TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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一方その頃な水兎(ミト)です、修羅ロード爆進


閑話2

──ここは、ある意味では地獄だ。

 

 

「「"ギアスファイト"レディセット!!!」」

 

 

今日だけで何回この言葉を言ったのだろう……10?20?いいえ、もっとたくさん。

全寮制小中高一貫女子校、私立帝傑(ていけつ)女学園。

この学園は学業以外にも"ギアスファイト"にも力を入れている。"ギアスファイト"での強さがそのまま学園内の序列にも反映され、強ければ小学生でも学園内の施設の優先使用権や優遇措置が取られる。

故に、学園内では休憩時間でもあちらこちらで"ギアスファイト"が行われているし、放課後ともなれば殺伐とした空気が学園中に満ちる。

そんな所だからこそ……アタシはこの学園を進学先に選んだ。

 

 

「【ティターニア】で……トドメよ!!」

 

「っ……対戦、ありがとうございました」

 

 

中学からの編入組はアタシ一人、小学生の時からこの学園で揉まれていた在校組はそんなアタシをカモだと思って何人もやって来た。

でも、アタシだって簡単にやられるようなヤワなサモナーじゃない。

賭けファイトを挑まれ、複数人を同時に相手にし、息継ぐ間も無い連続ファイトともあったけれど……その全てに勝利し続けた。

 

 

「アタシの勝ちだけど……確か、アタシが負けたら【スノーホワイト】のカードを渡すように言ってたわね。で、そっちが負けたらアタシに何を渡してくれるの?」

 

「…………わ、私の持ってる一番のレアカードを「不要よ」渡……え?」

 

「アタシはアタシが選んだカードたちでこれからも戦うの。だから、アナタ程度のカードは要らないわ」

 

 

悔しそうに俯き、唇を噛むその人は……小学生時代、学園の小学部最強のサモナー。

アタシと同期の中では最強なのは彼女だけれども……今から、その最強の座はアタシの物。

 

 

「代わりに、アナタが知る限り一番強いサモナーを連れて来て」

 

「知る限りって、そんなの……」

 

 

迷うようにその人の目が泳ぐ。

優柔不断なその姿に苛立って、強く催促(さいそく)の言葉を投げようとしたのをその声が止めた。

 

 

「それならわたしですわ」

 

「っ誰!!」

 

「あ、あなたは……!!」

 

 

ふわりと、甘い花の香りが香った。

青みがかった黒髪は()われていて、肩の方に流されている。目の色は右目は青、もう片方はそれよりも薄い水色で……カラーレンズを入れていないのならば、オッドアイっていう奴だと思う。

そして彼女が纏うアタシと同じ制服の色から、同じ中等部の生徒なのは分かるけれども……胸元に付けられている四葉のクローバー型のピンバッジが彼女の身分を表していた。

 

 

──帝傑女学円統一生徒会

 

 

学園内で総合戦績トップ六人が所属している学園内の組織であり、生徒会の名の通りに生徒の自治活動を仕切り……更には、大規模な大会でシード枠が与えられているという学園の顔とも呼べる集団。

その一人が、アタシの前にいる。

 

 

「はじめまして、五月雨(サミダレ)水兎(ミト)さん」

 

「アタシの名前、知ってるの?」

 

「とうぜんです。ちゅうとうぶからのへんにゅうぐみはあなただけですから……いやでも、めだってしまいますわ。そのけっか……ほかのかたから、めのかたきにされているようですが」

 

「問題無いわ……だって、みんな弱いもの」

 

 

アタシの言葉に、視界の端で悔しそうに表情を歪めているのが見えたけども……先に勝負を仕掛けてきたのはアッチだし、アタシは悪くないわ。

 

 

「それで……アナタのお名前は?」

 

「なまえをきかれるなんて、ひさしぶりですわ……わたしのなまえは青晶院(ショウショウイン)虹霞(コウカ)。いご、おみしりおきを」

 

 

ニコリと優しげに微笑む彼女──虹霞(コウカ)とアタシが"ギアスファイト"を行ったのはその直ぐ後。

そして……

 

 

「アタックフェイズです。スペルのこうかをうけた【昇華玉獣(ジュエルビースト)サファイアアルミラージ】で水兎(ミト)さんをこうげき」

 

「……アタシの、負けです」

 

 

アタシは(・・・・)負けた(・・・)

多分、虹霞(コウカ)は本気をまだ出していない……アタシは良いようにあしらわれただけだ。

膝を着き、久しぶりの敗北の衝撃に打ちひしがれているアタシに……虹霞(コウカ)が手を差し出す。

 

 

「あなたはおつよいですわ、水兎(ミト)さん。ちゅうとうぶはもちろん、こうとうぶのいっぱんせいとではあなたにかてるかたはいないでしょう」

 

一般生徒では(・・・・・・)……ね」

 

 

困ったように笑いながらも、虹霞(コウカ)は差し出した手を戻さない。

 

 

「こうとうぶのせんぱいがおひとりそつぎょうされたので、せいとかいのせきがおひとつあいていますの……水兎(ミト)さんがよければ、わたしといっしょにせいとかいにはいっていただけませんか?」

 

「アタシが……?でも編入組だし、アタシ負けてるし……」

 

つよければ(・・・・・)もんだいありません。わたしはあなたに、かのうせいをみいだしたのです。それに、あなたとの"ギアスファイト"はとてもたのしい……せいとかいにはいってくれたら、いつでもたいせんができますのよ!」

 

「それが本音ね……」

 

 

アタシの呟きにハッとした表情を浮かべながら口元を隠す虹霞(コウカ)の姿が……あの人(ユギトさん)(かぶ)る。

……生徒会に入れば、その特権は学園内でトップになる。各種施設の優先使用権は最上位になるし、新しいパックが入荷すれば……優先的に購入出来る。

これは強くなる近道と言える。

なら、答えは一つ

 

 

「いいわ、入ってあげる」

 

「!!!!!」

 

 

虹霞(コウカ)の手を取り、立ち上がれば嬉しそうに彼女がアタシを抱き締めてくる。より強く香ってくる花の香に、クラっと来たけども……嫌いじゃないわ。

 

 

「ありがとう!ちゅうとうぶのメンバーがわたしだけでさびしかったのです!!わたし、とってもうれしいです水兎(ミト)さん!」

 

「さん付けなくていいわよ。アタシ、虹霞(コウカ)のこと呼び捨てにしてたし……」

 

「わかりましたわ水兎(ミト)!!これが、せいしゅんなのですわー!!」

 

 

ハイテンションではしゃぐ虹霞(コウカ)……これが、この帝傑女学園で氷の女帝(エンプレス)と呼ばれるようになるアタシと宝玉の女王(クイーン)と呼ばれるようになる虹霞(コウカ)との出会い。

 

 

 

 

 

 

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