TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
【日本一決定戦】
ゆったりとしたソファが優しく体を受け止め、室内を適温に調整してくれているエアコンの風が頬に当たるのを感じます。
しかし、そんな快適に限りなく近い状態のこの部屋の中で……手に汗を握りながら、テレビの画面に釘付けになっていました。
『長く続いたこの日本一決定戦も遂に決勝戦となります』
アナウンサーの方の前口上を聞き流しつつ、決勝の舞台に立つ二人のサモナーの姿に……私は目を細めます。
『
私の記憶の中の姿よりも、成長して少年から青年へと変わろうとしている彼の頬には深く刻まれた傷跡が有り、前は明るかった瞳も……よく言えば深みを増し、オブラートに包まずに言えば
あの頃の彼よりも、確実に強くなっているであろう
彼に何が起こったのかが気になる所ですが……彼の対戦相手の
『対するは名門、私立
昔はリボンで結ばれていた髪はそのまま背に流されていて、彼女が動く度に軽やかにその動きに追従しています。
制服らしき衣装の左の二の腕の辺りには、古いリボンが結ばれていてそれだけが
『灼熱の竜王が勝つか!それとも、永久凍土の主が勝つか!世紀の一戦が、今はじまろうとしています!!!』
「相性は五分五分。先に
「…………
「ジュンくん、拗ねてないでこっちに来て下さいよ。みんなで観戦しましょうよーねぇー?」
この大会の準決勝で
私と違い、髪を短めに整えている
使用していたのは黒メインの多色混合デッキ。
私の【
……倒された後に、発狂して
「……
「キツくない」
「
「誰がウジウジ拗ねているって!!?」
「お前だよ!!!」
ジュンくんに油と火を注いで復活させたのは良いですが、レイカ嬢とジュンくんの言い争いでテレビの音が聞こえづらいです。
私と同じ意見を持ったようで、最近声変わりをして低くなった声と共にテレビのリモコンがジュンくんの頭部に向かって投げつけられます。
「二人とも
「人の頭に物投げつけておいて、何がテレビの音が聞こえないだ!!」
「はっ!!タクミに言われてやんの!!だっせぇなぁジュン!!」
「貴様ら二人、目上の者に対する態度を正してくれる!!!そこに直れぇ!!!」
「もう座ってるデシ!!!!」
タクミくんも加わり、さらに
テレビの中で繰り広げられるファイトに集中したいのですが……横で行われている喧嘩が私の注意をさらっていきます。
………………
「三人とも、少し静かにしていて下さい」
影から私の
口を塞いでしまおうかとも思いましたが……お喋り出来ないのは寂しいので無しです。
「これ以上騒がしくするなら、もっと強く縛りますので」
「すんません、
「名前、まだ慣れませんかレイカ嬢?私は
「うっ……すんません、ユギト様」
この五年の間に"色々"ありましたが……まず始めに私がしたのは名前の呼び方です。
もう
「タクミくんも物を投げるのはいけませんよ、壊れたらどうするのです」
「ごめんなさい、ユギトサマ」
「……その投げつけられた私には
「え、だってジュンくんの二重の意味の石頭ならリモコン当てられた程度では何とも無いでしょう?」
「きさ……!!ほん……っっ!!」
自由にさせていたら、間違いなくジュンくんは私に飛びかかって来たでしょうね……うん、縛って置いてよかったです。
怒りのままに地団駄を踏んでいた彼が、ぶすっとしたまま荒々しく座るので……地べたにまた座らせるのも悪いので、私の
彼ぐらいでしょうね……私の
『ここで
赤 コスト:4 炎・偽神
A:4 B:2
このモンスターの攻撃は防衛されず、モンスターを攻撃した際にこのモンスターの
一ターンに一度、このモンスターを破棄する事で
竜の牙や爪を模した鎧は【クリカラ=カルラ】によく似ていて、握り締められている大剣はより複雑な機構を持ったモノに作り替えられています。
左目に縦に刻まれている深い傷跡、そして目の前の敵を見据えるその深紅の
『しかぁし!!既に場に降り立つ
青 コスト:4 妖精・氷・偽神
A:0 B:5
永久氷壁:プレイヤーまたは自分モンスターがダメージを受ける時に、任意の枚数だけ自分のデッキのカードを上から破棄する事で、その枚数分ダメージを減らす。
自分がカードをドローする時に発動出来る。自分の墓地からスペルカードを一枚発動する。
一ターンに一度、このモンスターを破棄する事で
氷の結晶を模した
王冠には星のような光り方をする
『しかぁし!止まらない!止まらない!止まらなぁい!!!温存されていた連続攻撃を可能にするスペルが切られて
「……このままだと、永久氷壁……で、デッキが……削り切られ、ますね」
「ある程度は妥協して受けるしか無いだろうな」
「いや、アイツにはあのカードがあるデシ」
タクミくんの言葉を裏付けるように、
「あちゃあ……あの炎坊主にはこれはキツイなぁ」
「頼みの
「いいえ……
「(あの笑い方……ユギト様の"ギアスファイト"してる時の笑い方そっくりだよなぁ……って、いけね)ハク……じゃなかった、ユギト様そろそろ時間っすよ。会見に出ねぇと」
「ええっ!?もうそんな時間ですか!!?もうちょっと!!もうちょっとだけ!!試合が終わるまで待って下さいよ!!」
「どうせ録画してるんだろ、後で見たら良いだろう」
「録画と
「…………
「すんません、
あああああ……テレビも消されちゃったじゃないですか……酷い、酷いですよ……
「ぐすん……私休みじゃダメなんですか……?ほぼほぼ、取り仕切ってるのジュンくんじゃないですか
「代表は貴様で出してるからな、黙って立ってるだけで良いんだからしゃんとしろユギト」
「はぁい……」
でも、出ないといけませんから……諦めましょう。
「……会見はいつもの通り、基本的な質疑応答はジュンくんに任せます」
「ああ、だが今回は