TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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不穏なフラグをちょこっと


R'lyehーラ・リィアー

南太平洋上に浮かぶ孤島……古くから住んでいたという原住民族によって付けられていた名前は『ラ・リィアー』

十数年前にとある会社によって買い取られ、リゾート地として開拓されたその島こそが今年の世界大会本戦の会場となります。

 

 

「にしても、島で大規模な大会の本戦となりますと……懐かしいですねぇ」

 

「また暴れるとかはしないで下さいよ?」

 

「あはは……今回はただの参加者ですし、統白神でも来ない限りは暴れませんよ。約束です」

 

 

本当かどうか疑うようなレイカ嬢の視線が突き刺さりますが……私は約束だけは守りますとも。ええ。

南国特有の燦々(さんさん)と降り注ぐ日光、海風の少しべたつく風……薄手の生地で作られたアロハシャツとサングラスを掛けている私たちの姿は観光客に溶け込んでいます。

 

 

「それにしても……鬼丸(オニマル)くんは大丈夫ですかね?」

 

「アイツ、来て早々に熱中症でぶっ倒れたっすからね……」

 

 

五年前の事件(・・・・・・)より、日光に非常に弱くなってしまった彼……肌を露出しない衣装は、酷く熱を(こも)らせます。

倒れてしまった彼の介抱の為に、先に宿泊先に向かったタクミくんとジュンくん。そして、私とレイカ嬢は大会の本部へ手続きの為に移動しています。

 

 

「手続きが終わりましたら、冷たい飲み物か氷菓でも買って帰りませんか?そこのお店の品が中々良さそうですし」

 

「良いっすね!なんなら、今からちょっと買わないっすか?味見ってことで!」

 

「お仕事前に買い食いとは中々に(わる)な提案ですね……でも、私も悪い子なのでそれに乗っちゃいます!」

 

「じゃ、決まりっすね!早く涼みましょ、ユギト様!」

 

 

ニッコリと笑い、私の手を引くレイカ嬢の後を追うように私も店内へと入ります。

冷房の効いた店内はそこそこ賑わっていて……レジ前で、懐かしい聞き慣れた声が聞こえてきます。

 

 

「アイスはやっぱイチゴ味だろ」

 

「やっぱりお子ちゃまね、百火(ヒャッカ)。選ぶならピスタチオ一択よ。後、アイスじゃなくてジェラートだしイチゴじゃなくてストロベリーよ」

 

「冷たくて甘いんだからどっちでも同じだろ、わざわざより長い呼び名で言うなんて変じゃん?ていうか水兎(ミト)、お前イチゴ好きだっただろ?無理してキャラ作ってねぇか?」

 

「…………」

 

「図星だからって、叩くなよ!?」

 

「なんで味を選ぶだけで喧嘩してるんだお前たち……俺はチョコレート、鏡花(キョウカ)は何にする?」

 

「お()ぃと同じものが良いのだわ!」

 

「ぼくも恐馬(キョウマ)くんと同じのでいいやー」

 

「ストロベリー1とピスタチオ1、チョコレート3だな。俺が注文してくるからお前たちは席を取っていてくれ。他の客の迷惑にな…………」

 

 

百火(ヒャッカ)くんに水兎(ミト)嬢に……五年前よりも雰囲気が少し柔らかくなった印象の恐馬(キョウマ)くん。その彼に懐いていて恐馬(キョウマ)くんに目元のよく似た黒髪の少女は妹さんでしょうか?そして……優義徒(ユギト)

振り返った拍子に、私たちに気づいた恐馬(キョウマ)くんの動きが止まります。

(おおよ)そ五秒、止まっていた彼の時が動き始めます。

 

 

「は、白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)!!!」

 

「呼んだー?」

 

「お前じゃない!!」

 

 

名前を呼ばれたと勘違いした優義徒(ユギト)がしょんぼりと肩を落とし、恐馬(キョウマ)くんの妹さんに慰められていますね……まあ、今のは間違えて返事をするのも仕方ないです。

 

 

「お久しぶりです。積もる話も有るとは思いますが……先ずは、注文をさせて下さい」

 

 

ーーーーー

 

 

どうして俺たちはコイツらと涼んでいるんだ?

