TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
閑話1
『……おい、逃げたが?』
『…………………』
『煙を吐くな、救黄神』
真っ暗な空間、そこに浮かぶのは二つの存在。
一つは古めかしい、人間世界の言葉では無い言語によって
もう一つは、子供が好みそうなブリキで作られたロボットの玩具……その口に身立てられているパーツから一筋の白煙が伸びている。
『ありえないありえないありえない……基青神は何を考えてあんな終わりにしたのですか?誘黒神を無駄に傷つけただけではなく、
「あらら……完全にバグってるね〜」
有り得ざる第三の声が響く。
陽光を溶かしたような短く、若干のうねりを持った頭髪によく似合う翡翠色の瞳を持った青年が……まるで、
『貴様……占赤神か』
「そうだよ、だいぶ力が戻ってきたからね!彼ピッピにここまで送ってもらったんだ♡」
『気色の悪い言葉遣いだ』
「もー酷いなぁー統白神はー」
会話は軽快、しかし双方の間に漂う空気は鉛を溶かしたかのように重く暗い。
「久しぶりに契約を司る三柱の神が揃ったんだ、もう少し親睦を深めないかい?」
『契約と恐怖の大公に反旗を
「冗談ではないよ。そんなこと言わずにさ、私と仲良くした方が良いと思うよ?」
武を極めた存在に相対しながらも、全く警戒の色を示さない姿……その余裕の理由は、彼が懐から取り出した一枚のカードの存在だ。
刻まれているのは時計を持った兎の紋章。即ち──
『基青神──』
「そ、弱ってる所を捕まえさせてもらったよ。これで私は彼の権能も手に入れたのさ」
『…………それで、二柱分の力を持って
「いいや?基青神の権能で私が未来を
カードを持っていない掌を二柱の神へと差し出す占赤神と呼ばれた男。
声色は変わらずに軽薄の色が濃いが……その目は真っ直ぐだが、どこか危うい色を
「ありとあらゆる世界線を渡って救済を行おうとするキミが、影緑神の権能を手に入れることが出来れば……
視線が統白神へと移る。
「最強の矛であるキミに、誘黒神の再生能力という最強の盾が加われば……
両の手を広げ、占赤神と呼ばれた男が更なる弁舌に熱を加える。
「六柱の神、六体の英雄、
『だから……そうなる前に、
「そうさ!!残り二柱の恐怖の神はどちらも……"アレ"な存在だよ。恐怖よりも
『………………』
『下らん』
占赤神と呼ばれた男の独壇場をただ一言で断ち切った統白神が、神の威を放つ。
プレッシャー、重圧、オーラ……様々な言葉で表現出来るであろうその圧倒的上位者としての存在感だけで占赤神と呼ばれた男が膝を着く。
『余をそのような
「
『
「っ……」
『故に、余たちを言葉で
「違う、よ……私は」
『ならば、何故余を打倒しようとしない?恒星の化身たる貴様は……認めたくはないが余の天敵だ。いくら惑星を束ねようとも、恒星の熱量には打ち勝てぬ。余を打倒すれば三柱の権能を貴様は手に入れられる……他の神でも最早
キラリと、統白神のアバターである古めかしい聖書の月を模した
『言え、何が目的だ』
沈黙が満ちる。
重い空気の中では時間の進み方さえも、のろまになったかのようで……体感では一時間。実際には、数十秒程経ってから占赤神と呼ばれた男が口を開く。
「全ては、太陽の為にだよ」
『太陽……?』
統白神が問いただそうとする前に、唐突に現れた初めと同じように……占赤神と呼ばれた男が姿をくらます。
残されたのは二柱の神だけだ。
『逃げたか……まあいい。小細工に頼るようでは占赤神も底が知れた。つまらん』
統白神も姿を消し……残された救黄神のCPUが熱を帯びる。
『救済……それが、
救黄神の正確なフルネームはもっと長いです