TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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黒曜の呪いを撒き散らす瑞神、その呪いに完全に支配された黒曜騎士(オブシディアンナイト)たちに苦戦するゴウエンとハムレット。
ゴウエンが魔剣の力を解放しようとしたその時、場違いな程に明るい音楽と共に仮面の集団が戦場に乗り込んで来たのだった。
「さあ、不愉快な筋書きなんて……ぶち壊してしまいましょうか」

──フレーバーテキスト【無貌の劇場(ザータ=ホーグラ)】より抜粋


【無名の霧】

赤い血の海の中で倒れ、目を閉じている誘黒神()の姿は……遥か昔、(・・・)占赤神(・・・)に見せられた(・・・・・・)ものと被る。

 

 

『このまま、自堕落な創造主を放置していればこの世界は終わる』

 

『貴様が愛するこの世界が崩れる様を、黙って見ているのか?』

 

 

占赤神が創造主に挑む前日……対抗色である俺の元を訪れた奴が俺に手を差し出す。

 

 

『私たちと共に来い、最善である未来を創り出す為に』

 

 

感情の見えない、冷たい声色とは裏腹に奴の翡翠色の瞳の奥には同じ色の業火が宿っていた。

どこかの同業者が言っていたか……妬みは緑の目の怪物から(もたら)されると。

赤は嫉妬の罪を内包している、だからこそ……俺は奴の手を弾いた。

 

 

『お前は最善の未来なんてどうでもいいのだろう?自分じゃない存在が頂点に立っている……それが許せないだけだ』

 

 

その時、俺は初めて奴が声を上げて笑う姿を見た。

心底愉快げに、心底腹立たしげに……たっぷりと思う存分に笑い狂った占赤神()は何事も無かったかのように、俺に背を向け……二度と振り返る事は無かった。

 

 

「…………」

 

 

ピクリと奴の指が動き、過去に飛んでいた俺の思考が戻ってくる。

誘黒神の手札は約定(クレスト)の効果でサーチを入れて9。そこからカウンターブーストするかドローするかは分からんが……奴の嗜好(しこう)を考えれば、カウンターブーストが硬い。

先のターンの連続スペルでスペルカードに奴の手札は寄っている。モンスターを出そうにも、奴が扱う【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)】の弾は残り二体……その内一体は手札には居ないだろう。いるなら、防御札として既に切っている。

邪聖天(デモリエル)】はそれこそ、考えなくていい……出す為の生け贄が現状黒しか存在しない上に、俺の場に確定で黒を持つ【基青神(俺自身)】が出るからその効果は半減する。何よりも、それだけでは俺の盤面を突破出来ない。

D(デュアル)R(レゾナンス)は……【基青神()】の効果で止められる。

 

 

「あはは、笑ってしまいたくなる程に……ピンチですね」

 

 

そう言いながら、言葉通りに笑う誘黒神はゆっくりと立ち上がった。

赤い血に濡れた手で、自身の頭髪を赤く染めながら掻き上げ……鮮血よりも(おぞ)ましい深紅の瞳が俺を射抜く。

 

 

「でも、負けたくないので足掻(あが)きますね」

 

 

女のような、端正な作りの顔を凶暴に歪めながら……誘黒神が吼える。

 

 

「私のターン!!【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】の効果でデッキより【紅煉散華(クリムゾン・ヘルファイアワークス)】を手札に!!」

 

紅煉散華(クリムゾン・ヘルファイアワークス)】……!

