TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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獄炎(ヘルズバーン)の対モンスターへの処理能力の高さはこの時の為に……ごめんなさい、偶然です


四重奏→終演

……ついに、アタシにまでバトンが回ってしまった。

今回の作戦……つまるところはシンプルだ。

誘黒神(ナイアルラト)を倒す(・・・)。それによる勝利が目標だ。

その為に、アタシの"ギアスモンスター"は

煉獄炎の総長(フルヘルズバーン・ヘッド)カイエン】ではなく、その前身である【獄炎総長(ヘルズバーン・ヘッド)カイエン】になっている。

 

 

『ついにさいごだね!おねーさんでぼくをたおしきれるの?』

 

 

白掟(ハクジョウ)様そっくりな顔が、悪意に満ちた笑みを向けてくる。

真赤な目はいつもの白掟(ハクジョウ)様よりもキラキラと輝いているけども……楽しそうに見えないのはどうしてだろうか?

 

 

「倒し切らねぇと、アイツらの犠牲が無駄になっちまうからな……ああ、そうだやってやるさ!やってやろうじゃないか!!」

 

 

『私たち全員を死んだ扱いにするな!!』って外野にいるジュンの野郎の声はスルーだ。

鬼丸(オニマル)もその横に戻っており、未だに意識を飛ばしたままのタクミのことを心配そうに気に掛けているのが見える。

思いっきり、自分の頬を叩いて気合を入れ……五枚の手札を、デッキから勢い良く引き抜く。

 

 

「さあ、まだ未処理だった効果を解決するよ!四枚の【獄炎の調達屋(ヘルズバーン・プロモーター)】が墓地に送られたので、カードを四枚……ドロー!!!」

 

 

これで手札は九枚、アタシが使えるターンカウンターは残り1だけども……問題ないね(・・・・・)。寧ろ、手札が増えてくれたのがありがたい……良い仕事してくれたよ、鬼丸(オニマル)の奴!

 

 

「【獄炎の整備士(ヘルズバーン・メカニック)】をサモン!効果で、デッキからアーティファクト【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】を発動し、さらに手札から【獄炎(ヘルズバーン)堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)】を発動するよ!!」

 

 

宣言と共に、髑髏(どくろ)を模したゴーグルを付けたツナギの男が地面に突き立てるのは燃え上がる髑髏(どくろ)のマークが描かれた赤い旗。

そして、まるでこの場所が獄炎(ヘルズバーン)の領地であるのを宣言するかのように、獄炎(ヘルズバーン)モンスターの本拠地である煉瓦(レンガ)造りの闘技場兼レース場がこの時計だらけの居心地が悪い空間に建造される。

 

 

「さあ、どんどん行くよ!!アタックフェイズ!!【整備士(メカニック)】で【這いよる混沌(ナイアルラト)】を攻撃!!」

 

『だーかーらー!そんなよわよわモンスターじゃあさ【這いよる混沌(ぼく)】はたおせないよ!!』

 

「うるせぇ!!黙って見てな、ガキンチョ!!」

 

 

腹を括り、アタシに親指を立ててから巨大な黒い小虫の塊へとレンチを片手に突撃していく【整備士(メカニック)

ポカポカとその人型のつま先を叩いているけれども……軽く足を動かされ、そのまま紙くずのように吹き飛ばされて、闘技場の中へと叩き込まれる。

けれども、反撃のように闘技場から無数の工具やらネジやらがガキンチョに向けて投げつけられていく。

 

 

「【獄炎の暴走旗(ヘルズバーン・シンボル)】の効果で、戦闘で負けて破棄される獄炎(ヘルズバーン)モンスターは代わりにアタシの手札に戻り【獄炎(ヘルズバーン)堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)】の効果で、獄炎(ヘルズバーン)モンスターが場から手札に戻る度に相手プレイヤーに1ダメージだよ!」

 

『それでダメージをかせいでぼくをたおすつもり?ざーんねーんでーしたー!!スペルカード【膨れ女の幻惑】!!』

 

 

【膨れ女の幻惑】

黒 コスト:2 スペル・使徒

 

自分がカード効果によってダメージを受ける時に発動する。

このターンの間、自分がダメージを受ける代わりに自分の場のモンスターにそのダメージを与える。

 

 

真っ黒な扇子がガキンチョの前に現れ、ソレを広げてガキンチョが辺りを扇ぎ始める。

体に悪そうな色の霧が立ち込め、ガキンチョがすぐ近くにいるような……逆に、はるか遠くにいるようなそんな奇妙な感覚に襲われる。

 

 

「くそ……気持ちわりぃ……っ!!」

 

『えっへへ〜これでこのターン、ぼくがうけるダメージはぜーんぶ【這いよる混沌(ぼく)】がうけるよ!』

 

 

その言葉通りに、ガキンチョに向かっていた攻撃が全てあの真っ黒な巨人に吸い込まれていく。

向こうにしてみりゃ、当然の動きだ。手札を破棄すれば実質、B(バイタル):100を超えた壁になる【這いよる混沌(ナイアルラト)】に攻撃を集中させるのは。

しかも、自分からカードを破棄すればアタシのライフが削れる……どう考えたって、ガキンチョよりもアタシの方が先にライフが0になる。

 

 

『さらにー!てふだからカードをはきしたから、おねーさんに2ダメージ!』

 

 

這いよる混沌(ナイアルラト)】の肩の大砲が三度(みたび)、光を集める。

 

 

「ソレ、スペルの使用後の破棄にも反応するのかよ!!?」

 

『そーだよー』

 

 

のんびりとした返答と共に細い光がアタシの体を撃ち貫く。

 

 

レイカ ライフ:10→8

 

 

熱い……が、それも一瞬だ。

ライフだって、まだまだある……だから、ここで怯んじゃいられねぇよなぁ!!!

