TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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【欠けた器】

「──それで、レイカお姉様はユギトお兄様の彼女さんなのです?」

 

 

突然ぶっ込まれた爆弾発言に、噴き出しそうになるのを堪えたら()せちまって(せき)が止まらなくなる。

横の水兎(ミト)の嬢ちゃんが背中を撫で叩いてきて……それで少し落ち着くことが出来た。

 

 

「ゲホゴホッ……何でそうなるんだよ……?アタシとユギト様はそんな関係じゃねぇよ」

 

「本当なのです?」

 

「でも前の大会の時にすっごいこと言ってたっぺよ。確か『白掟(ハクジョウ)様のくちび「言うなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」りゅっ!!?」

 

 

五年前の頭が()だってた時のことを蒸し返されるなんて、思ってもみなかった。

デカい声で続きをかき消し、向かいに座る緑髪のポチャっとした嬢ちゃんの両頬を片手で掴む。

 

 

「あのな?あの時のアタシはなんかちょっと変だったんだ、分かるな?ユギト様のことは(した)ってはいるけどそういうやつじゃないからな?だから、あの時の発言は全部妄言(もうげん)だ。本心じゃないからな?賢い嬢ちゃんなら分かるな?な?な???」

 

「わ、わひゃったっふぇ〜」

 

「素直でよろしい」

 

 

軽くしか掴んでないから、手を離せばそのもちもちとした頬には何の跡も残っていない。

……まあ、アタシだってもうそろそろそういう(・・・・)相手を探しても良い歳だ。でもなぁー……ユギト様はなんかもう、そういう目では見れない。歳上の弟だよ、あの人。過ごしてて楽しいけど、恋愛対象には見れない。

ジュンは論外だし、タクミの奴は文通相手がいるらしい……スマホとか発達してる中で文通ってのが、妙にいじらしい。揶揄(からか)う気にもならねぇし、アタシは見守るつもりだ。

鬼丸(オニマル)は………………分かんねぇ。

 

 

「とにかく、アタシはそういう話NGだから!良いね?」

 

「はーいだっぺ!」「なのだわ!」

 

 

元気に返事をする目の前の二人に口元を緩ませ、アタシもジェラートに舌をはわせる。

シンプルなバニラのソレは、店で食べているという雰囲気を抜きにしてもかなり美味しい。

ストロベリーとピスタチオのジェラートを横で黙々と食べている水兎(ミト)の嬢ちゃんに、アタシの方も気になってたことを聞く。

 

 

「そういえば久しぶりに姿見たけど、何してたんだい水兎(ミト)の嬢ちゃん?」

 

「アタシ?……フリーな時間はひたすら"ギアスファイト"をしていたわね、強くなる為に」

 

「武者修行ってやつかい?やるねぇー……日本での大会見てたよ、殆どの試合を完封勝ち。例外はそこの翠子(ミドリコ)の嬢ちゃんと百火(ヒャッカ)って坊主くらいだったね」

 

「……翠子(ミドリコ)さんの超活性(オーバーブースト)による耐性付与は青のバウンスの天敵。それだけ負けるつもりは無かったし、勝ちはしたけど……やりづらいし、ソレを活かした戦術も手強かったわ」

 

「褒めて……くれてるっぺ?」

 

「……それ以外の言葉に聞こえたのかしら翠子(ミドリコ)さん」

 

 

ツンとした態度ではあるものの、遠回しながら翠子(ミドリコ)の嬢ちゃんを褒めている水兎(ミト)の嬢ちゃん。

これがツンデレってやつなのかね?

