TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

171 / 171
用法は間違ってますが、タイトルはこれで……


美人局

統白神からの宣戦布告があった開会式からはや二日……

 

 

「無事に二連勝で決勝トーナメント進出は確定……まあ、当然ですよねぇ」

 

 

ギリシャ代表"ドデカオリュンポス"の文字通りの大型モンスターによる蹂躙戦術……しかし、出る前に押し切られてしまえば問題はありません。

レイカ嬢の速攻、鬼丸(オニマル)くんの封殺、そしてジュンくんによる蹂躙のやり返しによる三タテでそのまま終わらせました。

インド代表の"ラクシャーサ"戦では鬼丸(オニマル)くんが先方を務めたのですが、向こうの読みが当たってしまいデッキ相性が最悪の方とぶつかってしまって無念の敗北。

しかし、そこからレイカ嬢が奮起してまさかのワンターンキル、ジュンくんが【アーサーI(ファースト)】を失うものの、そこから新切り札である【アーサー=ヴォーティガーン】を繰り出して勝利。タクミくんによるマイナーカード特有の分からん殺しも決まって、ここで決勝トーナメントの勝ち抜きが確定しました。

日本代表は"ラクシャーサ"に負けていて、一勝一敗の状態です。確実に決勝トーナメントに出る為には、次の対戦相手である私たちに勝たなければいけません。

……勝ち抜きが決まっている私たちがわざと負けてやるという選択肢も有ります。

ですが

 

 

「そんなのは……つまらない(・・・・・)

 

 

ぽつりと私の呟いた言葉が風に乗って消えていきます。

休息日である今日は、各自が好きに行動するということで今は私は一人です。

……久しぶりの一人きりです、今まではなんやかんやで周りに人が居ることが当たり前になっていました。

 

 

「さて……どうしましょうかね」

 

 

ふらりふらりと、店先の商品を眺めては離れるを繰り返し……興味は()かれるものの、欲しいとまではいかないので小さくため息が漏れてしまいます。

こういう時……私はどうしていましたっけ?

確か、そう……百火(ヒャッカ)くんと出会った時もこんな風に街をぶらついて、歩き着いた先にあったカードショップ"ミラージュ"に何となく入ったのが始まりでしたね。

思考を過去へと飛ばそうとした瞬間、腰に何かが当たる感覚によって現実へと引き戻されます。

 

 

「…………ん?」

 

「わっ、いったた……」

 

 

振り返れば……光の加減で淡く虹色に色彩(しきさい)を変える長い髪を可愛らしくサイドテールにしている少女が地面に尻もちをついた状態で座り込んでいました……見る限り、私にぶつかって転んでしまったようですね。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

しゃがんで手を差し出せば、少女は何の警戒もなく私の手を取ります。

 

 

「おにーさんありがとー!ごめんねー色々珍しくて前見てなかったよー」

 

「珍しくて……ということは観光ですか?保護者の方はいませんか?」

 

「んー……はぐれちゃったー」

 

 

のんびりと迷子発言をする少女……着ている白いTシャツにデカデカと日本語で『働いたら負けにゃん』と書いてあるのは……ご両親の趣味でしょうか?

 

 

「それは……迷子さんということですかね?」

 

「そうなるねーおにーさん、一緒に探してよーお願いー」

 

「ええ……通りすがりの私で良いのですか?」

 

 

一人で心細いといった雰囲気も無く、にっこりと笑いながら私の手を強く握る少女に……妙な違和感を感じていました。

しかし、目の前で困っている(?)人を見逃すのも嫌です。

 

 

「いいよーおにーさん優しそうだからーほら、行こー」

 

 

強く手を引かれ、私は少女に誘われるがままに歩かされます……まあ、良いでしょう。どうせ暇でしたし……

 

 

ーーーーー

 

 

「あれはユギト……?」

 

「どうしたでありますか水兎(ミト)氏」

 