いや、アレは見せ札だ。俺のライフは10……奴がコスト:10以上のモンスターを所持しない限りは、ワンショットはされん。

落ち着け、きちんと処理すべき物だけを処理すれば……俺は負けない。

 

 

C(コントラクト)カウンターが四つ以上乗っているので【完全無欠のハッピーエンド(クルエルトゥルース)】を【基青神()】に変化させ、場に出す!!」

 

「構いませんよ!!カウンターブーストォ!!」

 

 

ユギト 第四ターン

ライフ:2

手札:9 ターンカウンター:6

約定(クレスト):【強壮なる使者(暗黒のファラオ)C(コントラクト)カウンター:1

 

 

再び、時計頭の異形の姿へと回帰する俺。C(コントラクト)カウンターは先のターンに乗せた分も合わせての六個。これだけの行動制限ならば……行ける。

 

 

「コストを2減らし、スペルカード【ネクロノミコン】を発動!!」

 

「却下だ!!無効!!」

 

「コストを2減らし、さらに黒のカードである【無貌の劇場(ザータ=ホーグラ)】を破棄して【邪聖天の憤怒(デモリエル・ペイシェンス)サタン】をサモン!!」

 

「通さん!!無効!!」

 

「だったら【亡き神への葬送】!!!」

 

「何度来ても無駄だ!!無効!!!」

 

「片っ端から私のカードを止めてきますねぇ、貴方!!」

 

 

連続で切られるカード、だがそれらの全ては……【基青神()】の効果の前では無力だ。

苛立っている様子の奴の残り手札は9のままだが、その内訳は俺に大分バレている。

【サタン】【星の智慧(闇をさまようもの)】【同族嫌悪(マグネティックフォース)】【ネクロノミコン】【亡き神への葬送】そして【紅煉散華(クリムゾン・ヘルファイアワークス)】……残りの三枚は不明だが【サタン】を使用したことで、奴がこのターンにサモンに使えるターンカウンターは0。最後に止めたのはスペル、故にこの状況を打破出来るスペルがあったとしても……無意味だ。

 

 

「これが勝ち筋だからな!!まだ動けるだろう?お前の手足、全てもいで止めてやる!!」

 

「墓地の【列車砲(ハイランドーラ)】の効果発動!!D(デュアル)R(レゾナンス)を行います!!」

 

「いよいよ打つ手なしか!!止めるに決まっている!!」

 

「(あと二回……!)アーティファクト【無名の霧】を発動!!」

 

 

【無名の霧】

黒 コスト:2 アーティファクト・使徒

 

一ターンに一度、自分のデッキの一番上のカードを一枚破棄して発動出来る。

破棄したカードのコスト以下のコストのモンスターを一体、墓地から選んで場に出すか手札に加えることが出来る。

 

 

薄く立ち込める毒々しい色の煙……明らかに体に悪そうな物だが、人ではなくモンスターである俺たちに影響は無い。

 

 

「【無名の霧】の効果です!!私のデッキトップを落とし、破棄したカードのコスト以下のコストのモンスターを一体、墓地から場に出すか手札に加えます!!」

 

「…………通しだ」

 

「っ!?」

 

「コイツで【基青神()】の効果を釣りたかったようだが……モンスターを一体場に出すか回収するくらいならば、通しても問題は無い。出たとしても、モンスターの効果の発動自体を全て止めているからな!!!」

 

「(流石に釣れませんか……しかし、まだです)……破棄したのは【這いよる混沌(ナイアルラト)】。そのコストである6以下のコストのモンスター……【Mr.M(モルドレッド)】を場に出します」

 

 

霧の奥から這い戻ってくるのはカラスの仮面を付け、燕尾服を纏った元騎士。

腰に下げていた細剣(レイピア)を構えているその姿は、この戦いの初めの時とは違う。油断も慢心も無い、刃のように鋭い冷徹な殺意が見て取れた。

 

 

「【Mr.M(モルドレッド)】が場にいるので【無名の霧】の効果を再起動します」

 

「…………通しだ」

 

「デッキトップは……っ【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)()守護者(ガード)Mr.B(ベリアル)】。コスト:4以下のモンスター……【Mr.K(カイエン)】を手札に回収します」

 

 

防御札が落ちた、一瞬歪めた表情からして……誘黒神としては落としたく無かった札なのだろう。

 

 

「これでターン終了です」

 

 

諦めたように、淡々とターンを回してくる姿には……少し、違和感を感じるが気のせいだろう。

 

 

 

 

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