 

 

「んー!やっぱり、一目見た瞬間からピンと来ましたが……冷たくて美味しいですね」

 

 

呑気(のんき)な事を言いながら、バニラとストロベリーのジェラートに舌鼓(したつづみ)を打っているはく……いや、ユギトの容姿は五年前とさほど変わりがない。若干髪が伸びている程度か?

俺の警戒する視線に気づいたのか、奴は少し気まずそうに苦笑いを浮かべてくる。

 

 

「そんなに見ても……あげませんよ?」

 

「いや、要らん」

 

「えー……ぼくは欲しいなー。イチゴとバニラも美味しそうだもん」

 

「……仕方ないですね、一口だけですよ優義徒(ユギト)

 

「わーい!」

 

 

ユギトよりも優義徒(ユギト)の方が、容姿的には歳下のように見える。外見の特徴が非常に似ている事もあって、兄弟のようで……その優義徒(ユギト)強請(ねだ)られたユギトが自分のジェラートを差し出すと……優義徒(ユギト)は大きな口を開けて、その大部分を食べてしまう。

 

 

「あー!!?一口って言いましたよね!?」

 

おいふぃ(おいしい)ひふぉふひぃ(一口)ふぁけふぁよ(だけだよ)?」

 

「いやいやいや!確かに一口かもしれませんが、取り過ぎです!!酷い!!まだちょっとしか食べてないのに!!!」

 

「ゴクン……また買ったら?」

 

「お小遣い的にこれ以上は無理ですー!!」

 

 

半べそをかきながら、ジェラートのコーンを咀嚼(そしゃく)しているコイツの正体が……五年前、日本のサモナーを多数引退に追い込んだ恐怖の神の一柱【誘黒神(ナイアルラト)】だと分かっていても……正直、信じられないというか信じたくない。威厳が、全く無い。

 

 

「……俺のジェラート、食うか?」

 

「えっ!!!良いのですか恐馬(キョウマ)くん!!!……いえ、ダメです。ソレは恐馬(キョウマ)くんのですし、全然口付けてませんもん……」

 

 

口ではそう言うものの、未練タラタラで俺のジェラートに視線を向け続けるユギトに、先に食べ終えた炎柳(エンリュウ)百火(ヒャッカ)が口を出す。

 

 

「ていうか、他の奴らはいないのか?もしかして……あのねーちゃんとデート?」

 

「他の子たちは先にホテルに向かいましたよ、レイカ嬢と私は大会の手続きの為に別行動中です。なのでデートではありませんよ、私とカップルなんてレイカ嬢に失礼ですよ百火(ヒャッカ)くん」

 

「(結構仲良さげだったんだけどなぁ……)……んじゃ、なんでアメリカ代表になんてなってんだよ。一応、お前日本人だろ?」

 

「成り行き……ですかね。全米で開かれる【ドレッドギアス】の大会、その勝率が上位の四チームによる総当たり戦をして……そこでの勝率トップが代表になるという形式でした」

 

 

食べ終えたコーンの包み紙を丁寧(ていねい)に折り(たた)みながら、ユギトが困ったような笑みを浮かべる。

 

 

「私たち、一応お(たず)ね者ですからね……真っ当な手段では生活を成り立たせることが出来ないので、片っ端から賞金が出る大会に出たのですよ。何度も優勝していたらその内に、大会に招待されるようになって……そこでも優勝をしていたら……いつの間にか代表決定戦に参加していて、勝っちゃったのですよね」

 

「『勝っちゃった』で代表になる辺りが……流石というか、頭が痛くなるというか……」

 

「あはは……まあ、代表の間は国が私たちを守ってくれるのでIGPに追いかけ回されないで済むので、そこはWinWinなんです」

 

 

そう言ってから息を吐き、違和感でも有るのか革のチョーカーを左手で弄る姿が妙に目立つ……正直、あまり似合っているとは言えないし、奴のセンスにしては無骨過ぎる。

 

 

「……さて、そろそろ行かないとダメですね。レイカ嬢、行きますよ」

 

「うっす!じゃ、戦うの楽しみにしてるよ、嬢ちゃんたち!!」

 

 

女子四人で何やら(かしま)しく話していたようだが……ユギトの言葉に、にっかりと笑って駆魔(カルマ)レイカが立ち上がる。

 

 

「それでは……次は、大会の場で会いましょう」

 

 

 

 

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