 

一勝一敗という、崖っぷちに立たされているアタシたち日本代表。

正直……休息日だとしても、休むよりも"ギアスファイト"をして腕を磨きたかったけど……森導(シンドウ)監督に止められてしまった。

『休める時に休むのも鍛錬』と言われて……咄嗟に反論を()べられなかった私は、その言葉に従うしか無かった。

一人でウインドウショッピングでもしようかと思っていたらレジーナが声を掛けてきて、そのまま一緒に商店街に出たのだけど……桃色頭にアロハ服の男の姿が視界に入ってしまった。

 

 

「アレ、ユギトが何か女の子に連れ回されてるわ」

 

「またあの男は……やはり、そういう趣味が有るでありますか……」

 

 

眉間に(しわ)を寄せているレジーナは、五年の間に色々(・・)と急成長していた。身長は170近く、出るとこが出てキュッとくびれた腰からお尻へのラインは日本人では手が届かないワールドワイドな何かを感じる…………自分の貧相な胸部が少し恨めしい。

 

 

「どう見ても振り回されてるのはユギトの方よアレ……なんか買わされてるし」

 

「そういう趣味かもしれないであります……光源氏的なアレであります」

 

 

レジーナはなんでユギトにこんなにも妙な偏見を(いだ)いているの……?

でも、アイツが見知らぬ少女と過ごしているのを傍から見たら……怪しいわね。

外見だけならメガネを掛けた優しそうなお兄さんというのも……絶妙に不信感を(あお)るわ。

 

 

「……ねぇ、なんでアタシたちはユギトを隠れて追い掛けてるのよ。明らかに、アタシ達の方が不審者じゃない?」

 

「小官はIGPの捜査官として、不審者を追跡してるだけであります。水兎(ミト)氏はその協力者という形になるのでセーフであります、セーフ」

 

 

コソコソと柱や店の陰に身を隠しながら、ユギトと少女を追い掛けているアタシたち……なんか、気になっちゃって追い掛けてるけど、どうしようこれ。

 

 

「何してるんだ貴様ら……」

 

「「ぴゃあっ!!?」」

 

 

背後から急に声を掛けられ……変な声を上げてしまって恥ずかしい。

振り返れば、呆れたをしている皇導(オウドウ)ジュンと仮面を被ったままの(多分)惹琴(マネゴト)タクミがアタシたちの後ろに立っていた。

 

 

「きゅ、急に声を掛けるなであります!びっくりして心臓が止まるかとおもったでありますよ!!」

 

「そこまで怒るか!?コソコソ怪しいお前たちが悪いだろうが!!」

 

「……で、何していたんデシか二人とも」

 

「ユギトが妙な女の子と二人でいたから、気になって追ってたんだけど……アンタたちに話し掛けられて、見失っちゃったわね」

 

 

ほんの一瞬、目を離した隙にユギトと少女はいなくなってしまっていた……まあ、アイツの性格上、アイツから手を出すことはまず無いからほっといても良いでしょ。

問題は謎にヒートアップしているこのレジーナ(バカ)ジュン(アホ)をどう止めるかね……

 

 

ーーーーー

 

 

あれよあれよと手を引かれ、最後に連れていかれたのはカラオケです……本当にご両親を探す気が有るのでしょうかこの子は。

 

 

「じゃーおにーさん何歌うー?」

 

「私は歌うのは得意では無いので遠慮します……それより、保護者の方を探さなくて良いのですか?」

 

「大丈夫だよーこのボタン押したら、私の保護者が文字通り飛んでくるからー」

 

 

そう言って、ポケットから小さな機械を取り出して見せてくる少女……背筋を冷たい汗が伝います。嫌な予感しかしない。

 

 

「なら……私が探すのを手伝わなくても良かったのでは?」

 

「良くないよーだって、こうでもしなきゃキミと話せないからねーユギト大司教(・・・・・・)

 

