TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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ヴァンガードの先行上映見てきました……推しが良い顔して、推しが比較的大人しかったです


選択の代償

「私のターン……んじゃ、こっちも"ギアスモンスター"を見せてやるよ。カウンターブースト!!」

 

 

■■(■■■■) 第二ターン

ライフ:6

手札:4 ターンカウンター:3

 

 

辺りに漂うのは、どこか甘く本能を擽(くすぐ)るような……女の芳香(・・・・)。

その源である【不死鳥(フェニックス)】の背後のモンスターが翼を広げ、その姿を晒(さら)した。

 

 

「誓約(コントラクト)サモン、惑(まど)わし狂(くる)わせるは女(ましょう)の性(さが)!!【惑乱の悪食鳥フレズヴェルグ】!!!」

 

 

両翼は刃にも似た羽に覆われ、その先端に備える翼爪(よくそう)は人の手指(・・・・)に非常に似ていた。

その肢体(したい)は局部(きょくぶ)を羽毛で隠されてはいるが、完全に女性の裸体だ。恥ずかしげに、しかしどこか熱を孕(はら)んだ黄金色の瞳と濡鴉(ぬれがらす)の腰よりも長い真っ直ぐな頭髪が少し……いや、非常に色っぽい。

 

 

【惑乱の悪食鳥フレズヴェルグ】

黒 コスト:5 魔鳥・血

A:5 B:5

 

このモンスターをサモンする時のコストは、前のターンに相手プレイヤーが行った攻撃宣言の回数だけ減らすことが出来る。

自分がライフを消費した時に発動する。消費した分のライフを回復する。

このモンスターが場を離れた時、互いの場の全てのカードを破棄する。

 

 

「コイツのコストは前のターンにお前が行った攻撃宣言の回数だけ減らせる!そら、スペルカード【ソウルサクリファイス】発動!手札の【夜に嘆く歌姫】を破棄し、そのコスト:2以下のモンスター【夜を告げる翁】を手札に加える。さらに、ライフを2追加で支払って二枚ドローだ!」

 

 

■■(■■■■) ライフ:6→4→6

 

 

奴のライフがこれで俺の【炸裂する血肉(サクリファイスボム)】の射程圏内に入ったと思った次の瞬間に、元の数字へと戻る。

 

 

「何故ライフが……」

 

「言い忘れてたが【フレズヴェルグ】が私の場にいる限り、私がライフを支払った直後に支払った分だけライフを回復する。さらに【異空領域(シャトー)の(・)牢獄(ディフ)】の効果でコイツにSC(サクリファイス)カウンターを二つ乗せる」

 

 

ライフの支払いを実質踏み倒しつつ、あのアーティファクトにSC(サクリファイス)カウンターを乗せて防御を強化……厄介だな。

 

 

「ついでだ!スペルカード【血印の書状】発動!!」

 

 

【血印の書状】

黒 コスト:2 スペル・血・犠牲

 

自分のライフを任意の点数分支払い、その点数分のコストのカードをデッキから手札に加える。

 

 

「ライフを五点支払い、デッキから「ん、んぅ……」【血(ブラッ)】……あ?」

 

 

微妙に気の抜ける、寝起き特有の声に俺たちの動きが止まる。

 

 

「あれ……ここはどこ?」

 

「あらあらあらあら〜起きちゃったのぉ?もーちょっと寝ててほしいなぁ〜♡」

 

 

眠りから覚めた鏡花(キョウカ)が目元を擦(こす)りながら、辺りを見渡す。

先ほどまでの俺に対する態度とは百八十度違う【不死鳥(フェニックス)】の猫なで声にサブイボが立つ……鏡花(キョウカ)に近づくな、不審者ぁ!!

 

 

「変な人なのだわ!!?」

 

「人じゃなくて鶏(にわとり)さんピヨ♡」

 

「なら変な鶏(にわとり)さんなのだわ!!」

 

「そこは訂正しなくていい鏡花(キョウカ)!!こっちに戻ってこい!!」

 

 

俺の叫びに、ようやく俺の存在に気づいた鏡花(キョウカ)がのんびりとこちらに向かおうとするのを【不死鳥(フェニックス)】が立ち塞がる。

 

 

「鏡花(キョウカ)ちゃんそこで待っててほしいピヨなぁ〜♡ピヨちゃんと恐馬(キョウマ)のあんちくしょうは今、忙しいんだピヨぉ♡」

 

「いやなのだわ!!お兄(に)ぃが呼んでるのだもの!!鶏(にわとり)さん、通してほしいのだわ!!」

 

「…………いいよぉ♡」

 

 

拍子抜けするほどにあっさりと鏡花(キョウカ)を通す【不死鳥(フェニックス)】……そのまま、俺へと飛びついてくる鏡花(キョウカ)を受け止める。

 

 

「怪我は無いか?」

 

「鏡花(キョウカ)は元気なのだわ!!お兄(に)ぃも……元気みたいなのだわ!!」

 

 

じんわりと伝わってくる最愛の妹の熱……ソレによって安心感が全身を満たしていく。

 

 

「良かった……本当に、良かった……」

 

「もう、お兄(に)ぃは甘えん坊さんなのだわ……でも、そこが可愛くて大好きなのだわ!!」

 

 

抱き締め合う俺たちの間に、時間は止まったかのような感覚を覚える……その永遠にも似た瞬間を、現実に引き戻してきたのは【不死鳥(フェニックス)】の無粋(ぶすい)な咳払いだ。

 

 

「あのさぁー、すっげぇ羨ましいことすんの止めてくれない黒鉄(クロガネ)恐馬(キョウマ)」

 

「ごめんなさいなのだわ、鶏(にわとり)さん」

 

「んーん♡鏡花(キョウカ)ちゃんには怒ってないピヨよぉ♡私が嫌いなのはそこの黒鉄(クロガネ)恐馬(キョウマ)だけピヨ♡」

 

「……鏡花(キョウカ)は取り戻せた、最早"ギアスファイト"を続ける理由は俺にはない」

 

「お、珍しいな。私も同じ意見だよ、黒鉄(クロガネ)恐馬(キョウマ)」

 

 

愉しげな声色と共に、俺たちの足元に向けて小さな機械が投げつけられる……これは、ラジオ?

 

 

「私の仕事は、時間稼ぎ……お前たち二人がいない日本代表は烏合の衆だ」

 

「何……?まさかっ!?」

 

 

ラジオの音量を上げ、その言葉を耳にした瞬間……背筋が凍る。

 

 

「──予選リーグBブロックを全勝(・・)で勝ち抜いた"エボニーマスクス"に観客から惜しみない拍手が送られています!!」

 

 

全勝……つまり

 

 

 

日本代表(アイツら)が負けた。

 

 

 

 

 




この二人のファイトは途中で切り上げるのは確定していました。
本番をやるにはまだ早いです
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