TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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宣戦布告

『レディースアーンドジェントルメーン!!!』

 

 

ラ・リィアーの中心部に作られたトートスタジアム。観客収容数15万人を超える世界最大のスタジアムであり、今年の【ドレッドギアス】世界大会のメイン会場となります。

その中心部で、ラ・リィアー土産で売られていた魚を模したお面を被った司会者の方がマイクに声を張り上げています。

 

 

『世界各地で行われた予選、何ヶ国かはシードで自動的にここまで来ているが……まあ、最終的に勝ち上がるのはどうせ一国!!一番強い国が勝ち上がる!!』

 

 

シード権によって参加が決まっているのはアメリカ(ウチ)を除くと、フランス、日本、ロシアの四ヶ国です。これは前大会のベスト四の国となります。

 

 

『さあ、長ったらしい前置きは投げ捨てよう!!世界一を決める十六の国、その代表を紹介しようじゃないか!!』

 

 

その言葉と共に一国づつ紹介されていきます……面白おかしく脚色された説明に、何ヶ国かの選手が顔を(しか)めている姿が(うかが)えます。

 

 

『さあ、今大会最も動向が気になる方も多いことでしょう!世界とIGPが認める、最も邪悪な神が(ひき)いる凶悪ヴィランズの登場です!!』

 

 

あ、出番ですね。悪党(ヴィラン)よりも悪役(ヒール)の方が良いのですが……まあ、世間的には私は悪神なのでヴィラン扱いになりますよねぇ。

 

 

『アメリカ代表!!"エボニーマスクス"!!!!』

 

 

チーム名を呼ばれ、薄暗い選手入場口から出て行きます。

浴びせられるスポットライトの光、そして歓声。悪役丸出しの紹介をされたというのに、ブーイングが無いのは観客のマナーが良いということでしょうかね?

後ろを少し振り向けば、西洋兜を模した仮面、蛇を模した仮面、鬼を模した仮面、ドクロを模した仮面、キツネを模した仮面を被った皆さんが…………ん?

 

 

「ちょっとタイム」

 

「あれぇ?どうして止まっちゃうのリーダーさぁん??」

 

 

そこにいるのが当たり前な顔をして混ざってる白い着物姿の不審者(ヤォニャン)

その首根っこを素早く鬼丸(オニマル)くんが掴みます。

 

 

「やん♡捕まっちゃった♡」

 

「帰れ」

 

 

鬼丸(オニマル)くんによる全力の投擲の先は、私が大きく開いた影の中です。

流石というか……綺麗な正座姿勢を維持したまま投げられた、妲己(ダジ)妖娘(ヤォニャン)はどこか知らない国に放り出されることでしょう……数日前に放逐(ほうちく)したのに、戻って来るのが段々早くなっています。

 

 

「今の不審者はノーカンで……お騒がせしました」

 

『冷酷無比な黒の神は、幼気(いたいけ)な少女を悪びれもせず呑み込んでしまったー!!まさに、極悪ー!!』

 

 

煽ってくる司会者の言葉を軽く笑ってスルーし、今度こそ指定の位置まで歩いていきます……他の代表の人達の視線が突き刺さって辛いです。

 

 

「やはり血も涙もないモンスターだな!俺たち"ドデカオリュンポス"がお前を倒してやる!!」

 

「オー!ソノ役目ヤルノ"ラクシャーサ"ネ!ギリシア=サン出番ナイヨ」

 

「違う!俺たちだ!!」

 

 

横では推定ギリシャ代表とインド代表のリーダーがなんか喧嘩してますね……いや、アレはギリシャ代表が一方的に突っかかっている感じですね。

 

 

『さあ、今大会一のダークホース!!なんと、メンバー全員が二十歳以下というナウでヤングなピチピチチーム!!』

 

 

ナウでヤングって……表現が古いですね。

 

 

『日本代表!!"ライジング・サン"!!!!』

 

 

先頭を歩くのは百火(ヒャッカ)くん、その後を水兎(ミト)嬢、米原(マイバラ)嬢、優義徒(ユギト)恐馬(キョウマ)くん、鏡花(キョウカ)嬢、そして見慣れない女性が二人。

片方は水兎(ミト)嬢と同じデザインで細部の色の違う制服を着た青みがかった黒髪の女性、そしてもう一人は……ブロンドヘアーをツインテールにしている女性的なボディラインが魅力的な少女と女性の間くらいの年齢の子でしょうか?

