!!』

 

「ガリガリ削らせてもらおうか!!スペルカード【悪夢の再来(バッドエンド・シークエル)】を発動!私の場のカードを破棄し、同じコストのカードを一枚、デッキから手札に加える!【モルドレッド(テン)】を破棄し、同じくコスト:5の【飛翔の黒曜騎士(オブシディアンナイト)モルドレッド】を手札に!」

 

 

黒い結晶の塊に閉じ込められる【モルドレッド(テン)

その影とも言えるモンスターを手札に加えられたが……出すには、間にあわないだろうな。

 

 

「破棄された【モルドレッド(テン)】の効果で、デッキから【放棄の黒曜騎士(オブシディアンナイト)ランスロット】を場へ!その効果で、カードを二枚引く!!」

 

『それもやー!!【這いよる混沌(ぼく)】のこーかでむこーにするよ!!』

 

 

一番ネックだった無効効果を切らせた、ここだ!!

 

 

「スペルカード【聖杯の奇跡:人命復活】を発動!!甦れ──【永劫に留める(ガタノソア)】!!!!」

 

『うそぉ!!?』

 

 

場に現れた黄金の(さかづき)が、腐食するように黒く染まっていく。

そして、その(さかづき)を打ち砕いて中から顕現(けんげん)するのは…(おぞ)ましい怪物。

コウモリの翼、甲殻類(こうかくるい)めいた緑色の外殻(がいかく)、黒い結晶によって作られた大剣。

それらを兼ね備えた、女体を模した存在が哄笑(こうしょう)と共に場に降り立つ。

 

 

 




威厳を出す時は普通だと聞き取り不可な声で話し、お気に入り相手には普通に話すガタノソアちゃん
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