TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
記者会見を終え、一人で足早に控え室へと戻ろうとした矢先……三つの人影が、私の行く手を遮ります。
「どちら様です……?私、急いでいるのですよ」
「"エボニーマスクス"のリーダー、ミスターユギト……単刀直入に言うが、私たちをチームに入れてほしい」
入れてほしいと言いますが、その言葉の裏には……『私たちを入れろ』という圧をひしひしと感じます。
揃いの服の胸元には煌びやかな勲章が飾られており、見るからに米国人であることが分かることから彼らの出自は……
「私たちのような、ならず者のチームに天下のアメリカ軍のサモナー部隊の方が参加希望とは……そういうご命令です?」
眉が一瞬だけ跳ねましたが、反応はそれだけですね。感情を抑えた鉄面皮のままに、リーダー格であろう男性が話を続けます。
「この大会は基本的には五人一チームだが、控えとして三人まで追加登録が出来る。キミ達五人の控えという形でも構わない……私たちを入れてくれ」
「お断りします」
「っ……理由を、聞かせてくれ」
「大きく分けて、二つの理由が有ります。一つは、私たちのチームは私たち五人だけしかメンバーを認めません。
十中八九……国のメンツでしょうね。
アメリカ代表なのに、米国人が一人もいません。しかも、指名手配されてる連中が正規の手段で代表になったのですから……
「…………」
「そして、もう一つの理由……コレが、一番の理由です」
口元に手を当て、クスリと小さく笑ってみせ……目の前の三人に視線を向けます。
「だって、貴方たち弱そうですもん」
「っ!!……そこまで言うならば、我々の実力を見てもらおう」
流石はプロの軍人という所でしょうね……あくまで理性的に、"ギアスディスク"を構えてくる彼に少しだけ心象が良くなります。ほんの少しだけですが。
「ええ、構いませんよ……面倒ですし、三人纏めてかかってきて下さい」
「…………後悔させてやる。各員、戦闘準備!!」
右手を上げ、その言葉を合図に残りの二人が左右に分かれて"ギアスディスク"を起動させます。
……ネームド級の人たちなら兎も角、名も無きモブである彼らが束になったとしても負ける理由が有りません。
「バトルロイヤルルールで行きましょう……"ギアスファイト"開始前に、
「「「「"ギアスファイト"レディセット!!」」」」
ユギト 【亡き神に捧げる双奏】
VS
米国軍人A 【ストームソルジャー】
米国軍人B 【ストームソルジャー】
米国軍人C 【ストームソルジャー】
私の背後には"ギアスモンスター"はおらず、彼らの背後には全く同じ姿のモンスターが存在しています。
自動小銃を構えた……兵士でしょうか?雰囲気的に……白っぽい気がします。
「「「「スタートアップ!!」」」」
「私の先行です、【
ユギト 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:2
手札はまずまず……今日は
「【
赤・青・緑・黄・白・黒 コスト:4 アーティファクト・大罪
このアーティファクトを発動した時、デッキから
このアーティファクトが存在する限り、手札と場、墓地の
「発動時にデッキから【
黒 コスト:8 スペル・大罪
このスペルの発動時に手札のカードを一枚破棄することで、そのカードのコスト分このスペルのコストを減らすことが出来る。
カードを二枚ドローする。
このスペルの発動時に
地の底から伸びる青白い手に【レヴィアタン】のカードを差し出せば、代わりに二枚のカードが手渡されます。
「このスペルのコストは手札から破棄したカードのコスト分下がります。コスト:8の【レヴィアタン】を破棄しましたので、コストは0です。その効果でカードを二枚引き……【
目の前に展開される七枚のカード……ふむ、これなら次のターンで三人とも倒せそうですね。
「【贖いの宿怨】と【
「それだけ動いて手札が減るどころか一枚増えているとは……流石と言っておこうか」
「これはほんの序の口ですよ。そちらも、どうぞ好きに動いちゃって下さい」
「……私のターン、ドロー!!」
軍人A 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「【ライオット・ソルジャー】をサモン!」
白・青 コスト:1 兵士
A:1 B:1
このモンスターの
ピカピカに磨き上げられた銀色の近未来的なアーマーを装着した兵士が、同じく近未来的的なサーベルを構えます。
「【ライオット・ソルジャー】のステータスはこのモンスター以外の場の【ソルジャー】モンスターの数だけ上昇する!さらに、スペルカード【
【
白・青 コスト:1 スペル・兵士
