TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
「お話……ですか」
「そ、お話。キミも私も相手を殺すに話をするくらいの理性はあるよね?未開の蛮族じゃないんだ、理性的に先ずは話し合おうよ」
……帰りたいですね、正直。
目の前の彼女の名乗りが本当ならば……彼女こそがレティシア・ブラン、
彼女の保護者といえば……お父さんか統白神が浮かびます。どちらが来たとしても、面倒です。
「話を断るならこれ押すよ?」
私の内心を読み取ったのか、例の保護者を呼ぶ機械のボタンに指を掛けてきます……素直に、向こうの要求に乗るしかありませんね。
「分かりました、では、お話をしましょうか」
「そうこなくっちゃー♪じゃあ、早速だけどーユギト大司教、
「戻るメリットが私にありませんね、ソレに戻れば、私が
はるか昔に……私が誘黒神の座に就いた直後、アレと戦ったことがあります。
触れただけでそこから喰らいつく筈の
『触れた所から喰われるのならば、口の無い所を殴ればいいだけだ。そして、向き直られる前に、拳を引く……単純な問題だな、誘黒神』
理論は分かりますが、極小サイズの虫の一匹一匹の口の位置なんて把握出来る筈がない……でも、結果として
ならばと、虫の向きをランダムにして襲い掛かりましたが……そちらの制御に気を取られて、群れ自体の密度と勢いが
……やっぱり
「メリットならあるよー?
「IGP……いえ、救黄神がそう簡単に諦めると思っているのですか?今も国に対して圧力を掛けて、私たちを捕まえようとしているでしょうし」
「元々、キミの犯した罪は誘黒神という存在が
一息に言葉を並び立てられ、反論に詰まってしまいます。
しかし……彼女の見立ては甘いです。
「救黄神を
ここで息を吐き、少し痛み始めた喉への違和感を誤魔化すように首のチョーカーに触れます。
「……兎に角、
「そうだね、それならキミを守ることは出来ないかもね……でも、キミ以外は?」
チョーカーを弄っていた指が止まり、私が思わず出したその反応にレティシア・ブランが笑みを浮かべます。
「救黄神自らキミの配下の四人を裁くつもりじゃあないんだろう?なら、キミの配下の四人なら、私の先の理論を少し言い回しを変えてしまえば守れるよね?」
「それは……」
「それでも気に食わないのなら……うん、そうしよう!」
パチンと手を叩き、少女らしく楽しげに頬を緩ませるレティシア・ブラン……何故でしょう、ろくでもない予感しかしません。
「勝負しよっか。決勝トーナメントで私たちとキミたち……勝った方が相手の要求を飲むってことでいいよね」
「……そちらが勝てば、私はそちらの傘下に入ると?私たちが勝った時のメリットがありませんが?」
「だから、相手の要求を飲むにしたんだよ。状況は刻一刻と変わるからね、キミたちの要求はキミたちが勝った時に出せばいいよ。私たちの要求はキミを貰うことで確定で良い」
「…………」
……どうしましょうかね、これ。
あの子たちの実力は、この五年の間に上がっています。相手がお父さんたちだとしても、勝ちの目は充分にあります。
それに……負けた時のデメリットは私の身柄が向こうに行くだけ、あの子たちへの影響は無い。
なら……もう少し、譲歩を引き出しましょう。
「その勝負に乗る前に……私たちが勝とうが、負けようがどちらになったとしても、あの子たちの指名手配が解除されるようにしてもらえますか?」
「いいよ、約束しよう」
そう言って、自分の電子端末を操作していく彼女……数分にも満たない時間で、五年もの間彼らを縛っていた指名手配が解除されていきます。
「素直ですね……正直、その指名手配の解除と引き換えにこちらを脅して負けさせてくると思っていたのに」
「そんな必要は無いよ、
「イブぴ……随分と可愛らしい愛称を付けられてますね
「私たちじゃなくて、
何かの含みを感じさせる言葉ですが……流石にカチンと来ますね。
「言ってくれますね……救黄神だけではなく、私のことも
「
そう言って、自分のデッキをテーブルに置く彼女は自身の勝ちを全く疑っておらず、あまつさえ私相手にハンデを付けるとまで言ってきました。
「…………後悔させてあげますよ」
私も【
「じゃ、コレで終わりだね」
「…………」
ラストアタックを受けたと同時に、力が抜けて手札がテーブルの上に広がります。
「ね、言ったでしょ?
零れ落ちた手札の中の一枚……【