 

一瞬、息が止まります。

 

 

「……人違いですよ。私は優義徒(ユギト)ではなく「知ってるよ」」

 

「ウチで大司教として長年務めていたのは本物の白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)ではなくてキミの方だ。だから私にとっては大司教のユギトはキミの方だよ。最後の最後でやらかしてはいたけども、大司教としてのキミは非の打ち所は無かったからね。キミの事、ウチでは破門せずに席は残してあるよ。私の権限でね」

 

 

一息でまくし立てるように言葉を繋げる少女……彼女の言い回しを考えれば、その正体は何となく推察(すいさつ)がつきます。

 

 

「まさか、貴女は……」

 

「では、改めて自己紹介しようかユギト大司教。私の名前はレティシア・ブラン。神聖制約教団(ホーリーギアス)の教皇であり、白の神【統白神(バイブル)】の担い手さ」

 

 

顔の前に手を組んで、少女──レティシアが少女に似つかわしくない、微笑みを浮かべる。

 

 

「じゃあ……お話、しよっか」

 

 




幼女(合法ロリ)に釣られる主人公(善意)の図
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている(作者:暁刀魚)(オリジナル現代/日常)

【書籍発売中!】▼ カードゲームで世界が滅ぶのはカードゲームの世界だと定番だ。▼ そんな世界に転生した俺、棚札ミツルは念願かなってカードショップの店長になることができた。▼ カードバトルをする人たちが楽しそうなこの世界で、それを近くで眺めていたかったのだ。▼ しかし、そんな俺は端から見ると大きな事件を解決し、先達として子どもたちを見守る前作主人公のように見え…


総合評価:49462/評価:8.92/完結:376話/更新日時:2026年08月08日(土) 12:05 小説情報

ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった(作者:なんちゃってメカニック)(オリジナルSF/コメディ)

転生したが整備科になってしまった俺、幼馴染の主人公にクソ振り回される模様。▼頼むから、整備士俺一人なのに機体を増やさないでください。


総合評価:6117/評価:7.83/連載:115話/更新日時:2026年08月04日(火) 08:00 小説情報

(ガワだけ)胡乱なカードゲームおじさん(作者:十田心也)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【バトルワールド】▼それはただのカードゲームに非ず▼それは世界中の人々を熱狂に導き、いまだ醒まさせない▼ある国では1枚のカードを手に入れるため、世界有数の富豪が一文無しになり都市が壊滅した▼またある国では、そのカードゲームが最も強い者が皆を率いるリーダーとなった▼長年争っていた両国が、1回のカードゲームの勝負で終戦に合意したこともある▼カードゲームの枠を超え…


総合評価:4219/評価:8.34/連載:28話/更新日時:2026年08月19日(水) 18:30 小説情報

The Last Boss Master ~転生カードゲーマー、悪の組織のボスになる。~(作者:恋愛を知らぬ化け物)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼ カードアニメの世界に転生した男が、いつの間にか悪の組織のボスになっていた話。▼ なお、本人はその自覚がないモノとする。▼ 邦題『えっ、カードアニメ世界でラスボスカード使いを!?』


総合評価:7889/評価:8.28/連載:22話/更新日時:2026年05月10日(日) 00:18 小説情報

カスレアクロニクル(作者:すばみずる)(オリジナル現代/コメディ)

【平日更新中:昼12時】▼カスレアのカードの精霊が出てくる話。▼かつてカードゲームを愛好していた主人公は、生活苦から手持ちのカードを売ろうとしていた。そんな時、相棒だと思っていたポンコツ美少女カードが突如として実体化してしまい、彼の腐っていた人生が動き始める。▼待ち構えるのは合法ロリ店長や腹黒聖女、厄介な常連客たちとろくでなしの精霊たち。▼ラブコメじみたドタ…


総合評価:4444/評価:8.69/連載:208話/更新日時:2026年08月21日(金) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>