その後者の方と目が合った時に、小さく手を振られましたが……はて、どこかで会ったことがあるのでしょうか?

 

 

『この大会でも神殺しを成し遂げて、まぐれでは無い実力を示すのか!!否、それを行うにはこの高く白き、堅牢な壁が立ちはだかる!!』

 

 

肌が粟立(あわだ)つような、そんな感覚を覚えて視線がそちらへと向いてしまいます。

 

 

『十五年連続優勝の記録は前人(ぜんじん)未到(みとう)!!宿敵との闘争(とうそう)の為に、白き清浄(せいじょう)なる神殿より白の神(・・・)が電撃参戦!!!』

 

 

大理石を削り、彫りだされたような人の肌というには白く……それでいて病弱さとは無縁の筋肉質な肉体。

金糸を束ねたような滑らかで曇り一つない長髪が、中身の無い(・・・・・)右袖と共に歩く度に揺れる。

黒のフルドレスがその肉体の強靭さを誇張するように肌に張り付き、それでいて細やかな装飾によって粗野(そや)な印象ではなくしなやかな肉食獣という印象を与えてきます。

 

 

『フランス代表!!"la() Sainte(サント) Bible(ビィブル)"!!!!』

 

 

統白神(ヤツ)の、薄い水色の瞳と目が合います。

 

 

「 見 つ け た ぞ 」

 

「私より、向こうの方がやる気満々なのですが……?」

 

 

ニタリと、心底嬉しげに笑う統白神(ヤツ)に思わず頬がひくつきます。

そのまま殴りかかって来るかと思いましたが、意外なことに大人しく日本代表を挟んで横に立ってきます。

その後ろを、居心地が悪そうに大きなクマのぬいぐるみを抱えた記憶よりも白髪の増えた男性が並びます。

 

 

「お父さん……?」

 

「お前の父じゃない」

 

 

裁刃徒(お父さん)の後ろに続くのは、幽蔵(ユウゾウ)さんにカタルさん……鏡富市の旧教団聖剣士(ホーリーエッジ)と総主教が揃ってフランス代表とは……身内が多いのは気のせいでしょうか?

しかし、それでも見えているメンバーは四人です。一人足りませんね。

 

 

『えー……体調不良でレティシア・ブラン選手は欠席とのことです。ま、統白神の登場でだいぶインパクト取れたので現場的にはオーケーです!!』

 

 

ぶっちゃけましたね……なるほど、体調不良なら仕方ないですね。

 

 

「…………(『裁刃徒(サバト)総司教ー並ぶの(だる)いからー今日私休むねー、このクマちゃんが代理ってことでよろしくー』……体調不良じゃなくてサボりと言えば良かったな。あの外見詐欺め……)」

 

 

苦虫を噛み潰したような表情をお父さんが浮かべているのは何故でしょう……そもそも、何故クマのぬいぐるみを抱えているのでしょう?

 

 

『えー!それでは、選手宣誓を……統白神様、どうぞー!!』

 

「何故、余がせねばならん?」

 

『前大会の優勝国のリーダーがやる義務なので!ほら、声無駄に通ってますしマイク無しで行けるでしょ?統白神様の美声聞きたいなー!!』

 

「…………」

 

 

あの司会者の人……統白神によくあんなこと言えますね、これが実況魂でしょうか……?

 

 

「……宣誓か」

 

 

小さく呟き、統白神(ヤツ)がこちらを向きます。

 

 

「なら、誓ってやろう。余は貴様との闘争を楽しみにしていたぞ誘黒神。貴様が(・・・)壊れるまで(・・・・・)遊んでやろう(・・・・・・)

 

 

これは、また……熱烈な宣戦布告(ラブレター)ですね。

空気を呼んだのか、近くのスタッフの方が私にマイクを手渡してくれます。

ここまでお膳立てをされたのならば、応えないのは統白神(ヤツ)相手だとしても不義理です。

 

 

「私はお前と遊んでやりません。その体、二度と読まれないくらいに虫食いだらけにしてやりますよ」

 

 

私の言葉に、統白神(ヤツ)は答える代わりに笑みを深めます。

 

 

 

 

 




※ギリシャ戦とインド戦はカットされます
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