 

 

「アタシの獄炎(ヘルズバーン)モンスターが攻撃した後に手札の【獄炎の特攻隊長(ヘルズバーン・リーダー)シンコウ】は場に出せるよ!その効果で手札から【獄炎の副長(ヘルズバーン・サブヘッド)エンマ】を場に出す!!効果で、デッキの【煉獄炎の総長(フルヘルズバーン・ヘッド)カイエン】を墓地へ!!」

 

 

バット片手に荒ぶる【シンコウ】とそれを苦笑しながらも止めない【エンマ】

二体は、互いの拳に拳をぶつけ……勝ち目の無い戦いへと身を投じた。

 

 

「【シンコウ】と【エンマ】で【這いよる混沌(ナイアルラト)】に攻撃!!その時に、手札を一枚破棄して【エンマ】のもう一つの効果だよ!!【煉獄炎の総長(フルヘルズバーン・ヘッド)カイエン】を墓地から場へ!!」

 

 

体の奥底に響くような、低く轟くエンジン音。

冥府の底から蘇った【カイエン】が、地面へと自らの刀を突き刺してその場に立ち続ける。

 

 

『そのモンスター……っ!!』

 

「そうさ、コイツがいる限り……相手プレイヤー(・・・・・・・)はカードを(・・・・・)破棄できない(・・・・・・)!!」

 

 

見る間に青ざめ、目を見開くガキンチョ……でも、もう遅いよ。スペルカードを使うのも破棄だから【カイエン】がいる限りは使えない。

ここからは……タコ殴りの時間だ!!!

 

 

「【シンコウ】と【エンマ】を手札に戻し【堕威卍鼔六堰終(タイマンコロッセオ)】の効果で1ダメージを二回!さらに【シンコウ】を場に出して【エンマ】を再度場へ!【エンマ】の効果で【獄炎の遊撃隊長(ヘルズバーン・コマンダー)タイザン】を墓地に送るよ!!さらに攻撃だ!!」

 

『やだ、もうやめてよぉ!!』

 

「止めないね!!オラオラ!!もっかい【シンコウ】と【エンマ】のおかわりだ!!」

 

 

【エンマ】の墓地送りだけは念の為に忘れずに行い、再度の突撃をモンスター達へと宣言する。

何度も何度も殴られて、流石の【這いよる混沌(ナイアルラト)】もへばってきたのか……その目の赤い光が暗くなっていく。

 

 

「【シンコウ】と【エンマ】で攻撃!!」

 

 

四度目の突撃、これで【這いよる混沌(ナイアルラト)】のB(バイタル)は1となる……次で、終わりだ。

 

 

『ひどいよぅ、なんでそんなひどいことするの……?』

 

「こうしなきゃ勝てないからだよ、悪いけど……アタシたちは白掟(ハクジョウ)様を取り戻したいんだ」

 

『なんでさ!!ぼくとあっちのぼく!どっちもおんなじだよ!!おんなじそんざいだよ!!』

 

 

恨みが籠った視線、白掟(ハクジョウ)様と同じ色の目がアタシを睨みつけてくるけども……ここで、アタシは止まれない。

 

 

ーーーーー

 

 

「【シンコウ】と【エンマ】を場へ!【エンマ】の効果で【獄炎の親衛隊長(ヘルズバーン・ガード)ヘンジョウ】を墓地に送り……【シンコウ】で【這いよる混沌(ナイアルラト)】を攻撃!!」

 

 

たったA(アタック):1のモンスター……そんなちっぽけな存在の攻撃が【這いよる混沌(ぼく)】には致命傷となった。

崩れ落ち、消え去っていくぼくの群れ……敗北の足音がすぐ側に迫る。

 

 

『…………』

 

 

──ここまでですよ、どうです?私の教団聖剣士(ホーリーエッジ)たち……強いでしょう?

 

 

血のような、赤い目が愉快そうにぼくを見下ろす。

アイツらには見えていない……ぼくだけに見える、この身体に先に住み着いていたぼくの片割れ。

 

 

──ここまで弱らせてくれたお陰で、群れの制御も取り戻せましたし……これで元通りですね。めでたしめでたしって奴です。

 

 

……どこが?そっちの群れにとっては良いかもしれないけども、こっちは最悪だよ!!

ずるいずるいずるいずるい!!!

ぼくだって【ナイアルラト】なのに!!なんでそっちは助けてもらえてるの!!ずるい!!

 

 

──ずっと眠りに逃げてたぼくと、諦めて戦っていた私の差でしょうね。悔しいです?

 

 

戦ってたっていうか、なんか悪役?を楽しんでたじゃん!!

 

 

──そこを突かれると痛いですね……それでも、結構辛い目には合ってきてますよ、私。

 

 

ゆっくりと近づいてきた片割れがぼくの頭に手を乗せる。

 

 

──さて、では選手交代と行きましょう……最後の最後まで、諦めずに戦う姿をお見せしますよ

 

 

 

 

 

 

 




負けるのが嫌な主人公(悪役)のエントリーです
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