 

 

「(なんか不本意な感想を(いだ)かれてる気がするけど……まあいいわ)百火(ヒャッカ)の方は……あのまま長引けば、アタシが勝っていた。だから、あの"ギアスファイト"は勝たせない為の戦いに移行した百火(ヒャッカ)の【クリカラ=カルラ】による自爆を見抜けなかったアタシが悪かったわ……でも、次は無い」

 

 

橙色と言うには冷た過ぎる上に明るい色の瞳がスッと細められ、その殺意にも似た闘志に背筋を寒気が走る。

……(わる)かないね。

大会での賞金が生きる為の資金に直結していたアメリカでの"ギアスファイト"では、アタシたちと同じように生きる為に大会での賞金が必要だった奴らが何人もいた。そいつらとの"ギアスファイト"は……命の取り合いをするかのようなヒリつく感覚があった。

水兎(ミト)の嬢ちゃんが放つソレは……あいつらも放っていたけど、水兎(ミト)の嬢ちゃんの方がもっと研ぎ澄まされていて……まるで氷の刃みたいだ。

 

 

「いいねぇ、そういうの。最近浴びてなかったから……へし折ってやりたくて、(たま)らなくなるよ」

 

 

舌先に感じるジェラートの甘みよりも、その殺意の方がよっぽど甘美(かんび)だ。

舌なめずりをするアタシの耳に、聞き慣れたリーダーの声が届く。

 

 

「……さて、そろそろ行かないとダメですね。レイカ嬢、行きますよ」

 

「うっす!じゃ、戦うの楽しみにしてるよ、嬢ちゃんたち!!」

 

 

ポイッとコーンごと残ってたジェラートを口の中に放り込んで立ち上がる。

……ああ、折角冷やした体が火照(ほて)ってきた。本当に楽しみだねぇ……あの子たちを叩き潰す時が。

 

 

 

ーーーーー

 

 

「──ということがあったのですよね」

 

「なるほどな……っと、私のターンだな。ドロー」

 

 

お土産のカップに入ったジェラートを食べつつ、私とテーブルファイトをするジュンくん……引いたカードをそのまま盤面に出されて、私の眉間に皺が寄るのが分かります。

 

 

「……ここでその子ですか」

 

「今引きだ。そら、効果でソイツらを処理だ」

 

「むむむ」

 

 

素直にカードを墓地に送りますが……このままの流れだと、負けそうです。

 

 

「対戦の組み合わせはどうだった?」

 

「先ずはブロック毎の総当たり戦ですね、上位二チームが決勝トーナメントに行きます。私たちのブロックはギリシャ、インド……そして、日本がメンバーですね」

 

「間違いなく、ウチと日本が勝ち抜けだな。くっくっく……このブロック予選と決勝トーナメントの二回も奴らに報復の機会があるとはな」

 

「……優義徒(ユギト)もその日本代表なんですよ、しかも四位入賞だからレギュラーメンバーですよ」

 

「流石は優義徒(ユギト)!でも、それはそれだ。日本というか炎柳(エンリュウ)百火(ヒャッカ)は許さん」

 

 

凄まじいダブスタを発動している、通常運転なジュンくん。

そうしてる間にもテーブルファイトは進んでいき……

 

 

「ダメですね、私の負けです」

 

「…………やはり、マズイな」

 

「ここ数年で……私の貴方たちへの(・・・・・・)勝率はどんどん(・・・・・・・)下がっています(・・・・・・・)

 

 

原因に心当たりは有りません……単純に彼らが強くなっているからという理由なら良いのです。

でも、そうではない。

……直感ですが、私は日本代表(・・・・・・)のメンバー(・・・・・)ほぼ全員に(・・・・・)勝てない(・・・・)。勝てる相手は……恐らくは

 

 

「私たちとやる時に限って、引きが悪すぎる……どうなっている?」

 

「私が聞きたいですよ……今回なんて、初手に邪聖天(デモリエル)全員集合ですよ?」

 

「ピン刺しだろ、ソイツら……もう抜け、この大会の間は抜け。マジで」

 

「ええ……それはちょっと、可哀想じゃないです?」

 

 

初手のドローも含めて、六種類のコスト:8邪聖天(デモリエル)が全員集合したのは本当に笑えます。

約定(クレスト)抜きだったのもあって、大事故です。

…………そういえば、似たような不調を百火(ヒャッカ)くんも起こしていましたね。あの時は、百火(ヒャッカ)くんはいつの間にか復調していましたが……

 

 

私には、何が起こっているのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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