自分の場のソルジャーモンスターが一体以下の時に発動出来る。デッキからソルジャーモンスターを一体選び、場に出す。
ラッパの音が響き、
「その効果により、デッキより【スナイピング・ソルジャー】を場に出す!」
白・青 コスト:2 兵士
A:1 B:1
一ターンに一度、発動できる。場のソルジャーモンスターの数×1のダメージを相手に与える。
「【スナイピング・ソルジャー】の効果発動!場の【ソルジャー】の数×1のダメージを相手に与える!!」
長銃から放たれるのは白い光線。私の胴体を撃ち抜いたソレによる痛みはありませんが、軽い衝撃によってたたらを踏んでしまいます。
ユギト ライフ:10→8
「……なるほど、貴方がた三人同じデッキですね?【スナイピング・ソルジャー】による効果ダメージならバトルロイヤルルールであろうとも、相手に先手でダメージを与えられますし……場の数を参照してダメージを与えることから、相性は抜群」
「これが、我らの本気だ。次のそちらのターンが来る前にケリをつけさせてもらう。これでターン終了だ」
そこから、二人目も全く同じ動きをして来て私のライフを削っていきます。
ユギト ライフ:8→4
理には適っています。軍所属のサモナー部隊ですから、相手は大抵は闇のサモナーか他国のサモナー部隊です。
相手に何もさせずに確実にダメージを与えて倒す……間違ってはいませんが
「
「っ……【スナイピング・ソルジャー】の効果発動!!場のソルジャーモンスターの数は6!六点ダメージで終わりだ!!」
私の元に迫る光線を断ち切ったのは、一本のハルバードです。
「手札から【
「防御札か……だが、問題はない!!こちらの【ライオット・ソルジャー】たちの
「では、私のターン……【
ユギト 第二ターン
ライフ:4
手札:8 ターンカウンター:4
「スペルカード【贖いの宿怨】を発動」
黒 コスト:2 スペル・犠牲
手札を一枚破棄し、墓地からそのコスト以下のカードを一枚手札に加える。
墓地のこのスペルを山札の下に戻し、ゲーム外から取り除かれているカードを一枚、墓地に破棄する。
「手札の【
黒 コスト:4 スペル・無貌
辺りが暗くなり、私の周りに無数の仮面が舞います。
その内の一枚──灰色の仮面を手に取ります。
「黒のモンスターを二体使った
私によく似た容姿の【
「
赤黒い粘液にまみれた宇宙色とでも言うべき触手の下半身、ソレが身をくねらせる度に生理的嫌悪感を呼ぶ悪臭が辺りに蒔かれます。
「【
「光栄だな……我々にもう一柱の黒の神を出すとは」
「このターンで終わらせる為ですよ。コスト:10【
落ちは……良いですね。これならスムーズに終わらせられます。
「【贖いの宿怨】のもう一つの効果発動です。このスペルをゲームから取り除き、代わりにゲーム外に取り除かれている【
「……こちらの墓地にモンスターはいない。並べてきてはいるが、こちらのモンスターのステータスを超えているのはその【
「まあまあ……まだまだ私の展開は終わらないので、大人しく見ていて下さいよ。【
黒 コスト:4 スペル・犠牲
自分の場のモンスター一体を破棄する。そのコスト以下のコストの場のカードを全て破棄する。
【
「コスト:4の【
「くっ……(強い……データと実際に相手にしてみるのとでは全く違うな)」
【
「さて、新団員の紹介と行きましょう。【
黒・緑 コスト:6 無貌・大罪
A:2 B:2
このモンスターが場に出た時、以下の効果から一つを選び発動する。手札を二枚破棄することで、全ての効果を発動することが出来る。
・
・ゲーム外から取り除かれているカードを一枚選び、墓地に破棄する。
・自分の場のレゾナンスを一枚選ぶ。そのレゾナンスがモンスターならこのターン二回攻撃が出来、ユニオンならば同じ効果を持ったコピーを場に出して自分の場のモンスターにユナイトし、アーティファクトならこのターン中にその効果が二回発動する。
鬼を模した仮面を斜めにその真っ白な髪に引っ掛け、藍色の生地に紫陽花の模様が描かれた浴衣を来た少女がスポットライトを浴びます。
「【
赤い扇子を片手に、日本舞踊にも似た舞を披露する【
「【
スポットライトが新しく照らすのは【
「
ちょこんと、スポットライトの端に【
「【
【
向こうもそれを理解したのでしょう。デッキの上に手をかけて数秒……
「……我々の実力ではキミ達の基準に満たないというのは理解させてもらった」
「大会は基本的に一対一ですからね……そちらの専門は複数人が入り乱れる戦いです。餅は餅屋という奴です、アメリカに優勝カップを持って帰ってあげますよ」
ニコリと微笑み、膝を着いてこちらを見上げる軍人さんの横を通り過ぎます……優勝カップ、別に私は要らないのですよね。
私が一番欲しいのは……楽しい"
軍人さんたちが四人以上で来ていたら負けていたのは内緒です